個人再生 [公開日]2018年5月8日[更新日]2021年10月19日

個人再生委員とは?|つく場合とつかない場合の違い

個人再生は、借金の大きな減額が期待できる手続きです。
その手続きは裁判所を通して行われ、利用する場合の要件も厳格に運用されています。

その手続きの中で、「個人再生委員」という人が裁判所から任命されることがあります。

個人再生委員は、裁判所による手続に関する重要な決定に大きな影響を及ぼし、ひいては、個人再生手続そのものが成功するかどうかのカギを握っています。

そのため債務者は、個人再生委員に対して「自分は個人再生手続を利用することができる」と評価してもらえるよう、対応に注意しなければならないのです。

ここでは、個人再生委員についてご説明します。

1.個人再生委員がつく場合とつかない場合

個人再生委員は、民事再生申立の際に裁判所が必要と認めた場合、手続きを補助するために任命される委員のことです。
通常は登録から一定程度の年数を経過したベテランの弁護士が選任されます。

東京地方裁判所では、原則全ての事件で個人再生委員が選任されます。
一方、その他の裁判所では、債務者が弁護士をつけて申し立てた場合には原則として選任されないようです。

反対に、債務者に代理人弁護士がいない場合は、全国どこの裁判所でも個人再生委員は選任されるでしょう。申立書を本人が作成した場合のみならず、司法書士が作成した場合には、弁護士がいない申立てとなりますので、再生委員が選任されます。

(しかし、債務者が弁護士に個人再生を依頼しないことは滅多にありません。)

2.個人再生委員の役割

では、再生手続きに関わる個人再生委員の役割とは一体どんなものなのでしょうか?また、その重要性はどれほどのものなのでしょうか?

(1) 債務者との面接

個人再生委員は、債務者との面接を行います。

個人再生委員は民事再生の申立から3週間以内に裁判所に意見書を提出しなければなりません。
そのため、申立から1~2週間以内には債務者と面接を行い、財産状況、借金の経緯、今後の収入、返済の目途など、民事再生決定開始の要件を満たしているかどうかを確認します。

面接時間は30分~1時間ほどです。
過度に緊張することなく、聞かれたことについて嘘をつかずに正直に答えるようにしましょう。

(2) 債務者の財産・収入・帳簿・書類の調査

個人再生委員は、申立時に提出された資料をもとに、債務者の財産、収入などを調査します。

個人再生手続により減額される借金には、一定の限度や基準があります。
そのため、個人再生直前に財産を目減りさせていないか、財産を隠していないかを調査する必要があるのです。

また、個人再生では継続的な収入があることが利用の要件となりますので、現在の収入も調査されます。

債務者が個人再生の認可決定要件の基準を満たしているかどうかをチェックしたら、意見書を作成し、裁判所に提出します。
裁判所はその内容を基に民事再生開始決定の可否を判断します。

仮に債務者が提出した財産目録に不正があった場合などには、個人再生委員の意見によって民事再生手続きが廃止になることもあるので、個人再生申立てにあたっては不備がないよう注意が必要です。

【関係者間に争いのある再生債権の調査】
民事再生の申立の際に、債権者と債務者の双方が主張する債権額が食い違うことがあります(特に多いのは利息に関する部分です)。その際は、債権額を確定させるために、債権者または債務者から再生債権の評価申立が行われます。
個人再生委員はこうした争いのある債権の調査も行います。債権者、債務者双方から資料を提出してもらい、中立的な立場で、公平な観点から裁判所に評価に関する意見を提出します。

(3) 適正な再生計画案の作成を勧告

再生計画案の内容をチェックし、適切に作成するよう勧告、アドバイスする役割もあります。

あまりにも再生計画案がずさんであり、その修正の助言や指導をしても債務者がうまく対応できない場合には、「再生計画案通りに分割弁済をすることができないのではないだろうか」との心証を抱きかねません。

個人再生委員は再生計画が適切に行われるよう指導・監督してくれますが、裁判所に対して手続の進行について意見を述べる立場にあり、その意見は裁判所の判断に重大な影響を及ぼします。

個人再生委員の意見によって、決定の変更や取り消しが行われることもあるのです。

(4) 返済能力の履行テストを行う

東京地方裁判所など一部の裁判所では、民事再生認可決定前に、返済能力についてテストを行います。その「履行テスト」を行うのも個人再生委員の仕事です。

個人再生後に計画通り返済ができるかを見極めるために、申立書に記した月々の弁済額(予納金)を申立期間中の6ヶ月間、裁判所や裁判所の定めた口座に毎月納付するよう指示されます。

なお、履行テストの納付額のうち約15万円(管轄裁判所によります)は個人再生委員の報酬に充てられ、余った分については債務者に返還されます。

テストで計画通り納付されない場合は、個人再生の認可決定をしても返済の見込みが低いと判断され、不認可になることもあるので注意が必要です。

[参考記事]

個人再生の履行テストとは?

3.個人再生員に支払う報酬

個人再生委員の費用の目安は、15万円〜30万円程度です(管轄裁判所によって異なります)。

個人再生全体の予納金(あらかじめ裁判所に納める費用)は、約17万円〜30万円程度になるので、個人再生委員が占める費用の割合はかなり大きいことが分かります。

上記の個人再生委員の費用以外の内訳としては、申立て手数料1万円程度、郵便切手代5,000円程度、官報公告費用1万円程度です。

4.まとめ

個人再生委員の陳述内容は、裁判所の判断に大きな影響を与えます。

個人再生の手続を通じて、その行く末を左右する重要な役割を持つ個人再生委員への対応における注意点は多岐にわたります。そして、個人再生委員は裁判所の定めた中立の専門家ですので、立場上味方してくれるわけではありません。

ですので、個人再生委員とのやり取りを助ける味方の専門家がいなければ、個人再生の失敗というリスクが生じかねません。

泉総合法律事務所は、個人再生に関する豊富な経験があり、個人再生委員への対応についても熟練した弁護士が多数在籍しております。
個人再生手続を利用する際には、泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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