借金返済 [公開日]2020年5月20日

無職で借金返済できない!差し押さえられるしかない?

消費者金融などから借り入れたお金が返せなくなってしまうと、滞納→度重なる督促(電話・手紙等)→法的手続き(訴訟・支払督促等)→財産(預貯金・給与等)の差し押さえ、という流れになります。

特に最近では、新型コロナウイルスの影響で、勤務先を解雇されたあるいは給料を大幅にカットされた、(自営業者の方で)休業を余儀なくされて収入が全くなくなったなど、不測の事態で予定通りの借金返済が難しくなってしまった人も多いことでしょう。

予定通りに返済ができないと、債権者からの取り立ての連絡も頻繁にきます。悲しいことですが、中には、借金で追い詰められて、自ら死を選ぶ人がいるほどです。

しかし、仮に無職であっても、債務整理で借金を減免することは可能です。

今回は、特に無職の方に向けて、債務整理(自己破産)による借金の清算方法について解説します。

1.無職の人でもできる債務整理

「債務整理」とは、借金を整理する手続の総称ですが、基本的には「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3種類から、各人にとって最適な手続を選ぶことになります。

ただし、「個人再生」及び「任意整理」は、債務整理後も返済を続ける=今後の返済原資となる収入があるという前提が必要です。
そのため、現時点で無職であるという場合には、選べる選択肢は、基本的には「自己破産」の一択となるでしょう。

言い換えると、たとえ無職であっても、自己破産の制度を利用して、借金問題を解決することができるのです。

2.自己破産とは

自己破産とは、端的に言うと「裁判所での手続を通して、借金の支払義務を免除してもらう手続」のことです。

借金が免除されることを「免責」と言い、自己破産手続では、この免責を裁判所に許可してもらうことが最終目標となります。

必要な書類を準備し、管轄裁判所(個人破産の場合は、基本的には、申立人の住所地を基準として管轄裁判所が決まります)に提出することで申立ができます。
自己破産とは?

(1) 財産の有無で手続の流れが変わる

一言で「自己破産」といっても、破産を申し立てた人が全員同じ手続で処理されるとは限りません。

個人破産の場合、申立時の財産の保有状況、及び、免責不許可事由の有無によって、「同時廃止」「管財手続」のいずれかに振り分けられます。

同時廃止

申立人において、申立時に債権者へ配当できるようなめぼしい財産がないことが明らかで、かつ、借金の経緯にギャンブルなどの免責不許可事由もないことが明らかな場合には、「同時廃止」と呼ばれる形式で、破産手続が進められます。

「同時廃止」では、後述する破産管財人が選任されないので、手続面及び費用面での破産者の負担が「管財事件」と比べて軽く済みます
例えば、「管財事件」になると、管財人の報酬を申立人が負担しなければなりませんし、破産手続中、申立人宛の郵便物の管財人への転送や、転居・旅行に関する事前申告・事前許可などといった制限もかかります。

振り分けの基準となる財産の範囲は、裁判所によって基準・運用が異なりますが、生活に必要なものや最低限の生活費などは、破産してもそのまま持っていてよい、換価・配当の対象外の「自由財産」として扱われます。

管財事件

申立時点における申立人の財産(現金、預貯金、生命保険、自動車、不動産など)の評価額が、一定の基準(この基準は裁判所によって異なります)を超える場合には、その財産を換価(金銭化)して、債権者に分配する(配当する)必要があります。

申立人の財産の換価や配当は、申立人本人ではなく、裁判所が選任する「破産管財人」という弁護士が行なうことになります。破産管財人が選任される手続なので、「管財事件」と呼びます。

ただし、「管財事件」に振り分けるか否かの財産の基準は、ある財産が「自由財産」となるか否かの基準とは異なっていますので、注意してください。

また、申立人に保有財産が無いケースであっても、申立人に免責不許可事由が存在する(その疑いがある)場合には、やはり破産管財人が選任され、借金の経緯などを調査し、最終的に、裁判所に対して、申立人の免責を許可してよいか否かについて、管財人としての意見を提出します。

「管財事件」における裁判所は、免責の許可・不許可に関しては、ほぼ100%管財人の意見通りの結論を出すことから、「管財事件」においては、破産管財人の行なう調査にいかに誠実に協力するかが重要となります。

法律上、破産管財人には、申立人の財産の管理処分権があり、申立前に申立人が行った問題のある財産の処分行為を自ら否認する権限も持っています。

申立前に勝手に財産を処分したりしないようにしましょう。場合によっては、その処分行為自体が、管財人が免責に関する意見を出す際にマイナスの判断材料とされてしまいます。

[参考記事]

自己破産における管財事件と同時廃止の違い。管財事件になる場合とは

「管財事件」の場合は、まず「破産手続開始決定」が出て、管財人が調査や財産の換価及び債権者への配当を行なった上で、破産手続が廃止されます。そして、免責手続において、最終的な「免責許可決定(=財産の換価・配当をもってしても足りない分の債務を免除する決定)」が出るという流れです(法律上、破産手続と免責手続は別個の手続ですが、個人破産では、この2つの手続が同時に申し立てられているという扱いです)

一方、申立人が財産をほとんど保有していない場合で、かつ、免責不許可事由もないような場合は、こうした調査や換価・配当などの手続を経る必要性がないため、「破産手続開始決定」が出ると同時に「破産手続を廃止する」という決定が出ます。そのため「同時廃止」と呼ばれるのです。

ここで廃止されるのは「破産手続」だけで、その後は「免責手続」のみが進行することになります。

3.自己破産で差し押さえも解除可能

では、既に財産を差し押さえされた状態で、自己破産はできるのでしょうか。
また、まだ差し押さえはされていないが、もうすぐ差し押さえされそうだという時に自己破産をすると、どうなるのでしょうか。

結論から言うと、差し押さえ中でも自己破産の申立はできますし、手続が認められれば、既に始まっている差し押さえを中止、または解除することができます

(1) 管財事件の場合

まず、大前提として、債権者は、破産手続中は、強制執行を行なうことができません。

破産法第42条
1項
破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差し押さえ、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。
2項(本文)
前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行(中略)で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。

つまり、管財事件においては、債権者は、破産手続開始決定が出ると、その後に新しく強制執行(差し押さえなど)の手続が取れないだけでなく、破産手続開始決定の時点で既に係属している強制執行手続についても、効力を失うのです。

ただし、破産開始決定が出ただけで、自動的に(何もせずに)強制執行手続の効力が失われるわけではありません。

強制執行手続を取り扱っている裁判所(執行裁判所)と、破産手続を取り扱っている裁判所(破産裁判所)は別々の裁判所ですので、破産手続が開始したということを、別途、執行裁判所へ伝える必要があります。

もっとも、ほとんどの場合、管財事件では、強制執行の解除に必要な手続は、実際には破産管財人において行なっています。

なお、管財事件の場合は、破産手続開始決定の時点で、既に強制執行手続は失効しているため、最終的に、破産事件が免責不許可で終わったとしても、一度失効した強制執行手続が復活するわけではなく、債権者は、破産手続終結後に、強制執行の申立を改めてやり直す必要があります。

(2) 同時廃止の場合

同時廃止は、理論上、破産手続開始決定が出たと同時にその手続が廃止されます。つまり、「破産手続中」という状態にはなりません。

また、破産手続が廃止されているので、「破産財団」ないし「破産財団に属する財産」というものも観念できません。

すると、同時廃止の場合は、少なくとも前述の破産法42条のルールでは、差し押さえを止めることはできないことになります。

それでは、同時廃止の場合は、申立前と同じように差し押さえされ続けるのかというと、そうではありません。

同時廃止の場合、破産手続開始決定(同時廃止決定)が出ると、そこから免責許可決定が確定するまでの間、既に係属していた強制執行は「中止」となります。
まず、差し押さえが「中止」となり、その後、免責許可決定が出て、同決定が確定すると、差し押さえが「失効」します(破産法第249条)。

こうなると、「失効」と「中止」の一体何が違うのか?という疑問が当然出てくるかと思いますが、「中止」は、むしろ「一時停止」と言い換えた方が、一般の方にはイメージが掴みやすいかもしれません。

「失効」は、文字通り効力が失われることですので、もともとの差押手続が完全に無くなることになります。

これに対して、「中止」は、差押手続を一時停止しているだけで、もともとの差押手続が無くなるわけではなく、差し押さえを再開する余地を残した状態です。

給料の差押手続を例に取って説明しますと、差押手続が「中止」になってから「失効」するまでの期間に関しては、差し押さえ分の給料は、差し押さえ債権者にも申立人にも支払われず、勤務先にプールされた状態となります。

そして、免責許可決定が確定し、差押手続が失効した場合は、それまで勤務先にプールされていた差し押さえ分の給料は、申立人に引き渡されます。

逆に、免責不許可となった場合は、中止していた差押手続が再開される上、それまで勤務先にプールされていた差し押さえ分の給料は、差し押さえ債権者に引き渡されます。

詳しくは、以下もご参照ください。

[参考記事]

借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事

4.差し押さえで困ったら弁護士へ相談

消費者金融などからの借り入れが膨らみ、差し押さえの通知がきて困っている無職の人も、法律的な手続を踏めば借金問題も差し押さえも解決することができます。

借金問題が解決した暁には、改めて前向きに職探しにも取り組める筈です。

どうか一人で悩まずに、泉総合法律事務所の弁護士への相談を検討してみてください。
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