個人再生 [公開日]2018年7月3日[更新日]2021年2月8日

個人再生の履行テストとは?

個人再生では、再生計画が裁判所に認められることで、借金を大幅に減額してもらえます。
そのままでは返しきれない借金を抱えている人にとっては夢のような制度ですが、裁判所に個人再生を認めてもらうには様々な厳しい条件を満たさなければなりません。

例えば、東京地裁をはじめとする多くの裁判所では「履行テスト」というものが設けられており、これをクリアする必要があります。

では、履行テストとはどういったものであり、どうすればクリアできるのでしょうか?

この記事では、履行テストについて説明していきます。
なお、履行テストの内容は各裁判所によって運用が異なる部分が多々あります。予めご了承ください。

1.履行テストとは

まずは履行テストの内容と目的を簡単に説明します。

(1) 履行テストの目的

個人再生をすると借金を大幅に減額してもらえますが、減額された借金は分割払いで返済していかなければなりません。分割払いの期間は原則3年程度です。

裁判所が認可をする上で気にするのは「本当に分割払いを継続できるのか?」ということです。

個人再生の申立てをする人は、そもそも本来の分割払いができず滞納をしている人です。
せっかく裁判所が借金を減額しても、その借金すら支払えないのであれば個人再生を認める意味がなくなります。

そのため、再生債務者(個人再生の申立人)の返済能力を確認するために、多くの裁判所では「履行テスト」が行われています。

(2) 履行テストの内容

履行テストでは、「指定された期日までに」「指定された額のお金を」「指定された口座に振り込む」ことが必要です。
金額は「個人再生後の毎月の支払額」と同額が指定されます。

これが毎月行われるため、まるで個人再生後の分割払いを疑似体験するような状態になります。

分割払いを実際に履行できるかテストするので「履行テスト」と言われていますが、一部の裁判所では「履行可能性テスト」とも呼ばれます。

なお「分割払いができるかどうか」のシミュレーションなので、数ヶ月分を一気に振り込んではいけません。

一気に振り込みができることと毎月分割払いができることは、全く別の要素です。
履行テストはあくまで「継続的な支払能力を確認するためのテスト」と認識してください。

2.履行テストの流れ

では、履行テストはどのような流れで、いつから行われるのでしょうか?

ここでは、東京地裁の運用を参考にして紹介します。

(1) 履行テスト開始までの手順

裁判所に個人再生の申立てを行うと、裁判所が管内の弁護士から「個人再生委員」という人を選任します。

個人再生委員の仕事は、個人再生手続きが円滑に行われるように裁判所を補助することです。
再生債務者の財産・借金・収支の状況を調査し、再生計画案の作成を指導するなど、その役割は多岐にわたります。

個人再生委員が選任されると、再生債務者は個人再生委員と面接をすることになります。また、履行テストも開始され、個人再生委員が開設した口座へ指定された金額を振り込むように言われます。

面談の結果を踏まえて、裁判所が「再生手続開始決定」を行います。

[参考記事]

個人再生委員とは?|つく場合とつかない場合の違い

(2) 履行テストの開始

申立てから1週間以内に再生委員は選任されることになります。そのため、再生委員が選任された後すぐに履行テストが開始できるよう、申立時には履行テストの準備をしておく必要があります。

履行テストが始まったら、指定期日に遅れないように口座へお金を振り込んでいきます。
振り込みは毎月1回行います。

(3) 履行テストの終了

東京地裁の場合、テスト期間は原則6ヶ月です。
ただし、継続的な支払い能力に問題がないと判断されれば早く終わることもあります。

無事に履行テストが終わると、振り込んだお金から個人再生委員の報酬(通常15万円)が差し引かれ、残った部分が再生債務者へ返金されます。

3.履行テストで気をつけるべきこと

最後に、履行テストの注意点を2つ紹介します。

(1) 履行テストに失敗すると個人再生にも失敗する

仮に、継続的な支払いができず履行テストに失敗したとします。

その場合は「この人は継続的な支払いができない」「したがって個人再生後の支払いもできそうにない」と判断され、個人再生を認めてもらえなくなります

こうなると、現実的な借金解決方法は自己破産など一部の手段に限られます。

よって、振り込みは必ず期日までに行ってください。
弁護士に個人再生を依頼しているのならば、無理のない返済計画を立ててくれているはずですので過度な心配は不要です。

万が一振り込みが遅れそうな場合は、事前に個人再生を依頼した弁護士や個人再生委員へ連絡しましょう。

連絡せずに振り込みが遅れると厳しい目で見られ、個人再生が失敗する見込みも高くなってしまいます。

(2) 住宅ローン特則を使う場合

個人再生には「住宅ローン特則」という制度があります。
これを利用すれば、住宅ローンをそれまで通り支払うことを条件として、持ち家に設定された抵当権を実行されずに済みます。

つまり、住宅ローン以外の債務を個人再生で減額しながら、抵当権の実行を防いで持ち家を守ることができるのです。

しかし、住宅ローン特則を使うと、個人再生手続き中も住宅ローンを支払い続けなければなりません

履行テストを行いながら住宅ローンの返済も続けることになるため、住宅ローン特則を使わないときに比べて毎月の出費が増えてしまいます。

住宅ローン特則を利用するかどうかは、弁護士と一緒に入念に検討を重ねてから決断してください。

[参考記事]

住宅資金特別条項(住宅ローン特則)の利用要件

4.履行テストの失敗を防ぐために弁護士へ相談を

履行テストは、個人再生後の支払いができるかを確かめるために行われる、いわばシミュレーションです。

期日までに指定された金額を個人再生委員の口座に振り込むだけの内容ですが、遅れてしまうと個人再生に失敗する可能性が高くなるので、絶対に期日までに指定額を振り込むようにしてください。

履行テストの内容は裁判所によって違うため、その土地の裁判所の運用に精通した弁護士に相談して、どういったテストが行われるのかを事前に確認しておきましょう。

弁護士に依頼して個人再生をすれば、成功の確率を飛躍的に上げることができます。
個人再生に限らず、借金のお悩みはぜひ弁護士までご相談ください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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