借金返済 [公開日]

奨学金の猶予期間が満了!?返せない場合はどうすればいいの?

大学や高校等の学費を支払うために「奨学金」を利用する人が増えているそうです。

奨学金は、人々の「学びたい」という気持ちに答えるすばらしい制度ですが、その一方で借りた奨学金を返済できない人が増加しているとも言われています。

この記事をお読みの方の中にも将来の返済に不安を抱えている方がいるでしょうし、既に奨学金の返済を滞納中の人がいるかもしれません。

もし奨学金を返せなくなったらどうなるのでしょうか?

ここでは、奨学金の返済ができなくなったときに何が起こるのかと、返済不能になったときの解決方法を紹介していきます。
奨学金の返済が気になっている人はぜひお読みください。

なお、ここでは独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が行っている奨学金について述べていきます。

1.奨学金制度とは

JASSOには2種類の奨学金制度があります。「給付型」と「貸与型」です。
給付型の奨学金には返済義務がありませんが、これを受けるための条件は厳しく、ハードルの高い奨学金制度と言えます。

一方の貸与型には返済義務があるものの、給付型に比べると受けるための条件が緩いため、より多くの人が受けられる奨学金です。

貸与型の奨学金はさらに「無利息」と「利息付」に分かれています。
利息付奨学金は奨学金と言いながら実態は学生ローンに近く、これを利用した学生は卒業と同時に数百万もの借金を背負って社会に出ることになります。

新社会人の収入では十分な返済ができないこともあるためか、返済滞納者が続出しており社会問題化しています。

このような問題を含みながらも、JASSOが行っている奨学金制度の利用者は130万人を超え、年々増え続けているのが現状です。

滞納者が多いこともあってか、JASSOは2009年に返済を通算10年間猶予する制度を開始しました。

しかし2019年になり、猶予期間が満了する人も出始めているようです。
JASSOから郵便物が届いた人は要注意です。猶予期間が過ぎてしまっているかもしれません。

2.支払いを滞納したらどうなるの?

10年間の猶予期間が過ぎてしまった人は、JASSOへの支払いに応じなければなりません。
もし支払いができない場合、ケース別に以下のような事態へと発展します。

(1) 保証人や連帯保証人がいる場合

もし連帯保証人等がいる場合は、奨学金を利用した本人ではなく連帯保証人等に督促が行きます。
連帯保証人は督促状が来ただけでも驚くことでしょう。

ただでさえ寝耳に水かもしれませんが、なんと「滞納分の一括返済」が請求されることがあるため、連帯保証人としては突然の出費に目を疑うことになる可能性が高いです。

保証人に迷惑をかけないためにも滞納しないように努力して、万が一滞納する場合は一言断りを入れておくといいかもしれません。

連帯保証については以下の記事をご覧ください。

[参考記事]

連帯保証人が自己破産してしまうまでの流れ|東京の弁護士にご相談を

(2) 保証機関の場合

保証人ではなく保証機関による保証がある場合は、保証機関が本人に代わって支払いをしてくれます。
しかし、今度は保証機関から一括返済を請求する督促状が来るだけです。

債務者としては債権者が変わっただけで、支払いが免除されるわけではありません。

結局は支払い義務を免れることはできないので、根本的な解決策を考える必要があります。

(3) 信用情報に傷がつく

JASSOは滞納を予防するために、一定期間滞納した人の情報を「信用情報機関」という組織に登録することにしています。

銀行等の金融機関やクレジットカード会社等は人にお金を貸すときやクレジットカードを発行するときに信用情報機関へ情報の照会を行って審査を行うので、ここに滞納の情報があるとお金を借りたりクレジットカードを作ったりすることができなくなります。

一定期間経過すればこの情報は抹消されるのですが、登録されている期間中はカードを作ったり、ローンを組んだりできなくなる場合があります。

これを防ぐためにも、できるだけ滞納しないことが大切です。

3.奨学金を返済できない場合の対処法

支払いを滞納しないことが大切とは言え、現実問題として支払えないこともあるでしょう。

その場合は「JASSOが用意している制度」や「債務整理」を行うことで解決が可能です。
それぞれどういったものなのか見ていきましょう。

(1) JASSOが用意している制度

JASSOは奨学金の支払いが困難になった人のために3つの制度を用意しています。

制度のいずれかを利用したい場合は、JASSOの相談センターに問い合わせてみてください。制度を使うための詳細な情報を教えてもらえます。

①一般猶予制度

一定期間返還を猶予することで、返還困難な事情がある奨学生がその後の返還をしやすくする制度です。
猶予事由(傷病・生活保護需給中・失業中・経済困難・災害等)に合った証明書の提出が必要です。

「延滞が始まった年月から1年ごと」に猶予申請書類を作成して提出することで、審査に通れば複数年にわたっての猶予も可能です。

詳しくは「独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)一般猶予」をご覧ください。

【延滞据置制度】
延滞据置制度は、既に延滞状態にある人で、奨学金の返済が困難な人のうち、病気や怪我・災害・生活保護受給中・経済的な困難がある等の事情があって、以下2つの事情の両方に該当する人のみが使える制度です。
・延滞開始年月から通常の返還期限猶予を願い出ることができない(延滞開始年月からの猶予事由や証明書がない)
・現在延滞据置猶予に該当する事由がある
支払いを猶予してもらえるのは最大で10年間ですが、1年毎に申請が必要です。
詳しくは「独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)延滞据置猶予制度」をご覧ください。

②減額制度

こちらは災害、傷病、その他経済的な事情で奨学金の返済が難しい人のうち、毎月の支払額を減額すれば返済ができる人を対象とした制度です。

減額してもらったうえで一定期間返済を行い、減額期間に応じて支払期間を延長するのがこの制度の特徴です。

返済期間は長くなりますが毎月の支払額が減るので、人によっては無理なく支払いが可能です。
1度申請すると12ヶ月適用され、最大で15年の延長ができます。

詳しくは「独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)減額返還制度」をご覧ください。

③免除制度

本人が死亡、精神や身体の障害で働けないまたは働くための能力が制限されているため奨学金の返済ができないときに利用できる制度です。

この場合はJASSOに相談すると詳細を調査され、状況に応じて制度の利用に必要な書類を送付されます。

必要書類を提出後審査が行われ、支払いを免除されるかどうかが決定します。

詳しくは「独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)返還免除」をご覧ください。

(2) 債務整理

JASSOが用意している制度を使えない人は債務整理を検討してください。
債務整理には「個人再生」「自己破産」「任意整理」の3つがあるので、それぞれを紹介していきます。

① 自己破産

借金を帳消しにしてしまう非常に強力な債務整理です。

ただし、一定以上の財産がある場合は処分してお金に換え、債権者への弁済に充てなければなりません。
不動産や自動車等の高価な財産を持っている人にとってはリスクもある債務整理です。

②個人再生

借金を5分の1~10分の1に減額してもらい、そのうえで残った借金を原則的に3年程度かけて毎月少しずつ返済していくのが個人再生です。
自己破産のように借金をゼロにはできないものの、減額効果は極めて高く、基本的に財産を処分する必要がないのも魅力的です。

しかし、個人再生の手続は極めて複雑で、法律の専門知識を持たない一般人が自力で行うのは事実上不可能という声もある程です。
個人再生を行う場合は弁護士に依頼して手続を代行してもらうことを強くおすすめします。

③任意整理

自己破産と個人再生は裁判所を通して行う手続ですが、任意整理は裁判所を介さずに債務者が債権者と交渉して行う債務整理です。
実際には債務者本人ではなく、債務者が依頼した弁護士と債権者が交渉することになります。

ただし、債権者であるJASSO等が、交渉に応じてくれない可能性が高いと言われています。
仮に応じてくれたとしてもカットされるのは将来の利息等に留まるため、元々それほど利率が高くない奨学金の場合、減額効果は限定的です。

奨学金に関しては、任意整理は借金問題の根本的な解決にはなりづらいと考えられるので、自己破産や個人再生を行うことをおすすめします。

4.奨学金の悩みは弁護士に相談!

奨学金を返せなくなってしまう人は意外と多いそうです。
「せっかくお金を借りてまで勉強したのに、こんなことになるなんて…」と自分を責める人もいるでしょうし、保証人になってくれた親に対して申し訳ない気持ちになる人も多いでしょう。

しかし、そのまま悩んでいてはいつまで経っても借金問題を解決できず、却って親や保証人に心配をかける結果となりかねません。

弁護士は借金で困っている人の味方です。一刻も早く弁護士に相談して、奨学金の悩みを解決してください。

奨学金の猶予期間が過ぎてしまい、それでも払えないとお悩みの方は、泉総合法律事務所の弁護士に是非一度ご相談ください。

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