借金返済 [公開日]2020年1月6日[更新日]2020年8月11日

時効の援用を自分でやろうとして失敗してしまったら…

消滅時効を成立させるには「援用」という手続きが必要です。
借金問題の場合、「時効の援用」という手続を経ることで、初めて借金から解放されます。

消滅時効の援用は、一般人が自分で行うことも可能です。
しかし、援用ができない場合や、援用に失敗してしまうケースも多々あります。

果たして、援用に失敗するとどうなるのでしょうか?
また、失敗をした場合、その後はどう借金問題に対応していけば良いのでしょうか?

本記事では、時効の援用の失敗に関して解説していきます。
借金が時効になりそうな人や、長期間借金を返済していない人、実際に時効の援用を自力で行い失敗してしまったという方は、ぜひお読みください。

1.消滅時効の援用の効力

消滅時効の援用」とは、消滅時効の期間を経過している場合に「消滅時効の期間を経過しているので借金は支払いません」と主張することです。
これによって消滅時効が成立し、借金の支払い義務もなくなります。

つまり、「消滅時効になる期間が経過するだけ」では、消滅時効は成立していないのです。

援用のやり方は特に決められていませんが、口頭で主張しても後で「言った、言わない」の水掛け論になるので、「内容証明郵便」というもので行うのが一般的です。

内容証明郵便とは、同じ内容の文書を3通作り、1通を相手方に送り、1通を自分で保存し、そして最後の1通を郵便局が保管するものです。

郵便物を送付した事実と文書の内容が郵便局に保存されるので、後で「送った、届いてない」「言った、言わない」という争いを防ぐことができます。

[参考記事]

消滅時効援用通知書の記載内容・書式・書き方について

2.消滅時効の援用に失敗するケース

では、消滅時効の援用ができない(失敗してしまう)のは、一体どういったケースなのかを解説していきます。

(1) 時効期間のカウントを間違えた場合

まずは、時効期間が経過してないのに「経過している」と勘違いして援用をしてしまうケースです。

①時効の期間

消滅時効までの期間は、借金の種類によって異なります。
例えば、以下のようなものは5年で消滅時効にかかります。

  • 消費者金融のキャッシング
  • 銀行のカードローン
  • 信販会社のクレジットカードでできた借金債務

また、以下のような借金は10年で消滅時効を迎えます。

  • 住宅金融支援機構から借りた住宅ローン
  • 信用金庫からの借金(事業目的で借りた場合は5年)
  • 奨学金
  • 個人間の貸し借り
  • 過去に裁判等をされた借金

なお、2020年4月1日に施行される民法改正後は、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間、権利を行使することができる時から10年間」で時効というように変わります。

[参考記事]

2020年の民法改正による消滅時効の変更点とは?

②時効の起算点

時効のカウントを間違える理由として、「いつ」を基準に消滅時効がスタートするかを分かっていないことが挙げられます。

「借金を借りたときから5年(10年)じゃないの?」となんとなく思っている人が多いかもしれませんが、これは違います。
簡単に言えば、以下のように起算点が決まっています。

  • 返済日が予め決まっている場合…返済日が到来したときからカウント開始
  • 「○○が死んだらお金を返すこと」等、到来するのは確実だが時期が不確定な場合…その時期が到来してからカウント開始
  • 返済期限を特に決めていない場合…その債権が成立したときにカウント開始

(2) 時効の中断があった場合

法律には「時効の中断」というものが定められています。
「中断」というと「一時停止」のようなものをイメージすると思いますが、法律用語ではむしろ「リセット」という意味合いに近いです。

例えば、消滅時効まで5年待つ必要があり、消滅時効から3年経って「時効の中断」が起きた場合、そこから2年経てば合計5年になって消滅時効を迎えるわけではありません。
「時効の中断」から再び5年待たなければ消滅時効の期間にならないのです。

時効が中断される理由には、主に以下のようなものがあります。

①借金の一部でも支払った

たまに債権者から「利息だけでも払って下さい」「今払える分だけ支払ってもらえれば大丈夫です」と言われる人がいるようですが、それは時効の中断を狙ったものです。

借金の一部分でも支払ってしまうと時効が中断してしまい、消滅時効が援用できるまでの期間が伸びてしまいます。「承認」といって、借金があることを認めることになるからです。

②借金を返す意思を見せた

債権者から借金を返済するよう請求を受けて「わかりました。払います」と言ってしまうと、それだけで時効が中断してしまいます。
また、「今お金がないので、少し待って欲しい」「支払期間を伸ばしてください」などと交渉しても、同様に時効の中断が起きてしまいます。これも借金があることを認めることになり、「承認」になってしまうからです。

仮に長い間放置していた借金の支払いを請求されたら、「時効になっているかもしれないので弁護士に相談します」などと言って、その場をかわすなど何らかの対策を講じてください。

③(裁判上の)請求を受けた

消滅時効の進行は債権者からの請求によっても中断しますが、この場合の「請求」とは「裁判上の請求」である必要があります。

代表的な例は「訴訟」や「支払督促」です。
単なる郵便や電話による請求では時効中断の効果がないので安心してください。

また、訴訟を受けても裁判で時効を主張することができるため、「訴訟=中断」というわけではありません。

裁判上の請求を受けた場合は必ず弁護士に相談して、善後策を練ってください。
仮に放置してしまった場合、借金を認めることになり全面敗訴となってしまいます。しかも時効の期間が10年になり、さらに10年を経過しないと消滅時効の援用ができなくなってしまいます。

④差し押さえ、仮差押え、仮処分

簡単に説明すると、「差し押さえ」とは、債務者の財産を取り立てて債権を回収することです。
例えば、給料が差し押さえられると、毎月一定額が自動的に債権者に支払われるようになります。

これに対して「仮差押え」や「仮処分」は、債務者が財産を隠すのを防ぐ目的で行われます。
仮差押えや仮処分を受けた債務者は、自由に財産を処分できなくなるのです。

これらが行われた場合は時効が中断しますが、もし、差し押さえなどが取り消された場合、時効中断の効果はなかったことになります。

3.時効の援用に失敗してしまった場合

「消滅時効の起算点を間違えたため、まだ5年または10年経過していなかった」
「時効の中断に関する事柄があったので、時効の援用ができなかった」

こういった場合は、消滅時効が成立していないため、借金を支払わなければなりません

しかし、現実問題として支払えないこともあるでしょう。
何年も借金を放置し続けた結果、利息や遅延損害金が膨らんで、当初よりも支払い額が増えていることがあるからです。

そういった場合は弁護士に相談して「債務整理」を検討してください。
債務整理には「自己破産」「任意整理」「個人再生」など様々なものがありますが、弁護士に相談すれば個別のケースで最適なものを提案してくれますし、債務整理の手続も代行してくれます。

[参考記事]

債務整理を分かりやすく解説!弁護士に相談するメリット~超入門編~

4.消滅時効の援用は自力で行わず弁護士へ相談を

できれば、時効を援用するときにも弁護士に相談して、時効成立に必要な期間を経過しているのかなどを確認しておくと安心です。
弁護士は消滅時効にも詳しいので、援用ができるかできないかの判断もしてくれます。

そのうえで、消滅時効の援用ができるなら時効の援用を、できない場合は債務整理を検討するといいでしょう。
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