車のローンが払えないとどうなる?相談先・対処法を解説
「車のローンが払えない」「払わなかったからローン会社に車を返すしかないの?」
新型コロナウィルス感染症の影響で失業する人や収入が減る人が増えたため、こういった悩みも増加傾向のようです。
貯金を切り崩してローンを支払っているうちに生活そのものが苦しくなって、結局マイカーを手放すことになってしまう人もいるかもしれません。
この記事では、「車のローンを払えない場合はどうなるのか?」「払えない場合の解決方法はあるのか?」について解説します。
1.車のローンが払えない場合どうなる?
車を買うときは、よほど安い車でない限りローンを組むのが一般的です。
しかし、ローンを組むときには審査があり、時間がかかります。
そういった手間を解決するために、銀行系のカーローンよりも手続きが簡便で最短即日融資をしてもらえる「オリコ」や「ジャックス」などのディーラー系のカーローンを利用する人も多くいます。
しかし、こういったローンは、銀行などより数%程度金利が高いというデメリットがあります。
そのため、車を買ったのはいいものの、ローンの返済に困っている人が少なからず存在します
はたしてローンの返済を滞納するとどうなるのでしょうか?
(1) 返済遅れの連絡
引き落とし日に残高不足で銀行口座からお金を引き落としできないと、数日中にローンの債権者から連絡がきます。
連絡の方法は郵便がメインですが、電話やメールのこともあるようです。
まだこの時点では「残高不足で引き落としができませんでしたので、すぐに払ってくださいね」程度のニュアンスです。
(2) 督促状の送付
連絡を受けても滞納している場合、「督促状」等と書かれた文書が送られてきます。
「この期間までに支払いがない場合、一括払いを請求します」「法的措置を実行します」など、強く支払いの請求をする文面になっていることがあります。
(3) 期限の利益の喪失(残額の一括請求)
督促状などに定められた期間に支払いができない場合、債務者は「期限の利益」というものを失います。
「期限の利益」は「分割払いをできる権利」のようなもので、これがないとローンの残額を一括で支払わなければならなくなります。
債権者は一括払いを請求できるようになるため、改めて督促が行われるでしょう。

[参考記事]
「期限の利益喪失通知」が届いた後にするべきこと
(4) 自動車の回収や裁判
それでも無視・滞納を決め込んでいると、自動車が回収されたり訴訟を提起されたりします。
自動車の引き上げ
ディーラーローンの場合、完済までの間、ローンの対象である自動車の所有権はローンの債権者にあることが多いです(「所有権留保」と言います。)。
そのため債権者は、自己の所有権に基づいて、合法的に車を回収できるのです。
債権者は回収した車を売却するなどして、少しでも債権の回収を図ります。
自動車の引き上げ方法については、「ある日突然債権者がやってきて、駐車場から黙って自動車を持っていく」わけではありません。
前もって「引渡し同意書」などの書類に署名を求められることになります。
署名を拒否することもできますが、その後は大抵の場合裁判で争うことになってしまい、余計な手間が増すだけになります。
裁判
裁判で負けると、債権者が「債務名義」という書類を勝ち取ることになります。
債務名義を取得した債権者は、自動車や給与、銀行口座などを差し押さえて(強制執行)、債権の回収を図ることができるようになります。
裁判を起こされた場合、裁判外で「こういった条件で支払いますので訴えを取り下げてください」などという和解をするのが現実的です。
以上が一般的な流れですが、早い場合は2ヶ月程度で自動車を回収されることもあるようです。
ローン会社によって一律に「◯ヶ月後に回収」などと定めている場合もありますが、悪質と思われる滞納者に対しては早い段階で車の回収や裁判に踏み切る可能性も0ではありません。
「1ヶ月までは滞納しても大丈夫」などと油断していると痛い目に遭うかもしれないので、早めの対処が重要です。
(5) ローン会社に車を返しても返済義務はある
「車を返せば返済義務もなくなる」と考えるのは甘いです。
債権者は車を売却して債権を回収しますが、売却額がローンの残額に届かない場合、足りない部分を債務者に請求できます。
「中古車市場でも人気の車種なら高く売れるのでは?」と思っても、実際には乗り回した分だけ劣化していますし、型式も古くなっているため、ローンを完済できる値段では売れないことが多いです。
「中古車市場でよく見受けられる車種、例えばアルファードやヴェルファイア等なら大丈夫では?」と考える人もいるようですが、こういった車は維持費の高さから手放す人も多く、タイミングによっては供給過多になっている可能性もゼロではありません。
買取価格がどうなるかは売るときになってみなければ確定的なことが言えないのが現状です。
いずれにしろ「車を返した=借金も0」というわけにはいかないことを覚えておきましょう。
2.車のローンを払えない場合の相談先と対策
1人で悩んでいても、ローンを支払えないことに変わりはありません。
こういった場合、相談先は以下の2つです。
(1) ローンの債権者へ相談
オリコならオリコ、ジャックスならジャックスの相談担当窓口があります。
そういった窓口に電話をして、事情を話して支払いが遅れる旨を伝えて相談してください。
ローン会社も債権の回収をしなければ赤字になるので、無理のない返済プランを考えてくれるでしょう。
例えば以下のようなプランです。
- 月々の返済額を減額:月々の返済額を減らす代わりに返済期間を伸ばすといった対処をしてくれることがあります。
- 返済のリスケジュール:返済を少し先延ばしにしてくれるような対応です。また、災害などやむを得ない事情がある場合は、一時的に支払いを猶予してもらえるかもしれません。
滞納を続けた場合はこういった相談に応じてもらいにくくなる可能性が高いので、支払えないと分かったら早い段階で問い合わせてください。
(2) 弁護士へ相談
弁護士に依頼すれば、借金を法律に則って解決する手助けをしてくれます。
例えば、自動車ローン以外の借金が多くある場合、自己破産や個人再生といった「債務整理」をすれば、借金を免除または大幅に減額することが可能です。
問題は債務整理をすると、ローン支払中の自動車を債権者に回収されてしまう点です。
しかし、第三者弁済や保証人による支払いにより、ローン支払い中の車でも手元に残しておける可能性はあります。

[参考記事]
自己破産でも車を残したい!自家用車を残す方法とは?
また、個人再生の場合、仕事や生活に自動車が不可欠など特定の事情があれば、「別除権協定」を結ぶことで自動車の処分を免れることができるかもしれません。
いずれの方法も難しい場合でも、自己破産や個人再生ではなく「任意整理」という債務整理を選択することで、自動車ローン以外の借金を減額すれば、自動車ローンを支払うための費用を捻出できるかもしれません。
あなたにとって最適の借金解決方法については、一度弁護士からアドバイスを受けてみることをお勧めします。
3.自動車ローンの滞納について、よくある疑問
最後に、自動車ローンを滞納した人がよく疑問や不安に思う点をピックアップして、簡単に解説していきます。
(1) 保証人へ請求が行く?
滞納を続けていると、ローンの連帯保証人へも連絡が行きます。
連絡のタイミングはローン会社によって違いますが、早ければ滞納開始から1ヶ月程度でも連絡されるようです。
主債務者がローンを払えない場合、保証人が代金の支払い請求を受けることになるでしょう。
なお、個人再生・自己破産などの債務整理をした場合にも、保証人に連絡が行くので注意が必要です。

[参考記事]
自己破産・個人再生などをすると連帯保証人にどのような影響を与えるか?
(2) 勝手に車を売るのは厳禁
「どうせ回収されるのであれば、自分で車を売却して返済に充てたい」と考える方もいるでしょう。
しかし、ローン返済中はローン会社に車の所有権があるので、勝手に売却してはいけません。
仮に売却するなら、以下のパターンになります。
- ローンの残額を一括返済後に車を売却
- 車の所有権者の名義をローン会社から債務者に変更してから売却
後者の場合、売却して得たお金をローンの残額の返済に充てなければならず、足りない部分は自腹で返済しなければなりません。
(つまり乗っていない車のローンを支払う状態になります。)
また、名義の変更についてローン会社の同意を得られないこともあるので、必ず実行できるとは限りません。
4.自動車ローンの延滞・滞納の最終手段は弁護士への相談
新型コロナウィルス感染症の影響による失業やボーナスの減額などで、自動車ローンを支払えない人が増えているようです。
支払えない場合、まずはローン会社と相談するべきです。
延滞を繰り返しすぎて既にローン会社と相談ができないような状態であれば、弁護士に相談することで打開策を見出すことができるかもしれません。
一人で悩んでそのままにしていると、遅延損害金が増えて事態は悪化するばかりです。
どうぞお早めに債務整理に強い弁護士に相談して、活路を開いてください。