未成年の子供が借金を隠していた場合、どうすればいい?

借金返済

【この記事を読んでわかる事】

  • 未成年の我が子が借金をしていた場合、親に返済義務はある?
  • 未成年が親に無断で作った借金は取り消すことができないのか?
  • 親に返済義務が生じる子供の借金にはどのようなものがあるか?

 

ある日、我が子から突然「お金が返せなくなった。助けて」と言われたらどうしますか?

まるでオレオレ詐欺のセリフのようですが、実は、このような事案は以外とあるようです。

それまで隠していたのですから、それなりの金額になっていることでしょう。しかし、法的に親が子どもの借金を支払う義務が果たしてあるのでしょうか?

今回は、子供が借金を隠していた時、親が取ることができる手段について解説します。

1. 未成年者が借金をした場合の考え方

子供が借金の返済をできないとき、親に支払い義務が生じるか否かは、子供の年齢によって分かれます。

子供が成人しており、保証人にもなっていない場合、支払い義務はありません。しかし、子供が未成年の場合は、状況によっては支払わなければなりません。

原則として、未成年者は民法上「制限行為能力者」とされ、取引の経験も知識も乏しく、判断力も未熟と考えられています。

そのため、借金をするには親権者(法定代理人)の同意が必要で、仮に親権者の同意を得ないで契約を行った場合は、後から契約を取り消すことができるのです。これを「取引権の行使」と言います。

親が取消権を行使できるのは以下のときです。

  • 子どもが未成年であるとき(契約時に満20歳未満)
  • 親権者(法定代理人・後見人)の同意を得ていないとき
  • 小遣い・仕送りの範囲を超えている場合
  • 子どもに婚姻の経験がない
  • 営業上の取引ではないとき
  • 子どもが詐術を用いていない
  • 親権者(法定代理人)が追認していないとき
  • 取消権が時効になっていないとき

取消権は本人と親権者が行使することが可能で、取消権を行使した場合、借金は過去に遡って無効となります。

ただし、取消権により取り消されるまで借金については「不確定であるが有効」とされるので、その間の業者への対応については注意が必要です。

(1) 取消権を行使すると

取消権を行使すれば、借金は無効となりますが、手元に残ったお金や、借金で買った品物はそのまま貰える訳ではありません。

未成年者の借金は、不当利得とみなされるので、貸金業者から不当利得返還請求があった場合は、現存利益については返還義務が生じます。

(2) 未成年者の場合の現存利益について

未成年が借金をしたときで、現存する利益があれば返還しますが、現存利益となるのはどんな場合でしょうか?

①現存利益となる場合

  • 借金で購入した物(ex 車、バイクなど)
  • 生活費

現存利益は、もとの原形、または形を変えて残っている利益を意味するので、借金で買ったものは形を変えて残っている利益とみなすことができます。

また、生活費は絶対に必要なものなので、借金を生活費に使った場合は、本来使うべきお金は浮いていることになります。

その浮いた分については現存利益とみなされ、要請があれば返還しなければなりません。

②現存利益とならない場合

  • 飲食などの遊興費
  • パチンコ、競馬などのギャンブル

飲食などの遊興費やギャンブルなど浪費で使った分については、現存利益とはみなされません。飲食やギャンブルで消費した場合は、原形または形を変えて残っているものがないので、現存している利益がないと判断されるためです。

例えば、未成年が50万円借金をして、そのうち30万円をギャンブルに使い、20万円を生活費と書籍購入費にあてた場合、返還義務があるのは20万円だけです。

このケースでは貸した側が30万円も損することになり、貸した側にしてみれば、未成年にお金を貸すと、場合によっては返ってこないというリスクを抱えることになります。

そのため、業者は基本的に未成年にお金を貸す場合、親の同意がなければ契約はしません。問題となるのは、個人間の貸し借りのパターンです。

(3) 貸金業者の催告権

未成年者は判断力も未熟であるため、契約に際しては保護する必要があります。また、取消権があるので、未成年に貸すと貸した側が非常に不安定な状況におかれます。

こうした問題を解決するために、貸手側には民法第19条により催告権が認められています。

①法定代理人に対して催告可能

貸し手は法定代理人に対して、契約から1ヶ月以上の期間内に未成年者の借金を取り消すか、追認するかの確答を求めることができます。

もし、法定代理人が期間内に確答をしない場合は、追認したと見なされ、借金は「有効」となり返済義務が生じます。

②未成年者が成年に達した後、催告された場合

借金当時未成年であった者が、成人した後に催告された場合も同様で、期間内に確答をしない場合は追認とみなされます。

ただし、以下の方法による催告は無効です。

  • 未成年者を通して法定代理人に催告
  • 未成年者に対する催告

催告はあくまでも法定代理人に直接行わなければなりません。未成年者を通じて催告をしても、必ず相手に通知できる保証はないからです。

返答がない場合、追認する場合は借金の返済義務が生じますが、親に返済義務が生じることはありません。返さなければならないのはあくまでも本人です。

(4) 法定追認

未成年の借金が有効となるには、親の追認が必要です。しかし、そうした積極的な追認がなくても、法律上追認したと見なされるものがあり、それを「法定追認」と言います。

法定追認は民法125条1号~6号に規定されています。

  1. 全部又は一部の履行
  2. 履行の請求
  3. 更改
  4. 担保の供与
  5. 取消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
  6. 強制執行

このうち、未成年の借金で問題になるのは1または2です。

親が借金を追認していなくても、未成年者または親が借金の返済をするなど、債務の履行、または債務の請求をしている場合は、その借金を追認したものとみなされます。

2.子どもに返済義務が生じる場合

未成年者が借金をした場合、以下の場合は子どもに返済義務が生じます。

(1) 親権者の同意・事後の承諾がある場合

親権者の同意や事後承諾がある場合は、子どもに返済が生じます。

(2) 未成年者が借金する場合に詐術を用いた場合

もし、学生ローンなどで、親権者の同意があるなど子どもが嘘をついていた場合は、詐術を用いて借りたことになるので、この場合は親の承諾がなくとも未成年者に返済義務が生じます。

また、年齢を偽って成人に見せかけてお金を借りるケースなども該当します

(3) 未成年者が既婚者の場合

結婚をしている場合は、未成年でも成年者とみなされるので、契約に際して親の同意は必要なく、本人に返済義務が生じます。

未成年でも既婚者を制限行為能力者とすると、家を借りるなど、子供に関することなど、ことあるごとに親の承諾が必要となります。

それでは社会生活に支障をきたすため、結婚をした場合は独立した生活が可能となるよう、成年と同等に単独で契約ができるように定められているのです。

ちなみに一度でも婚姻したら成年者となり、未成年のうちに離婚をした場合でも、成年者としての権利は認められます。それまで可能だった単独での契約行為が制限されると、社会生活上大きな混乱をもたらすためです。

(4) 未成年者が自分で商売をしている場合

民法では未成年でも営業を許されている場合は、成年者と同等の行為能力を有すると規定されています。

よって、未成年でも商売をしている人は、借金については返済義務が生じます。

上記のケースでは親権者はいずれの場合も返済義務を負うことはありません。また、子供が成人している場合は当然本人に返済義務があり、この場合も親に返済義務はありません。

3. 親の返済義務が生じる場合

法定代理人である親が、未成年の借金を追認している場合で、親に返済義務が生じるケースは以下の通りです。

(1) 子どもの保証人となっている場合

子どもの借金の保証人となっている場合、子どもが返済できないときは、代わりに返済をしなければなりません。

(2) 子どもが借金をして亡くなった場合

子どもが不幸にも借金をした後に亡くなった場合、財産を相続する家族に借金が受け継がれます。親が法定相続人に該当する場合は、親が借金を支払わなければなりません。

しかし、相続放棄した場合はプラス、マイナスどちらの財産も受け継がないので、借金を払う必要はありません。

4.まとめ

もし、未成年のお子さんが内緒で作った借金で困っていたら、泉総合法律事務所に事務所にご相談ください。追認、法定追認をする前であれば取消をすることも可能です。

債務整理の相談料は何度でも無料ですので、ぜひ一度ご相談下さい。借金問題に詳しい弁護士が、様々な事態に適したアドバイスを差し上げます。

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