借金返済 [公開日]2021年10月26日

債務不履行とは?借金を返済しない場合のリスク

借金を期日どおりに返済しないなど、契約に定められた義務を履行しないことを「債務不履行」といいます。

債務不履行を生じさせてしまうと、損害賠償や契約解除などのリスクを負ってしまいます。
そのため、借金返済の目処が立たない場合には、弁護士にご相談のうえで、早期に債務整理などの対策をご検討ください。

この記事では、借金滞納などの「債務不履行」を引き起こした場合に発生する法的効果や、債務者が負うリスクなどを解説します。

1.債務不履行とは?民法上の3類型

債務不履行とは、契約に定められた義務を、契約に定められた方法で履行しないことをいいます。

債務不履行には、「履行遅滞」「履行不能」「不完全履行」の3種類が存在します。

①履行遅滞(民法412条)

契約で定められた期限までに、債務を履行しないことをいいます。

借金の場合、月々の返済期日と返済額が契約上定められるのが一般的です。
この返済期日に、約定どおりの支払いが行えなかった場合、履行遅滞の責任を負います。

②履行不能(民法412条の2)

契約上の債務の履行が、債務の発生原因や取引上の社会通念に照らして不能となったことをいいます。たとえば、売買の目的物が滅失してしまった場合などが、履行不能に該当します。
履行不能となったことについて帰責性のある債務者は、履行不能による債務不履行責任を負います。

なお借金の場合、債務者の義務は「金銭の支払い」につき、金銭は完全な代替性が認められる(どこからでも調達できる)ため、履行不能が発生することはないと解されています。単にお金がなくて返済できないという場合は、履行遅滞に該当します。

③不完全履行(民法415条)

履行遅滞・履行不能のどちらにも分類されないものの、契約上の義務に違反した場合には、不完全履行に該当します。

借金の場合、返済を行う義務以外に、金銭消費貸借契約上定められた義務に違反した場合には、不完全履行の責任を負う可能性があります。

2.債務不履行の法的効果

借金を滞納するなど、債務不履行を発生させた場合、以下の3つの法的効果により、債務者は重大な損失を被ってしまうおそれがあります。

(1) 期限の利益を喪失する

借金をした債務者は、返済期日まではそのお金を自由に使ってよい(返さなくてよい)という利益を有しています。
これを「期限の利益」といいます。

しかし、債務不履行が一定回数続くと(2~3回程度の連続した滞納)、金銭消費貸借契約に基づき、債務者は期限の利益を喪失します。
期限の利益を喪失した場合、借入期間が残っている場合でも、残債全額を一括して返済しなければなりません。

月々の返済すら滞納しているような状況で、残債を一括返済することはきわめて困難でしょうから、債務者は完全に経済的な破綻を迎えてしまう可能性が高いです。

[参考記事]

「期限の利益喪失通知」が届いた後にするべきこと

(2) 損害賠償義務(遅延損害金)が発生する

債務不履行を発生させた債務者は、債権者に対して損害賠償責任を負います。
借金の場合、債務不履行に基づく損害賠償は「遅延損害金」と呼ばれています。

遅延損害金は、約定利率(契約上の規定に基づく利率)が定められている場合はそれに従い、約定利率がない場合は法定利率(現在は3%)に従って計算されます(民法419条1項)。

消費者金融からの借り入れの場合、遅延損害金の利率が20%に設定されるのが一般的です。

そのため、借金の滞納が続けば続くほど、総返済額はどんどん膨れ上がってしまうことになります。

(3) 契約を解除される可能性がある

売買契約や業務委託契約などの場合、相手方の債務不履行を理由として、契約を解除することが認められています(民法541条、542条)。

これに対して借金の場合は、金銭消費貸借契約が解除されることはなく、契約を存続させたうえで借金返済の督促が行われる形になります。

3.債務不履行後の手続き

借金の返済を滞納してしまった場合、債権者からの取り立てを受けることを覚悟しなければなりません。

口頭や書面での督促にとどまらず、裁判所を通じた支払督促や訴訟に発展し、最終的には強制執行によって財産を失ってしまうおそれがあるので、早期に対処することが大切です。

(1) 債権者からの取り立てを受ける

借金の返済を滞納した場合、債権者は、債務者に対して返済を催促してくるでしょう。

まずはメール・電話など、カジュアルな方法により取り立てが開始されるのが一般的です。
しかし、債務者が一向に返済に応じる気配がない場合、多くのケースでは、内容証明郵便による催告が行われます。

内容証明郵便による催告は、債権者が正式に取り立てに着手したという意味合いを持つため、債務者としては、できる限り早期に滞納状態を解消することが大切です。

また、内容証明郵便による催告が行われた時点で、借金の消滅時効の完成が6か月間猶予される点についても注意しましょう(民法150条1項)。

時効の更新とは

(2) 裁判所から支払督促を受ける

借金の滞納などにより、未回収の金銭債権を有する債権者は、裁判所に対して「支払督促」を申し立てることができます。
参考:支払督促|裁判所

支払督促が申し立てられた場合、裁判所は簡易的な書面審査を行った後、債務者に対して、債務を支払うべき旨の督促を行います。

支払督促が送達されてから2週間が経過すると、さらに裁判所から「仮執行宣言付支払督促」が相殺されます。
仮執行宣言付支払督促は、後述する強制執行の債務名義として用いることが可能です。

債務者としては、強制執行手続きへの移行を阻止するためには、上記の期間中に異議申立てを行う必要があります。

なお、仮執行宣言付支払督促が送達されて以降も、2週間は異議申立てが可能となっています。

しかし、その間に強制執行が申し立てられると手続きが煩雑になってしまうので、1回目の支払督促の異議申立期間中に対処することが賢明でしょう。

(3) 債権者に訴訟を提起される

支払督促に対して異議を申し立てた場合、自動的に訴訟手続きへと移行します。
また、支払督促に対して異議申立てが予想される場合などには、債権者が最初から訴訟を提起するケースもあります。

訴訟で債務の支払いを請求された場合、債権者は金銭消費貸借契約書など、債務の存在を確固として裏付ける証拠資料を提出してくるでしょう。
そうなると、債務者が法的に有効な反論を行わない限り、債務の支払いを命ずる判決が言い渡され、確定してしまいます。

訴訟に発展した場合、債権者との間で返済猶予などの交渉を行うことは、きわめて難しくなります。

そのため、訴訟に発展する前の段階で、後述する債務整理などの交渉を持ちかけましょう。

[参考記事]

簡易裁判所からの支払督促・訴状を受取拒否したらどうなる?

なお、借金の返済を求める訴訟に発展する場合、債権者は弁済原資を確保するため、債務者の財産について仮差押命令の申立てを行うことがあります。

「仮差押命令」は、金銭債務について強制執行ができなくなるおそれがあること、または強制執行に著しい困難を生じるおそれがあることを、裁判所に対して疎明した場合に発令されます(民事保全法20条1項)。

仮差押命令が発令されると、財産の処分が事実上できなくなったり、給与の一部が支払われなくなったりするので注意しましょう。

[参考記事]

仮差し押さえされたらどうすれば良いか?

(4) 最終的には強制執行によって財産を失う

仮執行宣言付支払督促や、訴訟の確定判決は、強制執行の申立てに必要な「債務名義」として用いることができます(民事執行法22条1号、4号)。

強制執行が申し立てられた場合、民事執行法所定の手続きに沿って、債務者の財産が換価・処分され、強制的に債務の弁済に充てられてしまいます。

たとえば給与・預貯金・不動産など、金銭的価値のある財産のほとんどは、強制執行による処分の対象になっています。

債務者としては、強制執行により財産を失ったことに伴い生活が困窮してしまうことも十分想定されるので、借金問題を放置せずに早期解決を目指すべきでしょう。

4.借金の返済にお悩みの場合は弁護士に債務整理の相談を

重すぎる借金の返済負担にお悩みの方は、弁護士に「債務整理」の相談をすることをお勧めいたします。

債務整理とは、債権者との交渉や法的手続きを通じて、債務負担の軽減を図ることをいいます。

債務整理の方法には、以下の3つが存在します。

①任意整理
②個人再生
③自己破産

各債務整理手続きには、それぞれメリット・デメリットの両面があり、どの手続きが適しているかは、債務者によって異なります。
弁護士にご相談いただければ、債務者の状況に応じて、総合的にもっとも適していると思われる手続きは何かについてアドバイスを差し上げます。

[参考記事]

債務整理とは?わかりやすく解説!|方法・種類・メリット

また、債権者との交渉や法的整理手続きへの対応についても、弁護士にすべてお任せいただけます。

弁護士に債務整理について相談したことをきっかけとして、借金問題を解決するための糸口を見つけたという方も少なくありません。
月々の返済額が多すぎる、多重債務状態から抜け出す道が見えないといった方は、お早めに弁護士までご相談ください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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