個人再生 [公開日]2018年6月12日[更新日]2021年1月18日

個人再生をする場合、債権者への対応で気をつけるべきこと

多額の借金で困っている場合、個人再生に成功すれば毎月の支払い負担を大幅に軽減することができます。

しかし、債務者側の負担が軽減されるということは、債権者が回収できる債権の額が減ってしまうということでもあります。
債権者側が何らかの対抗措置を講じてきてもおかしくありません。

個人再生をするとき、またはしようとした場合、債権者はどのようなことをしてくるのでしょうか?
そして、それに対する債務者側の対処方法には、どのようなものがあるのでしょうか?

ここでは、個人再生のときに債権者が行う可能性のある措置や、それに対する対抗策を解説していきます。

1.個人再生と債権者の不利益

まずは個人再生について簡単に説明し、その後で債権者に発生する不利益について紹介します。

(1) 個人再生の概要

個人再生とは、裁判所に申立てをして行う債務整理の一種です。
個人再生に成功すれば、借金が平均5分の1、最大で10分の1にまで減額されます(どれくらい減額してもらえるかは、債務総額や保有している資産額等により変わります。)。

そして、減額された借金については、原則3年以内の返済期間が設けられ、その期間内で毎月返済していくことになります。

通常は、借金を滞納し続けると債務者は分割払いする権利を失い、債権者から一括返済を求められます。

しかし個人再生をすることで、「借金の減額」と「分割返済」を同時に勝ち取ることができます。

(2) 個人再生によって債権者が被る不利益

債務者が利益を得る一方で、債権者は不利益を被ります。

まず債権が減額されることで、思った通りの弁済を受けられなくなります
例えば5000万円貸していたにも関わらず個人再生による減額のせいで500万円しか返ってこないことになったら、損失額は4500万円にも及び、収入として見込んでいた利息なども得られなくなります。

また、返済の滞納が続けば債権者には一括払いで返還を求める権利が発生しますが、これが分割払いになると、それだけ回収に時間がかかってしまいます。

少ない金額を回収するために長期間待たなければならないので、債権者の立場からすれば個人再生は非常にデメリットが多い制度に映るはずです。

そのため、債権者は少しでも債権を回収しようと考えることがあるでしょう。

2.債権者が行う可能性がある対抗措置

ここからは、個人再生をした場合に債権者が行う可能性の高い行動と、それに対して債務者側が行うべき措置を見ていきましょう。

(1) 訴訟を提起

早い話が裁判です。個人再生の前に債権者が裁判所に訴訟を提起して、お金を返すように訴えかけます。

裁判になると、通常は債務者側が負けてしまいます。
確定判決を取られた場合、最短で1週間程度後には財産の差し押さえなど強制執行が開始されてしまいます。

[参考記事]

借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事

個人再生の開始決定を受けても、訴訟自体は継続します。

しかし、個人再生の開始決定を受けた場合、その人の財産は差し押さえを禁じられます。
既に差し押さえられている財産についても、差し押さえの効力が停止します。

したがって、裁判で確定判決を得ても、債権者は差し押さえができなくなります

裁判をしても意味がなくなるため、債権者の多くは裁判を取り下げますし、仮に裁判が続いても債務者にとって不利益はなくなります。
よって、個人再生の開始決定を受けることが訴訟への対策になるでしょう。

個人再生の申立てから開始決定までは通常1ヶ月程度かかるため、申立て後に裁判を起こされた場合は、裁判を長引かせるなどして個人再生の開始決定を待つことになります。

(2) 口座の凍結

銀行から住宅ローン、カーローン、カードローンなどで借り入れをしており、その銀行に口座を持っている場合に発生します。

銀行側が債務者の口座を凍結し、弁済をするまで口座からお金を引き出すことができなくなります。

仮に口座に200万円あり、銀行から100万円借りている場合は、銀行が100万円分を相殺してから口座の凍結が解除されます。

口座残高が債務額に足りない場合は、保証会社が代わりに弁済してくれることがありますが、その場合は保証会社が新たな債権者となって取り立てを行います。

対策は、「口座からお金を引き出し、別の銀行に預ける」ことです。
こうすれば、仮に口座を凍結されても生活に影響はありません。

このとき忘れずに、自動引き落としになっている光熱費などの引き落とし先口座も変更してください。

また、口座を凍結されても振り込みは可能な場合があるので、給与などの振り込み先口座も変更することをおすすめします。

口座の凍結は、債務者が弁護士に債務整理を依頼したことが銀行側に伝わった時点で行われるため、銀行側に弁護士の介入を伝える前に対策してください。

なお、引き出したお金を個人再生前に使用すると問題となる可能性があるので、その点については弁護士によくご確認ください。

(3) ローン付き自動車等の引き上げ

ローン完済前の自動車などは、所有権がローンの債権者にあるケースがほとんどです。

もし個人再生によって当初の約定通りの弁済が受けられないとわかると、債権者は自己の所有権に基づいて債務者から自動車を引き上げ、それを売るなどして少しでも多くの債権を回収しようとします。

ローンを完済してしまえば所有権が移転するので、車を回収されません。
しかし債務者本人が弁済をすると、個人再生で禁止されている「偏頗(へんぱ)弁済」に当たる可能性が出てきます。

偏頗弁済とは「特定の債権者にのみ有利になるような返済」のことで、債権者間の平等を害することになるため禁止されています。

[参考記事]

個人再生で問題となる偏頗弁済とは?債権者平等の原則の基本

しかし、債務者本人ではなく、親族に代わりに完済してもらう「第三者弁済」であれば偏頗弁済にならないため、この方法が効率的です。

ただし本人と生計を一にしている親族による弁済は、偏頗弁済とみなされる可能性があります。
弁護士に相談して、自分の場合はどうすれば偏頗弁済にならないのかを考えてもらってください。

(4) 個人再生に反対される

個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という2種類の手続きがあります。
小規模個人再生の場合、以下のいずれかにあてはまると個人再生ができません。

  • 個人再生に反対する債権者の数が全債権者の半数以上
  • 個人再生に反対する債権者の持つ債権額が、債務者が負う全債務額の2分の1を超える

大口の債権者に反対されると、それだけで個人再生に失敗することになるかもしれません。

一方、「給与所得者等再生」であれば、債権者の意向に関係なく個人再生を進めることができます。

ただし、給与所得者等再生は個人再生後の返済額が上がりやすいです。
よって、小規模個人再生を選ぶ人が多く、給与所得者等再生は債権者の反対があるなどの事情があった場合にのみ選択されるケースが多いようです。

[参考記事]

小規模個人再生とは?給与所得者等再生との違い、流れ

3.個人再生に失敗しないために弁護士へ相談を!

個人再生をする、またはしようとするだけでも、債権者は対抗措置を実行してくることがあります。
訴訟、口座凍結、ローン支払い中の物件の回収、個人再生への反対など、その方法は様々です。

どのような対抗措置が予想されるのか、どのように対処することが最善なのかは、弁護士に相談して解決するのが一番です。

弁護士は様々なケースを想定し、もっとも効果のある方法で事態の解決を図ります。
個人再生は複雑な手続きです。弁護士の力を借りて乗り切るために、泉総合法律事務所の無料相談をぜひご利用ください。

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