借金返済 [公開日]2018年4月11日[更新日]2021年2月17日

住民税を払えない!滞納リスクを避けるための対処法

住民税(市民税・都民税・県民税)は、給与の支払いを受けている人に対しては、会社が毎月の給与から差し引いて代わりに納付しています。

ただし、前年度に退職をしていたり、自営業をされていたりする方は、年4回自治体から送付される納税通知書によって、自身で支払うことになります。

このように「自分で納付する必要がある」場合、うっかり納付し忘れる(未納となる)ことが起こり得ます。
また、転職直後で無職であったり、収入が安定していなかったりすると、意外と高額の住民税を支払えないといったこともあるでしょう。

では、実際に住民税を滞納するとどうなるのでしょうか。また、払えない場合に取れる対処法や、滞納を初めてしまった場合の対応方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

1.住民税とは

まず初めに、「住民税」とは、都道府県や市区町村に支払う地方税です。日本に居住している人は、基本的に自治体へ住民税を払わねばなりません。

国民には納税の義務があるので、支払いをしないと、督促を受けて強制徴収される可能性があります。

サラリーマンの場合には、毎月の給与の中から予め天引きされるので、住民税を滞納することは基本的にありません。

しかし、会社を辞めると、税金は天引きされないので、翌年に、自分で支払わねばなりません。
この場合の住民税の請求は、毎年6月頃に、昨年の1年分の請求書がまとめて届くので、意外と大きな金額に驚いてしまう方もいらっしゃいます(まとめて届きますが、年4回のそれぞれの期限ごとに別に支払うことが可能です)。

また、自営業者の場合にも、売上から税金は天引きされないので、毎年、自分で工面して支払う必要があります。
手元に納税資金を残しておかないと「請求がきたけど払えない」状態になってしまうのです。

2.滞納後の流れ

次に、住民税を滞納してしまった場合の流れを見ていきましょう。

(1) 督促・催告

納税日から住民税の支払いが遅れると、「滞納」という扱いになります。その後、多くの場合は滞納日から20日以内に督促状が発行されることになります。

この督促状に対して、無視をしていると、次に催告状が届きます。この催告状の内容は、滞納者へ自発的な住民税の納付を促すものです。

【督促状の時点で財産の差し押さえは可能】
督促状は「滞納日から20日以内に督促状が発行される」と記載しましたが、実は、地方税法331条では「督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき」に「滞納者の財産を差し押えなければならない」と定められています。
つまり、督促状が発送されてから10日以上経過すると、役所は滞納者の財産を差し押さえられる状況になってしまうのです。
とはいえ、督促状のすぐ後に差し押さえをされることは稀で、実務上はその後の滞納者へ自発的な住民税の納付を促すために催告状が送られるようです。

(2) 財産調査

未納のまま督促・催告を無視し続けていると、今度は「差押予告書」が届き、その後、未納者の財産の調査が始まります。
勤務先・取引先の調査、所得の調査、家族構成などが調査されるようです。

なお、既に「差押予告書」が届いてしまったという方は、以下のコラムをご覧いただくことをお勧めします。

[参考記事]

住民税の滞納を続けて「差押予告書」が届いたらどうすればいい?

(3) 財産の差し押さえ

調査の結果、差し押さえ可能な財産があれば、強制執行(財産の差し押さえ)がされることになるでしょう。

特に、税金の滞納に基づく差し押さえは、一般的な差し押さえとは異なり、差し押さえの前提として債務名義を取得する(例えば、裁判を起こして判決を取る)必要がなく、直ちに財産が差し押さえされることになります。また、基本的に口座、取引先や勤務先等、財産の所在を把握しています。

差し押さえられる財産の典型例としては、給与や預貯金が考えられます。
給与の差し押さえは全額に対してなされるわけではありませんが、日常生活に大きな影響が出てしまうことになります。

[参考記事]

借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事

【滞納の延滞金はいつから課される?】
住民税を滞納した場合、滞納した日から数えて延滞金が課されてしまいます。計算としては、納付すべき税額の14.6%(年率)が基本となります。
住民税の未納は、例え1日でも経済的負担を大きく増すことになってしまうのです。

3.住民税滞納の解決方法

では、住民税を払えない場合、差し押さえ・強制執行を回避するためにどのような対応方法が考えられるでしょうか。

(1) 分割払い

住民税等の公租公課は、自己破産・個人再生等の債務整理を行なっても、一切減免はされません。
よって、どうしても納付することが難しいときは、可能な方法で支払えるよう自治体と交渉する必要があります。

住民税の全額納付が難しい場合は、まずは分割払いで支払うこと(分納)を自治体と交渉してみるのがいいでしょう。

基本的に、この分割払いには、地方自治体によって、支払期限や毎月の支払いの下限額が定められています。
しかし、「収入はいくらで、生活とローンの返済にこれくらい使わなければならないが、毎月〇〇円くらいなら納付できる」と、具体的な数字と共に支払いの意思を見せ、誠実にお願いをすれば、各人の状況によった無理ない分割払いの計画を受理してくれるかと思われます。

逆に、支払う意思がなかったり、収入や支出について嘘をついていたりすると、担当者への心象が悪くなって、分割払い自体を断られてしまう可能性もありますので、ご注意ください。

(2) 猶予制度

住民税の猶予制度を利用することが出来る場合があります。これも上記と同様で、詳しくはお住まいの自治体にご相談ください。

生活保護を受給していたり、病気や障害で医療費が嵩んでいたり、予期せぬ災害に遭って生活が苦しかったりする場合には、その事情を話すことで納付の猶予や減免をして貰える可能性があります。

(3) 税金以外の借金を解決する

上記のような分割払いや猶予制度を活用しても生活が厳しいという場合は、そもそも税金の納付が難しくなっている原因を取り除くということも必要となってきます。

例えば、月々の借金の返済が家計を圧迫していたりしませんか?

借りたお金を新たな借入で返すのは、俗に自転車操業の状態と呼ばれ、事態を悪化させていくだけです。
この場合は、出来るだけ早期に債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)を行い、借金を減免することにより、それまで支払っていた債務の一部を住民税の納付に充てることが出来るでしょう。

【住民税の時効は5年だが、踏み倒しはほぼ不可能!】
住民税は、地方税法により5年の消滅時効が定められています(第18条)。しかし、この時効は他の債務と同じく、あらゆる手続きを踏むことで中断することができます。
自治体側が、納付期限が来てから5年間何も行動を起こさなければ時効が成立しますが、その前に、未納者に対して督促状を送り、徴収の行動を起こすと、その度に、時効が更新し、時効期間がゼロにリセットされます。
また、先述の通り、住民税の取り立ては非常に厳しいものとなります。時効が成立する前に督促され、強制執行となることがほとんどでしょう。事実上、住民税の納付義務が時効で消滅する、という事態が起きることは期待出来ません。
よって「時効になるまで放置すれば良い!」という安易な考えはやめるべきといえます。
参考:借金は時効で消滅する?時効制度とその援用、気になる注意点

4.借金問題の解決は弁護士にご相談ください。

住民税(市民税・都民税)を滞納し続けると、給与の一部や預金口座・不動産などを差し押さえられてしまうリスクがあります。
また、滞納分については、滞納が続く限り延滞金が課されます。

したがって、住民税については、優先的に滞納状態を解消する必要があります。

住民税は、債務整理をしたとしても支払いを免れることは出来ません。
借金問題が原因で住民税の滞納をしている方は、借金問題の根本的な解決が必要になってくるでしょう。

このような借金問題の解決には専門家のアドバイスが不可欠です。専門家があなたの状況にぴったりな債務整理方法をご提案することで、借金返済の負担が軽減され、人生の再スタートをきることができます。

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