借金返済 [公開日]2018年7月10日[更新日]2023年9月26日

個人間融資は闇金・詐欺?!リスクとトラブル対処法を解説


Twitter(X)などのSNSにおいて、「個人間融資」という単語を耳にすることが多くなりました。
個人間融資は、ネットを通じて個人同士がお金の貸し借りするものです。審査なしでお金を貸してくれる!と思い手を出してしまう方も多いようですが、個人間融資の利用は非常にリスクが高いと言われています。

個人間融資には一体どのような危険が潜んでいるのでしょうか?
また、トラブルに遭ったときはどのように対処したら良いのでしょうか?

1.個人間融資とは?

個人間融資とは、消費者金融や銀行などの企業を介さず、インターネットの掲示板やTwitter(X)などを通じてお金の貸し借りをすることです。
その名の通り、貸し手は「個人」であり金融機関ではないので、融資に際して特に審査もありません。中にはブラックでもOKと謳って積極的にお金を貸すこともあります。

一見、普通の個人が親切で貸してくれるのではないかと思いがちです。
しかし、もし自分が貸し手の立場だったら、見ず知らずの人にネットの取引だけで何万~何十万円ものお金を貸すでしょうか?そう考えると、この融資方法には何か裏がありそうな気もします。

ただ、個人間融資が一概に危ないということはありません。個人間融資の運営会社(ソーシャルレンディング会社)が仲介し審査を行う「マーケット型」などでは、貸し手・借り手をそれぞれ格付けして金利や融資額を決定しますので、これが合法的に行われている場合はさほど心配は要りません。

一方、個人がインターネット掲示板などで貸し手・借り手を募る「オークション型」はリスクが高いのですが、実は日本ではこれが主流です。
掲示板などには、ニックネームや住所のほかに、希望額、返済方法(分割or一括)、融資が必要な理由などが投稿されます。

「子供の急病で5万円必要です。○月○日に6万円にしてお返しするので、融資をお願いします」「社長にお金を持ち逃げされ今月の給料が振り込まれません。利息をつけてお返ししますので私に融資をして下さい」などという書き込みが多く、非常に切羽詰まった様子で、誰でもいいからとにかく貸してほしいという気持ちが伝わってきます。

2. 個人間融資の実態

消費者金融や銀行でなくわざわざ個人間融資を利用するのは、審査の返事を待てないほどに緊急でお金が必要なときはもちろん、カードを限度額いっぱいまで使ってしまっていたり、ブラックリスト期間中であったりするケースが考えられます。
このような理由もなしに、会ったこともない人からお金を借りて急場を凌ぐことはないでしょう。

個人間融資の貸し手は、このような「とにかく今すぐお金を用意しなければならない!」という借り手の心理を巧みに利用して近づいてきます。

実は、個人間融資を提供するのは普通の個人ではなく、闇金と詐欺が溢れ返っているのが現状です。
以下で、個人間融資の実態について解説します。

(1) 闇金業者である

個人間融資は闇金業者の温床と言われています。

闇金とは連絡を取ること自体非常に危険ですが、最初は個人を装って連絡をしてくるので、利用者は闇金業者であることに気が付きません。
しかし、電話やメールでのやり取りの中で「業者でもない個人が普通はこんなことを言わないのでは?」と少しでも思ったら、それは闇金の危険信号です。絶対に借りてはいけません。会話中に業者が使うワードが出てきたり、やけに慣れている雰囲気を感じたりしたら、すぐに撤退するに限ります。

こうした業者から一度でも借りてしまうと、法外の利息を請求されるだけでなく、後に激しい取り立てを受けるので非常に危険です。

(2) 振り込め詐欺業者(詐欺)である

個人間融資の貸し手には振り込め詐欺業者も含まれます。

振り込め詐欺業者の手口としては、「あなたのことを信用するために、まず5万円振り込んで欲しい。そしたら10万円貸しましょう」と言って、お金を振り込ませます。
借り手はお金を借りたいという一心で言われるがまま振り込みますが、相手が振り込め業者ならばその後お金が融資されることはありません。

お金を借りるのにお金を振り込めというのは随分おかしな話ですが、切羽詰まっているときには冷静な判断ができなくなってしまい、こうした詐欺にもひっかかりやすくなります。

(3) 法外な金利を要求される

例え相手が闇金ではない個人の場合でも、個人間融資の貸し手の中には法外な金利を要求する人がいます。

しかし、個人間融資でも利息制限法は適用されます。個人間のお金の貸し借りでも、以下の上限利息を以上の利息を取ることは法律で禁じられているのです。

借入金額に対する上限金利
10万円以下…上限金利:年20%
10万円以上~100万円未満…上限金利:年18%
100万円以上…上限金利:年15%

特に闇金の場合は、上記の上限金利の年1000%以上という漏れなくあり得ないほどの金利を要求してくるでしょう。

(4) 銀行口座を作らせて売買させる

個人間融資では、お金を貸す代わりに銀行口座を作らせるケースもあります。

「口座情報、カード、通帳を提供するとお金を貸してもらえる」というのはどう考えても奇妙な話ですが、「これも審査なのだろう」などと考え、よく分からないままに提供するのは絶対にいけません。このような要求はれっきとした詐欺行為です。

うっかり口座情報を渡すと、振り込め詐欺などの犯罪行為に利用されてしまいます。

(5) 個人情報だけ抜き取る

お金を貸してもらうのですから、身元は明らかにしなければなりません。
よって、個人間融資では、実際に貸すまでに様々な個人情報のやり取りをします。

住所、氏名、電話番号、口座情報などを相手に教えたが最後、その個人情報だけ抜き取られてお金は借りられないままおしまいというケースもあります。悪徳業者に個人情報を悪用されるだけになってしまうのです。

(6) わいせつ目的

女性であればわいせつ目的で近寄る人もいます。お金を貸す条件として裸の写真などのわいせつ画像を送ることを求められたケースもあるようです。

こうした要求には絶対に応えるべきではありません。はっきり断って、その後も連絡がくるようであれば警察に連絡をしましょう。

(7) アフィリエイトに誘導する

個人間融資では、アフィリエイト業者も紛れ込んでいます。
お金を貸すと言って特定のサイトに登録を促されるようなことがあれば要注意です。

こうした業者は、例えば、借りられないはずの消費者金融サイトへの申し込みに誘導したり、FX口座や証券口座に登録させるなどして報酬を得て、実際にお金は貸さずに逃げてしまうケースが多いです。

3.怪しい個人間融資の見分け方

個人間融資のリスクが大きいのは確かですので、利用するに越したことはありません
とはいえ、個人間融資の全てが危険というわけではありませんので、「合法的に利用したい」と考えることもあるでしょう。

見分け方としては、闇金と詐欺師は融資の宣伝にキャッチーな言葉を使う傾向にあります。
特に以下の誘い文句を見たら要注意です。

  • 24時間受付可能
    今すぐお金を貸してほしい人にとって、24時間対応は非常に便利なサービスです。しかし、これもよく考えれば、普通の個人が一度も会ったこともない人に寝る時間を割いてまでお金を貸すなんてことはありません。24時間体制をとってでもお金を貸してメリットがあるのは、違法な金利をむさぼる闇金か詐欺グループだけです。
  • ブラックOK
    ブラック期間中の人にお金を貸したいのはほぼ闇金です。また、詐欺師はお金を貸す気がないので何とでも書いてきます。美味しい話はそうあるものではないので、絶対に連絡をしてはいけません。

4.個人間融資で被害にあったときの対処法

では、もし既に借りてしまったという場合はどうしたら良いのでしょうか?

個人間融資で何らかの被害にあったときには、警察と弁護士に連絡をするべきです。

(1) 警察に相談をする

個人間融資に申し込み、口座売買の強要や振り込め詐欺などの刑法犯罪に巻き込まれた場合は、すぐに警察に連絡をします。

警察は、単なるお金の貸し借りに関するトラブル(民事事件)には不介入の原則がありますが、刑法違反の行為が絡み、犯罪につながる被害があれば積極的に動いてくれるでしょう。
「取り立ての際に脅迫・暴力を受けた」「口座売買を強要された」「詐欺被害を受けた」というような場合は、証拠を確保した上で警察に連絡をするようにしましょう。

(2) 弁護士に相談をする

犯罪につながる被害があってもなくても、個人間融資で何らかのトラブルがある場合は弁護士にも連絡をすることをお勧めします。
特に、闇金業者に対しては法的に対処する有効性が強いですので、すぐに闇金問題に強い弁護士に相談しましょう。

実は、基本的に違法な金利のついた借金は返済義務がありません。ましてや借金について督促・取り立てで脅すことは法律で禁止されています。

違法業者である闇金は、弁護士など法律の専門家から連絡を入れられることを嫌がります。法的に太刀打ちができないため、弁護士からの連絡があれば相手も下手なことはできなくなり、手を引くことが多いです。

5.個人間融資に手を出す前にするべきこと

個人間融資に手を出す前の状態であれば、そのまま手を出すのは待ってください。
まずは、以下の3つの方法で資金繰りをすることをおすすめします。

(1) 親族に借りる

もし、お金を借りられる親族がいる場合は、事情を話して貸してもらいましょう。

特に親の場合は利息も払わずに貸してくれることがほとんどでしょうから、返済するにしても楽です。

(2) 生活福祉資金貸付制度を利用する

頼れる親族がいない場合は、社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付制度」を検討しましょう。

この制度は、生活資金に困った人に一時的にお金を貸す制度で、非常に低い金利で借りられるのが特徴です。

融資に際しては審査がありますが、審査基準が業者とは異なるので、消費者金融に断られた人でもお金を借りられる可能性はあります。

(3) 債務整理する

カードを限度額まで使ってしまっていたり、延滞によるブラックリスト入りをしてしまっていたりしてお金を借りられず、さらに借金返済に追われている場合は、個人間融資の利用でなく債務整理することをおすすめします。

債務整理は法律的に借金を整理する制度で、主に任意整理、個人再生、自己破産の3つがあります。

  • 任意整理…債権者との直接交渉で将来利息をカットし、借金を減らす手続き。借金の減額幅はそれほど大きくないが、裁判所を介さないため迅速かつ安価に終わり利用者数が多い。
  • 個人再生…裁判所を介し借金を1/5程度に減額できる制度。手続きは複雑であるものの借金を大幅に減らしつつ自宅などの財産は手元に残せるので、収入がある程度ある人にはおすすめ。
  • 自己破産…裁判所の許可を得て借金を全額免除にする制度。借金がゼロになる代わりに不動産など価値ある財産は処分される(生活必需品や最低限の財産は手元に残すことができる)。

いずれの手続きをとっても、債務整理以後は返済が随分と楽になります。
債務整理は、それぞれの方の状況(負債額・収入・支出など)に合わせて、上記のいずれかの手続きの中からピッタリのものを選択することが大事です。

6.まとめ

冷静に考えてみれば、個人がブラックリストに載っている人でも良いからお金を貸したい、と思うことはまずありません。
ここで紹介したように、個人間融資には沢山のリスクが潜んでいます。安易に甘い誘いにのることは絶対に避けましょう。

もし、既に個人間融資の被害に遭われていたら、警察や弁護士に相談をして下さい。
また、借金の返済に困っている場合は、個人間融資の利用ではなく、債務整理することをおすすめします。

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