債務整理 [公開日]2021年2月12日[更新日]2021年2月12日

住宅ローン以外の借入が支払えない場合どうしたら良い?

「住宅は一生の買い物」と言われます。
大抵の人は住宅ローンを組んで住宅を購入するため、場合によっては人生の4分の1〜3分の1などという長期間を住宅ローンの支払いに充てることになります。

住宅ローンを組む場合は入念な計画をする人が多いので、支払いに困るということはないかもしれません。

しかし、予定外の事情で他の借り入れが発生した場合は話が別です。
住宅ローンは払えても、カーローンや消費者金融、クレジットカードの支払いなどができなくなることもあるはずです。

そういった場合はどうすればいいのでしょうか?

ここでは、「住宅ローンは何とか払えているけれど、他の借金の支払いが厳しい」という人のために、おすすめの解決策を提示していきます。

1.住宅ローン以外の借金を減額する方法

借金を返せなくなった場合は「債務整理」をするべきです。
債務整理には「自己破産」「任意整理」「個人再生」があるので、簡単に説明しながら住宅ローンとの相性を見ていきます。

(1) 自己破産

自己破産は、裁判所に申立てをして借金をゼロにしてもらう債務整理です。
その代わり一定以上の不動産は裁判所に没収されてしまいます。

住宅ローンもそれ以外の借金も自己破産をすればゼロになりますが、住宅はほぼ確実に失ってしまうのです。

住宅ローンを払える余力があって住宅を失いたくない場合は、自己破産を選ぶべきではありません。

(2) 任意整理

任意整理は、各債権者と個別に交渉して借金に将来発生する利息などをカットしてもらい、分割払いのスケジュールを組み直すものです。

住宅を残す場合は住宅ローン債権者以外の債権者と交渉して、減額やリスケジュールを図ります。

債務整理の中でも最も多く行われているのが任意整理ですが、減額効果が薄いのが難点です。

任意整理を選択した場合、住宅ローンを従来のまま支払いながら、他の借金の少なくとも元本部分を支払わなければいけません。
そのため、借金の額が大きい場合、効果的な解決方法とはならないこともあるでしょう。

(3) 個人再生

住宅ローンの支払いがある場合、最もおすすめの方法が個人再生です

個人再生は裁判所に申立てを行い、借金を大幅に減額してもらって、減額後の借金を原則3年程度かけて少しずつ返済していく債務整理です。

減額という意味では任意整理と似ていますが、減額効果は任意整理と比べ物になりません。
借金総額や様々な条件にもよりますが、個人再生をすれば借金が最大で10分の1になることもあります。

そして個人再生には「住宅資金特別条項」、通称「住宅ローン特則」という制度があり、これを使えば住宅ローン支払い中の住宅を手元に残したまま債務整理ができます

次の項目では、この住宅ローン特則について少し詳しく説明していきます。

2.住宅ローン特則について

(1) 住宅ローン特則の概要

住宅ローン特則とは「住宅ローンを従来どおり支払うことを条件として、住宅を手元に残したまま住宅ローン以外の借金を減額してもらえる」という制度です。

「住宅ローン以外の借金を何とかできれば住宅ローンの支払いを継続できる」という人にはピッタリの制度と言えます。

【住宅ローン特則が設けられた理由】
債務整理をすると、当初の約定通りの返済を受けられなくなった債権者が住宅に設定された抵当権を実行し、住宅を売りに出してしまいます。住宅ローン特則がなければ、個人再生をするとほぼ確実に債権者が抵当権を実行するため、債務者は住宅を失ってしまいます。
しかし、個人再生が目的とするのは「債務者の経済的再建」です。個人再生によって債務者が生活の本拠であり基盤である住宅を失ってしまっては経済的再建が難しくなり、本末転倒になってしまいます。
住宅ローンの債権者としては、当初の約定に沿った支払いをしてもらえれば抵当権を実行する必要がなくなります。そこで、住宅ローンを個人再生の対象から外して、従来のまま住宅ローンを支払うことができるという特則が設けられました。
これによって、債務者は個人再生をしても債権者によって抵当権を実行されず、住宅を手元に残せるようになったのです。

 

なお、もし住宅ローンに保証人・連帯保証人がいる場合、住宅ローン特則を使って従来通りの支払いを続ければ保証人にも迷惑はかかりません。

(2) 住宅ローン特則を利用できる条件

メリットの大きい住宅ローンですが、誰でも利用できるわけではありません。
住宅ローン特則を利用するには以下のような条件を全てクリアしている必要があります。

個々の詳しい解説はリンク先をご参照ください。

  • 個人再生ができる条件を満たしている
  • 借入の種類が、いわゆる「住宅ローン」であること
  • 住宅ローンの支払い方法が分割払いになっていること
  • 対象の住宅が「債務者本人の住宅」であること
  • その住宅が「居住用」であること(別荘などは不可)
  • 店舗兼住宅などの場合、床面積の2分の1以上が居住用であること
  • 債務者が既に居住しているか、居住する予定の住宅であること
  • 住宅に住宅ローンの抵当権が設定されていること
  • 住宅に住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと
  • 保証会社による代位弁済から6ヶ月経過していないこと
  • 税金の滞納などで住宅に差押登記がなされていないこと

[参考記事]

住宅資金特別条項(住宅ローン特則)の利用要件

3.住宅を残す場合の注意点

「個人再生をしても住宅ローン特則を利用して住宅を残せれば全て解決」というわけではありません。
注意点がいくつかあるので、代表的なものを以下で紹介していきます。

(1) 住宅ローンの支払いは続く

個人再生をすれば借金が減額されますが、住宅ローン特則を利用すると住宅ローンの支払いはそれまで通り継続します。

債権者と交渉してある程度支払いスケジュールを調整してもらうことは可能ですが、基本的に支払う額は減額されません。

もし個人再生後に住宅ローンの支払いを滞納すると、分割払いをできる権利を失って一括払いを求められたり、個人再生が取り消されるなどして減額してもらった債務が復活したりします。

支払いを遅らせないために、現実的に実行可能な再生計画(返済計画)を弁護士と相談しながら作成してください。

(2) 個人再生後の支払い額が上がる

自己破産と違って、個人再生では基本的に財産を処分されることがありません。(しかし、ローン支払い中の車などは引き上げられてしまう可能性が高いです)。

その代わり個人再生には「清算価値保障原則」というものがあります。

清算価値とは「自己破産をしたときに債務者の財産を処分してお金に換え、債権者への弁済に回される金額」です。
個人再生には清算価値以上の金額を債権者に支払うルールがあります。

この原則があるため、持ち家という大きな財産を手元に残したままだと清算価値が上がり、個人再生後の支払い額が上昇してしまいます。

場合によっては「任意売却」などの方法で住宅を手放した方がいいかもしれないので、弁護士と一緒にシミュレーションをするなどして検討することをおすすめします。

[参考記事]

任意売却は弁護士に依頼すべき?

4.借金の解決や任意売却は弁護士に相談を

住宅ローン以外の借金を整理すれば住宅ローンを支払える場合は、個人再生をして住宅ローン特則を利用するといいでしょう。
そうすることによって持ち家を手放すことなく、住宅ローン以外の借金を大きく減らすことができます。

しかし、場合によっては住宅を売る「任意売却」なども考えるべきです。

弁護士なら個人再生や任意売却の相談に対応可能です。それぞれの事情に応じて最も損のない方法をアドバイスしてくれるでしょう。

「借金で困っている」「持ち家のことが心配だ」などのご不安があれば、ぜひ泉総合法律事務所の弁護士までご相談ください。誠心誠意対応させていただきます。

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