年金を滞納したらどうなるの?そのリスクと対処法
年金と聞くと、「年金を払う余裕なんてない」、「どうせもらえない」と考えてしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、そのような考えでは、今後確実に損することになります。
年金を滞納した場合、どのようなリスクがあるのか。また、支払う余裕がない場合、具体的にどのような解決策があるのか。
ここでは、これらの点について、解説したいと思います。
1.年金はなぜ支払うべきなのか
年金には「障害年金」と「遺族年金」がある!
「いま年金を支払っても今後もらえるかわからないから支払いたくない」、そんな意見をよく聞きます。
たしかに、老後に受け取ることができる額については、今後、現状より厳しくなる可能性は否定できません。しかし、年金を支払うことのメリットは、老後にお金がもらえるということ(老齢年金)に限られるわけではありません。
年金には、この「老齢年金」のほかに、「障害年金」と「遺族年金」というものがあります。
この2つの年金は、簡単に説明すると以下のようなものです。
障害年金
病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金
遺族年金
国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が、亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金
つまり、病気や死亡といった事態が生じた場合、年金を滞納していないのであれば、お金を受け取ることができるのです。
このように、年金を支払うことには、大きな意義があるのです。
2.年金を滞納した場合のリスク
年金を滞納した場合、さきほどの老齢年金、障害年金および遺族年金を受け取ることができなくなるというリスクがあるだけではありません。
また、もっとお金を支払わなければならなくなるというリスク(遅延金のリスク)があります。最悪の場合、財産を持っていかれてしまうというリスク(強制徴収のリスク)すらあるのです。
遅延金は、年14、6%の利率と定まっています。たとえば、年間10万円を滞納してしまうと、1万4600円をプラスで支払うことになります。これは大きな出費です。
それでも、年金を支払わないとどうなるのでしょうか。
この場合、財産が差し押さえられてしまうリスクがあります。この「強制徴収」、具体的には、年間所得が300万円以上ある方が、7カ月以上年金を滞納してしまうと、財産の差し押さえがありうるということになっています。
(1) 滞納後の流れ
催告状→特別催告状→最終催告状→督促状→遅延金の支払い+財産の差し押さえ
それでは、年金を滞納してしまうとどのような手続が待っているのでしょうか。
まず、「滞納」とは、納付月の翌月末を過ぎた状態のことを言います。この「滞納」という状態が続くと、「催告状」というものが届きます。
この「催告状」が届いたら、市役所の年金窓口に行って、担当の人に相談にのってもらいましょう。仮に、この「催告状」を無視して、年金の支払いをしないとなれば、「特別催告状」というものが届き、さらにこれを無視すると、「最終催告状」というものが届きます。
「最終催告状」は、後に説明する「督促状」の一歩手前のものです。ちなみに、「最終催告状」が届いた時点で、滞納分を支払えば、年14、6%の遅延金の支払いは不要です。
このように、年金の支払いを怠ると、催告状→特別催告状→最終催告状→督促状という流れで通知が来ることになっています。
これらを無視すると、(1)リスクで説明した遅延金の支払い+財産の差し押さえというリスクがありうるということになります。
3.解決方法
年金を支払うことができない場合、その解決方法としては、①免除、②猶予という方法があります。
これらの申請をして、認められた場合、実際に年金の支払いを行っていなかったとしても、さきほどの障害年金や遺族年金を受け取ることもできます。この点が、滞納との大きな違いです。
(1) 免除
単身者で前年所得が57万円以下であれば、全額免除という可能性があります。
その他に、前年所得78万円以下であれば4分の3、前年所得118万円以下であれば2分の1、前年所得158万円であれば4分の1免除という場合もあります。
(2) 猶予
猶予というのは、「今はまだ支払わなくてもよいが、今後支払ってください」というものです。
つまり、猶予は、年金の支払いを先延ばしにしているにすぎないので、その期間が終了すると、その期間中の保険料を支払う必要があります。
4.まとめ
このように、年金を支払うだけの経済的余裕があれば支払うべきです。他方で、経済的余裕がなく年金の支払いを行えない場合であれば、免除申請や猶予申請を行うべきです。
以上は、年金を滞納したらどうなるのかということについて、簡単に説明したものです。詳しいことを知りたい場合、年金窓口に行くか専門家に相談すると良いでしょう。