借金返済 [公開日]2019年11月21日[更新日]2019年11月22日

税金滞納で「差押予告書」が届いた!これからどうなるの?

住民税、市民税、県民税、車を持っている人は自動車税など、支払わなければならない税金はたくさんあります。
もしこういった税金を支払わずに無視していると、財産を差し押さえられてしまうかもしれません。

国民年金や国民健康保険(国保)についても同様に、滞納していると財産を差し押さえられる可能性があります。

既に税金の支払いを滞納している人や、差し押さえの通知を受けている人は、「差し押さえってどんなことをされるの?」と不安を感じているかもしれません。

ここでは、「差し押さえ」について様々なことを解説していきます。

差し押さえによってどのようなことが身に降りかかるのか?どうすれば差し押さえから脱することができるのか?
税金滞納中の人から既に差し押さえを実行されてしまった人まで幅広くカバーしていきますので、ぜひご一読ください。

1.差し押さえまでの流れ

まずは、簡単に差し押さえまでの流れを紹介します。

(1) 督促(督促状の送付)

税金は、納付する期限を1日でも過ぎたら滞納扱いになります。

国税の場合は滞納開始から50日以内に、地方税の場合は滞納開始から20日以内に督促状が発送されることになっています。

(2) 催告

法律的には、督促状の送付後10日を経過したら差し押さえを行うことができます。

しかし、多くの場合は納税者の自主的な納付を期待して「催告」が行われます。
催告では、郵便や電話によって一刻も早い納付を促されます。

自治体によっては滞納者の家まで訪問し、直接催告をすることもあるようです。

(3) 差し押さえの予告

催告を受けても滞納を続けている人のところには、「差押予告通知書(差押予告書)」や「最終催告書」等の書類が送られてきます。
これが届いたら、いつ差し押さえが始まってもおかしくありません。

差し押さえが実行されるタイミングは実施する方の裁量で決まるので、いつ行われるのかは予測できません。

長期間差し押さえを免れている人もいるようですし、差押予告通知書を受けた後すぐに差し押さえを受けた人もいるようです。

(4) 財産の差し押さえ

差し押さえの予告後、調査の内容に基づいて実際に財産を差し押さえます(どのような財産がどういった優先順位で差し押さえられるのかは後述します)。

銀行口座を差し押さえられた場合は、その金融機関に差押通知書が送られます。
給与を差し押さえられた場合は勤務先に差押通知書が送られます。
また、不動産を差し押さえられた場合は「差押登記」が行われて、抵当権者等の利害関係人に差押通知書が送られます。

差し押さえられた財産によって滞納した税金が全て充当された場合、差し押さえの手続はそこで終了します。

【公売や取り立て】
滞納された税金の回収のために、差し押さえられた物品が公売(差押財産を国が売却すること)に出され、売上金は滞納分に充当されることがあります。
また、滞納者に債権がある場合は、差し押さえをする側がそれを取り立てて、やはり滞納分に充当することができます(債権者代位権)。
参考:債権者代位権とは?|債権回収の秘策!効果、要件、利用の具体例

 

このように、滞納を続けていると役所は粛々と差し押さえの手続を進めていきます。
具体的な手続の多くは滞納者にわからないように進められていくので、いつ何が行われたのか滞納者が自覚できないこともあります。

場合によっては突然「銀行口座の残高から滞納分をいただきました」という通知が届くことすらあり得るのです。

なお、差し押さえに先立って「財産調査」が行われます。

所得、給与、報酬などの収入・銀行口座の有無や残高・不動産や自動車の所有・生命保険の加入の有無・債権や債務の有無・家族構成・勤務先、取引先など、様々なことを照会し調べられるので、場合によっては税金等の滞納が周囲にバレてしまいます。
調査官が実際に自宅や(事業をしている人の場合は)事業所等にやってきて、調査をすることもあります。

2.差し押さえされる財産の種類

「差し押さえ」といっても、財産の一切合財が取られてしまうわけではありません。
差し押さえが禁止されているものもあります。

何が差し押さえられるかを知るには「何が差し押さえられないか」を知る方が早いので、まずは差し押さえを免れるものを紹介します。

なお、差し押さえられるのはあくまで滞納者の財産に限るので、家族名義の財産は差し押さえを免れます。

(1) 差し押さえが禁止されているもの

生活に必要なものや収入を得るために必要なものが該当します。具体的には以下のようなものです。

  • 現金(66万円以下)
  • 生活に必要な食料や燃料(3ヶ月分まで)
  • 衣服・寝具・家具・台所用品などの生活必需品
  • 業務を行うために必要なもの(商品を除く)
  • 収入を得るために必要なもの(農家なら農具など)
  • 仏壇や位牌など

(2) 差し押さえられるもの

上記の「差し押さえられないもの」以外が差し押さえの対象です。
中でも、よく差し押さえられてしまう代表例を挙げると、以下のようになります。

銀行口座の残高(定期預金や当座預金も含む)

通常最初に差し押さえされるのが預金です。口座に入っている残高全額が対象なので、口座に振り込まれた年金や生活保護費を含め、滞納分と同額だけ引き落とされてしまいます。

なお、口座が凍結されるわけではないので、口座も通帳もキャッシュカードも従来どおり利用可能です。

給与(給料)

毎月の給与から滞納分が差し引かれます。毎月差し押さえを受けるため、生活に支障が出る可能性があります。

なお、給与には差し押さえされ得る上限額が定められています。公租公課を控除した給与の1/4までを上限とするのが原則ですが、例外もあるため、詳しくは以下をご覧ください。

[参考記事]

借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事

不動産

上の二つほどの優先度はありませんが、不動産を差し押さえられることはやはりあるようです。

場合によっては数千円の滞納でも差し押さえられることがあります。

動産(自動車、66万円を超える現金も含む)

動産の中でも、自動車の優先順位はそれほど高くありません。
移動のためのレッカー代や管理に費用がかかるためとされています。また、事業や生活に自動車が必要な場合は差し押さえから外れることもあります。

その他の家財については、二台以上あるテレビ、ピアノ、宝飾品、美術品等換金できるものが差し押さえられることがあります。

動産の差し押さえにおいては、調査に来た係官が室内の財産調査を行うことがあるので、そのこと自体がストレスになりかねません。

3.差し押さえを回避する方法

税金の滞納をしないことが大切ですが、お金がなくてどうしても支払えない、という状況も有り得ます。
そういった場合は、できるだけ早く役所の担当窓口へ相談に行ってください。

役所は差し押さえをするよりも、納税者が自主的に支払うことを好む傾向があります。
そのため、支払う意思を見せておけば、分割払いに応じてもらえるか、支払いを待ってもらえる可能性があります。

最もやってはいけないことは、滞納の放置や督促の無視です。
支払いの意思を見せなければ差し押さえを受けるリスクが高まるので、放置や無視は絶対しないでください。

4.既に差し押さえを受けそう、または受けた場合の対応

役所へ相談する前に、残念ながら差し押さえを受けそう、または既に財産を差し押さえられたとします。
この場合は、どうすれば事態を好転させることができるのでしょうか?

(1)「納税の猶予」を利用する

納税の猶予は「徴収の猶予」とも呼ばれており、その名の通り納税を猶予してもらえる制度です。
自分や家族が病気や怪我になった、災害や盗難にあった、事業がうまくいかない等の理由があれば利用できます。

納税を猶予してもらえば差し押さえを免れますし、既に差し押さえをされていても解除してもらえることがあります。

また、延滞税を50~100%免除してもらえるというメリットもあります。
役所の納税窓口などで相談すれば手続方法等を教えてもらえので、ご検討ください。

(2)「換価の猶予」を利用する

これは既に差し押さえられてしまった財産の換価処分、つまり売却を待ってもらえる制度です。

財産を売却されると生活に支障が出る、または事業が続けられなくなる場合で、納税の意思があると認められた場合に利用できる可能性があります。

こちらも役所に相談して手続を行ってください。

(3) 滞納処分の停止を利用する

こちらは、給与差し押さえが原因で生活に困窮している場合に利用できます。

この制度では、滞納した税金がゼロになります。
しかしその分ハードルは高く、様々な要件を満たさなければなりません。

まず利用条件ですが、以下の3つのうちどれか1つを満たす必要があります。

  • 滞納処分を執行できる財産がない
  • 生活を著しく窮迫させる恐れがある
  • 滞納者の住所と財産がともに不明

この状態で役所の担当窓口へお願いや相談に行けば、手続に移れる可能性があります。
ただし、あくまで「可能性」なので、突っぱねられてしまうことも多いようです。

5.借金が原因の滞納は弁護士に相談して打開が可能

税金の滞納は一般的な借金と違い、債務整理をしても解決できません。このため、行政側との相談が必要になります。
滞納しているからと気後れして相談を遅らせると傷口が広がる一方なので、出来るだけ早く相談に行きましょう。

ただし、窓口の担当者によって対応に違いが見られ、利用できる制度を詳しく教えてもらえないケースもあるようです。

行政の制度を適切に利用するには、行政の手続に詳しい弁護士に相談するのが一番です。
弁護士を行政との間に挟むだけで行政側の対応が変わる可能性もあるので、弁護士を有効に活用してください。

また、税金の滞納以外の借金も、弁護士なら解決することが可能です。
税金の滞納は債務整理で解決できませんが(税金は自己破産や個人再生をしても減額・免除となりません)、その他の借金問題を解決できれば、税金の納付を行う余裕ができるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

税金や借金を滞納して困っているのであれば、すぐにでも弁護士に相談してください。
相談が早いほど、様々な解決方法をご提案することが可能です。差し押さえを回避・解除するために、泉総合法律事務所の無料相談をぜひご利用ください。

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