固定資産税を滞納するとどうなる?その後の展開と対処法

借金返済


不動産を所有していると毎年固定資産税が発生します。この固定資産税を滞納すると、住宅が差し押さえられてしまうのです。

一体いつまで滞納すると、差し押さえになってしまうのでしょうか?また払えないときはどうしたら良いのでしょうか?

ここでは、固定資産税を払えないときの対処法と、滞納の原因となる借金問題の解決法についてお伝えします。

1. 固定資産税が支払えない!

夢にまで見たマイホーム。住宅ローンを払い終わった後は、家にお金はかからないと思いがちですが、不動産を持っている場合は固定資産税を払わなければなりません。

固定資産税はその年の1月1日に所有している不動産に対して発生し、支払いは年4回に分けて行います。

大抵の場合、住宅購入は年の途中で行われるので、税金が発生するのは翌年の1月1日からです。

(1) 固定資産税はいくら払う?

固定資産税の算出方法は市町村によって異なります。ただし、標準税率は1.4%と決まっており、固定資産税額は以下の計算式で算出されます。

固定資産税評価額(土地と建物の評価額) × 0.014 = 年間の固定資産税額

上記の式に当てはめると、評価額が4,000万円の住宅を持っている人の場合

4,000万円×0.014=56万円

固定資産税は1年間で56万円請求されることになります。

ただし、4000万円の住宅を購入したら、漏れなく毎年これだけの固定資産税を請求されるということではありません。

役所の固定資産税評価額の相場は、住宅の市場価格の30%減です。住宅を4,000万円で買ったはずなのに、役所からきた通知を開けてみたら、固定資産税評価額が3,000万円になっていた…ということは珍しくありません。

固定資産税の評価額は住宅価格とは全く違う基準で算出されており、自分の家の価値が急に下がったのでは?と不安になる必要はありません。

そもそも固定資産税評価額は低い方が税金は安くなるので、納税者側にとってはその方がよいのです。

しかし、市役所の評価額が低くても、固定資産税自体の負担は軽くありません。仮に評価額3,000万円だった場合でも、一年間の固定資産税は42万円、2,000万円だったとしても28万円です。

評価額は3年に1度の見直しがあるとはいえ、毎年数十万円のお金を払うのは大変です。

年間42万円を年4回で分割払いする場合、3ヶ月に一回のペースで10万5千円ずつ納税しなければなりません。28万円なら3か月に一回に7万円ずつです。

負担は決して小さいとは言えず、お金がないときに滞納してしまう人は少なくありません。

しかし、固定資産税を滞納すると、大きなデメリットが発生します

(2) 固定資産税滞納のペナルティ

固定資産税を滞納すると、延滞金が発生し、財産差し押さえになる可能性があります。

①延滞金の請求

固定資産税を滞納すると、期間に応じて一定の延滞金が発生します。延滞日数と延滞利率は以下の通りです。

  • 支払期日から1ヶ月以内…延滞金は年2.9%
  • 1ヶ月以上の場合…年9.2%

固定資産税を滞納した場合は、延滞金の前に元本を優先して支払をします。そうしないと、延々と本税に延滞税が加算されてしまい、いつまでも延滞税がなくならないからです。

②財産差し押さえ

督促状を無視して延滞すると財産は差し押さえられます。

差し押さえ可能になるまでの期間は意外に短く、滞納から10日経過すると差し押さえが可能で、裁判所の命令がなくても行政処分として実行することができます。

2. 固定資産税の滞納~差押えまでの流れ

(1) 滞納から20日以内に督促状が届く

固定資産税の延滞をすると20日以内に督促状が届きます。

督促状の送付は地方税法371条によって定められており、通常はハガキで届きます。内容としては、延滞金や差し押さえなどペナルティが課される旨が書かれています。

(2) 10日経過で市役所は差し押え可能

督促状を受け取ってから10日以内に払わない場合、市役所は財産を差し押さえすることができます。しかし、いきなり住宅差押えにということにはなりません。

しばらくは電話による督促や督促状の送付が続きます。どうしても支払えない場合は、以下の2つの方法で対処します。

①徴収猶予

災害、病気などの不慮の出来事がある場合は、納税を1年猶予してもらえます。

②換価の猶予

仮に財産が差し押さえられた場合、生活が立ち行かなくなる恐れがあり、納税の意思があると認められた場合には、処分が1年猶予されることもあります。

これを換価の猶予と言い、やむを得ない事情がある場合は2年まで待ってもらえます。

ちなみに、換価の猶予が認められると延滞金は半額免除されます。

ポイントはとにかく誠実な対応をすることで、きちんと状況を説明し、支払う意思表示をすれば滞納処分の猶予を貰える可能性があります。

固定資産税が払えそうもないときは、現実的には換価の猶予を貰って、あとで分割払いをする人が多いようです。

(3) 財産差し押さえ

固定資産税の督促や催告書を放置し続けると、最終的には財産差し押さえになります。最初に財産調査が行われ、給与、預貯金などの財産が差し押さえになります。

差し押さえ禁止財産(日用品、ペット、冷蔵庫、食料など)は対象外で、財産が全くない場合は滞納処分の停止となります。

・住宅について

住宅については、住宅ローンが残っている場合、抵当権設定日が税金の納付期限より早く設定されていれば、そちらの抵当権が優先されます。

そのため、住宅ローンの残額が評価額を上回る場合は、競売にかけても固定資産税は全く回収できません。

また、競売にかけるにも債権者の許可が必要となるので、市役所が固定資産税の滞納を理由に実際に住宅を競売にかけることはごく稀です。

しかし、なぜ競売できない住宅を差し押さえするのでしょうか?

それは、滞納者が勝手に住宅を売ってしまわないようにするためです。

固定資産税が払えない場合、他の借金も払えていない可能性が高いので、お金に困って住宅を売るケースがあり、そうなると固定資産税も踏み倒される恐れがあります。

しかし、差押えをしておけば登記解除をしない限り、滞納者が勝手に住宅を売ることはできません。

役所は固定資産税の納入と差し押さえ登記解除を交換条件にするために差し押さえをするのです。

それでも尚、支払いができない場合は住宅を売るしかないのですが、その後は住宅ローン債権者と市役所の話し合いで売却代金を分配します。

実際には、数か月の滞納で強制執行が行われることはありませんが、滞納が年単位になると差押えが現実味を帯びてきます。

3.固定資産税が支払えないときの対処法

固定資産税が支払えないときの対処法について、もう一度おさらいをしておきましょう。

(1) 窓口に相談する

固定資産税が払えない場合、そのまま踏み倒すことは絶対にできません。まずは市役所の窓口に行って状況を誠実に伝えましょう。

役所も生活に困って相談に来ている人に対し、何が何でも今すぐ払えと言うことはありません。

滞納から間もない段階であれば、以下の善後策を示してもらえる可能性は高いです。

(2) 分割納入にしてもらう

固定資産税が払えない場合は、先に挙げた換価の猶予をもらい、後で分割納入をするのが一般的です。

換価の猶予は職員の職権で行われることが多く、こちらから申し出なくても分割にしてもらった時点でそのような手続きをとられていることも多いでしょう。

(3) 徴収猶予を申し出る

病気、災害、失業などどうしても支払えない事情がある場合は、徴収猶予をお願いすることで1年間は納入を待って貰えます。

(4) 減免の可能性を探る

もし、差し押さえ寸前まで行っても、財産調査の結果、差し押えできるような財産がなく生活に困窮し、今後も無理そうだと判断された場合は、「滞納処分の停止」となる可能性があります。

また、滞納処分停止から3年経過した段階で、滞納分の税金を納める義務はなくなります。

しかし、3年のうちにも財産調査は行われ、就職などで担税力があると確認された場合は、滞納処分の停止が消滅し支払い義務が発生するので要注意です。

滞納処分の停止は誰でも受けられる訳ではありません。しかし、現在まとまった給与や預貯金もなく生活に困っていて、今後も支払える目途がない場合には、その状況を係の人に伝えてみましょう。

困窮度合いによっては、固定資産税の減免をしてもらえる可能性もあります。

(5) 税金を払えない状況を改善する

固定資産税を払えない原因が明らかな場合は、その問題をクリアするだけでも支払いの目途が立ちます。

もし、浪費をしていて納税できないのであれば家計を見直すのもおすすめですし、固定資産税が払えないほど借金があるのなら、借金を整理することも検討しましょう。

4. 借金がある場合は債務整理をする

もし、借金払いに追われている場合は、債務整理することで税金が払えるようになります。

債務整理は法律的に借金を整理する制度で、手続きが認められれば借金は減額または全額免除されます。

債務整理は主に任意整理、個人再生、自己破産の3つがあります。

  • 任意整理…将来利息をカットすることで借金を減額する制度。借金の減額幅は小さいものの、利息がなくなるのは大きなメリットです。また、裁判所を介さずに債権者との話し合いだけでできるので利用者が多いのが特徴です。減額後の残債は3年(例外5年)で完済を目指します。
  • 個人再生…借金を1/5程度まで減額できる制度。大幅な減額が可能なので借金額が大きい人におすすめです。減額後の残債は原則3年(例外5年)かけて分割返済していきます。財産の没収はないので、マイホームを持っている人は個人再生が有利です。
  • 自己破産…借金を全額免除してもらえる制度。その代わりに20万円以上の財産は没収され債権者に平等に分配されます。逆に言えば、それ以上大きな財産や預貯金がない場合は失うものは少ないので、人によってはメリットが大きい制度です。

 

ただし、自己破産をしても税金は免責対象外です。その後も支払い義務は残ります。

しかし、債務整理によって借金がなくなれば、その分を税金の支払いに回せるので、固定資産税の支払いの一助となることは間違いありません。

5.まとめ

固定資産税を払えないときは、一刻も早く市役所に相談に行くことをおすすめします。

もし借金が原因で固定資産税が支払えない場合は、債務整理を検討しましょう。

泉総合法律事務所は任意整理、個人再生、自己破産など、様々な債務整理の経験が豊富にございます。お困りの方は、是非お気軽にご相談ください。

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