消滅時効の援用で借金問題を解決!時効制度とその注意事項

借金

消滅時効の援用で借金問題を解決!時効制度とその注意事項

「かなり昔から支払いをしていなかった業者から、いきなり請求書が送られてきた。支払い終わったかどうかさえ覚えていない」
「信じられないくらい莫大な遅延損害金が加算されていて、元金なんかよりずっと多い」
「もっと早く請求書を送ってくれていれば、こんなに支払わなくても済んだのに」
「この請求額を支払わなくてはならないの?」

もしこのような事態に見舞われた場合、あなたならどうしますか?もし、支払わないで済む方法があれば、どんなに救われることでしょうか。

そこで、そのような方のために、今回は「支払わなくても済む方法」について、解説していきたいと思います。

1.借金について

そもそも売買や消費貸借契約などの借金はどのように生まれ、消えていくのでしょうか。

まず、借金は契約によって生まれ、消滅する原因があればそれによって消えていきます。逆に、生まれたのち、消滅する原因がなければ、そのままずっと残ります。

消滅原因の1つとして、契約通りに支払ってしまうこと、つまり法律上の「弁済」というものがあります。それと並んで、とても重要なものが、時効によって消滅するケースです。それが、今回のテーマとなっている「消滅時効」です。

なお、時効には、物を自分のものにできる「取得時効」もありますが、今回は「消滅時効」のテーマに絞って解説していきます。

2.消滅時効

(1) 期間の経過

では、消滅時効はどのような場合に使えるのでしょうか。
これは、民法などの法律に定められています。

『民法第167条1項』
債権は、十年間行使しないときは、消滅する。

つまり、原則として10年間、債権者(=お金を貸した側)が権利を行使しない場合に、消滅時効を利用することができます。

なお、サラ金や銀行などの貸金業者は、お金を貸す行為を商売・事業として行っており、多くの取引関係を明確かつ迅速に処理すべき立場であるため、商行為として民法の特別法である商法(以下の条文)が適用されます。

『商法522条』
商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に5年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。

したがって、条文の通り、5年間、貸金業者が権利を行使しなければ、お金を借りた側は消滅時効の主張が可能になります。この時にすべきことが、「時効の援用」です。

(2) 援用

消滅時効は、債務を負った人が「援用」しなければ、効果が生じません(民法145条)。

つまり、「借りたものはきちんと返すべきだ」と思う人に対して、「期間が来たから、もう返す必要はない」と国が勝手に押し付けるべきではないとの理由により、「消滅時効によって債務を消してしまおう」という積極的な意思表示である「援用」がないかぎり、消滅時効の効果は生じないとしたのです。

3.時効が利用不可能な時

(1) 期間の開始

消滅時効は単に契約の時から5年あるいは10年間、請求されなければ使えるのかというと、そうではありません。

消滅時効を援用(=利用)するには、一定期間分割で支払っているとしたら、その最後の支払いを起算点として、5年あるいは10年経過している必要があります。

(2) 消滅時効の中断事由

ここで出てくるのが、「消滅時効の中断」という考え方です。民事の法律上、裁判以外で消滅時効が一度中断してしまうと、新しくその時点から再カウントすることになります(民法157条1項)。

裁判上の請求によると、裁判の確定日から、再カウントすることになります。たとえ消滅時効完成まで残り1日であったとしても、その時点から再カウントされます。
そのため、消滅時効の中断については、正確に知っておく必要性があります。

では、消滅時効が中断してしまう事情とは、具体的にどのようなケースなのでしょうか。

『民法第147条』 時効の中断事由
時効は、次に掲げる事由によって中断する。

一  請求

二  差押え、仮差押え又は仮処分

三  承認

以下で、それぞれについて説明します。

一 請求

請求とは、裁判上の請求のことです。つまり、単に業者から送られてくる「お金を返してください」という「請求書」や「督促状」のことではなく、訴状などの裁判所から送られてくる書類である必要があります。

なお、上で述べた業者からの単なる「請求書」は、「催告」に該当するものです。これは、1度だけ6カ月間ほど時効の完成を猶予しますよという一時的な効力しか生じません(民法153条)。

もし、きちんと時効を中断させたいのなら、別途、催告から6ヶ月以内に裁判上の請求や支払督促の申立などを行う必要があります。

二  差押え、仮差押え又は仮処分

これも基本的に裁判所を介した手続です。多くの場合、上で述べた「一」の請求が先に行われます。

三 承認

承認は、借金を背負った人が、自分がその借金を負っている事実を把握している旨を、お金を貸してくれた人に対して示す行為のことです。業者の担当者と話したりするだけではなく、借金を負っているからこそ取ったであろうと推測される行動も含みます。

したがって、たとえば貸金業者へ契約に従って毎月支払っていれば、毎月中断し続ける=毎月、再カウントとなり続けているということになります。

そのため、消滅時効を援用するには、最後に支払った時から5年、もしくは10年経過していることが必要とされます。

(3) 自分で対応できるか

「最後に支払ってから、10年経過しているからもう安心だ。」

そう思うのは、少し待ってください。冒頭でお伝えしたように、あなたは業者からいきなり請求書が送られてきて、業者と連絡を取ったりしていませんでしたか?その中でどのような話をしましたか?

実は、たとえ消滅時効完成後であっても、一旦債務を認めてしまうと、消滅時効を利用できなくなってしまうケースがあるのです。

もう少し具体的に説明しましょう。消滅時効完成を知っていて債務を認めてしまった場合はもちろんですが(民法第146条反対解釈)、判例によると、たとえ消滅時効の完成を知らなかったとしても、信義則上、「返済の猶予を求める」「一部だけ返済する」といった債務の承認と認められる行為をしてしまった場合、消滅時効は主張できないとされているのです。

つまり、かなり時間が経っている場合には、自分で債権者と話し合ってしまうと、「返すよ」などと債務を負担している事実を認めてしまう発言をポロっと口に出してしまい、それゆえに消滅時効が中断したり、消滅時効完成後の承認に該当したりしてしまい、時効が使えなくなってしまうケースがあるのです。

4.消滅時効の援用もご相談ください

消滅時効は援用するだけで債務が消えてしまう魔法のような制度ですが、制度の内容をよく知らずに対応してしまうと、せっかくの消滅時効を使えなくなってしまうという恐ろしいリスクもはらんでいます。

ですので、内容証明郵便などを利用し、キッチリとした形で消滅時効を援用した証拠を残すことで、消滅時効完成後の承認問題の発生を完全に防ぐなど、きちんとした対応が重要です。

消滅時効の援用については、的確な知識や豊富な経験を有する弁護士に依頼されることをおすすめします。泉総合法律事務所では、これまでにいくつもの消滅時効援用により、ご依頼者様の借金問題を解決してきました。

「自分の借金はすでに時効なのでは?」と心当たりのある方、もしくは判断に迷っていらっしゃる方は、どうぞお気軽に泉総合法律事務所の無料相談をご利用ください。当事務所の弁護士が、ご相談者様それぞれの状況に合ったアドバイスをいたします。

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