大学の奨学金を延滞・滞納するとどうなる?取り立ての実態と対処法

借金返済

大学の奨学金の取り立てはサラ金並み?取り立ての実態と対処法

【この記事を読んでわかる事】

  • 奨学金制度の実状。返済に行き詰まる人が急増中?
  • 奨学金が払えない、滞納してしまった場合はどうなるのか?
  • 奨学金を延滞してしまっている…解決策と対処法は?

 

現在、大学生のおよそ2人に1人が日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を借りていますが、卒業後の返済に困る人が続出しています。

特に最近では、一部週刊誌で奨学金の滞納者への取り立てに関する報道があり、奨学金を借りて大学へ行くことのリスクについての議論がおこっています。

一体なぜ奨学金を返せなくなってしまうのでしょうか?また返せなくなったらどうしたらよいのでしょうか?

ここでは、奨学金の返済と取り立てについて、詳しく解説します。

1.奨学金返還が難しい背景

以前の日本は終身雇用が前提で、新卒で就職すれば生涯にわたって安定した収入が保証される社会でした。

奨学金を借りて大学に行っても、ほとんどの人は卒業に無理なく返済でき、リスクとはおよそ無縁。奨学金は若者を支援する制度として有効に機能していたのです。

しかし、時代は変わり、1990年代の就職氷河期以降は非正規、アルバイト、派遣で働く人が増え、今やフルタイムで働いても年収200万円以下ということも珍しくなくなりました。

そうなると、地方から出てきて都会で1人暮らしをしている場合、その収入の中で家賃の支払いから奨学金の返済までしなければなりません。

年収200万=月収16万円程度の中で生活の全てのやり繰りをするのは厳しく、その結果、奨学金の返済に行き詰まる人が増えているのです。

2.奨学金を延滞するとどうなる?

奨学金が返済できず、延滞するとどのようなペナルティがあるのでしょうか?

(1) 延滞金の発生

奨学金は返済予定日を過ぎると、延滞期間や奨学金の種類に応じて2.5%~10%の延滞金が課せられます。

(2) ブラックリスト入り(延滞3ヶ月~8ヶ月)

延滞が3ヶ月以上になると信用情報機関のブラックリストに登録され、以後5年は新たにローンを組んだり、クレジットカードを作ることはできなくなります。

また、既存のクレジットカードも使えなくなるので、生活に与える影響は小さくありません。

延滞3ヶ月以降は債権回収が民間に委託され、取り立ては厳しくなります。

(3) 給料の差押え(延滞9ヶ月以降)

延滞が9ヶ月以上に及ぶと、JASSOは本人宛に「支払督促申立予告書」を送ります。

これは「もし支払がなければ、裁判所申立てをします」という予告をするもので、いわば裁判になる前の最後通牒です。

これに応じない場合は、JASSOは裁判所に対して、元本一括支払を求める「支払督促」の申立を行い法的措置をとることになります。

その後は、簡易裁判所から本人宛に特別送達で支払督促の書類が送付され、異議申し立てをせずに14日間経過すると、次に「仮執行宣言付支払督促」が送られてきます。

それも14日間放置すると、判決が確定し、強制執行が行われ財産は差し押さえられます。

差押え対象となる財産は自宅や車、預貯金の他、給料も含まれるので、強制執行をきっかけに勤務先に借金トラブルがバレてしまう可能性があります。

また、ここまでの過程で本人に支払い能力がないと判断されれば、連帯保証人や保証人に請求がいくことになります。

3.奨学金の保証制度について

奨学金を借りる際は、ほぼすべての契約で保証人が必要となります。

保証の形は2つあり、1つは保証会社による機関保証、もう1つは連帯保証人による人的保証です。

本人が何らかの事情で返済できないときは、JASSOは保証会社や連帯保証人に対して請求を行います。

(1) 機関保証の場合

JASSOの機関保証は、保証会社の「公益財団法人日本国際教育支援協会(以下、支援協会)」が行います。

支援協会の保証を受けている奨学生が滞納をした場合は、支援協会がJASSOに代位弁済します。

その後、請求権はJASSOから支援協会に移行し、支払がない場合は支援協会が裁判手続きに踏み切ります。

代位弁済について、詳しくは「代位弁済をされたら弁護士に相談を!借金返済が不可能になる前に」をご覧ください。

(2) 人的保証の場合

奨学金を借りる際に、連帯保証人を設定している場合は、本人が延滞すると連帯保証人に請求がいきます。

連帯保証人は貸主に対して、奨学生本人と同等の責任を負うので、支払に応じない場合は裁判手続きがとられ、最終的に強制執行・差押えをされる可能性があります。

連帯保証人、保証人への請求は延滞金(年利2.5~10%)も加わるので、延滞期間が長い場合は、ある日突然高額の請求が届いて驚くというケースも少なくありません。

4. 奨学金延滞の取り立ての実態

長引く不景気の中で、奨学金の返済ができない人が増え、2015年には8713件の法的措置が執られました。2006年の調査では1181件だったので、10年でおよそ8倍の増加です。

法的措置に至るまでには、延滞金の取り立てが行われますが、冒頭でも触れた通り、近年その様子が週刊誌でセンセーショナルに取り上げられています。

職場にまで取り立てがきた人、病気にも関わらず延滞が理由で返還猶予に応じてもらえない人、連帯保証人の高齢の親に一括請求がきた人など、サラ金レベルの債権回収に苦しむ人たちの様子が報道され、物議をかもしています。

こうした記事を巡っては、JASSOの主張と食い違う部分もあり、実態はケースバイケースのようですが、奨学生を取り巻く環境が厳しいことは事実です。

このような状況を受け、昨年新たに「所得連動返還型無利子奨学金制度」が設けられました。

この制度は、家計状況が厳しく、無利子の第一種奨学金を受けている学生に対して、卒業後本人の年収が300万円になるまでは返還を猶予するものです。

所得連動返還は第一種奨学生には無条件で適用されるので、家庭が経済的に厳しい状況にあっても、この制度により将来の不安なく勉学に励むことができます。

しかし、2017年より前に貸与を受けた学生に対してはこの制度は適用されないので、現在返済中の殆どの人は以前の契約に沿って返済をしなければなりません。

5.返済できない場合は自己破産?

大学の奨学金が返済できない!延滞続き、破産するべきか?

奨学金が返済できずに「奨学金破産」に追い込まれる人が増えていますが、自己破産は最後の手段です。

奨学金の返済できないとしても、段階に応じて取るべき対策は変わります。自分の置かれた状況に応じて以下の方法で対処をしましょう。

(1)  JASSOの返還猶予・減額制度を利用する

卒業後に収入が少なく、奨学金を返済できない場合は、JASSOの各種制度を利用しましょう。現在、奨学金の返済に関しては3つの救済制度があります。

①将来返せる場合は「返還期限猶予制度」を利用

現在、収入が少ない人で、支払を将来に先送りすれば返済できる人は「返還期限猶予制度」を利用しましょう。

例えば、公務員、司法試験など資格試験にチャレンジをしていて、アルバイトなどで生活を維持している人や、病気療養などで一時的に就労できない人などは、この制度を利用するのが適しています。

なお、この制度が適用されるのは最長で10年です。2017年以前に貸与された人は10年を過ぎた場合、返還猶予は受けられないので、その点は念頭におきましょう。

②返済額が減れば返せる人は「減額返還制度」を利用

災害、病気、失業などのアクシデントにより返済が困難ではあるものの、減額すれば返済可能な場合は「減額返還制度」を利用しましょう。

2017年以降は当初割賦金額が3分の1まで減額されたので、毎月18,000円の返済義務がある人の場合、申請が認められれば6,000円まで返済額を抑えることが可能です。減額返還を利用できるのは最大で180ヶ月です。

減額した分、返済期間は延びることになりますが、経済状況が厳しいときには大いに助かります。

また、減額制度は返還猶予制度の期限を過ぎた後でも利用できるので、制度を上手に活用することで、細々とでもマイペースで返していくことが可能です。

③障害で労働能力を喪失した場合は「返還免除制度」を利用

精神もしくは身体の障害で労働能力を喪失、または高度に制限され奨学金の返還ができなくなった場合は、「返還免除制度」を利用しましょう。

申請が認められれば、奨学金の一部または全額が免除されます。この制度は本人死亡の時にも適用されます。

④現在延滞している人はどうする?

現在延滞している人で、猶予を希望する場合は、延滞が始まった月からの猶予事由の証明書(所得証明書など)を提出することで返還猶予申請をすることができます。

猶予事由に関する証明書が提出できない場合は、延滞期間の滞納金を納めてから猶予申請をします。

もし、猶予事由の証明書も提出できず、延滞金の入金も無理な場合は、延滞期間を据え置きして返還期限猶予制度を適用することも可能です。

上記の通り、現在はJASSOも返還困難者に対して様々な救済策を講じています。

奨学金が返済できないと分かったときは、こうした制度をすぐに利用しましょう。

しかし、こうした制度を使っても返済できない場合は、債務整理を検討することをおすすめします。

(2) 債務整理

奨学金は借金なので、返せないときは債務整理をすることができます。

債務整理は法律的に借金を整理する制度で、申請が認められた場合は、借金を減額、免除してもらうことができます。

奨学金の返済が理由で債務整理する場合は、以下の2つが選択肢に入ります

①個人再生

個人再生は借金額を大幅に減額できる制度です。

借金はおよそ5分の1まで圧縮されるので、返済は楽になりますが、減額後は原則3年で借金を完済しなければならないので、安定的で継続した収入があることが前提となります。

奨学金の返済で困っている場合、十分な収入がない人が大半なので、個人再生の要件を満たすのは難しいですが、収入がある場合は選択肢に入ります。

②自己破産

自己破産は借金を全額免除する制度です。病気やリストラなどで収入が途絶え、奨学金が全く返済できない場合は自己破産一択となります。

自己破産をすると、一部の現金以外の財産=自宅、車、預貯金などは没収され、債権者に配当されますが、奨学金の返済に困っている若い人は、まとまった財産は持ち合わせていない人の方が多いので、持っていかれるものは少ないでしょう。

また、自己破産の開始決定後は給与の差し押さえは停止されるので、滞納を放置して強制執行される位であれば、破産手続きに踏み切る方が良いかもしれません。

また、債務整理をするとブラックリストに載りますが、滞納が3ヶ月以上になればブラック入りしているので、既に滞納している場合は債務整理をしてもその点は大差ありません。

しかし、債務整理をすると連帯保証人に迷惑をかけることになります。

③任意整理

連帯保証人へ請求がいく方へ

奨学金が返済できずに債務整理する場合は、連帯保証人に対して請求がいきます。

連帯保証人にどうしても迷惑をかけられないという人で、他にも借金がある場合は「任意整理」を検討しましょう。

任意整理は債権者を選ぶことができるので、連帯保証人がついている債権を整理対象から外すことができるからです。

どのみち、JASSOは任意整理には応じないので、任意整理をしても奨学金を対象に入れることはできません。

もし奨学金以外にも借金があり、その借金が減れば奨学金の返済にお金が回せるという人は、任意整理で対処することをおすすめします。

6.まとめ

奨学金の返済で困っていて、返還猶予制度や減額制度を利用しても対処できないときは、弁護士にご相談ください。

滞納を放置していると、利息は増え、取り立ては続き、最終的に給料が差し押さえられます。そうなる前に手を打たなければなりません。

当事務所は奨学金に関わる債務整理の実績も豊富で、それぞれの状況に合わせてベストの解決方法を提案させて頂くことができます。

借金問題は誰にとっても非常に苦しいことです。決して1人で悩まずに、専門家と一緒に解決していきましょう。

相談は無料ですので、どうぞお気軽にお問合せ下さい。

債務整理コラム一覧に戻る