個人再生を選ぶべき場合とは?任意整理との違い、比較

個人再生

155_個人再生と他の債務整理の方法の比較

【この記事を読んでわかる事】

  • 個人再生と任意整理の違い、共通点
  • 個人再生を選ぶべきケースはどんな時か
  • どちらの手段を選んだ方が有益か分からない場合はどうすればいいか

 

個人再生という手続きをご存知でしょうか。個人再生とは、借金の返済が難しくなった場合に使われる法的手続きの1つです。

今回は、個人再生と債務整理を比較しながら、それぞれのメリットやデメリットをご紹介します。

1.個人再生と任意整理

(1) 個人再生

企業の民事再生申立てのニュースを耳にします。

破産と違い、民事再生の場合は「営業を続けながら負債を返済していく」というイメージが浸透しているはずです。

民事再生法には、個人による申立ての規定があり、個人が民事再生を申し立てる場合を、特に「個人再生」と呼んでいるのです。

会社でも個人でも同じで、要するに「裁判所に再生手続きを申し立てて借金をカットしてもらい、計画に基づいて返済していく」という手続きです。

(2) 任意整理

一方の任意整理は、裁判所は通さず、債権者と直接交渉して返済条件を変更してもらう方法です

よく見られる返済条件は

  1. 将来発生する利息をカットしてもらう(金利を引き下げたり、ゼロにしたりしてもらう)
  2. 借金の返済期間を延ばしてもらう

というものです。

個人再生と同じく、条件変更してもらって返済を続ける方法ですが、条件変更のために債権者との個別の交渉が必要となるわけです。

2.個人再生と任意整理の共通点

先ほど説明したとおり、個人再生も任意整理も「借金の返済を続けていく」という手続きですので、大きく分けると同じグループにあるといえます。

それぞれの共通点をもう少し掘り下げて確認しておきましょう。

(1) 継続的な収入が必要

個人再生や任意整理によって、たしかに返済の負担は小さくなります。

しかし、どちらの手続きも将来にわたって返済していく前提ですから、継続的な収入の裏付けがなければ成り立ちません。

ただし、継続的に収入が得られるのであれば、正社員でも契約社員でもアルバイトでも構いません。

また、自営業などで毎月の収入が大きく変動する場合でも、継続的に収入を得ていることには違いないので、「継続的な収入がある」と考えて構いません。

(2) 信用情報機関への事故情報の登録あり

個人再生も任意整理も、基本的には返済を続けていく手続きですが、当初契約した条件での返済ではないため、あくまで「事故」扱いとなります。つまり、俗にいう「ブラックリスト」の状態になります。

そのため、以後は借り入れを申し込んだり、クレジットカードを申し込んだりしても拒否されます。

(3) 職業の資格制限なし

人の財産に関わる一部の職業では、「破産者は不可」と法令に定められているため、自己破産すると就けない職業があります。

たとえば、弁護士や税理士などの専門士業、宅地建物取引士や旅行業務取扱管理者なども破産による資格制限があります。

もちろん、一生続くわけではなく、破産手続きが終了すれば再び登録できますが、一時的とはいえ職業から離れる必要が生じるのがデメリットです。

一方、個人再生や任意整理の場合には、このような資格制限がありません。

3.個人再生と任意整理の違い

次に、個人再生と任意整理に違いをまとめてみます。どちらも将来的な返済を継続する手続きですが、大きく異なる点もあります。

(1) 裁判所を利用するか

個人再生は、裁判所を利用する手続きです。

裁判所に提出する申立書には、借入や財産、生活状況などが分かる資料を添えなければなりません。

3年間ないし5年間の返済計画を提出し、家計の収支表なども求められます。

また、裁判所の手続きも段階を踏んで進めていくため、個人再生を申し立ててから認可されるまで、早くても6カ月程度の時間がかかります。

一方、任意整理は、債権者と直接交渉するため、交渉の進み方はまちまちですが、だいたい1~3ヶ月程度です。

また、債権者と交渉するにあたり、個人再生のような資料を作成・提出する必要はないので手続きは楽です。

(2) 負債の減縮効果

個人再生や任意整理によって、どの程度返済が楽になるかが「最大の関心事」といってもよいでしょう。

個人再生では、借金の総額が1500万円以内の場合、その「5分の1」を「3年分割」で返済する計画を立てるのが一般的です。

たとえば、借金の総額が500万円の場合、その5分の1にあたる100万円を36分割でので、月々の返済額は約2万7777円になります。このように元金まで大幅にカットできるのが個人再生のメリットです。

一方、任意整理の方は、債権者との交渉次第です。通常はせいぜい利息の引下げができるくらいで、元金のカットはほとんど期待できないでしょう。

(3) 手続対象となる債権者を選べるか

個人再生は裁判所を通じた法的手続きですから、すべての債権者を平等に扱わなければなりません。

たとえば、「この債権者だけは手続きから外して返済を続けたい」、「知人からの借金なので約束どおり返済したい」といった例外は認められず、一律に元金をカットして返済することになります。

一方、任意整理は、債権者ごとの個別交渉ですので、特定の債権者を交渉から外すことも可能です。

ただし、金利の高い債権者や毎月の返済額が多い債権者を交渉の対象から外すと、結局、返済困難な状態が続くことになります。特別な事情がない限り、任意整理においても、原則としてすべての債権者を対象とするべきでしょう。

(4) 連帯保証人への影響

個人再生はすべての債権者に対し、同一条件で元金をカットするため、連帯保証人付きの借入れの場合に厄介な問題が生じます。

たとえば、連帯保証人付きの300万円の借り入れがあるとします。

先ほど説明したとおり、一般的に元金を5分の1にカットするため、返済計画上は60万円の返済となるはずです。

ところが、個人再生による元金カットの効力は連帯保証人には及ばないため、連帯保証人は引き続き300万円全額の支払義務を負うのです。これが個人再生の難点です。

一方、任意整理は、債権者ごとの個別交渉ですから、連帯保証人付きの借入れは交渉から外す、という選択も可能です。

(5) 官報公告に掲載されるか

個人再生を申し立てた場合、「官報」という公報に事件番号や氏名などが掲載されます。
もっとも、日常的に官報をチェックする人はまずいないので、官報によって個人再生の事実を周囲に知られるリスクはほとんどないと考えてよいでしょう。

一方、任意整理は私的な交渉ですから、そもそも官報公告に掲載する手続き自体がありません。

4.個人再生向きのケースと任意整理向きのケース

個人再生と任意整理、それぞれの特徴やメリット、デメリットは理解いただけたと思います。

しかし、自分はどちらの手続きを選ぶべきか、という判断は難しいはずです。

最後に、3つの視点をもとに判断のポイントを解説しましょう。

(1) 借金の総額

一つ目のポイントは借金の総額です。

任意整理では、通常、3年~5年程度での完済が求められ、利息はカットしてもらえても、元金のカットには応じてもらえないことが大半です。

したがって、現在の元金を36回~60回で返済できるかどうかが目安となります。

「今ある元金を60回分割にしても到底返済できない」という場合には、任意整理ではなく、個人再生を考えた方がよいでしょう。

ただし、個人再生の場合でも、最低返済額は100万円以上ですので注意が必要です。

たとえば、借金の総額が300万円の場合に、個人再生を申し立てても返済総額は60万円(300万円の5分の1)とはならず、100万円の返済となります。

(2) 身内や知人からの借入れ

身内や知人からの借入れがある場合、お互いの関係が近いゆえに、特に対応が難しくなります。

たとえば、「知人に返済条件の変更を頼みにくい」、「身内に多重債務を知られたくない」という場合もあるでしょう。

任意整理の場合は、各債権者との個別の交渉ですから、敢えて特定の債権者を交渉から外すことも可能です。

一方、個人再生の場合はすべての債権者に対して平等な扱いが必要となるため、身内や知人からの借入れであっても例外扱いは許されません

どうしても身内や知人には迷惑をかけられない、という事情がある場合などは、任意整理向きといえるでしょう。

(3) 住宅ローンがある

任意整理の場合には、交渉相手を任意に選ぶことができるので、住宅ローン債権者(銀行・信用金庫等)は交渉相手から外して、住宅ローンを通常どおり返済することが可能です。

つまり、住宅ローンは約定どおり返済を続けるため、マイホームを手放す必要がありません

もっとも、個人再生にも住宅ローンの例外扱いを認める「住宅ローン特則」というオプション手続きがあるので、住宅ローンに関しては、個人再生も任意整理も大きな違いはないと考えてよいでしょう。

結局、住宅ローン「以外」の借入れを確実に返済することがカギになります。

5.まとめ

このように、個人再生と任意整理のどちらが適するか、という判断はケースバイケースであり、一概にどちらがよいとはいえません。

泉総合法律事務所では、詳しい事情をお聞きしたうえで、より適切な手続きをご提案いたします。

また、債務整理が終了するまでしっかりサポートしますので安心してご相談ください。

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