個人再生 [公開日] [更新日]

奨学金を返せない人が急増中!奨学金は個人再生の対象となるのか

奨学金を返せない人が急増中!奨学金は個人再生の対象となるのか

2018年8月現在、大学生(昼間部)の48.9%が、何らかの奨学金を受給しているそうです。

とは言え、貸与型の奨学金は借金です。

今回は、もし借金がかさんでしまい個人再生をすることになった場合、奨学金を個人再生の対象とすることは可能かどうかを解説します。

1.個人再生をする場合の奨学金の扱い

大学時代に奨学金を借りている人はおよそ2人に1人。人によっては卒業までに500万~600万ほどの奨学金を借りている人もいて、その後の返済に行き詰る人は後を絶ちません。

数ある奨学金の中でも最も利用者が多いのは日本学生支援機構ですが、これも貸与型なのでれっきとした借金です。最近では取り立ても民間の業者並みに厳しくなっているので、払えないからといって放置することはできません。

もし、奨学金の返済ができなくなったら、何らかの対処をする必要があります。

奨学金は、個人再生の対象にできるのでしょうか?

(1) 個人再生はすべての債務が対象となる

借金の返済ができないとき、法律的に借金を整理することを債務整理といい、個人再生はその手段のうちの1つです。

個人再生は借金を大幅に減額してもらえる制度で、認可されれば負債を1/5程度まで圧縮してもらうことが可能です。再生計画が認可された後は3年(例外5年)で減額後の借金を完済します。

奨学金でも貸与型のものは債務の一種であり、個人再生は全ての債務が対象になることから、奨学金についても減額の対象となります。

ただし、何のデメリットもなく借金を減らしてもらえる訳ではありません。

(2) 個人再生に奨学金が含まれたときのデメリット

①保証人に影響あり

多くの大学生が利用する日本学生支援機構の奨学金は、借入時に保証人・連帯保証人を各1人ずつ立てなければなりません。

奨学金も借金である以上、個人再生の対象となりますが、認可されれば減額された分の請求は連帯保証人・保証人のところに行くので、その人が健在であれば必ず迷惑がかかります。

個人再生では全ての負債が対象となるので、保証人に迷惑をかけられないからといって、特定の負債だけ除外して手続きをすることができません。

日本学生支援機構やそれ以外の奨学金でも、連帯保証人・保証人は親や親戚などがなっていることが多いので、個人再生をすることで家族の中で揉め事がおこる可能性もあるでしょう。その点は大きなデメリットです。

②債務が奨学金だけの場合は認可されない可能性も

個人再生では、負債が100万円以下の場合は減額されません。負債が100万~500万円でも、最低弁済額は100万円です。

そのため、債務が奨学金だけの場合、人によっては返済額が少なすぎて、再生計画が認可されない可能性があります。

実際、奨学金を個人再生で整理する場合は、奨学金の他に借金があるケースが多いです。負債が奨学金だけの場合は別の方法をとるのが得策です。

③仕事がなければ個人再生は不認可

※個人再生は継続的かつ反復的な収入があることが条件

奨学金の返済に行き詰まる背景には、就職難があります。特に長く続いた就職氷河期には、大学を出ても非正規やアルバイトの人も多く、奨学金の返済まで頭が回らないというケースが多いのです。

それでも何らかの収入があれば個人再生できる可能性はありますが、もし無職になってしまっている場合は個人再生をすることもできません。

個人再生を認可するには、再生計画が計画通りに実行される見込みがあることが前提となるので、「継続的かつ反復的な収入があること」が求められます。

継続的な収入といっても正社員である必要はありません。仮に非正規やアルバイトでも毎月のように収入があれば、個人再生の認可を受けることもできます。また、自営業でも3ヶ月に1度くらいのペースで収入があれば認可されるでしょう。

しかし、無職の場合は収入がないので、再生計画を実行するのが難しいと判断され不認可となります。

この場合は、個人再生ではなく自己破産を選択することになるでしょう。

④債務整理すればブラックリスト入りする

奨学金は大学生のための制度なので、他の借金よりも対応が甘いイメージがありますが、個人再生をする場合は他の借金と全く同じ扱いとなり、認可決定後はブラックリスト入りします。

信用情報機関に事故情報が載ると、以後5~7年ほどは新たな借入や、クレジットカードを作ることはできなくなります。

その後の就職や結婚などにも影響を与える可能性もあるので、個人再生をする際には将来についても十分検討する必要があるでしょう。

2.奨学金を個人再生した場合の影響

奨学金を個人再生した場合、様々なデメリットがあることがお分かり頂けたと思いますが、他の人に大きな影響を与えてしまうのは連帯保証人や保証人がいる場合です。

家族、親族、親しい友人などに保証人を依頼することを人的保証と言い、これが一昔前までの主流スタイルでしたが、近年は機関保証という方法もあります。

人的保証と機関保証は、他への影響という点でどのような違いがあるのでしょうか?

(1) 人的保証の場合

人的保証の場合は、仮に本人が個人再生した場合、連帯保証人、保証人に一括請求がいくようになります。

保証人の場合は催告の抗弁権、検索の抗弁権などがあるので、請求に対して一定の対抗措置を可能ですが、連帯保証人は債務者と同じ立場なので、そうした権利がありません。

また、保証人は複数いる場合、分別の利益があり、負債を保証人の数で頭割りすることができますが、連帯保証人は複数いてもそれぞれが全額返済する義務を負います。

このことから、連帯保証人は特に重い責任を負っていることが分かります。

しかし、債務者本人が個人再生をしたからといって、保証人だからとある日突然全額請求がきても困ってしまいます。

そのため、保証人の場合は、一括請求がきても実務上は分割返済ができるかどうか交渉できる場合が多いです。

それでも支払いができない場合は、最悪の場合、保証人も債務整理をしなければなりません。

保証人に安定的な収入があれば、任意整理や個人再生で負債を軽減してもらって、残債を分割で返済することができますが、収入がない場合は自己破産を選択するしかありません。

自己破産をすると借金は全額免除されますが、20万円以上の財産は没収、換価されて債権者に配当されます。自宅や車など高価な財産はもれなく対象となるので、最悪住むところも乗る車もなくなる可能性もあります。

日本学生支援機構は任意整理には応じない

債務整理で連帯保証人、保証人に影響なく手続きできる制度は任意整理だけです。任意整理は借金を減額する制度で、将来利息をカットする形で借金の返済額を少なくすることができます。

しかし、日本学生支援機構は基本的に任意整理には応じていません。また、保証人に迷惑をかけたくない場合は、その債務を外して手続きをするしかないので、その意味でも奨学金で任意整理を利用することはできないのです。

考えられる方法としては、もし、奨学金の他に借金がある場合は、本人が任意整理して奨学金以外の借金を減額してもらい、奨学金については自力で返すか、返せない場合は連帯保証人から援助を受けて返済すること検討しましょう。

そうすれば、連帯保証人に請求がいくこともなく、借金自体は減らすことが可能です。

(2) 機関保証の場合

奨学金を借りるときに機関保証にしている場合は、保証人・連帯保証人に迷惑がかかることはありません。

3.返還猶予制度と減額返還制度も検討する

奨学金の借入で人的保証を選択した場合、個人再生をするとも漏れなく保証人に迷惑がかかるので、迷惑をかけないためには任意整理にして、奨学金についてはこれまでと変わりなく返済するしかありません。

しかし、日本学生支援機構の奨学金については、債務整理を検討する前に、支援機構の制度を利用して返済していくことをおすすめします。

日本学生支援機構では「返還猶予制度」と「減額返還制度」を設けており、低収入や病気など理由があれば、返還猶予制度を利用することで、一定期間返還を猶予してもらうことが可能です。

また、分割で満額払うのは厳しくても、半額やそれ以下なら毎月払えるという場合は減額返還制度を利用することもできます。

奨学金が払えない場合は、まずこうした制度を利用して、それでも支払ができないという場合は、弁護士に相談をして債務整理に踏み切ることをおすすめします。

4.奨学金のお悩みも泉総合法律事務所へ

このように、奨学金の支払いで保証人・連帯保証人に迷惑をかけたくない場合、任意整理をすることが選択肢として考えられます。

その他、個人再生をはじめとする債務整理について分からないこと・困っていることがあるなら、一度弁護士に相談してみましょう。専門家が相談にのってくれるはずです。

泉総合法律事務所であれば、借金問題については何度でも相談料無料で、債務整理に特化した弁護士が責任もってサポートさせていただきます。一人ひとりに合った最適な解決方法をご提案しますので、是非一度無料相談をご利用ください。

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