個人再生 [公開日] [更新日]

個人再生委員とは?個人再生の際の注意点と弁護士依頼のメリット

 【この記事を読んでわかる事】

  • 債務者も知っておくべき個人再生委員の役割
  • 個人再生の認可のために注意するべきこと
  • 個人再生委員との面談対策も弁護士に任せられる?

 

債務整理のなかでも、個人再生は、借金の減額が大きく期待できる手続きです。

しかし、その手続きには、裁判所を通して行われており、利用する場合の要件も厳格に運用されています。なかでも個人再生委員という人が裁判所から任命され手続きにおいて、重要な役割を担うことになります。

では、個人再生委員とは何をやる人でどんな風に任命されるのでしょうか。

1.個人再生委員とは?

個人再生委員は、民事再生の申立の際に、裁判所が必要と認めた場合、再生手続きを補助するために任命される委員のことです。通常は登録10年以上のベテランの弁護士が選任されます。

個人再生委員は東京地方裁判所では、原則全ての事件で選任されますが、全国のその他の裁判所では、債務者が弁護士をつけている場合には原則選任されません。

反対に債務者に代理人弁護士がいない場合は、全国どこの裁判所でも個人再生委員は選任されます。

2.個人再生委員の役割

再生手続きに関わる個人再生委員の役割とは一体どんなものなのでしょうか?またその重要性はどれほどのものなのでしょうか?

(1) 再生債務者の財産・収入・帳簿・書類の調査

個人再生委員は申立時に提出された資料をもとに、債務者の財産収入などを調査します。個人再生は認可決定要件があるので、その基準を満たしているかどうかをチェックし、意見書を作成し裁判所に提出。裁判所はその内容を基に民事再生開始決定の可否を判断します。

仮に債務者が提出した財産目録に不正があった場合には、個人再生委員の申立によって民事再生手続きが廃止になることもあるので、申請にあたっては注意が必要です。

①関係者間に争いのある再生債権の調査

民事再生の申立の際に、債権者と債務者の双方が主張する債権額が食い違うことがあります。特に多いのは利息に関する部分です。

その際は、債権額を確定させるために、債権者または債務者から再生債権の評価申立が行われます。

個人再生委員はこうした争いのある債権の調査も行います。債権者、債務者双方から資料を提出してもらい、中立的な立場で、公平な観点から裁判所に評価に関する意見を提出します。

②適正な再生計画案の作成を勧告する

個人再生委員は再生計画案の内容をチェックし、適切に作成するよう勧告、アドバイスする役割もあります。

再生計画が認可されるには、開始決定要件を全て満たす必要があり、再生計画案が不適切な場合は、裁判所から認可されません。

個人再生委員は再生計画が適切に行われるよう指導・監督してくれますが、裁判所に対して手続の進行について意見を述べる立場にあり、その意見は、裁判所の判断に重大な影響を及ぼします。

個人再生委員の意見によって、決定の変更や取り消しが行われることもあるので、非常に重要な立場にあります。

③債務者との面接

個人再生委員は再生債務者との面接も行います。個人再生委員は民事再生の申立から3週間以内に裁判所に意見書を提出しなければなりません。

そのため、申立から1~2週間以内には債務者と面接を行い、財産状況、借金の経緯、今後の収入、返済の目途など、民事再生決定開始の要件を満たしているかどうかを確認します。

④返済能力があるか履行テスト

東京地方裁判所など一部の裁判所では、民事再生認可決定前に返済能力についてテストを行います。その履行テストを行うのも個人再生委員の仕事です。

テスト内容は、個人再生後に計画通り返済ができるかを見極めるもので、申立書に記した月々の弁済額を申立期間中の6ヶ月間、裁判所に毎月納付するよう指示されます。

履行テストの納付額のうち15万円は個人再生委員の報酬に充てられ、余った分については債務者に返還されます。

テストで計画通り納付されない場合は、個人再生の認可決定をしても返済の見込みが低いと判断され、不認可になることもあるので注意が必要です。

3.再生手続き開始前

個人再生委員の仕事は再生手続前から手続後まで多岐にわたります。再生手続き開始前にはどんなことをするのでしょうか?

(1) 個人再生委員との打合せ・事情聴取

個人再生の申立を行うと、再生委員はすぐに債務者と面接を行い、事情聴取や打ち合わせを行います。

面接時間は30分~1時間ほどです。個人再生委員は裁判官ではないので、過度に緊張することなく、聞かれたことについて、ありのままに答えると良いでしょう。

(2) 東京地方裁判所では履行可能性テストを管理

東京地方裁判所では、決定前に履行可能性テストも実施します。個人再生委員が口座を指定するので、債務者は予納金をテストとして毎月振り込みます。

個人再生委員は、事情聴取・履行可能性テストの支払状況をもとに意見書作成します。意見書の内容は個人再生手続開始に重大な影響を与えるので、誠実に対応することが肝心です。

4.再生手続後

個人再生委員は再生手続後も重要な役割があります。

(1) 再生債務者作成の債権認否一覧表、再生計画案のチェック

個人再生委員は、再生債務者が作成した債権否認一覧や計画案をチェックします。内容に問題がある場合には、公平・中立の立場を崩さない程度に、修正の助言や指導を行います。

(2) 再生債権者の付議、付意見の決定をすべきか、再生計画認可決定をすべきかについての意見

再生手続き後、個人再生委員は債権者の付議、付意見の決定や、再生計画認可決定について裁判所に意見をします。

再生委員の陳述内容は裁判所の最終判断に大きな影響を与えるので、ここが認可決定の分かれ道と言っても過言ではないでしょう。

個人再生委員の意見で妥当とされ、裁判所が付議決定をすると、債権者にその旨が通知されます。

その後、債権者間で不同意がなく、不認可事由もないと判断された場合は、再生計画が認可決定します。個人再生委員はその後に任を解かれ、役割を終えることになります。

しかし、ハードシップ免責の申立があった場合には、その段階で新たに選任されます。

5.ハードシップ免責の申立て

個人再生の認可決定後、計画通りに返済ができなくなることもあります。その際の救済措置としてハードシップ免責という制度があります。

ハードシップ免責は、再生計画の返済を3/4以上終えていて、かつ失業や病気など本人に責めのない事由で残りの借金を返せない場合に、残債を全て免責する制度です。

ハードシップ免責は長く真面目に返済をしてきて、最後の最後にどうしようもない理由で完済できなくなった人のためにある制度なので、誰でも利用できるわけではなく、適用に際しては非常に高いハードルがあります。

ハードシップ免責の要件を満たしているかどうかは、個人再生委員が調査を行います。

再生委員が新たに選任されるのはハードシップ免責申立後で、調査する内容は財産や現在の収入の状況で、再生計画案変更での対処も検討されます。

基本的に返済期間の計画変更で乗り切れる場合、ハードシップ免責は適用されません。

もし、再生計画変更をしても返済できないことが明らかなときは、再生委員が、免責が妥当かどうか判断し、その意見を裁判所に陳述します。

この場合も、個人再生委員の意見は裁判所の決定に大きな影響を与えることになります。

ハードシップ免責について、詳しくは「ハードシップ免責とは?個人再生後に返済できなくなった時の救済措置」をご覧ください。

6.まとめ

このように、個人再生の手続きにおいて、個人再生委員は、とても重要な役割を担っています。

泉総合法律事務所は、再生委員との面談を含め、個人再生についてもエキスパートです。債務整理のことなら是非当事務所の弁護士にご相談ください。

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