借金返済 [公開日]2020年4月13日[更新日]2020年4月30日

奨学金滞納で連帯保証人や家族にどういう影響があるか

現在の日本では、多くの学生が奨学金を利用しているとされています。

日本の奨学金の大きな特徴は貸与型、つまり「卒業後に返済が必要」ということです。

大学を出て就職し、給料から毎月返済しようと思っていたものの、就職に失敗したり低賃金の職場だったりなどの問題で、奨学金の支払いに苦しんでいる人も少なからず存在します。

では、奨学金を支払えなくなるとどうなるのでしょうか?
滞納によって自分の身に何が起きるのかを気にする人もいるはずです。

また、自分のことだけではなく、保証人になってくれた親などを心配する人もいるでしょう。

そこでここでは、奨学金を払えなくなったときに発生しうる事態や、トラブルを解決する方法などを紹介していきます。

奨学金の返済を将来滞納してしまいそう、または既に滞納している人はぜひお読みください。

1.奨学金を支払えない場合

まずは、奨学金を払えなくなると何が起きるのかを見ていきましょう。

(1) ブラックリストに載る

3ヶ月程度滞納を続けると、その事実が「信用情報機関」という組織のデータベースに登録されます。

信用情報機関には、個人と業者のお金の貸し借りや返済状況などの情報が多数登録されています。

銀行や貸金業者、そしてクレジットカード会社などは、融資やクレジットカード発行の申込みを受けると、信用情報機関の情報を参照します。
そこに滞納の事実が登録されていると、「この人にお金を貸すと回収できないかもしれない」と判断し、申込みを断ります。

結果としてローンを組めず、カードも使えない状況に陥るのです。

こういった状態を、俗に「ブラックリストに載った」「ブラック入りした」などと表現します。

早い話が、滞納を続けているとお金を借りられなくなってしまうのです。

[参考記事]

ブラックリストとはそもそも何なのか?掲載されることの悪影響

(2) 一括返済の請求を受ける

奨学金は本来分割払いで返済していくものですが、長期にわたって(9ヶ月程度)滞納を続けると、一括返済を請求されてしまいます。

分割払いができるのは、債務者側に「期限の利益」があるためです。
これがあるおかげで、債権者が「うちの資金繰りが悪くなったから今すぐ残金を一括返済してくれ!」と請求しても、債務者は「いえ、毎月◯万円ずつを◯年間かけて支払う契約ですので」と断ることができます。

しかし、滞納を続けていると、契約違反ということで期限の利益を失ってしまい、一括返済を求められても断ることができなくなってしまいます。

何回滞納すると期限の利益を失うのかは契約によって違いますが、奨学金の場合は9ヶ月がリミットとなっていることが多いです。

(3) 差し押さえなどの法的措置を受ける

いつまでも支払わないと、ある日「差押予告通知」などの書類が届くことがあります。

その名の通り「返済しないと財産を差し押さえますよ」という警告文であり、返済の督促状ですが、それでも支払わない場合は裁判などの手続きを経て、本当に財産や給料を差し押さえられてしまいます

生活必需品などは差し押さえられませんが、人によっては必要なものや大切なものを差し押さえられてしまうかもしれません。

[参考記事]

借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事

また、給料を差し押さえられると手取り収入が減ってしまいますし、借金(この場合は奨学金の返済)を滞納していることが勤務先にバレてしまいます。

差し押さえを受けたからといってクビになることはありません(会社がこれをだけ理由に従業員を解雇した場合、不当解雇になる可能性があります)が、「お金に困っている人」「お金にだらしない人」というイメージを持たれ、職場での印象が悪くなるかもしれません。

(4) 保証人へ一括請求が行く

滞納の影響は奨学金を借りた本人だけのものではありません。
債権者は債務者から債権の回収ができない場合、保証人に支払いを請求することができます。

しかも分割払いではなく一括払いの請求が可能です。保証人としては寝耳に水でしょう。

「自分には保証人がおらず、保証機関を利用しているから安心」と考える人もいるかもしれませんが、その考えは甘いです。

確かに保証機関は、保証をした債務の支払いを代行してくれます。
しかし、その場合、債務者の為に債務の支払をした保証機関に、その債権が移転することになりますので(民法499条、501条参照)、今度は保証機関から返済を求められるだけです。

つまり、支払わなければ保証機関が差し押さえなどを行うため、事態が好転するわけではありません。

2.具体的な保証人への影響

保証人にはできるだけ迷惑をかけたくないという人も多いでしょう。

ここからは保証人とは何か、そして滞納を続けると保証人に何が起きるのかを、もう少し詳しく紹介します。

(1) 保証人には主債務者と同じ支払義務がある

借金をした本人(ここでは奨学金を借りた人)のことを主債務者と言います。
お金を借りる契約を結ぶときは、主債務者の他に保証人、実務上は「連帯保証人」が必要になることが多いです。

お金を貸す側としては、貸したお金が本当に戻ってくるか心配です。
そこで債権者は、主債務者がお金を返してくれなくなったときに備えて、主債務者の他にお金を支払う義務を負う連帯保証人を用意して、リスクヘッジを行います。

連帯保証人は支払いなどに関して主債務者と同じような義務があるため、一括返済を求められればそれに従わなければなりません。

借金をするときに担保として債権者へ何かを差し出すことがありますが、保証人はいわば支払能力がある人を担保にするようなものだと考えてください。

(2) 債務整理の効果は保証人に及ばない

債務を解決する方法に「債務整理」というものがあります。

例えば債務整理の1つである「自己破産」を主債務者が実行すれば、主債務者の支払義務はなくなります。
借金が帳消しされるので、主債務者の借金問題は解決するでしょう。

しかしこの場合、債務を免除されるのは主債務者だけです。
主債務者の自己破産の効力は保証人に及ばないので、保証人の支払義務は継続してしまいます。

もし保証人に支払能力がない場合、保証人も自己破産などをしなければなりません。

奨学金の支払いができないばかりに、家族揃って自己破産という結末もありえない話ではないのです。

ちなみに自己破産をすると高額な財産、具体的には家や土地などが処分の対象になるので、場合によっては主債務者や保証人の生活に大きな支障が生じます。

[参考記事]

連帯保証人が自己破産してしまうまでの流れ|東京の弁護士にご相談を

3.保証人への影響が心配なら早めの対応を

奨学金を提供している日本学生支援機構は、ただ冷酷に返済を求めているわけではありません。
返済の猶予や返済の一部免除などの各種救済制度を用意して、返済が困難な人を助けようとしています。

ここでは簡単に、どのような制度があるのかを紹介します。

(1) 返還期限猶予制度

やむを得ない事情で返済が難しくなった人が使える制度です。

返済額を減らしてもらえるわけではありませんが、将来的に返済できる見込みがある場合は、こちらを利用するといいでしょう。

この制度を使えるのは、以下のような事情で返済が難しい状態の人です。

  • 災害に被災
  • 病気やケガで収入がない
  • 経済的困窮(収入が非常に少ない)
  • 生活保護を受けている
  • 失業

それぞれを証明する書類が必要ですが、最大10年まで返済を猶予してもらえます。

(2) 減額返金制度

毎月の返済額を減らして、しかも返済期限を延長できる制度です。

返還期限猶予制度の条件に加えて、延滞がないことや、口座振替で返済をしていることなどの条件をクリアしなければなりません。

(3) 返済を免除してもらえることも

以下のような場合は未返済の奨学金の全部または一部の支払いが免除されます。

・奨学金を借りた本人の死亡
・精神や身体的な障害で働けなくなった、または労働能力が極端に低くなった
どちらの場合も日本学生支援機構への相談が必要です。

日本学生支援機構は奨学金の返済に困っている人のために相談窓口を用意しています。

できれば滞納しそうな段階で、以下の窓口に連絡して相談するといいでしょう。

奨学金相談センター:0570‐666‐301

[参考記事]

奨学金の猶予期間が満了!?返せない場合はどうすればいいの?

4.債務整理を考える際は早めに弁護士へ相談を

日本学生支援機構の制度が利用できない場合、債務整理を考えるのが妥当でしょう。

債務整理には先に紹介した自己破産以外にも様々な方法があるので、自分の状況に合わせた選択が必要です。

また、債務整理の手続は弁護士に依頼して代行してもらうことが一般的です。
弁護士に相談すれば自分のケースにピッタリの債務整理を教えてくれますし、スムーズに手続を進めてくれます。

保証人がいる場合は保証人への影響も含めた対策を考えなければなりませんが、弁護士ならそのあたりも考慮に入れて仕事をしてくれるはずです。

「お金がないから弁護士に頼めない」という人もいるかも知れませんが、借金問題の相談であれば無料で対応してくれる弁護士もいますし、依頼時の弁護士費用を分割払いにしてくれることもあります。

いつまでも一人で悩んでいると滞納が続き、事態はどんどん深刻になってしまいます。
奨学金の支払いで困ったら、まずは奨学金相談センターに連絡して、それでもどうしようもないのであれば、速やかに弁護士を頼っていただければと思います。

[参考記事]

奨学金を返せない!奨学金滞納は個人再生の対象となるのか

[参考記事]

奨学金の滞納が原因で自己破産したらどうなる?

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