個人再生 [公開日]

個人再生は家族・勤務先に内緒でできるのか?

個人再生は家族・勤務先に内緒でできるのか?

債務整理は、できれば家族にも知られずにしたいものです。

では、個人再生家族や勤務先に内緒ですることができるのでしょうか?

1.個人再生が家族にバレるきっかけ

個人再生が家族にバレそうなポイントは意外に多く、内緒で手続きをするのはかなりハードルが高いです。

家族にバレるきっかけとなる出来事は以下の通りです。

(1) 裁判所からの郵便物が届く

個人再生手続は裁判所で行うことから、申立から認可までの間に裁判所から自宅に郵便物が届く可能性があります。

日常生活で裁判所から郵便が届くことは通常はありませんので、裁判所の封筒を家族に見られた場合は、訴訟に関わることが起こっていると思われるのは必至です。

それをきっかけに個人再生を打ち明けなければならない状況になる可能性は高いでしょう。

ただし、個人再生手続を弁護士に依頼している場合は、弁護士事務所を送達場所として指定できるので、郵便物が自宅に届くことはありません。

そうしたい場合は、自宅に送らないで欲しいという希望をあらかじめ弁護士に伝えておく必要があります。

一方、個人再生の書類作成を司法書士に以来する場合は、本人が裁判所に「送達場所届出書」を提出しなければなりません。送達場所は司法書士事務所にすればOKです。

(2) 官報に名前が載る

個人再生をすると官報に氏名、住所が記載されます。官報は一般的に目にする人が少ないので、官報の情報から家族にバレるということはまずありません。

また、官報はインターネットから無料で自由に閲覧できますが、毎日膨大な量がUPされており、さらに文字情報ではなくPDFファイルになっているので、氏名をネットで検索したら個人再生の情報が出てくるということはないので安心して下さい。

ただし、信用情報機関、銀行、市役所、保険会社などは、官報の情報をデータベース化しているので、家族がそうした機関に勤務をしている場合はそこからバレる可能性があります。

(3) 家族分の(非)課税証明書の申請

個人再生では世帯の収入状況を証明する書類を提出しなければなりません。家族に収入がある場合は課税証明書、収入がない場合は非課税証明書を提出します。

(非)課税証明書は1年間(1月1日~12月31日)の所得が記載されている書類で、市役所で受け取ることが可能です。

(非)課税証明書は同居親族であれば本人でなくても請求することは可能です。

同居をしていない親族については、仕送りをしている人がいる場合、また援助を受けている場合は同居外親族の課税証明書も必要です。

同居外親族の課税証明書は、委任状があれば自分で申請することも可能です。しかし、委任状は本人直筆の署名が必要となるので、理由を伝えずにサインをもらうのは難しいでしょう。

(4) 家族分の収入証明書の提出

個人再生をするときには、家族分の収入証明書の提出も必要です。

個人再生の認可の要件として、継続的かつ反復した収入があることが条件なので、家庭全体の収入の状況はとても重要なポイントであり、正確に申告をしなければなりません。

個人再生を申立する本人しか収入がない場合は特に問題ありませんが、例えば配偶者に収入がある場合は配偶者の2ヶ月分の給与明細書を提出する必要があり、内緒にしたい場合はこの点もネックです。

給与明細書を日ごろから共有している家庭は少ないので、個人再生の際は配偶者に給与明細書を出してもらわなければなりません。

日頃の生活で配偶者の給与明細が必要な場面は相当限られるため、「どうして必要なの?」と多少なりとも怪しまれるでしょう。

上手な言い訳があれば良いですが、配偶者に嘘をつき通すのはなかなか難しいでしょう。

(5) 家計簿の提出

個人再生の際は裁判所に家計簿も提出しなければなりません。

家計簿を提出する理由は、家族全員の収支を明らかにし、借金減額の必要性、今後の返済能力の有無、不適切な支出があるかどうかを裁判所がチェックするためです。

特に重要視されるのは、個人再生を認めるだけ家計を切り詰めているか、また再生計画認可通りに返済をしても無理のない切り詰め方であるかどうかという点です。

家計簿の提出については、自分で家計を管理している場合は特に問題ありませんが、配偶者がつけている場合は要注意です。

配偶者がきっちり家計簿をつけている場合、収支表の提出自体はそう難しくはないのですが、公共料金の支出については領収書の添付も必要です。

また、預金通帳、保険の解約返戻金証明書、車検証、有価証券などを財産目録と一緒に併せて提出しなければならないので、家計管理をしている人に内緒で全てを用意するのは、現実的には難しいと思われます。

(6) 配偶者などが連帯保証人となっている場合

配偶者など家族が借金の連帯保証人となっている場合は、個人再生の受任通知が債権者送られた時点で保証債務の請求が連帯保証人に行くので、残額の一括請求をされる可能性が高いので、そもそも内緒にするのは不可能です。

連帯保証人は主債務者が支払不能になったら、返済の責任を同等に負う立場です。

もし、配偶者も支払ができないということであれば、同時に個人再生か自己破産をする必要があるでしょう。

債務整理の中でも任意整理は債権者を選べるので、連帯保証人のついている債務を外して手続きすることができます。

2. 個人再生が勤務先にバレるきっかけ

以上のように、個人再生は家族に内緒で手続きするのは難しそうですが、勤務先にバレずに手続きすることはできるのでしょうか?

(1) 勤務先に借金がある

勤務先に借金がある場合は内緒にできない

個人再生をすると、全ての債権者に手続きに関する通知がいきます。仮に勤務先の社内融資制度などを利用して借金をしている場合、会社にも書面で通知が送られてくるので個人再生を隠すことはできません。

個人再生は特定の債権者だけ外して手続きをすることはできないので、勤務先に迷惑をかけられない、上司には知られたくないという場合は、債権者を選ぶことができる任意再生を検討しましょう。

また、1つの解決策として弁護士に個人再生の委任する前に、勤務先の借金を完済してしまえば勤務先にバレることはありません。その場合、できれば弁護士に依頼する1ヶ月前には返し終えることをおすすめします。

個人再生では債権者に受任通知が送られたあとに偏波弁済することは禁じられているので、弁護士に委任したあとに勤務先に返済すると、不当な目的として申立を棄却される恐れがあります。

また、棄却されない場合でも、偏波弁済により否認権を行使された場合は個人再生後の弁済額が高くなるので、優先的にどこかに借金を返済することは一定のリスクを伴います。

もし、勤務先に借金がある人で、職場にバレずに個人再生をする場合は、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

(2) 労金に借金がある

※労金の借金は「給与天引停止」でバレる

労金は労働組合や生協による出資で創設された非営利の金融機関で、低金利で融資を受けられるのが特徴です。

一般的な消費者金融よりも有利な条件で融資をしてもらえるので、おまとめローンなどで利用をしている人は多いと思います。

しかし、労金から借金をしている場合も要注意です。

個人再生は全ての債権者が対象となるので、当然労金の借金も対象となります。

労金の借金から個人再生が分かってしまうのは、返済が給与天引きの形で行われるからです。個人再生で弁護士から受任通知が送られると、労金から勤務先に「給与天引停止」の通知がいきます。

天引停止の理由を開示するかどうかは労金と勤務先の間で取り決めがあり、仮に理由を伝えられた場合は即バレることになります。

弁護士から給与天引停止の理由を開示しないよう、労金に求めることは可能ですが、仮に理由を伝えられなかったとしても、給与天引停止の通知がくれば、その従業員に何かあったと思われるのは避けられません。

(3) 共済組合に借金がある

公務員の方で共済組合に借金をしている場合も、個人再生が職場にバレる可能性があります。

共済組合で借金をしている場合は、組合に通知がいくのはもちろん、取引履歴を取り寄せる必要があるので、職場の組合担当者には分かってしまうでしょう。

ろうきん、共済組合の借金をしている方で、どうしても職場にバレたくない場合は、やはり弁護士に委任する前に借金を完済するしかありません。

(4) 会社に退職金見込額証明書を発行してもらわなければならない

※退職金見込額証明書が必要なのは個人再生のみ

個人再生の際は退職金見込額証明書も必要です。

というのも、個人再生では将来受け取る予定の退職金も財産とみなされ、退職金の1/8の額については資産として申告しなければならないからです。

勤務年数が浅い場合は問題ありませんが、勤続年数が5年を超えている場合は証明書の提出を求められます。

退職金見込額証明書は会社の事務や経理に依頼すれば発行してもらえますが、請求すると「債務整理では?」と相手に気づかれる可能性は高いでしょう。

というのも、この書類は債務整理以外に必要なシーンがほぼないからです。

「銀行の与信審査で必要だと言われた」などの理由を無理矢理作れないこともありませんが、その場合も銀行の書類を見せてほしいと言われたらアウトです。

運がよければ理由について深く聞かれることもありませんが、調べればすぐに分かるので、基本的には隠し通すことは難しいと考えておいた方がよいでしょう。

退職金規定があれば自分で計算可能!?

退職金見込額証明書の入手が難しい場合、会社の就業規則に退職金規定があれば、退職金見込額を自分で計算することもできます。

基本的に退職金制度がある会社では、労働基準法により退職金規定を定めることが義務付けられているので、必要があれば就業規則を確認してみましょう。

退職金規定には退職金の計算方法などが記載されているはずなので、退職金見込額証明書を手に入れられない場合、単純な計算で算出できる場合は、退職金規定をコピーして提出すればOKというケースもあります。

計算が複雑な場合は、弁護士に依頼して「退職金規定に基づく計算書」を作成してもらうことも可能です。

その際は、退職金規定のコピーや計算書の提出で間に合わせたいと、予め弁護士に伝えることをおすすめします。

(5) 官報に名前が載る

官報の情報に日常的に接している会社は少ないので、ほとんどの場合、官報から勤務先に個人再生がバレる心配は必要ないでしょう。

しかし、不動産、金融、保険、信用情報機関、市役所といった個人情報を取り扱う業種では、官報に接する機会も多いので、勤務先によっては同僚や上司にバレてしまう可能性があります。

3.まとめ

会社関係以外からの借金がなければ、勤務先にバレる可能性は低いでしょう。

しかし、個人再生は、個人だけでなく同居する家族の収入も問題となってくるので、家族に内緒にするのは、ハードルが高いと言えるかもしれません。

債務整理をお考えであれば、泉総合法律事務所に是非ご相談ください。債務整理を専門とする弁護士が最善の方法を一緒に考えさせていただきます。もしかしたら、個人再生よりも最適な債務整理方法があるかもしれません。

債務整理の相談は何度でも無料となっておりますので、お早めに専門家にご相談ください。

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