借金返済 [公開日]2020年1月6日

動産執行が行なわれそうな場合、どう対応すべきか?

借金を滞納し続けると、「強制執行」が行われます。
強制執行の代表的なものは、口座預金や給料の差し押さえですが、それだけではなく、動産の差し押さえが行なわれることもあります。これを、強制執行の中でも「動産執行(動産の差し押さえ)」と言います。

動産執行では、価値のある家財道具(生活必需品ではないもの)・現金・絵画・株券などが差し押さえの対象となります。
差し押さえを受ける側としては、何としてでも動産執行を回避したいと考えるでしょう。

そこで今回は、動産執行の詳しい内容、特徴、動産執行が行われるケース、動産執行を回避する方法まで、わかりやすくご説明します。

1.動産執行(動産の差し押さえ)とは?

動産執行とは、債権回収に関する裁判で、債務者が敗訴したにも関わらず、任意に支払いを行わない場合に取ることの出来る強制執行方法の1つです。
強制執行には、債権執行や不動産執行などがありますが、その他に、強制執行の1つとして、動産執行という手段があります。

動産執行は、いわゆる差し押さえです。
しかし、いきなり差し押さえが行なわれることはなく、あくまで裁判という手続きを踏んだ上で、支払い命令(判決等)が出て、それでも支払をしない場合に取られる最終手段といえます。

もっとも、どんなケースでも裁判が必要というわけではなく、例えば、法律上、債務名義(強制執行の根拠となる文書)の1つとされている「強制執行認諾文言付きの公正証書」を債権者が持っている場合には、裁判なしで(予め判決等を取得せずとも)、直接その公正証書に基づいて動産執行を行なうことが出来ます。

強制執行認諾文言付きの公正証書は、債務者が支払いをしなかった場合にすぐに強制執行が行なえる公正証書であり、公証人が作成する文書となります。

[参考記事]

強制執行に必要な債務名義とは?取得されてしまった場合の対処法

これ以外でも、裁判で支払い命令を出す前に当事者間で裁判上の和解(あるいは和解に代わる決定)が成立した場合で、債務者が和解条項で定められた支払期日に支払いをしない場合に、動産執行が可能というケースもあります。

まとめると、強制執行は、強制執行の根拠となる債務名義が成立していないと行なうことは出来ないため、以下のケースで、強制執行としての動産執行が行なわれます。

  • 裁判所の支払い命令が出たにも関わらず、支払いを債務者が怠った場合
  • 強制執行認諾文言付きの公正証書がある場合
  • 裁判で債務者が支払う旨の和解をしたのにも関わらず、期日までの支払いを債務者が怠った場合

動産執行では、以下のようなものが、差し押さえられます。

  • 価値のある家財道具(生活上最低限必要な家財道具は、差押禁止動産とされています)
  • 現金
  • 絵画
  • 時計
  • 宝石類
  • 骨董品
  • 株券
  • 機械
  • 什器、など

動産執行の場合は、執行官が債務者の家や会社(差し押さえ対象となる動産の所在地)に赴き、直接差し押さえを行なう点が特徴です。

2.動産執行が行われるケースと手続きの流れ

では、動産執行が行われるのはどのようなケースなのでしょうか。
預金や給与を差し押さえる方が債権回収に関して確実に感じますが、なぜ動産執行が行なわれるのでしょうか。

先にご紹介したように、強制執行にはいくつか種類があります。そして、どの方法を選ぶかは、最終的には債権者の自由です。

つまり、債務者の財産で差し押さえられそうな預金や動産、不動産がある場合、債権者は強制執行の手段を選ぶことが出来るわけですが、複数ある財産のうちどれを差押対象とするかについては、優先順位はありません。

動産執行を選択する理由としては、動産執行で債権が回収出来るとするメリットがあるからです。

預金や給与差し押さえの方が確実に思えますが、口座にお金がない場合などは口座を差し押さえることは出来ません。また、不動産などの回収可能性の高いものを債務者が有していない場合に、動産執行を行なうケースもあります。

あるいは、自宅や会社に裁判所の執行官が何度も差し押さえにやってくるという状況は、債務者にとっては嫌なことなので、動産執行のアクションを取ることで、債務者に任意の支払いを促すという心理的な効果も考えられます。

3.動産執行の流れ

次に、動産執行の流れをご説明します。

まず、一般的には、債務名義を得るため、債権者が債務者に対して債権の支払に関わる裁判を起こします。裁判で債務者に支払を命じる判決が出て、その判決が確定したら、強制執行の手続に入ります。

動産執行を行なう場合は、執行申立書を裁判所に提出します。
申立の提出先は、差し押さえ対象となる動産の所在地を管轄する地方裁判所の所属する執行官室です(動産執行の申立は、裁判所に対してではなく、執行官に対して行なうものなので、法律的な意味では「管轄裁判所」というものはありません)。

動産執行は執行官が行なうため、執行官との間で、執行日時を調整します。
その後、動産執行の予定日に、執行官とともに、対象となる動産の所在地=債務者の自宅や会社などに赴きます。

なお、債務者が差し押さえを拒否するケースや債務者が不在のケースもありますので、この場合は、強制解錠(鍵屋により鍵が開けられるなど)が行なわれ、中に入ります。

ただし、中への立ち入りは、原則として執行官しか出来ません。債権者や代理人弁護士が中へ立ち入るには、債務者本人の任意の許可が必要です。

債務者から中への立ち入りを拒否された場合、債権者及び代理人弁護士は、執行官から中の状況を伝え聞いた上で、どれを差し押さえ対象とするかを判断することになります。また、現場では、執行官が債務者を外に連れてきて、外で待っている債権者と直接話し合わせるケースも多いです。

差し押さえ時は、現金(ただし、66万円以下の現金は、法律上差押禁止財産とされています)や、その他に価値がありそうな動産があれば差し押さえます。これらは原則として、持ち帰り保管します。

執行官は、差し押さえから1ヶ月以内に売却期日を決定し、動産を売却したお金で、債権回収を行ないます。

動産の売却方法としては、売却期日に専門業者を連れてきて買い取って貰う方法の他に、債権者自身が購入して、購入代金と債権を相殺処理する(購入した動産は別途転売して換金する)方法もあります。

この売却期日は、債務者にも事前に通知がされますので、どうしても差し押さえ対象の動産を手元に残したい債務者は、自ら競り落とすか、あるいは、友好的な第三者(購入後も債務者による使用を認めてくれる第三者)に競り落として貰うことを目指して、売却期日までの準備をすることになるでしょう。

4.動産執行を回避する方法

(1) 裁判になる前に支払い・分割払いの交渉を行なう

動産執行を回避するためには、債務者が任意に支払いを行なう以外に方法はありません。催告書などを無視していると、いずれ裁判を起こされてしまいます。

そのため、出来るだけ早い段階で借金の支払いを行ないましょう。裁判が始まってしまうと、ほとんどの場合(過払い等の特段の争点がない限り)、あっという間に(裁判を起こされてから大体2~3か月後には)支払い命令が下されます。

もっとも、生活も困窮し、もはや借金の支払いが出来ないケースも多いでしょう。

この場合は、支払いが難しいと判断出来た段階で、弁護士に相談して下さい。支払期限の延長や、分割支払いの交渉を行なって貰える可能性があります。

裁判が確定した後では、これらの交渉は難しくなってしまいますので、早い段階で相談するのが大切です。

(2) 個人再生か自己破産を検討する

裁判で支払い命令が出て、支払いも出来なかった場合、強制執行を避けることは原則として出来ません。

しかし、債務整理を行なえば、強制執行を回避することが出来るケースもあります。
具体的には、裁判所を通じて、個人再生か自己破産を行ないます。

借金が返済出来ない場合は、借金を大幅に減額して貰うか(個人再生)、全て免除して貰う(自己破産)、法的な債務整理手続を検討することになります。

個人再生の場合は、再生計画を提出することで概ね1/5程度まで借金の減額を裁判所に認めて貰うことが可能です。住宅ローンを残せるケースもあるため、借金は多いが減額すれば返済は可能だ、という方に向いています。

自己破産は、原則として債務者の有する全債務を免除することが出来る、裁判所を介した債務整理手続です。減額してもなお返済が出来ない場合、生活がままならないほどの大きな借金を抱えている方に向いています。

これらの債務整理方法の場合、債権者は、破産や再生の手続開始決定が出ると、新たな強制執行の申立てが出来なくなります。また、既に強制執行手続が開始された後でも、破産や再生の開始決定があれば、係属中の強制執行手続が停止されることもあります。

なお、債務整理には、利息を整理して減額を図る任意整理という方法もありますが、この場合は強制執行をストップすることが出来ません(止めるには、申立の取下げに任意に応じて貰うしかありませんが、現実には困難でしょう)。
他方、まだ裁判などが起こされていない初期の段階であれば、任意整理で対応することも可能でしょう。

[参考記事]

銀行口座が差し押さえられた!どうすれば良い?

[参考記事]

借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事

5.動産執行が行われそうなら弁護士に相談を

動産執行は、家財道具や家にある現金などが差し押さえられてしまう強制執行方法です。
生活に最低限必要な物は差し押さえの対象となりませんが、差し押さえられてしまうと、換価処分が行なわれ、原則として、自分の元に戻ってくることはありません。

そのため、強制執行が行なわれる前に、何らかの対処を行なうべきです。

債務整理は、強制執行を回避する方法として有効ですが、手続の方法によってはいくつかのデメリットもあるため、事前に借金問題に詳しい弁護士にご相談頂くことをお勧めします。
泉総合法律事務所の弁護士と一緒に、借金問題を解決していきましょう。

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