借金返済 [公開日][更新日]

介護破産の対応策。介護費用がかさみ借金が返せない場合はどうする?

介護破産の対応策。介護費用が嵩んで借金が返せない場合はどうする?

【この記事を読んでわかる事】

  • 介護破産をしてしまう原因
  • 介護が始まったら利用できるさまざまな制度について
  • 介護費用がかさみ借金してしまったら債務整理しかないのか

 

両親、または配偶者の介護をしている人が増えています。

介護離職も話題になりましたが、介護が必要になると、時間的・物理的負担に加え、経済的負担も大きくなってくるでしょう。

では、介護を続けるには、借金をするしかないのでしょうか?

ここでは、介護の現状、介護破産に陥ってしまう原因の他、破綻を避けるために利用できるさまざまな介護支援制度について解説します。

1. 介護の現状

人生100年時代とも言われる高齢化社会の現在、親の介護は身近な問題です。

実際に親族の介護をしている人の数は、平成24年就業構造基本調査によると全国で約557万4000人、そのうち働きながら介護をしている人は約291万人です。

年齢階級別の内訳を見ると、60~64歳が108万人と最も多く、次いで70歳以上が95万3000人。介護をしている人のおよそ半数以上が60歳以上という結果となりました。

介護に関わる深刻な問題の1つは介護離職です。親が認知症や寝たきりになると、在宅で常時ケアする必要があり、フルタイムでの会社勤務が難しくなるためです。

実際に介護をきっかけに離職をする人は多く、平成23年10月~24年9月の統計では10万1000人が介護離職をしたと発表されています。

同調査では、介護をしている人の有業率についても調査を行い、介護をしながら仕事をしている人は男性で65.3%、女性44.9%であるのに対し、介護がなく仕事をしている人の割合は男性69.2%、女性48.7%というデータが示されました。

これらの数字から、介護中の人はそうでない人に比べ、仕事に従事している人の割合が低いことが明らかになり、介護離職中の収入の確保は重要な課題として受け止められています。

実際に近年では介護をきっかけに困窮し、自己破産する人は増加の一途をたどっています。

今や介護が原因の親子共倒れは決して珍しいことではなく、そうした事態を防ぐためにも、介護中に経済的につまづくポイントを事前に知っておく必要があります。

2.介護破産になる原因

介護の特徴は先が見通せないことにあります。介護ではいつまでにいくらかかるのかを完璧に予測することは不可能なので、それなりの預貯金がある人でも、経済的な破綻を招くリスクはあります。

介護破産になる原因は以下の3点です。

(1) 介護費用の増加

しっかり準備をして臨んだつもりでも、介護が長くなればそれだけ介護費用はかさみます。

いざ介護が始まったら、長く元気でいて欲しいと願い、できるだけ良いケアをしたいという気持ちにもなります。

しかし、より長く、そして介護が上質になるほどそれだけ費用もかさみます。

理想的な介護と現実の出費の狭間で苦しんでいる介護者は多く、費用の支払いでローンの返済に手が回らず破産に至ることもあります。

(2) 施設入所による費用の負担

要介護のレベルが上がると、自宅ではケアできずに施設に預けることを検討する家庭も増えています。

特に認知症で徘徊が見られる、家の人が介護に専念できない、こうしたケースでは介護を施設にお願いする方が良いこともあります。

施設入所にあたっては、被介護者が上手く馴染めるか生活面での心配もありますが、施設費用の支払いも懸案事項です。

施設ごとの月々の利用料金の相場は以下の通りです。

  • 特別養護老人ホーム…7~15万円
  • 介護老人保健施設…8~17万円
  • 介護療養型医療施設…8~17万円
  • ケアハウス(軽費老人ホーム)…8~20万円(入居金が必要な施設もある)

この他、有料老人ホームの月額相場は約12~40万円、近年注目されているサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では5~25万円、グループホームでは12~20万円となっています。

有料老人ホームの入居金については0円~1億円までと幅が広く、高住では敷金として家賃の2~3ヶ月分、グループホームでは10万円~100万円となっています。

どういう施設を利用するかで、入居金や月額負担金は大きく異なりますが、上記の金額が毎月家計から出ることを考えると、決して軽い負担ではありません。

被介護者に十分な蓄えや年金がある場合は別ですが、そうでなければ介護者が毎月の出費を捻出する必要があります。

近年では施設の利用料を本人が滞納し、ある日突然子供に請求がくるというケースもあるようです。

老後はどうするのかは、親が元気なうちからしっかり話し合いをするのがベストですが、介護が必要なときは突然やってくるので、計画通りいかないところに難しさがあります。

(3) 介護離職し収入が途絶える

介護を自宅でしなければならない人は、介護離職を余儀なくされます。そうなると収入が途絶えるので、生活費やローンの支払いに事欠く状態に陥ります。

離職当初は退職金や失業手当でしのげますが、介護が長期になればそれも難しくなります。融通のきく職場への転職を目指して離職しても、年齢の壁から再就職ができないまま困窮する人も少なくありません。

こうした問題を受けて、現在は介護に関する負担を軽くする支援制度も整ってきています。

先の見えない介護を全うするためにも、利用できる支援策については熟知しておきましょう。

3.利用可能な支援策

利用可能な支援策

介護が始まったら以下の4つの支援があることを覚えておきましょう。

(1) 介護保険

日本では40歳以上になると介護保険に加入することが求められ、65歳以上で要介護認定を受けると保険を使って介護サービスを受けることができます。

サービス内容は訪問介護、デイサービスの通所利用、ショートステイの短期利用、特養や老健などの施設入居、介護用具の購入補助や貸与などのサポートです。

またケアマネージャーによるケアプランの作成も保険の範囲で行ってもらえます。

介護認定は自立した生活が難しく、何らかの介護が必要である場合には要介護となり、介護レベルは1~5段階に分けられ、最も重いのは要介護5、軽いのは要介護1とされます。

また要介護よりも手前の要支援1~2というカテゴリーもあります。

介護レベルが重くなるほど介護保険の支給限度額は高くなります。参考までに介護保険制度の支給限度額は標準的な地域で要介護1が月額16万6,920円であるのに対し、要介護5では月額36万650円まで認められています。

実際の負担額は、サービスの利用状況や介護レベルによって異なるので、一概には言えませんが、重度の要介護者にはより厚い手当が保障されていることが分かります。

介護保険は介護に関わる人にとってなくてはならない制度で、介護生活を支える柱になります。

もし、家族に介護が必要になったら、介護保険サービスの利用に関して、できるだけ早く市町村の担当窓口で相談することをおすすめします。

(2) 高額介護サービス費制度

高額介護サービス費制度は、介護保険の自己負担額1割の合計が、一定の金額を超えたとき、超過分のお金が戻ってくる制度です。

自己負担額は所得によって2割、平成30年8月からは3割になることもあります。

この制度は介護費用の負担軽減に非常に役立つのですが、あまり知られていないのが現状です。

毎月の負担額の上限は所得によって決められており、内訳は以下の通りです。

  • 生活保護…15,000円(個人)
  • 世帯全員が非課税&老齢年金受給世帯…24,600円(世帯)
  • 世帯全員が非課税&本人年金収入+合計所得金額が80万円以下…24,600円(世帯)・15,000円(個人)
  • 世帯全員が非課税&本人年金収入+合計所得金額が80万円超え…24,600円(世帯)
  • 市民税世帯課税者…44,400 円(世帯)
  • 現役並み所得あり…44,400 円(世帯)

高額介護サービス費に含まれないのは、介護施設での食費、住居費、生活費などの自己負担分(ショートステイ含む)と、福祉用具の購入費用、住宅改修などです。

介護サービスを利用すると3ヶ月後に、この制度の通知と申請用紙が送られてくるので、必要事項を記載して市町村に提出するとこの制度を利用することができます。

申請の際には介護サービスの領収証も必要となるので、支払いに関する書類は必ずとっておきましょう。

手続の方法は市町村によって異なるので、詳しくは最寄りの市役所、役場の窓口にお問い合わせください。

(3) 特定入所者介護サービス費

特定入所者介護サービスは、施設での食費や居住費が減免される制度です。

施設の利用者は食費や居住費、生活費は自己負担が原則ですが、そうすると低所得の人はサービスを利用することができなくなります。

この制度では、所得に応じて利用者の負担限度額を設定し、所得の少ない人は負担限度額も低く設定されています。

負担額認定設定区分は高額介護サービス費制度に準じており、このサービスが利用できるのは第3段階までです。

  • 第1段階…生活保護、世帯全員が非課税&老齢年金受給世帯
  • 第2段階…世帯全員が非課税&本人年金収入+合計所得金額が80万円以下
  • 第3段階…世帯全員が非課税&本人年金収入+合計所得金額が80万円超え

市区町村民税課税世帯、現役並み所得ありのカテゴリーの人は、このサービスを利用することはできません。

このサービスを利用した場合、仮に食費が41,400円、居住費が59,100円かかる特養を利用する場合、第1段階の人であれば食費は9,000円、居住費は24,600円となり、サービスを利用できない人に比べると、(41,000+59,100)−(9,000+24,600)=66,900円減免された額で利用することが可能です。

この制度が適用されるのは特養、老健、介護療養型医療施設などです。この制度も収入が少ない家庭にとっては強い味方です。

(4) 生活保護

介護離職で収入が途絶えた、介護費用で生活が破たん寸前という状況であれば、生活保護の申請も検討しましょう。

生活保護は家や土地、預金や生命保険などの資産があると申請できませんが、世帯収入が生活保護基準額を下回っている場合には受給できる可能性があります。

たとえ年金を受け取っていても、年金額が基準額を下回っていれば、足りない分は生活保護費が支給されます。

生活保護を受けると生活費だけでなく、医療、介護、葬祭の扶助もあります。生活保護はこうした目に見えない部分の負担軽減のメリットも大きいです。

介護は心身ともに大きな負担がかかります、そのうえ経済的に追いつめられると、親子共倒れということにもなりかねません。

そうなる前にこうした制度の利用を検討することもおすすめします。

3.まとめ

このように、利用可能な公的支援もあるので、介護費用で悩んでいたらこうした制度の活用をおすすめします。

しかし、現実問題としてある程度の費用がかさむのは避けられません。もし、介護離職でローンの支払いができない、施設費用の借金が返せなくなった、そうした問題を抱えていたら弁護士に相談してみてください。

できるだけ早く対処すれば自己破産を免れる道もあります。借金問題は1人で悩まずに、専門家と一緒に解決していきましょう。

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ご相談は無料ですので、弁護士への相談を迷われていらっしゃるようでしたら、まずは気軽にお問い合わせいただけたらと思います。

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