個人再生 [公開日] [更新日]

個人再生した場合、いつから借金の返済の仕方が変わるの?

個人再生した場合、いつからそれまで通りに借金の返済をしなくてよくなるの?
弁護士に個人再生を依頼すると、受任通知により取立が止まります。その後、個人再生の手続を経て、認められた再生計画に従って債権者への返済をしていくことになります。

今回は、再生計画後の借金返済という視点から、個人再生を解説していきます。

1.取立が止まったら借金の返済は不要

(1) 取立の停止には法的根拠がある

借金の督促に追われている人でも、個人再生すると決めて弁護士などの専門家に依頼をすれば、債権者に受任通知が送られ、届いた時点で取り立ては止まります。

取り立てがなければ支払う必要もなく、実質的には返済を止めることが可能です。

これは単なる効果ということに留まらず、法律で決められた権利です。

貸金業法21条1項、サービサー法18条では、債権者、債権回収業者は弁護士等の受任通知が届いたら、それ以降、正当な理由なく電話、FAX、電報、郵便送付、訪問などにより債務弁済の要求をしたりしてはならないと規定しています。

貸金業法21条1項に違反した場合、2年以下の懲役、または300万円以下の罰金、あるいはその両方が課せられ、さらに業務停止、および貸金業の登録取消などの行政処分が科される可能性があります。同様にサービサー法18条に違反した場合も、営業許可取消になる可能性があります。

よって、正規の業者であれば受任通知以後に取り立てが行われることはまずないでしょう。

(2) 口座引き落としの場合は要注意

しかし、個人再生の受任通知後でも返済を口座引き落とししている場合は注意が必要です。

口座引き落としの停止をするのは債権者でなければできないため、受任通知がきてもしばらく引き落としが続く可能性があります。

中には受任通知から1ヶ月近く引き落としが続いたケースもあるので、そうしたくない場合は予め預金を引き出しておきましょう。

(3) 借入している銀行の口座の預金も引き出しておく

銀行から融資を受けている場合、受任通知が届くと口座が凍結され、預金と返済額が相殺されます。

口座が凍結されるとATMや窓口で引き出しをすることもできなくなるので、個人再生が始まる前に預金をおろしておくことをおすすめします。

2.再生計画に基づいた返済の開始

個人再生は借金を大幅に減額してもらうことができる制度で、認可されれば負債をおよそ1/5程度まで圧縮することが可能です。

減額後の借金は再生計画に基づいて返済しますが、返済開始のタイミングはいつなのでしょうか?

(1) 裁判所の再生計画認可から約1ヶ月で認可が確定

個人再生の再生計画が認可されると、2週間後に官報に住所、氏名が掲載されます。

その翌日からさらに2週間以内に債権者からの不服申し立て(即時抗告)がなければ、再生計画は認可確定となります。

確定まではトータルでおよそ1ヶ月の期間が必要です。

(2) 確定の翌月末日から返済開始

再生計画に基づく返済は、認可確定の翌月末日から始まります。

個人再生の申立から認可決定までの期間は、個人再生委員の選出の有無などで異なりますが、目安としては大体半年程度です。

さらに、認可確定までに1ヶ月、返済はその翌月末日なので、申立から実際に返済を開始するまでの期間はおよそ8ヶ月です。

(3) 住宅ローンの返済はどうなる?

個人再生には住宅特別条項があり、住宅ローンを残して手続きをすることができます。
そうすることで住宅を処分することなく、他の負債を減額できるので、結果として住宅ローンの支払いも楽になります。

個人再生では受任通知を送られたタイミングで負債の返済をストップできますが、住宅ローンについては個人再生の手続き中もそのまま返済を行います。

もし、個人再生の申立をする前に住宅ローンを滞納している場合は、裁判所に再生計画の実行を不安視され、再生計画が認可されない可能性もあります。

個人再生の申立をする前に、住宅ローンについては滞納分を全て納めてから申立をする必要があるでしょう。

3.個人再生の非減免債権とは?

個人再生は認可されれば負債を減額してもらえますが、減額してもらえない債権もあります。

これは非減免債権とよばれ、個人再生の認可の有無に関わらず必ず返済しなければなりません。

例えば税金(租税債権)、不法行為に基づく損害賠償請求権、婚姻費用や養育費などがこれに当たります。

4.再生計画が認可されなかった場合

再生計画が認可されなかった場合、借金の返済はどうなるのでしょうか?

再生計画が認可されない場合は以下の3つです。

(1) 再生計画が遂行される見込みのない場合

失業をして収入がない、毎月の収入からして残債の返済は不可能など、再生計画が遂行される見込みがないと判断された場合は不認可となります。

(2) 小規模個人再生は債権者の過半数・債権額の1/2以上が再生計画案に反対した場合

個人再生の認可を受けるには債権者の同意が必要で、債権者の過半数、もしくは債権額の1/2以上を占める債権者が再生計画に反対をした場合は不許可となります。

同意をする場合は特に提出する書類などはなく、異議がある場合のみ申立をしますが、債権者が複数いる場合、消費者金融やクレジットカード会社が再生計画に反対するケースは少ないです。
ただし、借り入れが一社のみだったり、おまとめローンにしていたりする場合は否決が容易なので、異議手続をしてくる可能性もあります。

このあたりはイメージしづらいところなので、別のコラムで解説しています。気になる方はご一読ください。

【参考】個人再生をする場合におけるおまとめローンの注意点

(3) 裁判所による不認可

以下の場合、個人再生は裁判所によって不認可となります。

  • 特定の債権者だけ優先して返済する偏頗返済をした場合
  • 弁済額を減らすために財産隠しをした場合
  • 住宅ローンを除く債権額が5,000万円を超える場合
  • 書類や手続きの不備がありそれを補正できない場合

個人再生は要件が多く、この全てを満たさないと認可を受けることができません。
仮に不認可となり個人再生が失敗した場合は、以下2つの対処方法を検討して下さい。

① 再度個人再生の申立をする

個人再生が認可されなかった場合、少し間を開けてから再度個人再生をする方法があります。不認可となった原因があるうちは認可されることはないので、再度申立をするときは不認可の原因を取り除いてから挑戦してください。

収入面がネックになった場合は、副業を始めたり、実家に帰ったりするなどして、可処分所得を増やすと裁判所も認可しやすくなります。

債権者の同意を得られなかった場合は、サラリーマンであれば給与所得者等再生を選ぶ方法もあります。一度同意を得られなかった債権者から再度同意を得るのは難しいので、債権者の同意の必要ない給与所得者等再生を選ぶことで成功させられる可能性があるからです。

② 自己破産の検討

個人再生に失敗をした場合は、自己破産に切り替える方法もあります。

自己破産をすると住宅は没収となりますが、借金は全額免責されます。収入面がネックで個人再生が不認可になった場合は、自己破産をするのが現実的な選択と言えます。

自己破産には免責不許可事由があり、その要件に抵触した場合は基本的に免責を受けることはできませんが、大抵の場合は裁判所の裁量免責で最終的に自己破産は認められます。

しかし、全員が裁量免責を受けられる訳ではないので、その場合は再び個人再生を検討するか、そのまま何もしないということになります。

5.個人再生が認可されなかった場合、督促はどうなる?

個人再生が認可されなかった場合、ストップしていた督促がまた始まるのでは?と恐れる方もいらっしゃると思います。

受任通知送付以降は、債権者も個人再生を前提として督促をしない訳ですので、不認可となると督促は再開します。

ただ、実際にはいきなり本人のところに連絡がくるというより、弁護士の方に「どうなっているのか?」と問い合わせがくる形になるでしょう。

この場合、次の手を打つまで債権者が取り立てを待ってくれるとは限らず、支払い督促等の裁判手続に移行する恐れもあるので、債権者の動向を見極めつつ対策をとる必要があるでしょう。
依頼先の弁護士と相談しつつ、慎重に対応することをお勧めします。

6.まとめ

いかがでしょうか。個人再生後の流れについて、イメージができましたでしょうか?

もし、個人再生で分からないことがあれば、債務整理に詳しい弁護士に相談してみてください。

泉総合法律事務所にご相談いただければ、債務整理に強い弁護士がご相談者様の疑問に一つ一つ答えながら、責任もって最後までサポートさせていただきます。
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