個人再生 [公開日]2017年11月13日[更新日]2021年9月21日

個人再生はアルバイト、専業主婦、無職でもできる?

個人再生は、裁判所に申立をして借金の返済額を大幅に減額してもらえる手続きです。

個人再生をすると、借金が5分の1~10分の1にまで減額されるので、多額の借金がある人でも有効に問題を解決することができます。
減額された借金については、手続後、原則3年の間に返済をしていくことになります。

このように、手続き後の返済が前提となる個人再生ですが、パート・アルバイトや専業主婦、無職の人でも利用することができるのでしょうか?

1.個人再生をするための条件

まず、個人再生をするための条件を簡単に確認していきましょう。

(1) 借入総額が5,000万円以下

個人再生を利用できる借金の上限は5,000万円です。5,000万円を超える借金がある場合には、自己破産するしかありません。

申立当初に5,000万円以下であると思っていても、手続の途中で5,000万円を超えることが判明したら、その時点で個人再生はできなくなってしまいます。

【住宅資金特別条項を利用する場合】
個人再生は、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することで、ローンが残っているマイホームを手元に残したままその他の借金を減額することが可能です。
この場合、この住宅ローンの残高はこの5,000万円にカウントされません。住宅ローン以外の借金が5,000万円以下であれば、個人再生をすることができます。

(2) 一定以上の収入が必要

個人再生をするときには、一定以上の収入が必要です。

個人再生では、手続後に最低でも3年間は借金返済を続けていかなければなりません。そのため、その返済を確実に継続できるよう、厳しい収入要件が必要とされます。

個人再生では、任意整理とは違って裁判所が関与しますから、裁判所が厳しく収入要件を判断します。
収入が足りていない・収入に断続性がないと判断されたら、借金の減額を認めてもらえなくなります。

とは言え、個人再生には「いくら以上の収入が必要」という基準はありません。個別のケースごとに、「債権者に支払を継続していけるだけの金額の収入があるかどうか」が問題となります。

たとえば、手続後に毎月3万円の支払が必要になる場合、毎月の収入から支出を引いて3万円以上の余剰が出ていたら、個人再生を認めてもらうことができるでしょう。
逆に、毎月3万円の余剰がある人でも、借金額が大きいために手続後の毎月の返済額が4万円になる場合には、個人再生することができません。

以上のように、個人再生の収入要件は、借金総額と収入額、毎月の家計収支を総合的に判断することによって決定されます。

【給与所得者等再生の場合】
個人再生には「給与所得者等再生」という種類の手続きがあります。個人再生のほとんどは「小規模個人再生」という手続きで行われるのですが、これは債権者の半数以上が再生計画案に不同意のとき、または不同意の債権者の債権総額が全体の2分の1を超える場合は選ぶことができません。
一方、給与所得者等再生には、債権者による決議がないので、債権者の意向によらず手続を行うことができます。しかしその分、小規模個人再生のケースよりも厳しい収入要件が課されます。
具体的には、収入が一定以上である・断続的であるだけではなく、安定性があることまで要求されます。具体的には、年収の変動が20%を超えると給与所得者等再生を利用することが難しくなります

 

この他にも、多額の財産があると個人再生をする意味がなくなるケースがあるので注意が必要です。
個人再生では、債務者が所有している財産以上の金額は最低限返済しなければならないと言う決まりがあるからです。この決まりのことを、「清算価値保障原則」と言います。

そのため、多額の資産があるときに個人再生をしても、借金があまり減額されない可能性があります。

個人再生を検討するときには、自分の総資産がどのくらいあるかについても把握しておく必要があります。

2.パートアルバイト・専業主婦・無職の個人再生

以上の条件を踏まえて、アルバイトやパート、専業主婦、無職の場合には個人再生ができるのかどうかを検討します。

(1) パート、アルバイト

パートやアルバイトでも、個人再生ができる可能性はあります。

しかし、パートやアルバイトの場合、正社員や公務員よりも収入が低いことが多いですし、転職の頻度も比較的多くなるので、収入が安定しません。
よって、ケースによって、個人再生できるかどうかが異なります。

たとえば、アルバイトであっても同じ職場で長期間継続しており、収入も安定しているというケースでは、個人再生を利用できるでしょう。

これに対し、収入が極端に少ない、頻繁に転職を繰り返していている、収入が安定していないなどのケースにおいては、個人再生は難しくなります
(個人再生の審査で見られるのは世帯単位の家計を前提とした支払能力であるため、本人の収入が低くとも、同居人に安定した収入があるならば個人再生は可能です。)

(2) 専業主婦

専業主婦の場合、個人再生はできません。
本人に全く収入がない場合は、例え同居家族に収入があったとしても個人再生が認められないからです。

よって、夫の給料から返済ができるとしても、専業主婦が個人再生することはできません。

(3) 無職

無職・無収入の方も、同じく個人再生をすることができません。
無収入だと、手続後に継続して債権者に返済していくことができないからです。

(4) 年金生活者

最後に、年金生活者の場合には個人再生ができる可能性があります。年金は非常に安定した収入と判断されるからです。

ただ、年金収入は金額が少ないことが多いので、金額的に返済に足りない場合には個人再生をすることができません。
現実問題として、年金収入だけで3年〜の返済を継続することが可能かどうかを慎重に検討する必要があります。

3.個人再生ができない場合の対処方法

では、個人再生ができない方が借金を抱えているときには、どのようにして解決すれば良いのでしょうか?
このような場合、任意整理と自己破産のどちらかを検討してみる必要があります。

(1) 任意整理で解決できる場合

たとえば、パートやアルバイトの方は、個人再生は認められなくても任意整理ができる可能性が高いです。

個人再生とは違い、専業主婦や無職の方でも、家族の収入から返済ができるなら任意整理で解決することができます

任意整理とは?

(2) 自己破産で解決できる場合

借金が大きくて収入を増やしても返済できない場合や、家族の収入からも支払う余裕がないケースなどにおいては、自己破産すれば問題を解決することができます。

自己破産をすると、借金の返済義務が原則として全てなくなるので、多額の借金がある場合や収入がない場合等には、最も有効な解決方法となります(税金などの一部の債務は免除されません)。

特に、無職・無収入の方は、始めから自己破産を選択するべきと言えます。

自己破産とは?

4.債務整理のお悩みは泉総合法律事務所へ

以上のように、パートやアルバイトの方でも個人再生できるケースはありますし、万が一個人再生ができない場合でも別の対処方法があります。
自分では適切な解決方法がわからない場合には、弁護士が適切なアドバイスをいたします。

「解決できない借金問題はない」
泉総合法律事務所は、そういったスタンスのもと、日々の業務に取り組んでいます。一人でも多くの方を借金問題から救いたいという思いを持っております。

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