個人再生 [公開日]2018年8月31日[更新日]2022年1月18日

個人再生をするといつから支払いが開始する?

個人再生をすると、借金が大幅に減額されます。
債務者は減額された借金を3年程度かけて少しずつ返済していけばいいので、経済的な負担は一気に軽くなるでしょう。

しかし、減ったとはいえ借金を返済しなければならないことは事実です。
個人再生手続きが終わった後、どの時点から返済が開始するのか不安に思うでしょう。

場合によっては「急に返済が始まっても、次の給料日まで手元に現金がないので返済できない!」という事態に陥る可能性もあります。

では、個人再生をした後、一体いつから返済がスタートするのでしょうか?

1.いつから支払いが開始するのか?

「いつから返済が始まるのか」という疑問に早速答えますと、「再生計画の認可が確定した翌月末から」です。

個人再生の認可とは、裁判所が、債務者が作成した再生計画(返済計画)を認めるとする決定のことです。
再生計画の認可が決定後、約1ヶ月後にその認可決定が「確定」します。

ケースによって異なりますが、弁護士に依頼してから個人再生手続きが終わるまでは、概ね以下のようなステップを踏みます。

・弁護士に依頼して個人再生の申立ての準備
↓ 最短でも約1~2ヶ月
・裁判所に申立て
↓ 約1ヶ月
・個人再生手続き開始決定
↓ 2~3ヶ月
・再生計画案の提出
↓ 約1ヶ月
・再生計画の認可または不認可の決定
↓ 約2週間
・官報に掲載
↓ 約2週間
・再生計画の認可または不認可の確定
↓ 確定の翌月末
・返済開始

個人再生は、申立ての準備期間も含めると最短でも半年以上の長丁場になることも少なくありません。弁護士費用の積立や必要書類の収集が遅れたりすれば、当然もっと伸びてしまいます。

裏を返せば、弁護士に依頼をしてから(弁護士が債権者に受任通知を送ってから)返済開始までの最短でも半年程度は借金の返済をしなくて良いため、この間に少しお金を積み立てておくことが大切です。

【支払いが止まるタイミング】
借金の支払いをストップできるタイミングは「弁護士に依頼して数日後(最短翌日)」です。
弁護士は依頼を受けると、債権者全員に「受任通知」というものを送ります。これを受け取った債権者は、それ以降債務者と直接やり取りができません。必ず弁護士を通す必要があります。支払いの督促などは債務者本人ではなく弁護士へ行くので、債務者は督促のない穏やかな日々を取り戻すことができます。
また、督促だけでなく返済そのものも停止します。これにより、経済状況は一気に改善し、返済のための資金を積み立てることも可能になるでしょう。

 

もっとも、積み立てすぎて資産の金額が増加してしまうと、清算価値保障の原則により手続後に弁済すべき金額が増加するといった別の問題が出ますので、必ず弁護士と相談した上で計画してください。

2.返済開始に向けた準備

受任通知の送付後、返済の必要が当面なくなったとしても、無駄にお金を使ってしまってはいけません。
個人再生手続が終わったら減額された借金の返済が始まりますし、弁護士費用を積み立てる必要もあります。

また、申立後は、裁判所によっては通称「履行テスト」というものがあります。

[参考記事]

個人再生の履行テストとは?

履行テストに失敗すると、履行可能性が無いとして個人再生自体にも失敗してしまうので、個人再生依頼後、手続完了までの間は、特に節約を心掛けるようにしましょう。

特に、弁護士に依頼後、以下の点には注意が必要です。

(1) 口座凍結に注意する

債権者に銀行が含まれている場合は要注意です。
受任通知を受け取った銀行は、その銀行にある債務者の口座を凍結してしまいます。

口座が凍結されると、お金を引き出せなくなります。
そして、銀行は口座内のお金と債権を相殺するため、口座内の残高は債権額の分だけ減ってしまいます。場合によっては残高がゼロになることもあり、今後の生活費や積立金に影響が出ることが予想されます。

また、公共料金の支払いを口座からの自動引き落としにしている場合は、引き落としができなくなってしまうでしょう。

口座凍結に際しては、予め口座から預金を引き出しておく、支払い口座を切り替えるなどの対処が必要です。

前もって弁護士と相談して、お金の引き出しや受任通知の送付タイミングを調整しておくことをおすすめします。

[参考記事]

債務整理をすると銀行口座が凍結される?

(2) 住宅ローン特則を使う場合、住宅ローンについては支払いが止まらない

ここまで「当面は支払いをしなくて済む」と述べてきましたが、例外もあります。
それは「住宅ローン特則」という制度を利用する場合です。

この制度を使うと、住宅ローンを従来のまま支払うことを条件として、住宅ローンの残っている持ち家を手元に残すことができます。

「住宅ローンの支払いは続けること」が前提条件なので、たとえ個人再生の手続き中であっても、住宅ローンの返済は遅延なく続ける必要があります。

[参考記事]

住宅資金特別条項(住宅ローン特則)の利用要件

3.途中で返済が滞った場合はどうすればいい?

せっかく個人再生を認められて借金を減額してもらっても、返済ができなければ意味がありません。
1回うっかり滞納した程度なら大きな問題になりませんが、滞納が2回以上になると個人再生が取り消されてしまうことがあります。

個人再生を取り消されると、個人再生を行って再生計画が認可されても、その効力が「なかったこと」になるため、減額された借金が復活して元の額に戻ってしまい、一括返済を求められてしまいます。

しかし、病気やリストラなど、どうしようもない事情で返済不能になってしまうこともあるはずです。
そういった場合の対処方法については、以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

個人再生後の残債務を払えない!支払い遅れは待ってもらえる?

4.個人再生後の支払いに関する不安は弁護士へ

個人再生の再生計画が認可された場合、早ければ1ヶ月程度で減額された借金の支払いが始まります。
弁護士へ依頼してから支払い開始までに最短でも半年程度の期間があるので、その間に少々のお金を積み立てておきましょう。

とはいえ、積立て過ぎは厳禁ですので、どの程度であればよいのか、弁護士と相談してからにしてください。

「再生計画通り返済できない」「お金が足りなくなった」という事態を避けるためにも、まずは再生計画案を作る段階で実現可能なものに仕上げることが大切です。
無理のない再生計画を作るためにも、個人再生の際はぜひ弁護士にご相談ください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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