借金返済 [公開日]2020年1月30日[更新日]2021年2月4日

固定資産税滞納で督促状が届いた!差し押さえを受ける?

固定資産税は、持ち家や土地など、不動産を持っている人が支払わなければならない税金です。
不動産の価値が高い場合は固定資産税の税額が高くなります。

納税は原則的に現金で行う必要があるので、「不動産」という資産があっても「現金」がないために納税できず、滞納してしまう人もいるようです。

「自分には不動産がないから固定資産税とは無縁だ」という人でも、思ってもみないところ(相続などの事情)で不動産を手に入れるかもしれません。

その不動産の価値が高い場合は、固定資産税を支払うことができないこともあるでしょう。

固定資産税を滞納したままだと、やがて督促状が届きます。
では、その督促状をそのまま放置していると、どうなってしまうのでしょうか?また、支払えない場合の督促にはどう対応すれば良いのでしょうか?

1.滞納による財産の差し押さえ

固定資産税は、年1回課税され、自宅まで納付書などが送られてきます。
一括払いもできますが、年に3~4回の分割払いで支払うことが多いでしょう。

年4回の分割払いをする場合、単純に考えて3ヶ月毎に納期限が来るはずです。

もし、その納期限に支払えず滞納した場合、「差し押さえ」が行われることがあります。

差し押さえの対象となるのは「銀行口座」「給与」「不動産」「動産」等です。

(1) 銀行口座

差し押さえされやすいものの代表格が「銀行口座」です。

これが差し押さえられると、滞納分の金額が残高から引かれてしまいます。滞納額>預金額の場合、残高がいきなり0になることもあり得るのです。

銀行口座を差し押さえされたくない場合、全ての残高を引き出してしまうという対策も考えられます。

しかし、これをすると、後述する給与や不動産など、別の財産を差し押さえられる可能性が高くなります。

[参考記事]

銀行口座が差し押さえられた!どうすれば良い?

(2) 給与(給料)

銀行口座と並んで差し押さえられやすいものが「給与」です。
給与を差し押さえられると、毎月の給料から一定額が自動的に引かれてしまい、滞納分の支払いに充てられてしまいます。

また、給与の差し押さえは必ず勤務先に通知されるため、税金の滞納が勤務先にバレてしまいます。

[参考記事]

借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事

(3) 不動産

不動産」を差し押さえられると、不動産登記簿にその旨が記載されます。

差し押さえを受けた物件はやがて公売に掛けられて、公売で落札された金額が滞納した固定資産税の支払いに回されます。

不動産をお金に換えるのは手間も時間もかかるので、数万円程度の滞納分を回収するために公売まで行われるケースは多くありません。
しかし、油断していると本当に公売が始まってしまう可能性があります。

[参考記事]

不動産の差し押さえを受けるケースとは?

(4) 動産

口座に残高がなく、給与も受け取っていないような人は、「動産」を差し押さえられるかもしれません。

動産とは、「不動産以外の全ての物」です。
例えば自動車、バイク、ブランド品、宝飾品などです。

生活に必要なものは差し押さえを免れますが、執行官が直接動産の調査・差し押さえに訪れるので、精神的な負担は大きいでしょう。

[参考記事]

動産執行が行なわれそうな場合、どう対応すべきか?

年金は差し押さえられる?】
年金は、年金受給者の最低限の生活を保障するため、一定額までは差し押さえられません。しかし、それを超えた部分は差し押さえの対象となります(※消費者金融やカードローンなど、民間企業は年金の差し押さえができませんが、固定資産税を初めとした税金を滞納した場合は対象となります)。
また、年金が銀行口座に振り込まれた場合、それは「年金」ではなく「口座にあるお金(預貯金)」として差し押さえられるため、結果的に年金を失うのと同じ状態になります。生活が一気に苦しくなるのは明らかなので、早めに弁護士へ相談するべきでしょう。

2.固定資産税滞納後の流れ

差し押さえが実行される時期はケースバイケースなので、なんとも言えないところがあります。

しかし、固定資産税滞納後の流れを知っておくことで、大まかな予測をつけることはできるでしょう。

お住まいの地域によって異なりますが、固定資産税滞納後は、基本的に以下のような流れとなります。

(1) 督促状が送られてくる

固定資産税の納期限が過ぎても支払いがない場合、徴税する自治体は20日以内に督促状を送付することになっています。

督促状には「延滞金がかかる」「滞納処分する」「財産を差し押さえる」などの文言が並んでいることが一般的でが、最も怖いのが、「督促状を発した日から10日以内に完納しないと財産を差し押さえる」などと書かれていることでしょう。

確かに、地方税法には「督促状の発送から10日経っても完納されていない場合は、滞納者の財産を差し押さえ」できると定められています。

地方税法331
市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。
一  滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。
二  滞納者が繰上徴収に係る告知により指定された納期限までに市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。

しかし、10日の時点で財産を差し押さえられることは滅多にありません

地方税法は、「発送から10日経っても完納されていない場合は、差し押さえをしてでも税金を納めさせてくださいね」と自治体に注意を促しているようなものです。

とはいえ、税金の滞納による差し押さえは裁判所を通すことなく、行政側の判断のみで行うことができます。いつ差し押さえが行われるかは、相手の胸先三寸で決まるのです。

(2) 滞納が続くと差し押さえ決定通知書が届く

督促状の期限を過ぎても、多くの場合はしばらく何も起きません。行政から書面や電話で連絡が来るのみにとどまります。
(この期間でも延滞金は増え続けているので注意が必要です。)

しかし、度重なる連絡に応じず滞納を続けている場合は、差し押さえを受ける可能性がどんどん高くなっていきます。

いつかは「差し押さえ決定通知書」などが届いて、それでも支払わなければ本当に財産を差し押さえられてしまいます。

(3) 結局、差し押さえはいつ行われるの?

固定資産税はおよそ3ヶ月ごとに納期限が来るのですが、1~2回分を滞納しても差し押さえされなかった、という声もあるようです。

一方で、かなり早い段階で自宅を差し押さえられることもあります。
(これは、滞納者の家を競売して滞納分を回収しようという意図ではなく、滞納者が逃亡しないように前もって家を差し押さえるという思惑で行われることが多いようです。)

差し押さえの時期は明言できませんが、「いつ差し押さえられるかわからない」ということ自体がプレッシャーになる人もいるでしょう。
できるだけ早く解決するに越したことはありません。

3.固定資産税を滞納したときの対策

以上のように、滞納を続けると、やがては差し押さえを受けてしまいます。
しかし、どうしても滞納した税金が払えないときもあるでしょう。

最後に、そういった場合の対策を紹介します。

(1) 役所に相談

まず試すべきは役所への相談です。

督促状などに書いてある役所の窓口に相談することで、以下のような対応をしてもらえる可能性があります。

①分割払い

支払えない具体的な理由を述べた上で、支払いの意思があることをしっかりと伝えれば、分割払いを認めてもらえる可能性があります。

分割の場合、通常は1年、長くても2年で支払うことになります。

ただし、支払いに間に合わなくなった場合は問答無用で差し押さえが行われることがあります。
無理なく返済できるように、担当者と話し合って実現可能な支払計画を作ることが大切です。

②徴収の猶予

災害・盗難・事業の廃止・親族の病気や怪我などの事情がある場合に、固定資産税の納付を待ってもらえる制度です。

上記のような事情がなければ認めてもらえませんが、支払いが猶予されている間は財産を差し押さえられませんし、既に差し押さえられている場合は解除してもらえます。

徴収猶予が認められた期間中の延滞金についても全部又は一部の免除を受けることが可能です。

③換価の猶予

原則1年間は差し押さえ財産の売却(換価)を待ってもらえる制度です。その間に分割納付することになります。
徴収猶予を受けられる事情がない場合で、既に財産を差し押さえられているときに使うことが多い方法です。

ポイントは「税金を支払う誠実な意思」が必要ということです。
「税金を払いたいのに支払えない」という態度を示すために、できるだけ早く役所に連絡して、相談を行ってください。

もし換価の猶予が認められれば、換価の猶予が認められた期間中の延滞金の一部が免除になるというメリットもあります。

(2) 任意売却

いっそのこと不動産を売り(任意売却)、そのお金で滞納していた税金を払うという方法もあります。

差し押さえを受ける前であれば、家を売買すること自体に問題はありません。
売ると決めた場合、早く売却先を見つけるために専門の業者に依頼することをおすすめします。

問題は差し押さえを受けた後ですが、この場合も専門の業者を使うことで、業者が行政側と交渉して差し押さえの解除を求めてくれます。

その結果、「家を売ったお金で固定資産税を払う」ことなどを条件として、行政側に差し押さえを解除してもらえることがあります。

不動産を失ってしまうのは残念ですが、その不動産が原因で生まれた固定資産税を払えなくて困っている以上、手放すのも1つの対応策でしょう。

(3) 他の借金の解決

固定資産税以外にも支払うべき借金などがあり、借金の支払いが大変で固定資産税を納める金銭的な余裕がない場合は、弁護士に依頼して債務整理を行うことをおすすめします。

滞納した税金は、債務整理をしても減額されたり帳消しになったりしませんが、債務整理をすれば他の借金問題が改善するので、固定資産税を納める余裕が出てくる可能性があります。

弁護士に任せれば、個々のケースに合わせてピッタリの債務整理方法を提案してくれるでしょう。早めに弁護士に相談することがおすすめです。

[参考記事]

固定資産税が払えない場合の正しい対処法

4.債務整理をしたい場合は弁護士へ

固定資産税の滞納を解決するには、役場の担当窓口まで行って相談するのが一番です。
相談が遅くなるほど事態が悪化するので、早め早めの相談が大切です。

また、税金滞納以外の借金がある場合、債務整理をすれば解決できる可能性があります。

弁護士に依頼して債務整理をしてもらえば、借金問題と税金の滞納を一度に解決できるかもしれません。

一人で悩んでいては何も解決しません。借金問題でお困りの方は、泉総合法律事務所の弁護士に一度ご相談ください。

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