借金返済 [公開日]2020年1月24日[更新日]2021年2月19日

不動産の差し押さえを受けるケースとは?

借金を滞納し続けていると、債権者から自宅などの所有している不動産を差し押さえられる可能性があります。

自宅(マイホーム)差し押さえられると、いずれ競売にかけられて他人に売り渡され、住めなくなってしまいます。
ご家族がいる方は家族も共に引っ越しせざるを得なくなるでしょう。

今回は、借金滞納によって不動産を差し押さえられるケースと、不動産が売却される際の流れ、差し押さえを避けるための対処方法を、弁護士がご説明します。

1.不動産の差し押さえとは

「差し押さえ(差押)」とは、対象財産を法的な方法によって動かせなくする(凍結する)手続きです。
たとえば、預金を差し押さえると、預金名義人でも入出金や振込などができなくなります。

不動産を差し押さえると、所有者が対象の不動産を動かせなくなります。売却したり抵当権を設定したりすることができず、「差し押さえ」と登記されるので、第三者から見ても差し押さえを受けている事実が明らかになります。

不動産の差し押さえは「競売」の前段階として行われます。不動産を差し押さえられたら、通常は近い時期に競売を申し立てられるでしょう。

競売とは、対象財産につき裁判所を介して強制的に売却する手続きです。競売が行われると裁判所が期間を定めて入札を行い、もっとも高額な金額で入札した人が落札して購入権を取得します。

代金を納付すると対象財産は落札者のものとなり、元の所有者のものではなくなります。

自宅不動産が競売にかかると、不動産は落札者の所有物になるので債務者は引っ越しをしなければなりません。

[参考記事]

「競売開始決定通知」が届いたらどう対処する?

競売によって支払われた代金は負債の返済に充てられますが、完済できなかった場合には残った負債を債務者が返済する必要があります。

競売で家を失っても残債は免除されないので、支払わなければ債権者からあらためて訴訟を起こされて給料などを差し押さえられる可能性もあります。

2.借金滞納で不動産を差し押さえられるケース

借金返済を滞納して不動産が差し押さえられるパターンには、2種類あります。

(1) 抵当権に基づく差し押さえ

1つは、不動産に「抵当権」が設定されているケースでの差し押さえです。

抵当権とは、債務者がローンの支払いをしないときに、ローンの貸付者である金融機関が不動産を競売にかけることのできる権利です。

住宅ローンや不動産投資ローンを組むときには、金融機関が購入する住宅や投資先のマンションなどの物件に抵当権を設定します。

また、借り入れ人ではない人が他人のために自分の土地や建物を担保に入れて抵当権を設定するケースもあります。
例えば、子どもが融資を受けるときに、親が自分の土地建物を担保に入れる場合などです。

この場合、ローンを利用した子どもが返済を怠ったときに、親の土地建物が差し押さえられ競売にかけられます。

このように抵当権にもとづく競売を「担保不動産競売」といいます。

(2) 一般債権者による差し押さえ

2つ目は、抵当権が設定されていない場合の差し押さえです。

抵当権が設定されていない場合、借金返済を滞納しても債権者がいきなり債務者の所有する不動産を差し押さえることはできず、まずは「債務名義」を取得する必要があります。

債務名義になるのは以下のようなものです。

  • 判決書
  • 和解調書
  • 強制執行認諾条項付きの公正証書
  • 調停調書
  • 審判書

借金を滞納すると、通常債権者は訴訟を起こします。支払いを命じる判決が出て、それが確定したら、債権者はその判決書を「債務名義」にして債務者の財産を差し押さえます。

つまり、自宅などの不動産が抵当に入っていない場合、いきなり差し押さえられることはなく「裁判」という1ステップが挟まることとなります。ただし、強制執行認諾条項付公正証書がある場合は、裁判等をしなくても公正証書を使って差し押さえが可能となります。

[参考記事]

強制執行に必要な債務名義とは?取得されてしまった場合の対処法

差し押さえられた後の流れは抵当権が設定されているケースとほとんど同じで、競売を申し立てられて不動産の強制売却が進められます。

一般債権者による差し押さえ後の競売のことを「強制競売」といいます。

なお、税務当局などによる滞納処分による差し押さえは、裁判等を経ずに行うことが可能です(国税通則法等の法律により特別な権限が付されているため)。

住民税、固定資産税、その他社会保険料の滞納がある方は注意が必要です。

3.不動産差し押さえから競売終了までの流れ

次に、不動産差し押さえから競売までの流れをご紹介します。
ご自身が今どの状況にいるのかを把握し、適切な対応をすると共に、必要なら弁護士などの借金問題に詳しい人へ相談をしましょう。

不動産が差し押さえられるまでの流れは、抵当権が設定されているかどうかで異なります。

(1) 抵当権が設定されている場合

抵当権が設定されている場合、ローンを3~6か月分程度滞納した頃に保証会社が代位弁済をします。

[参考記事]

代位弁済をされたら弁護士に相談を!|住宅ローン・カードローン

そして、保証会社から金融機関へ支払った元本と利息、遅延損害金と代位弁済後に発生した遅延損害金について、債務者へ一括請求が行われます。

債務者が支払いに応じない場合、保証会社は抵当権に基づき不動産を差し押さえて担保不動産競売にかけます。

(2) 抵当権が設定されていない場合

抵当権が設定されていない場合、債務者が借金を滞納しただけでは差し押さえされません。滞納がしばらく続くと債権者から訴訟を起こされ、判決で支払い命令が確定したら確定判決に基づいて差し押さえをされます。

その後は強制競売によって不動産が売却されます。

(3) 不動産が差し押さえられた後の流れ

不動産の差し押さえ後は、以下のようにして売却手続きが進みます。

①競売開始決定

担保不動産競売や強制競売が申し立てられ、要件を満たしていれば裁判所は競売開始決定を出します。

債務者や担保不動産の所有者宛に競売開始決定通知が届きます。

②現況調査と評価、売却基準価格の決定

競売開始決定があると、1~3か月くらいしてから裁判所の職員が現況調査に訪れ、不動産の様子を見て写真撮影を行ったり所有者に質問をしたりします。

その後、調査結果を踏まえて売却基準価格が決まります。

③期間入札通知

期間入札の期日が決まり、期間入札通知が債務者や不動産所有者の元へ届きます。

④一般公開・入札・開札

物件が一般公開されます。不動産会社などが裁判所で物件情報を閲覧したり、不動産の様子を見に来たりします。

その後、購入を希望する人は期間内に入札します。
入札期間が終了すると、開札が行われます。

基本的に、もっとも高額な金額で入札した人へ売却許可決定が出ます。

⑤代金の納付と所有権の移転

売却許可決定を受けると、買い受け人が売買代金を裁判所に納付します。
それと引換えに物件の所有権移転登記が行われます。

差し押さえが行われてから物件が実際に売却されて所有権が移転するまで、だいたい8~12か月くらいかかります。

差し押さえられてもすぐに退去しなければならないわけではありませんが、いつまでも住み続けることは不可能です。早めに引っ越しの準備をして転居する必要があるでしょう。

4.不動産の差し押さえを受けたら

不動産の差し押さえを受け、競売が申し立てられてしまっても、開札日の前日までならば「任意売却」によって競売を回避(取り下げ)できます。

[参考記事]

競売を取り下げてもらうことはできる?

また、借金を滞納して不動産を差し押さえられそう・差し押さえられてしまったときでも、個人再生などの債務整理をすれば、差し押さえを解除し住宅を守りながら借金を減額できる可能性があります。

[参考記事]

住宅ローンの巻き戻しとは?|個人再生

滞納を放置して家が失われると、その不利益はかなりのものでしょう。
借金返済が苦しくなったとき・不動産を差し押さえられたときには、お早めに弁護士までご相談ください。あなたにぴったりの解決方法をアドバイスいたします。

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