売掛先倒産で資金調達ができずに倒産してしまった事例

会社
製造業
創業  : 10年以上
借入理由: 取引先の会社倒産による売掛金回収難と売上低下
ご相談前ご依頼後
借⾦総額 約2億2500万 債権者55名 0円
毎月の返済額 約500万円 0円
[事例 80]

背景

機械部品の製造業をされていた会社様で、技術の進歩にあわせ、断続的に設備の入れ替えやメンテナンスなど設備投資を行っており、その度に金融機関からの融資を重ね、資金繰りを行っていました。しかし、もともと高い技術を有している会社様で、多くの受注もあり、順調に営業されていました。
しかし、平成20年頃からの世界的な不況のあおりを受け、顧客からの受注が減り、一時、年商も前年の半分以下に下がり、資金繰りが悪化しました。それでも、社長様(以下、Aさんと呼ぶ)の経営努力の甲斐もあって、その後の売上は徐々に回復の兆しを見せていました。
しかし、そのような折、4000万円近くのまだ未回収の売掛金があった大口の顧客取引先が会社更生の申立てをしました。そのため、売掛金は焦げ付いてしまい、他の取引先への支払資金や従業員への給与支払資金も準備できない状況になってしまい、困り果ててしまったAさんは当事務所へ相談にお越しになりました。

弁護士対応 - 従業員への救済制度などについて説明、資産保全に注意しながら手続を進めた

Aさんは、事業を継続できず、会社を立て直せなかったことについて、必要以上に責任を感じていらっしゃいました。また、従業員への未払給与についても、非常に心配されていました。
そこで私の方から、今後の手続の中で倒産の経緯を正直に説明されること、および手続に真摯に取り組んでいくことが重要であるとご説明しました。また、従業員の方への未払給与については、全額ではありませんが、未払給与の立替払制度を利用することで、従業員の方の救済制度があることもご説明したところ、ようやく安心していただけました。
実際の破産申立に関しては、不動産を所有されていたり、工場設備があったりと資産がある程度認められたため、資産保全に注意しながら進めていきました。私の方でも実際に工場まで出向き、資産の確認などを行いました。

結果 - 不動産の売却、従業員への立替払制度の利用、2億2500万円の借金が0円に

所有不動産については、抵当権者の債務額よりも高い価額での売却見込があったこともあり、売却を進めました。また、従業員の方の未払給与につきましては、立替払制度の適用を受け、一部とは言え、従業員の方に支払がされ、従業員救済を図ることができました。
また、手続につきましても、管財人からのヒアリングに対してAさんが真摯に対応された点、および会社資産の一部買取などの指示にも迅速に対応した点などが評価され、無事に手続は終了し、会社名義の借金2億2500万円が0円になりました。

弁護士からのコメント

破産法には、取締役などの役員に対する経営責任に対して、損害賠償請求を破産管財人が行える規定があり、回収された賠償金は、破産財団(イメージとしては、会社の資産を一つにまとめたもの)に組み込まれ、各債権者への配当金に充てられることがあります。
もっとも、この役員への責任追及は、忠実義務や善管注意義務を果たしていたかが要因となり、法令に反する行為や会社の財産の私的流用などの結果として倒産に至ったなどの事情がない限りは、追及されることはありません。経営に失敗して倒産させたという理由だけでは責任を追及の対象にはほぼならないのです。
この点、Aさんに問題視される行為などはなく、会社が債務を負担したのも、設備投資などの資金借入や売掛金の焦げ付きによる資金不足が原因でしたので、破産管財人から責任追及されることはありませんでした。
また、従業員の方の未払給与の救済制度利用につきましても、Aさんが賃金台帳などの資料を滞りなく準備し、従業員の方へ大きな負担をかけてしまったことに対する贖罪の意も込めて真摯に取り組んだ結果、立替制度の期限を過ぎることなく、無事に適用を受けられました。
「経営責任を問われるのではないか」「従業員の給与未払などをどうすれば良いのか」とお悩みの方は、当事務所へ是非ともご相談ください。

解決事例一覧