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老後資金はどのくらい必要?3000万~5000万円、老後破産の不安の解消法

老後資金はどのくらい必要?3000万~5000万円、老後破産の不安の解消法

【この記事を読んでわかる事】

  • 夫婦、独身、退職金なし、自営業など、様々なパターンで必要な老後資金
  • 老後破産が拡大すると言われている理由
  • 今からできる豊かな老後生活のための対応策

 

近年、老後資金の不足で生活に不安を感じている人が増えています。

定年退職直前になっても、理想的な資産形成ができず、老後の生活設計に悩んでいる人も多いと思います。

また、定年を過ぎてもなおローンが残っている方は特に心配が尽きないことでしょう。

今回は、安心して老後を過ごすためにどれだけの資金が必要か、またその資産形成はどのようにするか、さらにローンが返済できないときの債務整理方法について、弁護士が解説します。

1. 安心して老後を過ごすための資金はいくら必要か?

近年、老後資金の不足によって生活保護を受給する高齢者世帯が増加しています。

たとえ資産はなくとも、誰しも文化的な最低限度の生活を営む権利はあるので、生活保護を受給することは決して恥ずかしいことでも悪いことでもありません。

しかし、できれば行政の助けを借りることなく、老後の人生を全うしたいと思っている人は多いのではないでしょうか。

そのためには、老後の資産がいくら必要なのか把握し、その資産形成をどのようにするかプランを立て、それを実行していくことが肝心です。

老後の資産がいくら必要なのか、というのは個人の生活様式にもよるので、一概に金額を算出することはできません。

また、サラリーマンと自営業では年金額も異なるので、自ずと必要な額も変わってきます。さらに、独身者と既婚者でも金額は変わります。また退職金の有無でも違ってくるでしょう。

ここではそれぞれのケースについて、必要な額をお伝えします。

(1) サラリーマン夫婦の老後資金は3,000万円が目安

最初に紹介するのは夫婦2人のサラリーマン世帯の老後資金についてです。サラリーマン夫婦の老後は2人で3,000万円ほど必要と言われています。

その数字の根拠となる理由は以下の通りです。

① 60歳以後の平均支出

現在、公務員の定年を65歳に延長する案が検討されており、将来的には60歳以上になっても働くことが当たり前となる時代になるでしょう。

しかし、現在は基本的に60歳が定年とされているので、老後資金の算出は60歳以後必要な額という前提で算出します。

ちなみに、現在の日本人男性の平均寿命は83.14歳、女性は88.47歳なので、60歳以後の「老後」の生活は男性で23年、女性は28年です。

これだけの期間を年金と自己資産で生活しなければなりません。

総務省の「平成28年 家計調査報告」では、夫婦2人世帯で月々にかかる平均生活費は28万円程度としているので、年額では336万円となります。

夫の定年から亡くなるまでの期間は23年なので、その間に必要な額は336万円×23年=7728万円です。

平均寿命で計算すれば、妻は夫の死後5年ほど独身生活となるので、その間の生活費の目安は夫婦2人の6割程度となり、(336万円×0.6)×5年=1008万円です。

以上はあくまで平均寿命で算出した額ですが、夫婦2人で過ごす期間は8,000万円近くの資金がかかり、妻が残された後は1,000万円の資金が必要となります。

60歳以降、夫婦それぞれ寿命がくるまでトータルで9,000万円必要という試算結果です。

②サラリーマン世帯の60歳以降の収入

次に60歳以降の収入について計算します。

現在は65歳から年金を受給できます。サラリーマンの年金(夫婦2人)の月額平均は23万円なので、年間にすると276万円の収入です。

65歳から年金を受給して、夫が平均寿命まで生きた場合は276万円×18年=4,968万円の収入です。

また、夫の死後妻は遺族年金を受け取ることができます。年金額は元の額の4分の3なので、年額にすると207万円、5年受給した場合は1,035万円です。

夫の生前の年金と合計すると、老後に受給できる年金額は約6,000万円です。

夫婦2人のサラリーマン世帯では、60歳からの平均支出は9,000万円、年金収入は6,000万円なので、差額の3,000万円があれば、老後の生活ができることになります。

(2) 自営業夫婦の老後資金は最大で6,000万円

老後資金はいくら必要?3000万~5000万円、老後破産の不安の解消法

次に自営業夫婦の老後資金について見ていきます。

①自営業夫婦の老後の平均支出

自営業であっても老後に必要とする資金はサラリーマンと同じで、60歳から平均寿命までの支出は9,000万円です。

②自営業夫婦の老後の収入

自営業夫婦の老後の生活は国民年金が頼りです。夫婦二人の国民年金平均受給額は約11万円、単身の場合は約5万5千円なので、この数字で試算すると老後収入は以下の通りとなります。

自営業夫婦の老後の年収:(11万円×12ヶ月×18年)+(5万5千円×12ヶ月×5年)=2,706,000円

夫婦で合計すると3千万円近くの収入となりますが、必要な支出と比べると6千万円足りないことになります。

ただし、自営業の場合定年がないので、65歳以降も事業収入があれば、老後の収支は大幅に変わります。

また住居が賃貸か自宅かでも支出は変わるので、6千万円用意できなければ絶対に立ち行かないということではありません。

そのため、自営業者は収入が少なくなることを念頭において、早くから老後のマネープランを立てることが必要です。

また出来るだけ長く働けるような事業計画を立てることをおすすめします。

以上は夫婦2人のパターンですが、次は独身者の老後資金について考えてみます。

2015年の国勢調査によると、男性の生涯未婚率は23%、女性は14%にのぼり、男性の4人に1人、女性の7人に1人が生涯独身という結果になりました。

現代日本はまさに超ソロ社会という表現がぴったりで、老後の資金計画も生活形態によって大きく異なります。また、男女でも必要資金は異なるので、最初は独身男性の老後資金について紹介します。

(3) 独身男性の老後資金は700万円~3,700万円

独身者の場合、1ヶ月の生活費は自宅が持家か賃貸かで大きく異なります。

政府の家計調査によると、持ち家の場合の平均支出は月に15~16万円、賃貸の場合は19~20万円程度とされています。

独身男性の老後資金は最大で3,700万円必要と言われていますが、その数字の根拠を解説します。

①独身男性の60歳以後の平均支出

独身男性の場合も、60歳で退職、平均寿命の83歳まで生きると想定して、23年間の支出を計算します。賃貸と持ち家のそれぞれの支出を試算します。

賃貸の総支出:月の平均支出19万円×12ヶ月×23年=52,440,000円
持ち家の総支出:月の平均支出15万円×12ヶ月×23年=41,400,000円

持ち家と賃貸と比べると1千万円以上の違いがあるので、独身者の場合は賃貸の人も多いと思いますが、住居問題を早めに解決することが老後資金の余裕につながることが分かります。

②独身男性の60歳以後の収入

老後の収入はサラリーマンか自営かで大きく分かれますが、独身男性も例外ではありません。サラリーマンの厚生年金月額平均は約16万6千円(男性)、自営業の国民年金の平均は約5万5千円です。

国民年金の年額は満額では6万円を超えますが、実際に満額受給している人は少ないのが現状です。

サラリーマンの老後総収入:166,000円×12ヶ月×23年=45,816,000円
自営業の老後総収入:55,000円×12ヶ月×23年=15,180,000円

以上の収支を比較すると、サラリーマンで持ち家の場合は老後資金は700万円程度ですが、自営業で賃貸の場合は3,700万円を超える資金が必要となります。

(4) 独身女性の老後資金は2,000万~4800万円

独身女性の老後資金は独身男性よりも多く必要と言われています。会社員で厚生年金が貰える場合でも平均受給額は男性より低いからです。

また平均寿命は男性より5年長いので、長期的な視野でマネープランを立てる必要があります。

①独身女性の老後の平均支出

独身女性の老後の支出のシュミレーションは以下の通りです。平均寿命が88歳なので、老後は28年と仮定します。

賃貸の総支出:月の平均支出19万円×12ヶ月×28年=63,840,000円
持ち家の総支出:月の平均支出15万円×12ヶ月×28年=50,400,000円

女性の場合も、賃貸の場合は持ち家に比べて1千万円以上の支出が変わります。

②独身女性の老後の収入

次に独身女性の老後の収入について見てみます。会社員で厚生年金を受給できる場合、女性の月額平均は約10万円です。

一方、自営業で国民年金を受給する場合は月額平均5万5千。この数字をもとに、それぞれのパターンで65歳から88歳までの受給額を試算します。

会社員の場合:100,000円×12ヶ月×23年=27,600,000円
自営業の場合:55,000円×12ヶ月×23年=15,180,000円

収支を比較すると、会社員で持ち家の場合は2,000万円強、自営業で賃貸の場合は4,800万円ほどの資金が必要となります。

これはあくまでも60歳で仕事を辞めた場合の試算なので、もっと長く働く場合、数字は異なります。

たとえば自営業の場合で70歳まで働いて、国民年金の受給を70歳からにすると受給金額は4割り増しになります。

仮に年金額が5万5千円の場合、70歳からの受給にすると受給額は77,000円になります。さらにこの時までに自宅を確保しておいた場合…

(15万×12ヶ月×18年)−(7万7千円×12ヶ月×18年)=15,768,000円

単純計算で70歳まで働いて自宅があれば1,500万円あれば老後資金は賄えることになります。

このように、老後資金は働く年数や生活形態によって大きく異なるので、女性の場合も単身世帯の人は自宅の確保、自営業であれば長く働くことが老後破産回避の鍵となります。

(5) 退職金なしの場合の老後資金は?

老後資金の必要額は退職金があってもなくても変わりませんが、退職金があれば資金準備は楽になります。

サラリーマンの退職金の平均額は2,156万円。自営業者は基本的に退職金がありません。

サラリーマンで夫婦2人の老後資金を3,000万円とした場合、退職金が2,156万円あれば、残りの1,000万円を準備しておけばよいということになります。独身者であればもっと余裕が生じます。

逆に自営業で退職金がない場合は、老後の支出で紹介した額を全て自力で用意しなくてはならないので、退職金の有無でも老後の資金計画は大きく変わってきます。

こうして見ると、サラリーマンであればそれなりに余裕を持って老後を迎えられそうに見えますが、それも今や昔の話になりつつあるのです。

実はこれからはサラリーマン夫婦でも老後は5,000万円が必要になると言われています。

(6) 老後に5,000万円必要となる時代が到来!

これまではサラリーマンで夫婦2人の世帯の場合、老後資金は3,000万円必要とされましたが、今後はそれでは足りなくなる見通しです。

その根拠は以下の通りです。

①旅行・余暇・趣味の支出

60歳を過ぎて定年になっても、家に閉じこもってばかりいる訳にはいきません。時間ができた分、旅行や余暇、趣味の支出は現役時代よりも増えることが予想されます。

こうしたことを心ゆくまで行うには当然資金が必要になります。理想的なリタイヤ生活を送るには必要最低限の生活費以上のお金がかかるのです。

②家のリフォーム、車の購入など急な出費

老後の生活は20年以上に及びます。その間自宅が老朽化したらリフォーム代がかかります。

また車や家電など急な出費も避けられません。そうした資金を賄うには3,000万円では足りなくなります。

③病気やケガ、介護の支出

老後の生活は病気やケガとの戦いです。特に大病を患うとそれだけ出費もかさみます。

また介護生活になったら有料老人ホームを希望する人も多いと思いますが、その場合は高額な費用が別途必要になります。

④平均寿命が延びる

現在の平均寿命は男性83歳、女性88歳ですが、研究者の中には2045年には人間の平均寿命が100歳まで延びると予想している人もいます。

将来的には、医療技術の進歩などにより、日本でも平均寿命は延びる可能性が高く、それだけ老後資金も余分に必要となります。

⑤年金カット法案の影響

現在、年金カット法案も審議され、年金の受給年齢が70歳になると予想されます。

年金受給開始がこれまでより5年先になるので、老後の資金はそれだけ多く必要となります。

こうした要因により、サラリーマンであっても余裕を持った老後を送るには5,000万円が必要となります。

しかし、3,000万円や5,000万円という金額は莫大です。どうしたらこんな大金を貯められるのか…そう不安に思っている人も多いことでしょう。

こうした大きな資金を貯めるには一体どうしたら良いのでしょうか。

2.老後資金を貯めるためにできること

老後資金を貯めるためにできること

老後の生活を少しでも豊かなものにするために、現役時代からできることは以下のことです。

①貯蓄する

老後資金を貯めるのに最も確実なのは貯蓄です。毎月強制的に天引きにするのもおすすめです。

現在40歳の人なら毎月8万円貯金すれば老後までに2,000万円、50歳の人なら1,000万円貯めることができます。これだけあったら、老後の安心感は随分変わります。

②働いて年金の繰り下げ受給をする

現在でも年金受給は70歳まで延ばすことができます。年金受給は1ヶ月延ばすことに0.7%分増額するので、1年延ばすごとに8.4%増額されるのです。

老後資金が不安な人は、サラリーマンでも再雇用などで出来るだけ長く働き、年金受給繰り下げの制度を上手に利用しましょう。

③保険を活用する

老後資金作りには保険を利用する方法もあります。終身保険の場合は「低解約返戻金型終身保険」と呼ばれる解約返戻金が低い商品を選ぶことをおすすめします。

この保険は解約返戻金が低い代わりに保険料が安く設定されているので、普段の生活に大きな負担をかけずに支払いを継続することが可能です。

また、契約から30年過ぎると解約返戻金が上昇するシステムなので、老後に大きな保険金を受け取ることができます。老後の資金作りにはピッタリの保険です。

④退職金を活用する

サラリーマンの場合は、退職金がある人も多いと思います。退職金は老後資金の強い味方となるので、老後の資金として大いに活用しましょう。

退職金は2,000万円あれば、仮に老後資金が3,000万円必要でも、残りの1,000万円用意すれば良いことになります。

⑤投資をする

老後資金の準備には投資も有効です。一口に投資と言ってもその種類は株式投資、投資信託、FX、不動産投資など多岐に渡ります。

ただし、投資である以上、失敗すれば借金を抱えるリスクもあります。そのため、投資は余剰資金で行うのが正解です。

老後資金が3,000万円必要で、その用意の目途も立たないうちに投資を始めるのはもはやギャンブルです。

投資を行うのであれば3,000万円を貯められるという目途が立って、余剰資金が生まれる場合に、そのお金を投資に充てることをおすすめします。

【参考】銀行の定期預金・株式投資・投資信託…退職金運用の失敗と債務整理

3.老後破産しそうな場合

老後の生活には多額の資金が必要であることが分かりましたが、いろいろ試したものの、どうしても必要資金が貯められないということもあるでしょう。

住宅ローンが終わっていない、高齢出産で定年後も子供の教育費を払っている、定年後に親の介護費用を捻出しているなど、想定外の出費で貯金もままならない人も多いと思います。

そうした中でどうしても借金をせざるを得なかった、という人は少なくありません。

定年後に収入が減り、カードローンの支払いで首が回らず、破産寸前で悩んでいる人もいることでしょう。

その場合は、早めに債務整理することをおすすめします。

(1) 債務整理による解決

債務整理は法律的に借金問題を解決する手段で、手続後は老後の生活不安を解消することができます。

昔は借金が返せない=自己破産で、あまり良いイメージを持っていない人も多いと思います。

しかし、債務整理には色んな種類があり、自己破産以外の方法もあります。自宅などの財産を残しつつ借金問題を解決することもできるのです。

そもそも債務整理は借金問題で悩んでいる人を救済する制度です。その制度を利用して生活を立て直すことは、より良い老後を迎えるにあたって決して悪い話ではありません。

高齢者の方の中にも債務整理を上手に使って、借金問題を解決している方は多くいらっしゃいます。

お金の悩みは早めに解決することで、それだけ安心な老後を過ごすことができます。もし定年を過ぎて借金問題を抱えていたら、早めに債務整理の検討をすることをおすすめします。

老後破産について、詳しくは「老後破産の不安…個人再生、任意整理は年金受給者でも可能?」「他人事ではない!悲惨な老後破産の現実と現状・今からできる対策」をご覧ください。

4. まとめ

債務整理をすると借金を全てなくすこともできれば、大きく減らすこともできます。また周囲に知られることなく債務整理する方法もあります。

借金を抱えている生活はとても辛いものです。心穏やかに老後を過ごすためにも、借金問題は出来るだけ早く解決するに越したことはありません。また、問題を長く放置するほど状況は悪化します。

自己破産したくない方は、早めに対処すれば他の道も探すことができますし、弁護士にご相談いただければ適切なアドバイスもさせて頂きます。

どうか決して一人で悩まず、泉総合法律事務所の弁護士に相談してください。

当事務所では、ご相談は何度でも無料ですので、まずはお問い合わせいただけたらと思います。

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