借金返済 [公開日] [更新日]

借金は時効で消滅する?時効制度とその援用、気になる注意点

借金は時効で消滅する?時効制度とその援用、気になる注意点

【この記事を読んでわかる事】

  • 借金を時効により消滅させ帳消しにすることは可能なのか?
  • 借金の時効が成立するための要件とは?
  • 借金を時効で帳消しにする非現実性と、借金解決の現実的手段「債務整理」

 

長期間返していない借金があって、相手方から音沙汰がない

このような場合は、このまま返さなくて済むのでしょうか?

今回は、借金の時効について、また実際に借金を帳消しにできる可能性と注意点を解説します。

1.借金の時効

時効とは「長く続いた事実を尊重し、法律的に正しくなくても、それが正当な法律状態であることを認めること」です。

今回のテーマは借金の時効ですが、そもそも借金はどのように生じ、どのようになくなるのでしょうか?

借金は、お金を借りる契約をすることで生じます。これは当然のことですが、借金がなくなる要因については2つあり、1つは「弁済」、もう1つは「時効による消滅」です。

弁済とは契約通りに返済をすることで、完済すると借金はなくなります。もう1つの時効による消滅は、一体どのようなものなのでしょうか。

2.借金の消滅

(1) 消滅時効

借金の時効は民法など法律で定められています。

民法第167条1項で、債権は「10年間行使しないときは消滅する」と定められており、原則10年間、債権者が権利を行使しない場合は時効を迎えます。

ただし、キャッシングなど貸金業者からの借金については、商法522条によって時効は5年と定められています。

貸金業者はお金を貸すことを商売で行っており、多くの取引を迅速に処理すべき立場であることから、商法で特別に定められているのです。

そのため、業者から借金をした場合、債権者が5年間権利を行使しないときは、原則その借金は返す必要がなくなるのです。

しかし、時効を迎えたとしても、自動的に借金返済義務がなくなるわけではありません。借金をなくすには「援用」の手続きが必要です。

(2) 時効の援用とは

借金の消滅時効は、お金を借りた人が「援用」することで効力を生じます。

これは民法145条に定められており、時効の援用をしない限り、借金が消えることはありません。ちなみに援用とは「利用」を意味します。

時効の援用があるのは、人から借りたお金を、国が積極的になかったことにするべきではないという考えがあるためで、債務者が援用手続きをとらない限り、消滅時効の効力は発生しないとしたのです。

3.時効が利用できないのはどんな時?

借金の時効は法律で定められていますが、条件次第では利用できないこともあります。それはどのようなときでしょうか?

(1) 時効開始のタイミングに要注意

借金の時効は、お金を借りた日から数えて5年、または10年間と思われがちですが、実はそうではありません。

借金の時効を援用する場合は、分割払いの最後の支払日から数えて5年、または10年経過している必要があります。

滞納をしている人に対し、業者が「利息だけでも払って下さい」というのは、お金を少しでも返して欲しいということ以外に、支払わせることで時効のカウントを振り出しに戻すためです。

(2) 時効は中断することができる

借金の時効は中断をすることも可能です。時効の中断は民法147条に定められており、中断事由がある場合は、その時点から再度カウントされることになります。

時効の中断をするには、以下の3つの手続きがあります。

①請求

「請求」は債権者が裁判所を通して返済を請求するもので、この手続きをすることで借金の時効を中断することができます。

債権者は契約書などの証拠品をそろえて、書類を簡易裁判所に提出し、裁判所が債権者に代わって債務者に支払い命令を出します。

また、貸金業者が「お金を返してほしい」と裁判外で請求することを「催告」と言い、相手に郵便が届いてから6ヶ月以内は時効を中断することが可能です。

これはあくまでも暫定的な措置なので、時効の中断をするにはその6ヶ月間に、新たに裁判上の請求をするか、支払督促の申立をする必要があります。

②差押え、仮差押え又は仮処分

債権者が債務者の財産を差し押さえ、または仮差押えしたときには時効が中断します。

例えば住宅ローンの滞納により、自宅が差し押さえられたときは、競売の申立の時点で時効は中断します。

③承認

承認は借金をしている人が、貸してくれた人に対して、借金を負っている事実を認識していることを示します。

承認は会話だけでなく、借金があるがゆえにとった行動も含まれ、こうした行為でも借金の時効は中断するので注意が必要です。

特にありがちなのは、返済による中断です。僅かな額でも返済をすると、借金があることを認識しているとみなされるので、その都度時効は中断します。

毎月返済している場合は毎月中断していることになり、時効は最終返済日からのカウントとなります。

(3) 消滅時効完成後も安心はできない

最後の支払いから5年ないし、10年経過していれば、それで安心かと言えばそうでもありません。

仮に時効を迎えていることを知らずに、債権者と話し合いの中で「少しでも返す」とか、「返済を待ってほしい」といった、債務を認める発言してしまうと、時効を主張できなくなることがあるのです。

そのため、随分昔に借りたお金があり、時効を迎えている可能性がある場合は、債権者と話す前に弁護士など専門家に相談をしましょう。時効の援用をするために、適切なアドバイスをもらうことができます。

もちろん、手続きを行ってもらうことも可能です。

4.貸金業者の借金は時効で踏み倒すのは難しい

消滅時効の援用で借金問題を解決!時効制度とその注意事項

貸金業者からの借金は5年で時効を迎えますが、実際に時効で帳消しにすることは難しいと言われています。その理由は2つあります。

(1) 督促から逃げるのは至難の業

キャッシングやカードローンを滞納すると、電話や書面で督促が行われます。

3ヶ月以上滞納が続くと取り立ては激しくなり、それでも返済がない場合は、差し押さえなど強制執行が行われます。また、連帯保証人にも請求が行われます。

夜逃げをして債権者の前から姿を消したとしても、住民票の移動でバレてしまうので、新しい土地での住民登録もままなりません。

そうすると、保険、年金、生活保護、児童手当などの申請もできなくなるので、引っ越し先で非常に苦しい生活を余儀なくされます。

5年もの間、督促のプレッシャーに耐え、債権者から逃げ続けるのは至難の業です。

その前に、借金問題をきちんと解決する方がはるかに現実的です。

(2) 業者は時効の中断を適切なタイミングで行う

業者は貸金業のプロフェッショナルです。時効の中断についても心得ており、そろそろ時効を迎えるな…という時点で時効中断の手続きを行います。

時効は中断されるとカウントがリセットされ、裁判上の請求で判決が確定した場合は、その翌日からさらに10年延長されます。

つまり、貸金業者からの借金を返せないとき、時効によって借金を帳消しにすることは、ほぼ不可能というわけです。

5. 時効を待たずに借金を解決する債務整理

借金を完済できず、時効でチャラにすることもできない場合は、どうしたらよいのでしょうか?

その場合は、「債務整理」をすることを検討しましょう。

債務整理は返済に困っている人を救済するための制度で、 時効を待つことなく借金を減額、または帳消しにすることができます。

債務整理には主に任意整理、個人再生、自己破産の3つがあり、それぞれの状況に応じてベストの方法を選択します。

(1) 任意整理

任意整理は借金を減額する制度で、債権者との交渉によって将来払う利息を減らしてもらうことができます。基本的に元本は減りませんが、利息の支払いがなくなるだけでも大分楽になります。

比較的借金額の低い人に適しており、裁判所を介することもないので、誰にも知られずに手続きを行うこともできます。

債務整理の中では最もよく利用される制度です。

(2) 個人再生

個人再生は借金額の大きい人に適した制度で、認可されれば、借金をおよそ1/5まで減らすことができます。

自己破産と違って財産を手放すことなく、借金を大幅に減らせるので、住宅を持っている人にはおすすめです。

(3) 自己破産

自己破産は借金を全額免除してもらうことができます。

その代わり、住宅や車などの財産は没収されますが、大きな財産がない場合はメリットの方が大きくなります。

6.債務整理のメリットとデメリット

(1) 債務整理のメリット

①督促が止まる

債務整理の手続きを弁護士に依頼した場合、弁護士が相手方に受任通知を送ることで督促は止まります。

督促は精神的にも大きなプレッシャーとなるので、これは大きなメリットです。

②無理な返済から解放される

債務整理をすると、借金を減額、または全額免除してもらうことができます。

減額の場合は手続き後に借金が返せるかどうかもチェックされるので、無理な返済計画を立てられることはありません。

債務整理後は返済のプレッシャーからも解放されるので、精神的にもかなり楽になります。

③生活を立て直せる

債務整理をすることで、生活を再建することができます。

本来、債務整理はそうした狙いで作られた制度なので、利用することで新たな人生を歩むことができます。

(2) 債務整理のデメリット

①ブラックリストに載る

債務整理をするとブラックリストに載ります。

ブラックリストに掲載されると、以後5~10年ほどは新たに借り入れができなくなります。

②官報に掲載される

個人再生と自己破産は官報に掲載されます。

官報はあまり人目に触れるものではないので、情報が洩れることはまれですが、住所氏名が載ることに多少なりとも不安を感じる人もいます。

③自己破産は財産没収

自己破産した場合は住宅、車などの財産は没収されます。

もし自宅を守りたい場合は、個人再生手続きをすることをおすすめします。

7. 借金の解決は早めに弁護士へご相談を

時効による借金帳消しは、法律上は可能でも、業者の借金を時効でゼロにするのは現実的には不可能です。

仮に時効まで逃げたとしても、その間に金利は増え続けます。居場所が分かれば莫大な請求がきます。

もし、どうしても借金を返せない場合は、時効を待たずに債務整理をしましょう。

泉総合法律事務所は債務整理に強い弁護士が多く在籍し、これまでの実績も豊富です。

債務整理の相談は何度でも無料ですので、お困りのことがあればどうぞお気軽にご相談ください。

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