自営業者で自己破産!事業継続は?売掛金と自由財産の拡張について

債務整理

自営業者で自己破産!事業継続は?売掛金と自由財産の拡張について

自営業者とは、会社に勤めて給料をもらっている人ではなく、独立して個人で事業を営んでいる方のことです。

個人事業主とも呼ばれ、自営業には飲食業、建築業、Webデザイナー業、通販小売業、美容院、整骨院、コンビニのフランチャイズ契約など、さまざまな業種があります。

ここでは、そういった自営業者の方が自己破産をした場合の注意点について、特に売掛金に注目しながら説明していきます。

1.自営業者の債務整理

(1) 自営業の借金理由と事業継続

自営業者の方の借金理由の多くは、売上減少による自営の資金繰りのためです。また、その要因は売上が減ったことで赤字状態に陥ったことなのですが、赤字状態を改善できる目途が立っていないと、自己破産を相談した弁護士から自営業を止めるよう忠告を受けると思います。

なぜなら、自己破産の目的は「借金を免除し、人生を再スタートさせること」であるため、「赤字状態が続くなら生活の再建は不可能である」と考えられてしまうからです。

これまで腕一本で続けてきた商売ですので、弁護士としても「自営業を止めてください」と伝えることは大変心苦しいのですが、これも借金の免除を勝ち取るためには致し方ないことであるとご理解ください。

(2) 原則として「管財事件」

また、一般のサラリーマンの借金や財産状況に比して複雑であるという理由により、自営業者の方の自己破産手続は、原則、管財人弁護士が就く「管財事件」で進めていくことになります。

2.売掛金について

(1) 売掛金とは

売掛金とは、簡単に言いますと「お客さんに商品の販売やサービスを提供したけれども、そのお客さんからまだ代金を受け取っていない売上」のことです。

売掛金は、自営業を営んでいれば、必ず発生するものですが、全ての売掛金が自己破産手続上、問題になるわけではありません。

(2)没収されうる売掛金

①給料と売掛金の違い

売掛金は、仕事をした分の対価と考えられる点ではサラリーマンの給料と同じですが、自己破産手続上、給料と売掛金の扱いは異なります。

給料は、生活をしていく上で必要不可欠なものであり、自己破産手続をしたからといって管財人弁護士に渡す必要はありません。

一方、売掛金の場合、一般の給料とは性質が異なるものであるとはいえ、自営業者の方が生活をしていく上で必要不可欠なものであるという点では、サラリーマンの給料と同じです。

しかし、売掛金を回収した場合、原則、借金が残っている業者へ分配する名目で、管財人弁護士に渡すことになります。

②「破産手続開始決定」が出るタイミング

自営業者の方が自己破産をする場合、売掛金について一番注意しなければならないのが、「破産手続開始決定の時期」と「売掛金の回収時期」です。

図を使って説明しますと、売掛金の回収には3パターンあります。

破産手続開始決定

A、破産手続開始決定前に仕事をするなどして、破産手続開始決定前に売掛金を回収するパターン

この場合、破産管財人弁護士が就く前の段階ですので、破産手続開始決定前に回収が終わっていれば、その後管財人弁護士が就いたとしても渡す必要はありません。

B、破産手続開始決定前に仕事をするなどして、破産手続開始決定後に売掛金を回収するパターン

これに該当する売掛金は、原則、回収したあと速やかに管財人弁護士に渡す必要があります。

C、破産手続開始決定後に仕事をするなどして、破産手続開始決定後に売掛金を回収するパターン

破産管財人が就いたあとの段階ですが、破産手続開始決定後に仕事をするなどして発生した売掛金は、新たに自己破産した人が取得した財産(「新得財産」と言います)と考えられ、管財人弁護士に渡す必要はありません。

以上のとおり、Bのパターンの売掛金は回収後に管財人弁護士へ渡す必要がありますので、いつ破産手続開始決定が出るように自己破産の申立を行うかについて、自己破産を依頼した弁護士と入念に打合せする必要があります。

また、いつ裁判所が破産手続開始決定を出してくれるのかは決まっておらず(東京地裁本庁のみ、弁護士が裁判官と面談をした翌週の水曜日の17時と決まっています)、各裁判所の運用を知っておく必要があると言えます。

③管財人弁護士に渡す必要がない売掛金

先ほど、売掛金の回収について3パターンを説明しましたが、自営業の業種によっては例外的な売掛金があります。

一般的に、先ほどの3パターンは仕事をするなどしてから売掛金を回収するまでにある程度の日数を要す性質のものでしたが、その逆で、仕事をしてすぐに売掛金を回収できるものは、自己破産手続上、問題とされないのが一般的です。

たとえば、飲食業や美容院などがその業種に該当します(「ツケ」の会計などは例外です)。

(3) 自由財産の拡張

サラリーマンの方が1ヶ月分の給料を没収されるのと同じように、自営業者の方も、先ほどのBのパターンに限りますが、売掛金が没収されてしまったら生活が成り立ちません。

自己破産の目的は「借金を免除し、人生を再スタートさせること」であると言われていますが、生活の糧となる金銭が手元になければ最低限の生活すら送ることができず、その目的を達成することは到底できません。

そこで、自己破産手続上、認められている「自由財産の拡張」という制度を利用します。それを主張することによって、本来であれば管財人弁護士に渡さなければならない売掛金であっても、それを没収されてしまうと生活が成り立たないことを管財人弁護士と裁判所へ説明することで、没収を回避することができる場合があります。

「売掛金を没収されてしまうと生活が成り立たない」ことをしっかり説明できれば、「自由財産の拡張」は認められることが多いです。

ですが、そもそも対象となる売掛金の金額が少なく、その売掛金がなくても生活が成り立つと考えられる場合や、他の財産を現金化して生活費を賄える(穴埋めできる)場合は認められないこともあります。

3.一社専従について

自営業の取引先が1社のみであり、取引先から定期的に報酬を受けていること(支給日が毎月固定されていればなお良し)、取引先の管理下で仕事をしていることなどが説明できれば、自営業は「一社専従」であると言え、その自営業者の方は取引先で働く社員と同じであるとみなされます。

この場合、受領した売掛金は「給料」と同一に考えられるため、自己破産手続上、何ら影響を受けることなく、その他の財産状況や借入理由によっては「同時廃止」で自己破産手続を進めることも可能です。

4.自営業者の方の自己破産は泉総合へ

以上が、自営業者の方が自己破産手続をとるうえで、特に売掛金に着目した注意点になります。

破産の法律には「自由財産の拡張」という制度がありますが、これは必ず認められるという制度ではありません。したがって、安全を期すためには、先ほどご説明したように、破産手続開始決定前の仕事によって生じた売掛金は、できるだけ破産手続開始決定前に回収しておくことをおすすめします。

泉総合法律事務所には、自営業者の方から借金問題に関する多数の相談が寄せられており、それらを自己破産によって解決してきた実績も豊富にあります。また、一都三県内における裁判所のうち、いつ破産手続開始決定を出すのかが決まっているのは東京地裁本庁だけです。

しかし、泉総合法律事務所では、東京地裁本庁以外の運用もきちんと把握しておりますので、各裁判所が破産手続開始決定を出すタイミングを予測することが可能です。
したがって、ご依頼者様(特に自営業者の方)の不利益を最大限回避して自己破産手続を進めていくことができます。

自営業者の方で自己破産を検討されている方は、是非とも泉総合法律事務所にご相談ください。借金問題のご相談は何回でも無料です。

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