サブリースとは?契約上の注意点とトラブルの対応策

借金返済


2013年に国会審議でサブリース被害が取り上げられた後、2015年にはNHKでも取り上げられるなど問題が可視化してきたサブリース。

一昨年には、レオパレス21のサブリース契約を巡って、集団訴訟が相次いで提起されています。

では、サブリースとはどういったもので、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

1.サブリースとは

サブリースとは一般的に「又貸し」「転貸」を意味します。

具体的には、オーナーが管理会社にアパートを貸し、管理会社がその部屋を第三者の入居者に貸すものです。

しかし、現在問題となっているサブリースは、ただの又貸しではありません。

サブリース会社は相手が十分理解していない状態で契約を行い、よく見るとオーナーに不利な条件で借り上げが行われていることが問題視されています。

不動産賃貸のサブリースの実態とは、どのようなものなのでしょうか?

2.不動産賃貸におけるサブリース

不動産賃貸におけるサブリースは、管理会社がオーナーからアパートなどを借り上げるだけでなく、運営・管理も一括で引き受けます

サブリースは多くの場合、30年家賃保証などを謳い、長期に渡って家賃を保証するような印象を与えますが、実は長期的に利益を保証する契約にはなっておらず、大きなリスクを抱える恐れもあるのです。

サブリースがなぜ注目を集めているのか、そして何が危ないのか、その仕組みとメリット・デメリットをみてみましょう。

(1) サブリースの仕組み

サブリースは不動産会社がアパートなどを一括借り上げする際に、空室にかかわらず一定の賃料を保証します。

サブリースの最大の特徴は、この「空室にかかわらず」という点にあります。

アパート経営をする際に、オーナーの一番の心配は空室で家賃収入が入らないことです。

アパート経営は借金で初期費用を賄う人が大半です。借入をしている場合、仮に空室で賃料が入らなければ、銀行への返済もできなくなります。それはオーナーにとっては一番避けたいリスクです。

その不安を解消するのがサブリースです。

サブリースはオーナーとサブリース会社が賃貸契約を結び、一定の賃料を毎月保証することで、リスクのない投資として人気を得たのです。

しかし、空室の場合に、サブリース会社はどのように収益をあげるのでしょうか?

(2) 賃貸料と転貸料の差額と管理費がサブリース会社の収入源となる

サブリース会社の収入源は、賃貸料と入居者への転貸料の差額、および管理費です。大抵オーナーとサブリース会社は家賃の8割程度の額で賃貸契約を結びます。

サブリース会社は又貸しすることで2割の収益が入ります。

また別途管理費を別途徴収しますが、毎月管理費相当のメンテナンスを必要とする訳ではないので、管理費から経費を除いた分はサブリース会社の利益となる訳です。

空室が出てもオーナーに家賃保証ができるのは、毎月こうした中間マージンをとっているためです。

(3) メリット

問題点を指摘されているサブリースですが、本来はメリットの大きいシステムです。

①オーナーに知識がなくても不動産会社が一括管理してくれるので、賃貸物件の建設可能

アパート経営をする人は不動産のプロばかりではありません。投資をするのは、ごく普通のサラリーマンや、土地活用をしたい農家の人です。

そうした人たちがアパート経営をする場合、最初は分からないことだらけです。

しかし、不動産会社に一括管理をお願いすれば、不安なくアパート建設・経営することができます。

②転借人に対しては、不動産会社が対応するので、オーナーの手を煩わせない

サブリースでは、入居者にとってオーナーは不動産会社なので、入居から退去まで全ての対応を任せることができます。

万が一入居者とトラブルがあっても、実際のオーナーに影響はないので、その点は大きなメリットです。

③空室があっても空室分の賃料を不動産会社が保証してくれる

先述の通り、サブリースでは空室の賃料も補償してもらえます。

入居者がいなくても不動産会社と契約した賃料が入るので、毎月安定した収入を見込めます。

④不動産会社・管理者会社が転借人の原状回復義務を負う

アパートの借主は退去時に原状回復義務がありますが、部屋の汚れや傷みの修繕に関し、借主がどこまで原状回復すべきかどうかはケースバイケースです。

そのため、原状回復は貸主との間でトラブルになりやすいポイントです。

しかし、サブリースでは原則として不動産会社、管理会社が原状回復義務を負うので、オーナーが直接交渉する必要はありません。

⑤空室リスクが少ない

サブリースは借主がいなくても、オーナーには賃料が入るので、短期的には空室リスクを抱えることはありません。

⑥家賃の滞納がない

アパート経営では賃料の滞納リスクがありますが、サブリースでは不動産会社が家賃を回収します。

取り立て方法や家賃回収のノウハウが確立されているので、踏み倒される心配はありません。

また、万が一に備えて、家賃保障特約もつけているので、その点は安心です。

(4) デメリット

サブリースには以下のデメリットもあります。

①オーナーが賃貸人、サブリース会社が賃借人、間借人が転借人という立場で、借地借家法上、サブリース会社がオーナーよりも保護される立場にある

不動産の賃貸借契約を定めた借地借家法は、立場の弱い賃借人を保護するために作られた法律です。

同法では、賃借人が家賃の減額を求める「賃料減額請求権」を認めており、請求が認められない場合は、契約期間中でもアパートの退去を認めています。

サブリースにおける賃借人は、一見アパートの住人のようですが、実はサブリース会社です。そのため、サブリース会社に賃料減額請求権が認められているのです。

この法律がある以上、家賃保証を謳っていても、サブリース会社が求める賃料減額にオーナーが応じない場合は、サブリース会社が契約を解除できるのです。

そのため、物件が新しいうちは問題なくても、将来的に建物が古くなり収益が落ちた段階で、賃料減額&契約解除に持ち込まれる恐れがあります。

当初「30年一括借り上げ」という契約をしても、サブリース会社から一方的に契約解除ができるので実際は不公平なシステムなのです。

②オーナーとサブリース会社間には宅建業法の適用なし

オーナーとサブリース会社の間には宅建業法の適用がありません。

そのため以下の問題が発生しています。

・賃貸料改定

先述の通り、サブリース会社の減額請求で家賃保証額の引き下げが可能となります。

オーナーはこの点で不利な立場に置かれます。

・免責期間

賃貸契約で家賃保証の免責期間の設定があると、空室保証のメリットがなくなります。

・原状回復・修繕費

原状回復・修繕費用について、契約書を見るとオーナー負担となっていることがあります。

その場合、入居者が変わるたびにクリーニングや修繕を自腹でしなければなりません。

・解約

賃貸契約はオーナーからは簡単に解約できません。

賃貸契約では賃借人が保護されるので、貸主から6ヶ月以上前に申し出ても、正当な理由がない限り解約は認められません。

・家賃保証があっても空室リスクは減らない

サブリース会社の家賃保証があっても、「家賃は周辺相場の変動で変更可能」といった契約内容の場合がほとんどで、賃料を下げることで空室を減らす場合、元の賃料のまま空室リスクを抱えるのと結果的に変わらないことも多いのです。

以上がサブリースのデメリットです。30年一括借り上げ、家賃保証というキャッチフレーズは魅力的ですが、落とし穴がいくつもあるのが実際のところです。

それでは、契約に際してはどのようなことに気を付ければよいのでしょうか?

3.契約上の注意点

サブリース契約をするときには、以下のことに注意をしましょう。

(1) 入居者が見込める物件・地域か見定める

サブリース契約で賃料改定が起こるのは、入居者がいない場合です。

サブリース会社は空室を減らすために、家賃を相場より安くして入居者を募るので、そもそも入居者が見込めない地域、物件は建てるべきではありません。

駅からの距離、周辺施設、都心へのアクセスなど、便利な場所なら少々古くなっても家賃が劇的に下がることはありません。

アパート経営は立地が成否のカギを握るので、建設前に十分に検討しましょう。

(2) 契約書をよく確認する

サブリース会社と契約をする前に、契約書はよく確認しましょう。間違っても営業担当者の言うことを鵜呑みのして判を押すことは避けて下さい。

契約書は法律用語が多いので、分かりにくいという場合は、法律の専門家に相談して全て内容をクリアにした上で契約しましょう。

(3) サブリース会社の経営状態・評価を見極める

近年サブリース会社が倒産し、賃料の保障が受けられないケースが相次いでいます。

サブリース会社と契約をする前には、会社の経営状態を自ら確認し、赤字ではないか、利益を上げているか、など財務諸表のチェックは欠かさずに行いましょう。

また、営業担当者の対応、事業手法なども参考になります。特に無理な押し売りをしてくる場合は要注意です。

今後数十年のお付き合いをできる相手であるかどうか、冷静に見極める必要があります。

(4) 料率設定に気を付ける

サブリースは賃料の料率相場があります。

これは、オーナーに支払う家賃は満室時の何パーセントかを決めるもので、大抵は80~85%が一般的で、空室がでない都心部であれば85~90%ということもあります。

この料率が低ければ低いほどオーナーの収入は少なくなります。料率設定が著しく相場より低い場合は契約しないことをおすすめします。

4.トラブルになった場合の対応策

サブリース契約でトラブルになった場合、以下の方法で対処しましょう。

(1) クーリングオフ期間なら契約解除可能

サブリース会社の社員が自宅訪問し、そこで契約が成立した場合、特定商取引法が適用され、期間内であればクーリングオフで契約解除することが可能です。

契約書にクーリングオフの旨が記載されている場合は、書面交付から8日間、記載されていない場合は、正しく記載された書面が交付されてから8日間は契約解除可能です。

しかし、事業者の事務所で契約した場合や、自分で契約希望の旨を告げて営業担当者に自宅に来てもらった場合は適用外なので、その点は注意が必要です。

(2) 損害賠償請求で解除できないか検討

既にサブリース契約をしていて、当初の賃料保証がなされていないなど、一方的とも思える被害を受けている場合は、損害賠償請求によってサブリース契約を解除できる可能性もあります。

(3) 専門家・国民生活センターに相談

現在、サブリース契約を巡るトラブルは全国で発生しており、各地で被害相談が相次いでいます。

サブリース問題を相談できるのは法律事務所や国民生活センターです。状況に応じて適切な対処法を教えてもらえるので、トラブルを抱えている場合はぜひ一度相談をして下さい。

5.サブリース契約で赤字になってしまったら

サブリース契約で赤字を抱えてしまったらどうしたら良いのでしょうか?

(1) サブリース会社の変更を検討

サブリース契約で赤字になり、会社の対応に疑問を持った場合は、会社の変更を検討しましょう。

サブリース会社を途中で変更することは可能で、その際は、契約内容だけでなく、提案力、財務状況などをチェックして、経営不安のない会社を選ぶことをおすすめします。

(2) サブリース契約を解除して自分でアパート経営

サブリースで赤字になった場合は契約解除をして、自分でアパート経営をしましょう。

そもそも、サブリース会社がオーナーと契約をするのは、自社に儲けがあるからです。

空室で収益が減った場合には、賃料を下げることで減収分をオーナーに負担させているのです。

そのカラクリを考えれば、空室リスクを抱えても自分で経営したほうがマシなことも多いので、家賃保証に拘らないことも大事です。

(3) 債務整理を考える

サブリース契約で多額の借金を抱え、どうしても返せない場合は債務整理も検討しましょう。

債務整理は借金を減額、または全額免除する制度で、申請が認められれば借金返済が随分楽になります。

債務整理には主に任意整理、個人再生、自己破産の3つがあり、借金額や収入状況に応じていずれかを選択します。

  • 任意整理将来利息をカットして借金を減額。減額幅は小さいが、裁判所を介さず、連帯保証人に迷惑をかけずに手続きすることが可能です。
  • 個人再生…借金を大幅に減額できる制度で、借金をおよそ1/5まで圧縮できます。自宅や車などの財産をしなくてよいので、個人再生後の返済できる収入が見込める場合にはメリットが大きい制度です。
  • 自己破産借金を全額免除する制度です。借金をなくす代わりに財産は没収されます。自宅やアパートも没収されますが、借金を減額しても返せる見込みがない場合には自己破産一択となります。

債務整理をすると、5~7年ほどは信用情報機関に事故情報が登録されるので、新たな借り入れができなくなります。

しかし、サブリース契約で数千万円の借金を作ってしまい、どうしても返済できない場合には債務整理したほうが良い結果になることもあるので、お困りの場合は一度専門家に相談することをおすすめします。

6.まとめ

サブリース自体がすべて悪いものであるとは一概には言えません。しかし、もしサブリースなどの不動産に関するトラブルでお困りの場合は、和泉総合法律事務所にご相談してみてください。

状況を考えながらトラブルの解決について、専門家である弁護士が親身になって対応させていただきます。

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