借金返済 [公開日]2019年12月23日

銀行口座が差し押さえられた!どうすれば良い?

「銀行から給料を引き出そうと思い、ATMで手続きを行うとしたら、残高が『0円』となっていました。詐欺に遭ったのかとびっくりしましたが、通帳に記帳して内容を確認してみると、『サシオサエ』と記入されていました。」

何が起きたか分からずにパニックになってしまうかもしれませんが、このような場合、文字通りあなたの口座は「差し押さえ」られてしまったということになります。

今回は、「差し押さえ」とは一体なんなのか、どのような理由で差し押さえがされるのか、差し押さえ後はどう対処すれば良いのかなどを分かりやすくご説明します。

1.差し押さえとは?

(1) 差し押さえの理由

差し押さえの理由は、ずばり、「借金の滞納」です。

「差し押さえ」とは、債権者が、借金などを滞納している債務者に対して行う、裁判所を介した強制執行の一つです。
差し押さえられた預金は、差し押さえをかけた債権者に対する借金の返済に充当されることになります。

つまり、債務者が債権者に債務(借金)を返済しない場合に、債権者が強制的にお金を回収する裁判所の手続が「差し押さえ」なのです。

住宅ローンやカードローン、キャッシング、消費者金融からの借入を行っていて、その借金の返済が長期にわたって滞納されている場合に実行されることがあります。

(2) 差し押さえのタイミング

もっとも、差し押さえはいきなり実行される訳ではなく、実際には、その前に、債権者からの督促状が何度も送られてきている筈です。
しかし、これらを無視すると、滞納から半年ほどで、債権者(お金を貸した側)は裁判所で手続を行い、差し押さえによる回収を行なうことになるのです。

また、差し押さえを受ける前には、債権者から訴訟を起こされ、訴状が自宅に届き、併せて「裁判所への呼び出し」もあった筈です。
その後、実際に差し押さえられたということは、この呼び出しも無視していたか、あるいは、訴訟には対応したものの、結局判決を取られてしまった、ということになるでしょう。

なお、(控訴をしなければ)裁判所の判決から2週間程度で、判決が確定し、判決に基づく差し押さえが法律上可能となりますが(確定判決のように、差し押さえその他の強制執行手続の根拠となる文書を「債務名義」と呼びます)、その後、具体的にいつ差し押さえが行われるかは、債務者側では事前にわかりません。

差し押さえは、債権者のタイミングで実行することになるのです。

例えば、債務者の給与振込日と振込先口座がわかっている債権者が預金差し押さえをかけるならば、給与振込日当日の預金の差し押さえを狙って差押手続に着手することも考えられます。

【税金滞納の場合は突然強制執行・差し押さえが行われる】
前述のとおり、通常、債権者が差し押さえを行なうには、その前提として、判決等の債務名義を取得する必要があります。
しかし、滞納しているものの種類によっては、裁判等を経ずに=債務名義なしで、いきなり強制執行が行われ、差し押さえが実行されてしまうケースもあります。具体的には、税金の滞納に基づく滞納処分です。
税金の滞納の場合、銀行などからの借入と異なり、滞納者に通知しなくても差し押さえできる権限があります(地方税法331条)。また、年金を未納のまま放置している方も、一定の所得が確認されると、差し押さえの対象になることがあります。
副業に関する税金の申告をしていなかった、というケースも有り得ますので、十分ご注意下さい。

 

このように、差し押さえは、いきなり行われたかのように感じるかもしれませんが、実際には法的な手続を行ない、裁判所による決定が出た後に実行されています。

とはいえ、差し押さえられた本人は「なぜ今、このタイミングで差し押さえられたのか」分からず、混乱してしまうことも多いようです。

(3) 差し押さえの対象

差し押さえの対象は、預金だけとは限りません。預金と並んで、給料も差し押さえの対象となることが多いです。

ただし、預金差し押さえの場合は、金融機関に差し押さえ通知が届いた時点での預金残高が(債権額以下であれば)全額差し押さえられてしまいますが、給料差し押さえの場合は、生活できる一定金額(原則として手取り額の4分の1)のみを残して(つまり残りの4分の3が)差し押さえされます。

[参考記事]

借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事

これ以外にも、換価価値のある物(自動車、株式、解約返戻金のある保険等)や不動産などが、差し押さえの対象となることがあります。

ちなみに、差し押さえられる口座ですが、債務者名義の口座のみとなります。
家族等の第三者名義の口座は、原則差し押さえの対象になることはありません。

これに対し、債務者の旧姓で開設された口座や、債務者の自営の屋号入りで開設された口座などは、口座名義人=債務者本人なので、債権者の方で、口座名義人と債務者の同一性を証明出来た場合には、差し押さえの対象になる可能性があります。

(4) 差し押さえの期間

また、一度差し押さえをされた場合、再度差し押さえられる可能性があるのかなどを心配している方も多いでしょう。

預金の差し押さえは数回に分けて行われることはなく、一回限りの手続きです。

つまり、一度差し押さえが行われた後は、今後の差し押さえはありません(ただし、ある一回の差押手続でいくらか回収し、その手続が終わった後、残った債権の回収を目的に改めて一から預金差し押さえを行なうということはあり得ます)。

金融機関に差押命令が届き、差し押さえが実行された口座に、その後から新たな入金がされても、その部分の預金については、新たに差押手続を踏まない限り(既に実行された差押命令を根拠に)差し押さえを行うことは出来ないことになります。

また、差し押さえにより口座が凍結されることもないため(口座の凍結は、当該口座のある金融機関自身が債権者であるときに、債権と預金の相殺を目的に行なうものなので、ここでいう差し押さえとは別の問題です)、差し押さえされた口座は、その後、残高ゼロの状態から、そのまま使い続けることが出来ます。

これに対して、給料差し押さえの場合は、差し押さえの期間が定まっていません。そのため、債権者が全額を回収するまでの間、原則として給料の4分の1が、毎月差し引かれ続けることになります。

2.滞納先の確認方法

銀行口座の差し押さえをされて生活が困窮してしまった場合は、出来るだけ早めに対応すべきです。
というのも、差し押さえから1週間以内であれば、まだ銀行にお金が保管されているため(債権者に現実にお金が渡る前であるため)、対処が可能な可能性があるのです。

預金を差し押さえられてしまった場合、それを返して貰う方法は基本的にありません。
しかし、「法的に不当な差し押さえだ」「差し押さえられた預金の中身が年金で、このままでは生活ができない」などという場合は、裁判所に対して執行抗告という不服申立てをしたり、「差押禁止範囲の変更」を申立てたりすることができます(民事執行法10条、153条)。

しかし、通常、差し押さえから1週間が過ぎると、銀行から債権者にお金が渡ってしまう(取立が実行される)ため、その後に差し押さえを止めることは出来ません。

このため、まずは差し押さえを受けたら、どの滞納によるものだったのか(差し押さえをかけてきた債権者が誰なのか)を確認する必要があります。

しかし、口座を差し押さえられても、一体誰から差し押さえられたのかは、通帳では確認出来ません。差し押さえ後の通帳には、「サシオサエ」という文字が記載されているのみであるためです。

この場合、どのように確認すれば良いのでしょうか?

まず、差し押さえをするのは「滞納先のいずれか」ということになりますので、仮に、借金をしている先が(滞納している先が)1箇所だけという場合は、その債権者が差し押さえを行なっている筈です。

これに対し、複数から借金をしている場合で、滞納も複数あるという場合は、これまでに届いた書類を確認して下さい。
その中に、裁判所からの書類(訴状・判決等)があれば、その内容を確認すれば、差し押さえてきた相手がわかります。

他方、業者からの借金がない場合は、税金滞納による差し押さえの可能性があるでしょう。これまでに役所(税務署)から届いている書類を確認してみて下さい。

勿論、「○月○日に差し押さえをします」などという具体的な差し押さえの通知はあり得ませんが、「このまま滞納が続けば、あなたの財産を差し押さえますよ」という予告通知は事前に届いている筈です。

3.口座差し押さえに関する疑問Q&A

最後に、口座差し押さえに関するよくある疑問にお答えします。

(1) 口座の差し押さえは会社にばれる?

預金の差し押さえの場合は、差押命令の送達先は金融機関なので、勤務先に裁判所や債権者から預金差し押さえに関する連絡をするといったことはないため、基本的にはバレません。

しかし、給料が差し押さえられる場合は、給料の金額などを確認する必要があるため、先に勤務先に問い合わせがあります。申立後の差押命令も、勤務先に送達されることになります。

税金の滞納の場合も、「これから差し押さえる」とまでは言いませんが、給与の支払い状況に関する問い合わせが入ります。

そのため、給与の差し押さえの場合は、勤務先にバレてしまいます

(2) ネット銀行は差し押さえされないって本当?

これは、債権者がネットバンキングの口座を知っているかによります。

ネットバンキングの口座だからといって、絶対に差し押さえられないという保証はありません。

基本的に、差し押さえが出来るのは債権者が覚知している預金などの財産です。
預金差し押さえをする場合は、債権者の方で、「○○銀行○○支店にある債務者の口座の預金を、○○円を限度として差し押さえて欲しい」という特定をした上で、裁判所に申立をする必要があります。

借金の申し込みをする際に、債権者に伝えていた口座がネットバンキングであれば、その口座に対して差し押さえが行なわれることになるでしょう。

しかし、債権者から給与や預金を差し押さえられないようにするために、敢えて口座を分けて開設していた場合は、特定されない場合もあります。

4.口座の差し押さえを受けたら弁護士にご相談下さい

ひとたび差し押さえを受けたら、不当な差し押さえ以外は、解除・中止することは出来ません。既に差し押さえをされてしまったという場合は、お早めに弁護士へご相談下さい。

再度差し押さえをされてしまうことがないように、滞納している借金がある場合は、出来る限り対処しておくことが大切です。

もし、これ以上支払いきれない程に借金が膨らんでいる場合は、任意整理、自己破産、個人再生などといった、債務整理を検討することをお勧めします。
今後の差し押さえを防ぐためにも、預金や給与を差し押さえがあったら、すぐに弁護士にご相談下さい。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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