借金返済 [公開日] [更新日]

病気(治療費・医療費)で借金が返せない場合の対応策

【この記事を読んでわかる事】

  • 医療費が払えない方のための公的制度・医療費控除制度は複数がある
  • 国民健康保険料を滞納したら大変なことに…

 

突然の病気・ケガ・入院……長い人生の中では思わぬアクシデントに見舞われることもあります。健康を損なうと働けなくなるので、その際に心配なのは医療費や入院費です。

当面の支払いをしようとお金を借りても、働けなくなってしまっていたら返すあてもないでしょう。

そんな時は、有用な公的制度を知っていたら役に立つかもしれません。また、どうしても借金が多く払いきれないといった場合、債務整理によりその借金を解決できる可能性があります。

ここでは、医療費で借金が返せないという方向けに、医療費支給の制度や、借金の解決方法について解説をしていきます。

1. 公的制度

病気になって働けなくなったとき、医療費の支払いは不安の種ですが、公的な保険に入っていればさまざまな制度を利用することができます。

(1) 高額医療費制度

高額医療費制度は、毎月一定額(自己負担限度額)以上の医療費を支払った場合、多く払った分を後で払い戻してくれる制度で、公的な医療保険加入者であれば、誰でも利用可能です。

医療費が高額になっても、一定額以上は払い戻しがあるので、重い病気にかかったときも安心です。

しかし、後から払い戻しをしてもらっても、窓口で一度全額支払いすることは大きな負担です。

特に病気療養中は収入が途絶える人もいるので、支払うお金がないという人も多いでしょう。

そんなときは、70歳未満の人は「限度額適用認定証」を保険証に沿えて窓口に提示しましょう。

そうすると、その1ヶ月(1日~末日)は窓口負担を自己負担限度額までとしてもらえます。限度額適用認定証は各種保険窓口で申請すると受け取ることができます。

70歳以上の人については特に手続の必要はありません。

高額医療費制度は病院だけでなく、保険薬局も適用の対象となるので、お薬代も含まれます

高額医療費の自己負担限度額は所得によって異なり、所得が低いほど負担額も低く抑えられます。

ちなみに、非課税の低所得世帯の自己負担限度額35,400円で、医療費がいくらかかっても、1ヶ月にこれ以上支払いを求められることはありません。

反対に高額所得者は限度額が高く、標準報酬月額83万円以上になると、自己負担限度額は252,600円+(総医療費-842,000円)×1%の計算式で算出されます。

この場合、仮に1ヶ月の医療費が500,000円だったとすると、自己負担限度額は260,847円となります。

70歳以上の人については、別途負担額が定められており、上記基準より自己負担額は低く抑えられています。

ただし、平成29年8月以降は現役並みの所得のある人、一般所得のある人については自己負担額の引き上げが決定しているので、詳しくは各種保険の窓口に問い合わせをすることをおすすめします。

(2) 高度医療貸付制

高額医療費制度を利用すると、自己負担限度額以上は払い戻されますが、決定には診療報酬明細書などの審査があり、実際に払い戻しされるのは支払いの3ヶ月後になります。

高額医療貸付制はその間の支払いを補助する制度で、高額療養費制度で戻ってくる予定の金額の8割(国民健康保険の場合は9割)を無利息で貸し付けてくれます。

申し込みの受付は各種保険の窓口で行っており、必要書類を添えて申請します。

返済は高額医療費の給付金を返済に充てるので、払い戻しがされたら指定の口座に振り込んで返済します。

(3) 傷病手当金制度

社会保険(健康保険)加入者は、病気やケガで長期間会社を休んだ場合、被保険者とその家族の生活を守るために傷病手当金が支給されます。

病気やけがで事業者から報酬が得られなくなったときには、休み初めて4日目から最長で1年6ヶ月目まで「傷病手当金」が支給されます。

支給される金額の目安は通常の収入の2/3程度で、当面の最低限の生活資金は確保することができます。サラリーマンにとっては心強い制度です。

ちなみに国民健康保険には傷病手当金制度はありません。

個人事業主やフリーランスなどで病気やケガによる失業が心配な人は、任意で所得補償保険に入る方法もあるので、検討してみることをおすすめします。

2. 医療費控除

高額医療費制度を利用するほどではないけれど、病気やケガで病院通いが長引くと、家計はじわりと圧迫されます。

そんなときは医療費控除に注目しましょう。

医療費控除は1年間(1月1日から12月31日まで)にかかった医療費が一定額を超えた場合、超えた分の金額の税金が控除される制度です。

生計を一つにする家族であれば医療費を合算できるので、仕送りしている子供や両親の医療費なども含みます。

病気に関する出費でも、医療費控除の対象となるものと、対象外のものがあります。

医療費控除の対象となるもの

  • 病院の診察代、薬代
  • 歯科医院の診察代、薬代、
  • 病院・歯科医院への交通費(バス・電車など)
  • 薬局で購入した風邪薬
  • 入院中の部屋代、食事代
  • 針・灸、あんまマッサージ指圧師、柔道整体師よる施術
  • 妊娠・出産の検診・分娩代
  • 歯科矯正

医療費控除の対象外のもの

  • 薬局で購入したビタミン剤・漢方薬など
  • 病院へマイカーで行ったときのガソリン代・駐車料金
  • 自己都合による入院中の差額ベット代
  • 里帰り出産の飛行機代など
  • 人間ドッグ代(病気が特にないとき)
  • インフルエンザの予防接種
  • 美容整形

上記の通り、医療費控除は病気の治療目的のものであれば対象となり、病気の予防目的のものは対象外です。薬局の薬は見落としがちですが、風邪薬などは控除対象なので覚えておきましょう。

一方、ビタミン剤、漢方薬などは対象外なので、申告の際にはこうした違いにも注意が必要です。

3. 医療費の支払いに困ったら

医療費の支払いに困ったら

高額医療費制度などを利用しても、医療費の支払いに困るようであれば、以下の方法で対処をしましょう。

・クレジットカード払いに対応している病院

医療費の支払いが厳しいときには、クレジットカード払いをする方法もあります。

対応している病院とそうでない病院があるので、クレジットカードで支払いを希望するときには、事前に確認をしてから受診をするのがベストです。

・医療機関に正直に相談し、分割払いや支払いの猶予をしてもらう

クレジットカードでの支払いが難しい場合は、医療機関に分割払いや支払い猶予の相談をしてみましょう。

対応は病院によってまちまちですが、親身に相談にのってくれる病院も多いので、正直に言ってみましょう。

ただし、病院との話し合いで合意をしたら、その後はきちんと支払いをしていくことが大前提となります。

医療機関によっては悪質な踏み倒しに対しては、債権回収を専門の業者に依頼したり、弁護士を立てて取り立ての対応をする病院も増えているようです。

4. 国民健康保険料を滞納してしまったら

病気で働けなくなると、国民健康保険料の支払いも大きな負担となります。

国保は前年度の所得で納付額が決まるので、健康で働けていたときの保険料は重くのしかかります。

しかし、だからと言って国民健康保険を滞納していると、ペナルティが課されます。国保は滞納期限ごとに罰則が段階的に決められています。

・延滞金(滞納料金×延滞金利率(年率)×延滞日数÷365日)

国保滞納で最初に課されるペナルティは延滞金です。納付期日を過ぎると「 滞納料金×延滞金利率(年率)×延滞日数÷365日」の計算式で割り出した額を、延滞金として保険料に上乗せして請求されます。

延滞利率は市町村によって異なるので、詳しく知りたい場合は最寄り市役所に問い合わせましょう。

・保険証が使用できなくなる(医療費は自己負担となる)

保険料の滞納日数が長くなると保険証の使用ができなくなります。

その前に市町村から督促の手紙や電話がきますが、それでも支払いがないときには使用不可のペナルティが課されます。

滞納から期日が浅い場合は保険証に代わるものが交付され、滞納が長くなると保険給付が停止され、医療費は全額自己負担しなければなりません。

滞納期間ごとの段階的な罰則は以下の通りです。

・滞納期間1年未満:短期保険者証の交付

保険料の滞納期間が1年未満の場合は、3~6ヶ月間使える短期保険者証の交付がされます。

通常の保険証の有効期限は1年間ですが、短期保険者証は更新期間が短くなるので、その都度役所に取りにいかなくてはなりません。

その際には保険料の支払いについてチェックされるので、滞納のプレッシャーは大きくなります。

また医療機関に提出するときも、通常の保険証と異なるので、保険料を滞納していることがバレてしまいます。

そのことが原因で、近所のクリニックに行きづらくなることもあるので、滞納1年以内であってもペナルティは決して小さくありません。

・滞納期間1年以上:被保険者証明書の交付

滞納期間が1年以上に渡ると、被保険者証明書が交付されます。

この場合は、医療機関の窓口で一旦全額負担をして、その後自己負担分以外の部分を申請によって支給してもらいます

しかし、滞納している保険料と相殺されることが多いので、戻ってこないことが多いようです。

・滞納期間1年半以上:保険給付停止

滞納期間が1年半以上になると保険給付が停止されます。この場合も窓口で医療費は全額しなければなりません。

還付されるはずの7割のお金は滞納している保険料に充てられるので、戻ってくることはありません。

・滞納の催促に応じない場合:差し押さえ

保険料を長い期間滞納していると、最終的に差押え予告の通知書が届きます。

差押えの対象となるのは預金と給与で、口座の凍結も行われます。

保険の滞納で不動産の差押えはないようですが、給与を差し押さえられると職場にバレることになるので、サラリーマンにとっては致命的です。

・滞納期間1年以上の場合、医療機関の窓口負担は10割

保険料は滞納が1年以上になると、医療機関の窓口負担は10割となります。

仮に還付金があっても滞納している保険料に充てられるので、お金が返ってくる可能性は低いでしょう。

医療費の全額払いは健康な人でも大きな負担なので、大病をしたときは不可能に近いでしょう。

保険料の支払いについては、そうなる前に手を打つことが大事です。どうしても保険料が払えないときは、放置をするのではなく市町村の窓口で相談をしましょう。

事情によっては保険料の減免や分割払いに応じてくれることもあります。

たとえば借金がある、失業した、病気で困っているなど、こうした理由であれば相談に乗ってもらえる可能性はゼロではありません。一番良くないのは督促を無視して放置することです。

どうしても困ったことがあれば、誠意をもって事情を話すなどして、最悪の事態を打開するようにしましょう。

5.病気で借金が嵩んだ場合、債務整理相談は弁護士へ

このように、病気で働けない場合であっても利用できるさまざまな公的制度があります。まずはこうした制度を利用することを検討しましょう。

既に借金をしている人で、こうした制度を利用しても返済に困る場合は、債務整理を検討してみてください。

借金返済のストレスは身体に障ります。病気療養に専念するためにも、お早めに専門家に相談することをおすすめします。

泉総合法律事務所は、さまざまな借金問題を解決してきた確かな実績がある弁護士事務所です。ご相談者様一人ひとりにとって適切な借金解決方法をアドバイスいたしますので、是非一度無料相談をご利用ください。

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