借金返済 [公開日]2019年11月25日

競売を取り下げてもらうことはできる?|住宅ローン滞納の解決策

住宅ローンを長らく滞納していると、自宅が「競売」にかけられてしまう可能性があります。
本記事をお読みの方の中には、既に裁判所から「競売開始決定通知」という書類が届いてしまった人もいるかもしれません。

「競売」とは、簡潔に言えば、「裁判所が、住宅ローン等の債権者からの申立てを受けて、その債権を回収するために、滞納者の自宅を売却すること」を指します。
(※なお、競売手続には、大きく分けて、住宅ローン債権者が住宅を競売するときのように物件に設定された担保権に基づいて行なうものと、無担保の債権者が判決等の債務名義に基づいて行なうものとがありますが、本項においては、前者を想定した説明を行ないます。)

自宅を競売をされると、その後の生活はどうなってしまうのでしょうか?
また、競売を回避する(競売を取り下げて貰う)方法はあるのでしょうか?

現在住宅ローンを滞納中の方や、既に競売の可能性に怯えている方は、本記事に一度目を通した上で、すぐにでも競売を回避するための行動を起こして下さい。

1.競売開始までの流れ

競売は、裁判所が行なうため、法律的には何の問題もない手続であり、競売が実行されてしまったら、滞納者は、殆どなすすべもなく、自宅を強制的に売却されてしまいます。

しかし、競売が申立てられてから、競売が完了するまでには、いくつかのステップがあるので、順を追って簡単に説明します。

なお、以下においては、滞納者が借主であり、滞納者自身が所有する物件が競売にかけられるケースを前提に説明を行ないますが、不動産が競売になるケースとしては、この他に、第三者が借主のために担保として差し入れていた物件が、借主の滞納を理由として競売になるケースもあります。

(1) 競売開始決定通知

ローンの滞納を続けていると、裁判所(競売手続を取り扱う執行裁判所)から、「競売開始決定通知」という書類が届きます。滞納が開始してから数か月の経過後に届くことが多いようです。

これは、「あなたの自宅を競売することを決めましたよ」ということを滞納者に連絡する書類です。
この時点で専門家に相談すれば、まだ間に合う可能性があります。

[参考記事]

「競売開始決定通知」が届いたらどう対処する?

(2) 現況調査

裁判所から依頼を受けた担当者が、滞納者の自宅までやってきて、自宅の内部を含めて、写真撮影等の現況調査を行ないます。

滞納者は、この現況調査を拒むことが出来ません。たとえ玄関に鍵をかけていても、鍵屋が同行するので、鍵を開けられて中に入られてしまいます。

このとき、同時に、滞納者からの聞き取り調査等も実施されます。

(3) 競売の期間入札通知

その後、競売の入札期間や開札日を知らせる通知が届きます。

入札期間が始まると、物件を買いたい人が購入希望額とともに申込みを行います。
そして「開札日」に、最も高値を付けていた人が物件を手に入れます。

(4) 競売の終了

開札が終わり、最高値を提示していた人が、その落札額を払い終えたら、競売手続は終わりです。

この時点で、自宅物件の所有権は完全に落札者へと移り、不動産登記簿上の所有名義の移転登記手続も行なわれてしまいます。

2.競売が終わったらどうなるの?

競売が終わると、対象物件の所有権が他人(落札者)に移転するため、最早その物件に住み続けることは出来ません(仮に、その後も居座り続けると、不法侵入や不法占有になってしまいます)。

よって、競売終了後は、速やかに引っ越しを行なわなければなりません。競売された物件にそのまま居座っていると、裁判所から執行官が作業員や鍵屋とともにやってきて、鍵を開けて、内部の家財道具をトラックに積みこみ、裁判所が指定する倉庫まで運び込んでしまいます。

強制的に立ち退きさせられた挙げ句、立ち退き料も貰えないという悲惨な状況になってしまうのです。

しかも、住宅の売却金額が住宅ローンで借りた額に満たない場合(オーバーローンの場合)は、競売で住宅を失ったところで更に、不足分の金額(ローン残)を直ちに支払うよう請求されてしまいます。
大抵の場合、競売による売却金額は、市場価格よりも(任意に物件を売却した場合に比べて)安いため、住宅ローンを完済するまでに至らないことが多いです。

つまり、競売が行なわれると、「住宅を失う」だけでなく、「住宅ローンの残りを払わなければならない」という、2重の苦しみが滞納者を襲うことになります。

3.競売を回避するための「任意整理」

競売の回避をするには、「開札日」の前日がタイムリミットです。
この日までに競売を回避するための対策が「終わっている」必要があります。

もっとも、本来的には、「競売で不動産を買った人が代金を払うまで」は、競売を取り下げられる筈ですが、買った人の同意が必要であるところ、同意を得られる見込みは薄いので、期待しない方がいいでしょう。

競売を防ぐ方法として多く使われているのが「任意売却」です。

その名の通り、任意、つまり住宅の持ち主の意思で、住宅ローン債権者(抵当権者)の同意を得た上で、住宅を第三者へ売却するのが「任意売却」の概要です。

[参考記事]

任意売却のメリットとは?住宅ローン問題のおすすめ解決策

任意売却の主なメリットは以下の4つです。

  • 市場価格に近い額で売れるので、その分、多くの住宅ローンを返済できる
  • 引っ越しのタイミングを、ある程度自分で決められる
  • 上手くいけば、引っ越し費用の一部を得られる
  • 仮に、滞納者の親族等、滞納者と近しい関係者が、滞納者の自宅を落札して買い取ってくれれば、滞納者は、落札した親族等から物件を借りることで、その後も同じ家に住み続けることが可能となり得る

しかし、任意売却をしても、必ずしも競売を回避出来るとは限りません。
最後に、その理由を説明していきます。

なお、住宅ローンを払えなくなってしまった場合、「リースバック」によりマイホームに住み続けるという手段もあります。

[参考記事]

リースバックで住宅に住み続けられる!?任意売却との違いとメリット

4.任意売却の注意点

(1) 競売の取り下げをできるのは債権者のみ

まず気をつけておくべきことは、競売の取下げは、申立人すなわち債権者しか出来ない、ということです。
つまり、競売の取り下げには、申立人=債権者の協力が必要不可欠になります。

債権者に取下げに応じて貰うには、前提として、債権者に様々なことを納得して貰う必要があります。

例えば、任意売却をして買い手が見つかっても、債権者が「競売した方が高く売れそうだ」と思った場合は、そのまま競売が進められることがあります。

また、任意売却の話がまとまったとしても、債権者が「もっと高く買ってくれそうな人が現れるかも知れない」と考えて、取り下げ期限ギリギリまで様子を見ることもあるかもしれません。

そういった債権者の思惑を翻す交渉が必要になってきます。

【債権者が条件を出すこともある】
既に述べた通り、競売を取り下げることが出来るのは債権者のみですが、競売に至るということは、何ヶ月も住宅ローンの支払いを遅らせているということであり、このような滞納者と債権者の関係は、悪化しているものと考えられます。
よって、債権者から様々な条件を出されて、交渉が難航する恐れがあります。
よく見られる条件が「ローンの完済」ですが、一括払いできるケースは少ないでしょう。交渉して分割払いにして貰うこと等が出来ればいいのですが、これに失敗する場合もゼロではありません。また、債権者は、競売を申立てるときに裁判所に予納金を納めているので、これに相当する金額を請求されるかもしれません。
いずれにしろ、債権者に納得して貰わなければ、競売を取り下げて貰えないので、債権者に対しては下手に出ながら、何とか説得する必要があります。

(2) 債権者が書類を出す必要がある

競売の取り下げは、債権者が裁判所に書類を出すことで行ないます。

しかし、仮に交渉がまとまっても、債権者が本当に取り下げ書類を出してくれるかどうか分かりませんし、書類に不備があれば、裁判所から内容の修正を求められるため、提出までに時間がかかってしまいます。

最終的な取り下げの有無は、債権者の判断に任せるしかないので、任意売却をしたからと言って、確実に競売を回避出来るとは限らないのです。

5.任意売却の専門家に相談して競売を防ぐ

任意売却によって住宅を売り、債権を返済出来る見通しがつけば、債権者にお願いして、競売を取り下げて貰えるかもしれません。

しかし、任意売却したからと言って、自動的に競売を取り下げて貰える訳ではなく、取下げに向けた債権者との交渉は必須になります。

ただ、住宅を買ってくれる相手を見つけるのも、債権者との交渉も、素人が1人で出来るものではありません。

競売開始決定通知が届いたら、出来るだけ早く任意売却の専門家(不動産業者など)に相談して、競売を取り下げてもらうために全力を尽くして下さい。

泉総合法律事務所は、住宅ローンの滞納に関する借金問題を多く解決してきた実績豊富な弁護士事務所です。関連する問題として、任意売却等に関する相談も承っております。
競売をなんとか取り下げたい、任意整理をしたいとお考えの方は、どうぞお早めにご相談下さい。

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