借金返済 [公開日] [更新日]

結婚し、妊娠をしたが家に借金がある。今後の生活が不安な場合

【この記事を読んでわかる事】

  • 妊娠、出産により借金の支払いが困難になる理由
  • 妊婦のために利用できる可能性がある公的制度
  • どうしても借金が解決できない場合の対応策

 

結婚して妊娠をしたものの、借金の返済をしなければならないときは、この先どうしようかと不安になります。

体調が悪く働けないときはどうしたら良いのでしょうか?また、支払いができないときはどのように対処すればよいのでしょうか?

ここでは、借金を抱えたまま妊娠をしている女性とそのご家族に方に向けて、借金の解決方法をご提案します。

1.妊娠中の借金払いが厳しい理由

妊娠をすると想像以上にお金が必要となります。借金を抱えている場合は支払も厳しくなるでしょう。その理由は以下の通りです。

(1) 通院、入院費用がかかる

妊娠中の通院、入院、出産に関わる費用は、基本的に健康保険が使えません

通院は1回あたり5,000円、分娩については40万円ほどのお金がかかり、通院と併せるとトータルの費用は最低50万円以上です。

最近では妊婦健診や分娩入院費の助成が下りるようになり、以前に比べると負担額は減りましたが、助成対象外の検査を受けた分については自己負担が原則です。

また、妊娠・出産に関わる費用はそれだけではありません。

(2) マタニティ・ベビー用品の購入

妊娠中のマタニティ、出産後のベビー用品の購入も一大出費です。こうしたグッズの出費は平均13万円ほどで、借金払いをしながら用意をするのはとても大変です。

もし経済的に厳しい場合、どのみちベビー用品はすぐに使えなくなるので、おさがり、オークションなどを利用するのも一手です。

また、最初は必要最低限のものを買い、足りないものを買い足すと無駄がありません。

(3) 里帰り・内祝い

妊娠・出産の際は、里帰りするときの交通費、実家へのお礼なども予算に入れておく必要があります。里帰りに関わる費用の平均は58,000円ほどです。

さらに、出産祝いを頂いたらお返しの内祝いも必要です。

内祝いの相場は頂いた額の1/3~1/2。お返しのタイミングは頂いてから1~3週間ほどで、予算の平均は81,000円です。

(4) 妊娠、出産で働けなくなる

妊娠でつわりがひどい場合、安定期に入るまで働くことができなくなります。

また、その後も経過が思わしくない場合、早めに産休をとらなければなりません。

出産後もすぐには働けないので、その間は自営業やアルバイトの場合は無収入になってしまいます。

パートナーの経済状態にも余裕がない場合、借金払いは一気に苦しくなるでしょう。

しかし、現在は妊婦のケアや育児については国も積極的に支援しています。利用できる制度を漏れなく申請することで、生活にも余裕が生まれます。

2.妊婦のための公的な制度はフル活用する

産前産後に利用できる公的制度は以下の通りです。該当するものはチェックしておきましょう。

(1) 妊婦検診費助成

妊娠、出産は基本的に治療対象となるものを除いて、健康保険が適用されません。

しかし、国は出産までに14回の検診を推奨しており、それを個人に全額負担させると、経済的な事情から検診を控える人も出てきます。

そうしたことがないよう、国は妊婦健診費を助成することで、妊婦が安心して検診を受けられるようにしています。

支給金額は自治体によって異なりますが、初回は8,000円程度、2回目~14回は5,000円程度支給をしているケースが大半です。

手続きの方法は、妊娠が分かり次第、自治体に妊娠届出書を出します。そうすると、母子手帳とともに妊婦健康診査受診票を渡されます。

申請後は、窓口では不足分だけ支払いをすれば良いので、全額負担する必要がなくなります。

ただし、受診表にない検査については別途請求されるので、念のため、受診の際は少し余分にお金を持っていくことをおすすめします。

(2) 出産育児一時金

出産育児一時金は健康保険、国民健康保険に加入していて、妊娠4ヶ月(85日)以上で出産した妊婦が受け取れます。

一時金は赤ちゃん1人につき42万円が支給されるので、双子であれば42×2=84万円が支給されます。通常分娩だけでなく、死産、流産、早産、人工妊娠中絶(経済的理由を含む)でも、4ヶ月を過ぎていれば受け取り可能です。

出産育児一時金では、検診費、入院費、分娩費用などをカバーすることが可能です。

申請先は以下の通りです。

  • 妊婦が会社員、公務員の場合…健康保険or共済
  • 妊婦が自営業・フリーランスの場合…国民健康保険
  • 妊婦が専業主婦・パート・アルバイトの場合…夫の健康保険

入金はのタイミングは健康保険や自治体によって異なりますが、大抵は申請から2週間~2ヶ月の間に銀行口座に振り込まれます。その間、どうしてもお金が必要な場合は、出産貸付制度を利用することもできます。

また、出産育児一時金は、加入している健康保険から直接病院に支払ってもらうことも可能です。

分娩に関して40万円以上のお金があれば、経済的な準備がイマイチでも、なんとか出産を乗り切ることは可能です。妊娠したら必ず抑えておきたい制度です。

(3) 高額療養費制度

高額療養費制度は3割負担をした医療費が、毎月の自己負担限度額を超えた時に支給されます。
自己負担額は所得によって異なり、該当する金額を上回る医療費を支払った場合は後で返金されます。

  • 低所得世帯…35,400円(4ヶ月目以降24,600円)
  • 月収26万円以下…57,600円(4ヶ月目以降44,400円)
  • 月収28万~50万円…80,100円+(総医療費-267,000円)×1%(4ヶ月目以降44,400円)
  • 月収53万~79万円…167,400円+(総医療費-558,000円)×1%(4ヶ月目以降93,000円)
  • 月収83万円以上…252,600円+(総医療費-842,000円)×1%(4ヶ月目以降140,100円)

なお、妊娠、分娩に保険適用はないので対象外です。対象になるのはつわり、帝王切開、無痛分娩の麻酔など健康保険適用の範囲の治療です。その場合、上記以上の支払い義務はありません。

高額療養費制度を利用するには自ら申請する必要があります。窓口での支払が心配な場合は、事前に健康保険の窓口で申請し「限度額適用認定証」を受け取りましょう。

病院に行って提示すれば、自己負担額以上を請求されることはありません。

(4) 医療費控除

医療費の自己負担が年間1月~12月で10万円を超えた分についてはその年の所得から差し引くことができます

出産では以下の費用が控除対象となります。

  • 妊婦定期検診
  • 出産費用
  • 助産師の分娩介助料
  • 流産した場合の手術・入院・通院費用
  • 母体保護法に基づいた妊娠中絶の手術費用

なお、所得が200万円未満の場合は、所得×5%の額を超えた分が控除対象となります。

例えば、所得が年間100万円の人であれば、100万×0.05=5万円以上が控除対象です。

(5) 傷病手当

健康保険に加入している人で、有給を使い切り、つわりや切迫流産などで仕事復帰できない場合は傷病手当を受給することも可能です。

傷病手当は給与の2/3を休業補償として受け取れる制度で、連続3日以上休み、4日以上働けないときに支給されます。

(6) 出産手当金

健康保険に加入している人は、出産手当金を受給することができます。出産前後トータル98日間は給与の2/3を受け取れる制度です。出産前後それぞれの対象日数は以下の通りです。

出産手当金支給対象期間=出産予定日前42日(多胎妊娠は98日)+出産翌日~56日目まで

なお、国民健康保険加入者の場合、出産手当金はありません。

(7) 育児休業給付金

雇用険加入者は出産後に育児休業給付金を受け取ることもできます。

原則子供が1歳(例外1歳6ヶ月又は2歳)になるまで受取可能です。給付金は所得と期間によって以下の金額を受け取れます。

  • 月額給与15万円程度…6か月間は月額10万円程度、6か月経過後は月額7.5万円程度
  • 月額給与20万円程度…6月間は月額13,4万円程度、6か月経過後は10万円程度
  • 月額給与30万円程度…6か月間は月額20,1万円程度、6か月経過後は月額15万円程度

しかし、育休期間中に就労し、一定額以上の賃金を得ていた場合は、受給対象外となるので注意が必要です。

(8) 児童手当

出産後、子供が中学を卒業するまでは児童手当の受給が可能です。支給額は以下の通りです。

  • 0歳~3歳未満…15,000円(一律)
  • 3歳~小学校卒業まで…10,000円(第3子以降は15,000円)
  • 中学生…10,000円(一律)

ただし、一定額以上の所得がある場合は、支給額が一律5,000円となります。

児童手当は申請しなければもらえないので、出生から15日以内に役所に申請してください。

(9) 児童扶養手当

ひとり親家庭の場合は、児童扶養手当を受け取ることができます。

支給額は以下の通りで、一部支給は所得に応じて決定される額です。

  • 児童1人…全部支給:42,330円(一部支給:42,320円~9,990円)
  • 児童2人目の加算額…全部支給:10,000円( 一部支給: 9,990円~5,000円)
  • 児童3人目以降の加算額(1人あたり)…全部支給: 6,000円(一部支給:5,990円~3,000円)

(10) 乳幼児医療助成制度

乳幼児については、自治体が医療費を一部、または全額負担してくれます。

赤ちゃんが健康保険に加入していることが前提ですが、全額負担してもらえる場合は非常に助かります。

もし、これから引っ越しを考えている場合は、自治体の乳幼児医療費助成制度の詳細を調べ、住みやすい街に移るのもおすすめです。

3.妊娠中に借金返済できないときの対処法


もし、各種助成を利用しても借金払いができないときは、以下の2つの対処法をおすすめします。

(1) 両親など親族に援助を頼む

もし、両親など、頼れる親族がいる場合は事情を話し、妊娠中~産後の間だけでも資金援助を頼みましょう。

お産が理由であれば、かわいい孫のためと協力をしてもらえるかもしれません。

(2) 債務整理をする

親族などに協力を依頼できない場合は、債務整理することをおすすめします。

債務整理をすると、借金を減額、または全額免除してもらえます。債務整理には主に任意整理個人再生自己破産があり、借金額と所得、生活状況に応じてベストの方法を選択します。

ちなみに債務整理をすると、以後5~7年間は新たに借り入れができなくなるのでその点は要注意です。

また、自己破産をした場合は、債務者の名義の住宅や財産を没収されます。

債務整理にはこうしたデメリットもありますが、以後は借金の督促はなくなり、借金も減るor全くなくなるので、精神的にも余裕が生まれます。

メンタルの安定は妊娠中には特に大事な要素です。生まれてくる赤ちゃんのためにも、パートナーとよく話し合い、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

4.債務整理後に生活苦になった場合の対処法

(1) 生活福祉資金貸付制度を利用する

債務整理後は一定期間借入ができなくなります。

その間、どうしても生活費などがなく困った場合は、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度を利用しましょう。

この制度は低所得者を対象としたもので、消費者金融でお金を借りられない人でも、低金利で貸付を受けることが可能です。

貸付資金は生活費の援助、公共料金の費用、債務整理費用、療養中の生活費、子供の教育費といった用途に使うことが条件となります。

(2) 上記で対応できないときは生活保護を検討する

もし、あらゆる手段を使っても、お金がないという場合は、最終手段として生活保護を申請しましょう。

生活保護を受給すると生活費の援助だけでなく、住宅、教育、医療など生活の様々なシーンで扶助を受けることが可能です。

5.まとめ

妊娠中の借金払いは想像以上に大変です。もし、可能であれば親族から資金援助をしてもらうか、債務整理することをおすすめします。

妊娠中は、無理は禁物です。元気な赤ちゃんを迎えるためにも、できるだけ早くお金の心配をなくすことが肝心です。

泉総合法律事務所は債務整理の実績も豊富ですので、お困りのことは何なりとご相談ください。相談は無料で行っておりますので、どうぞお気軽にお越し頂ければと思います。

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