借金返済 [公開日]2018年8月9日[更新日]2020年12月15日

債権者代位権をわかりやすく解説

債権(借金)について調べていると、「債権者代位権」という言葉を見かけることがあると思います。
あまり聞きなれないですが、法律用語ではよく出てくる言葉です。

債権者代位権とは、一体どのような権利なのでしょうか?

1.債権者代位権とは?

(1) 債権者の債権を保全する制度

債権者代位権は、債権者(お金を貸した人)の債権を保全するための制度で、時効などにより債権回収ができなくなる前に、債務者(お金を借りた人)が持っている第三者に対する権利を債務者に代わって行使することができる権利です(民法423条)。

債務者が権利行使しないことで、債権者の権利が侵害されているときは、裁判所の許可がなくても債権者代位権を実行することができます。
つまり、債権者代位権は裁判上だけでなく裁判外でも行使可能です。

ただし、権利の行使は債権額が上限であり、基本的にそれ以上の取り立てをすることはできません。

(2) 債権者代位権の例

債権者代位権について具体例を挙げて解説します。

債権者Aが債務者Bに100万円貸していて、BからAへの返済が滞っていたとします。一方、債務者Bは第三債務者Cに60万円を貸していて、Cに対して督促をしていない場合、AはBに対して「ちゃんとCに督促して、そのお金で返済して欲しい!」と考えるでしょう。その場合、債権者Aは、債務者Bに資産がなければ、第三債務者Cに対して自己に支払うよう請求することができるのです。この権利が債権者代位権です。

【債権者と債務者の債権は相殺される】
債権者が債権者代位権によって第三債務者から債権の回収ができた場合は、その金額に応じて債権は相殺されます。
例えば債権者Aが債務者Bに対して100万円を貸していて、第三債務者Cから40万円を回収した場合は、債務者から40万円が返済されたことになり、Bの債務は100万−40万円=60万円になるということです。
尚、債権者代位権を行使するにあたって費用が生じた場合は、債権者は債務者に対して費用の負担を請求することができます。

2.債権者代位権を行使できる条件

債権者代位権は債権者にとって有利な内容ですが、無条件に権利を行使できる訳ではありません。
では、権利を行使するにはどのような要件を満たす必要があるのでしょうか?

(1) 債務者が無資力であること

債権者代位権を行使するには、債務者が無資力であることが条件です。

被代位権利(債権者が代わりに行使する債務者の権利)を行使しないと弁済できないことが前提で、債務者が無資力であることを債権者が証明しなければなりません。

(2) 金銭債権であること

債権者代位権における被保全債権としては基本的に金銭債権が想定されています。

ですが、以前から、判例では債権者代位権の適用範囲を拡大し、一定の条件のもとで債務者の責任財産保全という目的以外で債権者代位権を行使することを認めてきました(債権者代位権の転用)。

そして、今回の民法改正により、債権者の債務者に対する登記移転請求権の保全のため、債務者の第三債務者に対する登記移転請求権への債権者代位権の行使が明文で認められるようになりました。

※判例で認められている金銭債権以外の特定債権を対象とする場合は、前項の無資力要件は求められません。

(3) 債務者が権利を行使していない

債権者代位権の行使ができるのは、債務者が権利を行使する前です。

債務者が権利行使をした後は、その結果に関わらず、債権者代位権の行使はできません。

例えば、前述の債務者Bがすでに第三債務者Cから債権を回収している場合、債権者Aは債権者代位権の行使はできないということです。

(4) 債務者の一身専属権ではない

一身専属権とは、権利・義務が特定の人に属し、他の人には移転しない性質の権利のことです。

例えば人格権侵害による慰謝料請求や、親族間の扶養請求権などがあげられ、こうしたものは譲渡や差し押さえの対象にはなりません。

債権者代位権を行使する対象が、債権者の一身専属権であるときには権利を行使することはできません。

(5) 被保全債権が弁済期に達している

債権者代位権の行使をするには、債権が弁済期に達していることも条件です。返済期日前に権利行使をすることはできません。

ただし、訴訟手続を行い、裁判所の許可を得た場合は弁済期の前でも債権者代位権を行使することは可能です。

また、弁済期が過ぎたときに時効を迎えてしまう場合は債権の効力がなくなるので、債権者代位権を行使して時効を中断することが、被保全債権の保存行為として認められています。

3.債権者代位権を行使するときの注意点

債権者代位権を行使するときは、要件を満たすことだけでなく、第三債務者の動向にも注意をする必要があります。

(1) 第三債務者が同時履行の抗弁権を主張

債務者と第三債務者が双務契約を結んでいるときに、債務者が第三債務者に対して債務の履行をしていない場合は、第三債務者が同時履行の抗弁権を主張する可能性があります。

同時履行の抗弁権とは、相手が債務の履行をするまでは、自分も債務の履行をすることを拒むことができる権利です(民法第533条)。

例えば、債務者Aが第三債務者Bの会社と売買契約を結び、売掛金債権を持っていたとします。その一方でBはAに対して商品の引き渡しを求める債権を持っていたとします。

この状況で、 AがBに対し債務の履行を求めた場合、AがBに商品を渡さない限り、Bが売掛金を弁済する必要はありません。

この場合、Bは債権者Xに対しても同時履行の抗弁権を主張することができます。

(2) 第三債務者が相殺を主張

債務者が第三債務者に対して債権とは別に債務を負っているときは、第三債務者が相殺を主張してくることがあります。

例えば、債務者Aが第三債務者Bに対し、100万円の売掛金債権を持っていたとします。
その一方でAはBに対して50万円の借り入れをしていた場合、Bが相殺を主張してきたら、Aの債権は100万円−50万円=50万円となります。

相殺は一方的な主張で認められるので、債権者代位権を行使するにも債務者と第三債務者の関係は重要なポイントとなるのです。

4.まとめ

債権者代位権は、債権者が債権回収に失敗することがないように定められている制度です。

債権者は自らの債権を保全するために、一定の要件を満たせば裁判所や債務者の許可がなくても債務者の権利を代わって行使することが可能です。

債権者代位権は、債権譲渡や差し押さえに比べると簡単で、権利を使いやすいのが特徴です。

泉総合法律事務所では、債権者代位権に関するご相談は受け付けておりません。
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