借金返済 [公開日]2020年4月13日

給料差し押さえのリスク|会社にバレる?無視するとどうなる?

借金を返さないまま長らく放置していると、給料を差し押さえされてしまうことがあります。

「差し押さえ」はしばしば聞かれる言葉ですが、そもそもどういったものなのでしょうか?

ここでは、給料差し押さえの基本や、給料を差し押さえられるとどのような影響があるのか、そして簡単にですが差し押さえを回避する方法などについて解説していきます。

現在債権者からの督促を無視している人や、差し押さえの予感・予兆がある人は、ぜひ本記事を読んで参考にしてください。

1.給料差し押さえの基本

まずは、給料差し押さえとはどういったものなのかを学んでいきましょう。なお、給料以外にも、差し押さえ対象はありますが、一番危険性が高いものとしてご説明します。

(1) 給料の差し押さえとは?

給料の差し押さえとは、債務者(お金を借りている人)の給料の一部が、債務者本人ではなく、債権者(お金を貸している人)に直接支払われるようになることです。

債務者に給料を渡してしまうと債務者が使い込んでしまい、債権者への返済が行われなくなる可能性があります。

しかし、給料の一部分が直接債権者に支払われれば、債権者は確実に弁済を受けられるようになります。

債務者側が何らかの手段を講じない限り、債務がなくなるまで給料の差し押さえは続きます。

(2) 給料差し押さえの金額

差し押さえ可能な範囲は、民間からの借金の場合「手取り額の4分の1まで」と決められています。
裏を返せば、手取り額の4分の3は受け取ることができるのです。

ただし、33万円を超える給料をもらっている場合、33万円を超えた部分は全て差し押さえられてしまうため、受け取れる給料の額は33万円が上限となってしまいます。

差し押さえを受けた場合、通常の給料だけでなく、夏や冬のボーナスや退職金なども差し押さえの対象となるので、手取り収入の減少は避けられないでしょう。

ちなみに税金を滞納している場合、以下の金額の合計額までは差し押さえされません。

  • 給与から控除される所得税や住民税、社会保険料等
  • 月額10万円
  • 生計を同じくする配偶者や子供等の親族一人あたり4万5000円
  • 給与から所得税や住民税、社会保険を控除した額の20%

一見難しいかもしれませんが、「税金の場合、ケースによっては差し押さえられる額が4分の1では済まない可能性がある」と理解してください。

(3) 差し押さえまでの滞納期間

これはケースバイケースですが、少なくとも、支払いを数回滞納した程度では差し押さえはされません。

滞納をすると、まずは郵便や電話で督促され、それを数ヶ月無視していると「借金を一括返済してください」という趣旨の請求書が届くことが多いようです。

その請求書には訴訟や支払督促などの法的措置に出る旨も書かれていることが多く、「差押予告通知」というタイトルがついているかもしれません。

これも無視したままでいると、裁判所から「特別送達」という郵便物が届きます。
そこには債権者が訴訟を提起したか、支払督促を申し立てたことなどが書いてあるはずです。

訴訟を起こされても無視していると、債務の全額や遅延損害金等を債権者に支払うように命じる旨の判決が出されます。したがって、絶対に裁判所からの書類を無視せず、受け取って中身を確認してください。

また、支払督促を無視すると、債権者の主張がほぼ全面的に認められて「仮執行宣言付支払督促」というものが出されます。

その後、債権者が判決書や仮執行宣言付支払督促に則って、裁判所に債務者の給料を差し押さえるための申立てを行うと、実際に給料が差し押さえられてしまいます。

差押予告通知が来てから、早ければ1~2ヶ月で給料が差し押さえられてしまうこともあるので、裁判所からの書類は当然として、債権者からの督促も無視せず、すぐに専門家にするようにしてください。

なお、税金の場合は裁判所の手続を経ずに差し押さえができるので、さらに早く差し押さえが行われる可能性があります。

[参考記事]

税金滞納で「差押予告書」が届いた!これからどうなるの?

2.差し押さえされるとどうなるのか?

差し押さえの概要などはご理解いただけたでしょうか。

ここからは、差し押さえが生活に与える影響をご紹介します。

(1) 手取り額が減る

まず、それまで通りの手取り収入を得られなくなるため、生活が苦しくなる危険があります。

例えば、複数の業者から借り入れをしている場合、1社から差し押さえを受けると、手取り収入が減るため他社への支払いが続けられなくなり、連鎖的に返済の滞納が発生する事態に陥るかもしれません。

あるいは手取り収入が減ったことで、税金や公共料金の支払いが難しくなることもあるでしょう。

(2) 会社にバレて居づらくなる

給料を差し押さえられると、裁判所からの連絡が会社にいきます。
このため会社には、必ず借金のことがバレてしまいます

結果として「借金を返せなくて差し押さえを受ける人=お金にだらしない人」という評判が生まれてしまうかもしれません。

差し押さえをされても、法的には会社はそれを理由として労働者を解雇することはできないので、その点は安心してください。
しかし業種によっては「お金にだらしない人にお金を扱う仕事はさせたくない」という理由で、配置転換などが行われる可能性もあります。

その他、「差し押さえを受けた人」というイメージの問題で、会社に居づらくなったり、人間関係が変わってしまったりするかもしれません。

(3) 家族にバレやすくなる

差し押さえを受けると給料の手取り額が減るため、給料の振り込み額も少なくなります。

配偶者が給料を管理している場合などは、通帳を見られて「どうして今月は給料が減っているのか?」と疑問に思われてしまい、そこから借金のことがバレてしまう可能性が高くなります。

また、税金の場合は預金への差し押さえをされると、通帳に「サシオサエ」などと記入されてしまいます。そして、給料等の収入源のみならず、預金先、その他財産など全て把握されていますので、滞納するとまず差し押さえを受けると思って差し支えありません。

このため税金の滞納は、家族により露見しやすいという特徴があります。

3.差し押さえの解除・回避方法

差し押さえをされると悪い影響が多く発生します。

どうにかして差し押さえを回避したいと思うのが普通でしょうし、既に差し押さえを受けている場合はなんとか差し押さえを解除したいはずです。

最後に、そのための方法を解説します。

(1) 差し押さえの回避方法

まずは、まだ差し押さえを受けていないけれど、目下滞納中であるか、差押予告通知が届くなどして危機的な状況にある場合の対策を紹介します。

①分割払いの交渉をする

債権者の督促を無視するのはよくありません。支払う意志を見せれば分割払いに応じてくれることもあるので、まずは債権者に連絡を取ってみましょう。

債権者としても差し押さえをするのは時間と手間とお金がかかるため、債務者が返済に応じてくれるのであれば検討をしてくれるでしょう。

債権者が民間の事業者の場合は督促状に書いてある連絡先へ、税金を滞納している場合は役場の担当部署まで連絡してください。

②債務整理をする

差し押さえをされる前に弁護士に相談し、「債務整理」をするのも一つの手です。

債務整理には主に3種類あるので、簡単に説明します。

  • 任意整理:債権者と交渉して将来利息をカットしてもらい、3~5年程度かけて毎月返済する。
  • 自己破産:裁判所で借金をゼロにしてもらう。代わりに財産を処分する場合もある。ただし、税金や養育費などについてはゼロにすることはできない。
  • 個人再生:裁判所で借金を大きく減らしてもらい、3年程度かけて毎月返済する。収入要件が厳しい。

債務整理は自分にとって最適なものを行わなければ効果が薄いので、弁護士の意見を参考にしてどれを選ぶか決断してください。

(2) 差し押さえの解除方法

差し押さえの回避に失敗し、差し押さえをされてしまったとします。

この状態から差し押さえを解除できる方法は主に2通りです。

①一括払いする

債務がなくなれば差し押さえの意味がなくなります。
つまり、一括払いをすれば債務がなくなるため、差し押さえが解除されるのです。

しかし、現実問題として、一括払いができるケースは極めて稀でしょう。
一括払いできる余裕があるのなら、そもそも差し押さえにまで至らない可能性が高いからです。

②個人再生か自己破産をする

任意整理以外の債務整理には、差し押さえの効果を抑える効果があります。

個人再生と自己破産(同時廃止)の場合

これらのケースでは、裁判所の個人再生または破産の開始決定がされることにより差し押さえが中止されます。

ただし、差し押さえ分の給料がすぐに債務者へ支払われるわけではありません。
差し押さえ分の給料が債権者に支払われなくなりますが、そのお金は供託されるか会社に蓄積されることになります。

その後、再生計画案の認可決定が確定したとき、または自己破産の免責決定が確定したときに、供託または蓄積されていたお金がようやく債務者に支払われます。

自己破産(管財事件)の場合

この場合は、裁判所の破産開始決定がされることにより差し押さえが失効し、効果がなくなります。

差し押さえられていた給料は、個人再生や同時廃止の場合と違って供託や会社に蓄積されることもなく、債務者が普通に受け取ることができます。

[参考記事]

借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事

4.差し押さえを受けそう・受けた場合は弁護士に相談

度重なる督促を無視し続けると、いずれ給料の差し押さえを受けるかもしれません。特に、裁判所からの書類が届いた際には要注意です。すぐに動く必要があります。

差し押さえを受けてしまったら、生活や仕事に支障が発生します。
できれば差し押さえを受ける前に債権者に連絡をするか、弁護士に相談して債務整理を行ってください。

どの債務整理をするのがベストなのかは、弁護士に相談して判断してください。
また、たとえ差し押さえを受けた後でも、個人再生か自己破産をすれば差し押さえに対抗できます。

とにかく早めに弁護士と連絡をとって、被害を最小限に抑えましょう。

借金問題で目下お困りの方は、泉総合法律事務所の弁護士にぜひ一度ご相談ください。

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