個人再生 [公開日]

個人再生委員が選任された場合の対応の注意点

個人再生委員が選任された場合の対応の注意点

債務整理手続の一つ、個人再生手続では、裁判所が個人再生委員を選任する場合があります。

個人再生委員は、東京地方裁判所では、原則全ての場合に選任されます。また、その他の裁判所でも、債務者が弁護士に手続の代理を依頼していない場合には選任されることになります。

このコラムでは、個人再生手続で個人再生委員が選任された場合の注意点を説明します。

1.個人再生委員への対応に注意しなければならない理由

個人再生は、裁判所が行う公的な手続ですから、法律で使うことができる条件が定められています。また、その条件の有無も正確に調査や判断がされなければなりません。

その調査や判断のために、裁判所によって選任されることがあるのが、個人再生委員です。

個人再生委員は、個人再生手続に関する様々な調査・確認を行い、裁判所が重要な判断をする際にその参考となる意見を述べることを主な役割としています。

ですから、個人再生委員は、裁判所による手続に関する重要な決定に大きな影響を及ぼし、ひいては、個人再生手続そのものが成功するかどうかのカギを握っています。

そのために、債務者は、個人再生委員に対して、自分は個人再生手続を利用することができると評価してもらえるよう、対応に注意しなければならないのです。

以下、

  • 裁判所が個人再生手続の開始を決定するまでの注意点
  • 開始された個人再生手続のなかでの注意点
  • 最終的に個人再生が認められるかにかかわる注意点

の3つに分けて、個人再生委員への対応における注意点を説明します。

2.裁判所が個人再生手続の開始を決定するまでの注意点

個人再生委員は、裁判所が手続の開始をするか否かの決定をするための判断の参考となる意見書を、裁判所に提出します。

その意見書の作成のために、個人再生委員は、申立てからわずか1~2週間以内の間に、債務者に対して借金・資産・収入全般の調査を行います。

もしこの調査の中で個人再生委員が手続開始を決定すべきではないと判断してしまった場合には、裁判所がその判断を基に手続を開始しないと決定しかねません。

そのため、個人再生委員による調査への対応は非常に重要となります。

具体的に注意すべき点は以下の通りです。

(1) 債務者との面談

30分から1時間ほど、借金の額や借入原因、資産などの事情聴取、これからの返済計画や手続の流れなどの打ち合わせを行います。

何事も初対面が重要です。簡単なものとはいえ、この面談のなかで、借金の内容や返済計画についてうまく答えられなかった場合、個人再生委員から悪印象を持たれかねません。

(2) 申立書及び債権者一覧表のチェック

債務者が申立てのときに裁判所に提出した、申立書及び債権者及び各借入額が記載された債権者一覧表の内容をチェックします。

これに誤りがあったり、個人再生委員からの確認に対応できなかったりすると、個人再生委員が手続を開始すべきか迷うことになりかねません。

なお、4で後述する履行可能性テストも並行して開始されます。

3.開始された個人再生手続のなかでの注意点

個人再生委員は、最終的に裁判所が個人再生を認めるか否かの判断のために必要な調査することが主な役割ですから、手続開始以降に、本格的に債務者の借金や資産などを調査することになります。

具体的には、以下の二つが特にあげられるでしょう。

(1) 債務者の資産の調査

個人再生委員は、債務者が提出した財産目録をチェックし、また、債務者の資産そのものも調査します。

個人再生手続により減額される借金には限度があり、仮に債務者が自己破産したとすれば債権者に分配されたであろう金額、つまり、資産から借金を引いた額が、減額され分割払いすることになる金額の基準の一つになります。

そのため、資産を隠すことで資産から借金を引いた額を目減りさせていないか調査する必要があるわけです。

財産目録に不正があったと判断した場合には、個人再生委員は裁判所に民事再生手続の廃止を申し立てることができます。

個人再生委員に誤解を生じさせないように注意が必要です。

(2) 債権価値の調査

債務者が、債権者が裁判所に申し出た債権の金額などに異議を述べると、債権者が、裁判所に対して、手続上認められる債権の価値を評価するよう申し立てるのですが、個人再生委員は、こうした争いのある債権の調査を行います。

債権者はもちろん、債務者も個人再生委員に対して資料を提出し、その資料を基に裁判所に債権に関する評価についての意見を提出します。

この意見にもとづいて、裁判所は債権の額などの評価を決定し、個人再生手続上、その評価された金額内容が確定します。

ですので、個人再生委員へと提出する資料がおざなりだと、債権者に有利な評価がされてしまい、分割返済すべき金額が増えてしまいかねません。

4.最終的に個人再生が認められるかにかかわる注意点

個人再生による借金減額が認められるには、裁判所に再生計画案が認可されなければいけません。

この段階で、個人再生委員は、決定的にかかわります。

(1) 履行テスト

個人再生委員は、東京地方裁判所など一部の裁判所で行われている、返済能力についてのテストを担当します。

そのテストは、個人再生委員が、債務者に対して、申立書に記した月々の弁済額を申立期間中の6ヶ月間毎月納付するよう指示を出し、計画通りに支払いが出来るのかをチェックするというものです。

このテストで計画通り納付されない場合、個人再生委員は裁判所に対して債務者に再生計画に従った支払いをする能力がないと意見しかねません。

(2) 再生計画案のチェック

個人再生委員は、再生債務者が作成した再生計画案をチェックし、修正の助言や指導を行ってくれます。

しかし、個人再生委員は、公平で中立的な立場に立ちますから、何から何まで面倒を見てくれるわけではありません。

あまりにも再生計画案がずさんであり、その修正の助言や指導をしても、債務者がうまく対応できない場合には、再生計画案通りに分割弁済をすることができないのではないだろうかとの心証を抱きかねません。

(3) 再生計画を認可し、個人再生を認めるべきかの意見書を提出

個人再生委員は、再生計画を認可すべきかについて裁判所に意見書を提出します。

裁判所が再生計画の認可をしなければ個人再生は認められないところ、個人再生委員の意見は裁判所の判断に大きな影響を与えますから、この意見書の内容が、個人再生の成否の分かれ道となります。

5.個人再生委員への対応は泉総合法律事務所へ相談を

このように、個人再生の手続を通じて、その行く末を左右する重要な役割を持つ個人再生委員への対応における注意点は多岐にわたります。

そのため、個人再生委員とのやり取りを助ける専門家がいなければ、個人再生委員が再生手続を利用させないという判断・意見をしてしまうリスクが生じかねません。

泉総合法律事務所は、個人再生に関する豊富な経験があり、個人再生委員への対応に熟練した弁護士が多数在籍しております。

個人再生手続を利用する際には、泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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