借金返済 [公開日]2018年3月13日[更新日]2021年12月20日

入院費・治療費・医療費が払えない場合の対応策

出産、難病、子供の急な病気など、入院費・治療費・医療費がかかる局面は人生で多数存在します。

日本には国民皆保険制度があるため、医療費の実質的な負担額は少ないですが、保険料を払えない人もいるでしょうし、保険料を払っていても高額な治療費・入院費が必要な病気にかかってしまい、お金を払えない人もいるでしょう。

出産のように時期がある程度決まっているものであれば、それに備えて資金を貯めることができますが、切迫早産などが発生した場合は急にお金が必要になることもあるため、手元に資金を準備できていない可能性もあります。

では、入院費や医療費が払えない場合、どうなるのでしょうか?
そしてお金を払えないときは、どういった対策をとればいいのでしょうか?

1.入院費・医療費を払わないとどうなる?

まずは、医療費を払えない・払わないときに何が起きるかを押さえておきましょう。

(1) 転院や退院を進められる

まず、病院側から早期の退院または他の病院への転院を勧められることがあります。

法律の上では、金銭的な理由で病院側が治療を拒むことはできないことになっています。
しかし、病院の経営に悪影響があるなどの事情があれば、治療を拒む正当な理由として認められるケースもあるようです。

即日退院を強制されることは基本的になく、支払いの猶予をしてくれる病院もありますが、支払いができないことで今後の治療を心情的または経済的に継続しにくくなることはあるでしょう。

(2) 保証人や保険者に請求される

治療を受けている本人が医療費を支払えない場合、保証人や保険者に支払いの督促が行きます。

入院時などに必要な書類の中には、保証人を書く欄があるものも存在します。
そういった情報を見て、病院側から保証人または保険者へと請求が行くのです。

【病院の弁護士から連絡が来て財産を差し押さえられることも…】
場合によっては病院が弁護士を雇い、その弁護士から請求が来るかもしれません。
弁護士は合法的かつ適切な方法で債権を回収する様々な手段を熟知しています。支払いを滞納したままだと裁判を経て強制執行が実施され、財産を差し押さえられるおそれがあります。
例えば給料を差し押さえられた場合は、毎月の給与から強制的にお金を徴収されて支払いに回されるので、手取り収入が減って生活が苦しくなります。

2.医療費の支払いが困難な際に利用すべき制度

医療費が払えずに病院にかかれない場合、命に関わることがあります。
そういった事態を防ぐために、様々な公的制度があるので覚えておきましょう。

(1) 高額療養費制度

年齢や所得に応じて、1ヶ月に払う医療費の自己負担額に上限を設定し、上限を超えて支払った医療費を2~3ヶ月後に返還してもらえる制度です。

例えば市区町村民税が非課税の人で70歳未満の場合、1ヶ月の自己負担費の上限は35,400円となっています(2021年12月現在)。
仮に1ヶ月に5万円の医療費がかかったとしても、上限額が35,400円と決められているため、差額である14,600円は後日返ってくるということです。

なお、高額療養費制度の対象となる医療費(自己負担額)は、保険適用の医療費であり、保険適用外の医療費は対象となりません。

参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省

高額療養貸付制度

高額療養費制度を利用してもお金が返ってくるまでに2~3ヶ月かかります。
一時的な立替払いになりますので、当面の医療費の支払いが厳しい場合は「高額療養費貸付制度」を利用するといいでしょう。

この制度を使うことによって、高額療養費制度で払い戻される金額の約8割の金額を無利子で借りることができます。

参考:高額医療費貸付制度|全国健康保険協会

限度額適用認定証

高額療養費制度では上限を超えた部分を支払ってから、後日返還を受けることになります。

しかし、「限度額適用認定証」というものを取得して病院の窓口で提示すると、自己負担額の上限までしか支払わなくて済むようになります。一時的な立替払いをする必要がなくなるのです。

参考:高額な外来診療を受ける皆さまへ|厚生労働省

(2) 傷病手当金制度

こちらは高額療養費制度とは関係のない制度です。

病気や怪我などで仕事ができず休業を余儀なくされ、会社から十分な報酬を受けられない場合に、手当金を支給してもらえます。
支給してもらえる金額は「標準報酬日額の3分の2」です。

この制度を利用するには以下4つの条件を満たさなければなりません。

  • 病気やケガで仕事ができない状態である
  • 業務外の事由による病気やケガによる療養のための休業である
  • 療養のために休業した日から4日間以上仕事ができない(※3日間連続して休んだ後の4日目以降休んだ日に対して支給される。)
  • 休業している間は給与が支給されない

なお、業務内または通勤中の病気やケガで休業した場合は労災の適用が可能です。

(3) 生活保護制度

病気などの事情で労働ができず、非常に収入が低い場合は生活保護を受けることも可能です。

生活保護を受ければ医療費が自治体から直接病院に支払われるようになり、窓口で自己負担をする必要がなくなります。

収入も財産もない状態で医療機関に行った場合は、病院の医療ソーシャルワーカーなどに相談するといいでしょう。
そこから自治体へ生活保護の相談窓口などへ繋いでくれることがあります。

3.入院費や医療費が払えない場合の対処法

上記の制度を使っても支払いが困難なこともあるでしょう。そういった場合の対処法を紹介します。

(1) 医療機関に相談する

まずは医療機関に相談してみましょう。
事情を話せば分割払いに応じてくれるかもしれませんし、支払いを猶予してくれる可能性もあります。

現実的に可能な支払い方法を考えてくれることもあるので、相談してみる価値はあるでしょう。

(2) 弁護士に相談して債務整理をする

医療機関に相談しても支払える見込みがない、または支払いを滞納している場合は、弁護士に相談してください。
債務整理」をすることで、滞納している支払いを解決できます。

「債務整理はローンや借金を解決するもの」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実は支払いを滞納している医療費や入院費にも効果があるのです。

もちろん、他の様々な借金の支払いのせいで医療費を捻出できないという場合は、それらの借金も減免することができます。

簡単ではありますが、3タイプの債務整理について、医療費や入院費に及ぼす効果をそれぞれ記載します。
どれを実行するかは弁護士に相談してから決めてください。

  • 自己破産:借金が帳消しになるので、医療費や入院費を含めた債務がゼロになります。
  • 個人再生:定期的な収入があり、ある程度の医療費を支払える見込みがある場合に利用可能です。ただし、効果があるのは100万円以上の債務がある場合なので、それ未満の債務しかない場合には意味がありません。
  • 任意整理:減らすことができるのは利息や遅延損害金です。医療費の任意整理は難しいですが、貸金業者等からの借入れの返済があるために医療費が支払えないという場合、医療費以外の債務について任意整理をすることにより、医療費の支払ができるようになる可能性があります。

4.医療費でお困りなら各種制度の利用と病院・弁護士への相談を

医療機関を利用した際の支払いが困難であっても、高額療養費制度に代表される各種制度を使えば乗り切れる可能性があります。
それでも支払えない場合は病院と相談して、支払いの猶予や分割払いに応じてもらいましょう。

どうしても支払える見込みがない場合は、弁護士に相談してください。
弁護士が債務整理を代理することで、借金問題を解決することができます。

困ったときは弁護士があなたの味方になりますので、まずは当事務所の無料相談をご利用いただければと思います。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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