任意売却 [公開日]2018年1月10日[更新日]2021年2月2日

離婚の際に任意売却をするメリット

これから離婚の話し合いを進める方は、住宅ローンが残ったマイホームの処理について優先的に考えるべきです。
というのも、住宅ローンを残したまま離婚してしまうと、後でトラブルが発生しやすいからです。

今回は、離婚前に行うことがお勧めの「任意売却」をするメリットについて解説します。

1.離婚するとマイホームはどうなるか

まず、離婚をすると夫婦が住んでいるマイホームはどうなるのか、①住宅ローンを支払い続ける場合②任意売却する場合の2パターンに分けてご説明します。

(1) 住宅ローンを支払い続ける場合

例えば、子どもが小さい場合、妻と子どもが家に住み続けて、夫が離れて暮らしローンを支払い続けるというケースも多いでしょう。

しかし、このような「住宅ローンを夫婦のどちらかが支払い続け、住宅ローンを支払わない方が住み続ける」というのは、一番リスクの高い選択です。

まず、夫がローンの支払いができなくなる可能性があります。夫が再婚をするケースなどでは特に、ご自身が住んでいるわけではない住宅のローンの支払いは後回しにされてしまう可能性が高いでしょう。

代わりに住み続けている妻が返済できれば良いですが、難しい場合はマイホームを手放さなければいけません。

なお、ローンの名義人がマイホームに住まない場合は、事前に金融機関との協議が必要です。

将来的な不払いリスクを避けるため、ローンの名義人を住み続ける人に変更することも考えられますが、名義人の変更はローン延滞につながりやすいとされるため、金融機関は容易に応じてくれません。

なお、家のローンを夫が支払う約束の場合、完済時には妻の名義にする取り決めなどを離婚時に交わしておく必要があります。
これをしないと、将来的に夫の財産となってしまう可能性があります。

【片方が連帯保証人の場合はどうする?】
住宅ローンの連帯保証人を配偶者のどちらかにしているケースもあるでしょう。
離婚の際、将来的に家の支払いを免れるために連帯保証人を抜けるという方法も考えられますが、これを金融機関に認めてもらうためには他に連帯保証人をつけることや機関保証を利用するよう要求されることが多いです。機関保証の場合、一定の保証料が必要になります。

(2) 任意売却をする場合

住宅ローンが残っている場合でも、マイホームを売却することで先に精算してしまう方法もあります。
その方法の1つに「任意売却」という方法があります。

任意売却とは、住宅ローンの返済ができなくなった場合に、金融機関の同意を得て当該不動産を売却する方法のことです。

離婚の場合、住宅ローンの返済が不可能となったわけではありませんが、先に挙げたような将来的な不払い等のトラブルを防止し、婚姻期間中の夫婦共有財産を清算するために、任意売却が有効になります。

任意売却は個人では行うことが難しいため、専門の不動産業者や弁護士に相談するのが通常です。

【金融機関が「任意売却」に応じる理由】
なぜ、離婚時の任意売却に金融機関が応じるのでしょうか?
理由としては、任意売却の方が「競売」よりもメリットが大きいためです。
金融機関も、離婚をされると将来的に名義人が支払わなくなるリスクが発生することを心配しています。仮に滞納が発生し、支払いを得られなくなった場合は競売により残債を回収しようとするのが一般的です。
競売では、市場価格よりも大幅に安い価格でしか家は売れません。また、時間の経過と共に建物価値も下がっていることが想定されるため、価値の高い間に売ってもらい、完済してもらう方が金融機関にとってもリスクは低いのです。他にも、競売が必要となると、手続きに時間がかかります。金融機関も早く売ってできるだけ回収したいと考えているので、これに多くの時間を費やすことを望んでいません。
このように、金融機関にとっても離婚前の任意売却には利点があるのです。

2.離婚前の任意売却のメリット

将来的な元夫婦間のトラブルを減らしたい場合の任意売却のメリットとしては、以下が挙げられます。

  • 離婚後のトラブルを避けられる
  • プライバシーが守られる
  • 競売より高く売ることができる
  • 家に住み続けられる可能性もある

(1) 離婚後のトラブルを避けられる

少し話が逸れますが、離婚後に「養育費」を支払ってもらえない問題を抱えるケースは多く、現状8割の方は元配偶者から養育費を受け取れないというトラブルが明らかになっています。
(※厚生労働省:離婚母子世帯における父親からの養育費の状況

養育費ですら支払えない人が多いということは、家のローンが支払えずトラブルになる可能性は高いということです。

マイホームを先に売却してしまえば、このようなトラブルは減らすことができます。

(2) プライバシーが守られる

将来的に支払えなくなった場合、住宅は競売にかけられます。

競売では、インターネット上に家の内部の写真なども載せられてしまうため、プライバシーが守られません。
また、裁判所の執行官が現況調査に来たり、購入を検討している不動産業者が様子を見に来たりするので、周囲に不審がられて噂が発生する可能性があります。

任意売却の場合、このような心配をする必要はないでしょう。

(3) 競売より高く売ることができる

また、競売ではかなり安く不動産が販売されてしまいますが、任意売却なら市場価格に近い金額で購入者を募ることができるため、極力損をしないようにすることができます。

住宅ローンは大きな借金です。毎月の返済に苦慮している方も多いでしょう。

任意売却によって残債を完済できる場合には、この借金は消滅します。仮に残債が残る場合でも借金を大幅に減らすことができるかもしれません。

また、場合によっては引越し費用を捻出できることもあります。

(4) 家に住み続けられる可能性もある

「任意売却をしても今の家には住み続けたい」という方もいらっしゃるでしょう。
この場合は「リースバック」という方法があります。

通常の任意売却と同じく購入者を募集するか、親族に購入してもらい、購入者と賃貸借契約を結ぶことで住み続けるという方法です。

親族に購入してもらえない場合は投資してくれる購入者を見つけることが必須となりますが、リースバックに慣れた不動産業者なら買い手を上手に見つけてくれる可能性もあるでしょう。

[参考記事]

任意売却とリースバックの違い

3.離婚前の任意売却も弁護士へ相談を

「離婚は結婚の何倍も大変」とよく言われるように、精神的な負担が大きいものです。
そのため、「1日も早く新たな生活をスタートさせたい」と思うあまりに、重大な問題をあやふやなままにしたり、後回しにしてしまったりすることが少なくありません。

しかし、お金に関する問題は、後回しにすればするほど深刻になります。
離婚後にトラブルを起こさないために、離婚の際にマイホームの処遇などについてはしっかりと決めておきましょう。

泉総合法律務所では、任意売却から債務整理の相談まで幅広く相談を承っております。

不動産業者と連携しながら手続きを進めることも可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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