個人再生 [公開日]2018年4月27日[更新日]2019年11月6日

個人再生後に一括返済、繰り上げ返済はできる?その条件は?

個人再生後に一括返済、繰り上げ返済はできる?その条件は?

個人再生が認可された場合は、再生計画に基づき、減額された債務を一定期間内に分割で返済します。

逆に言うと、再生計画の認可後に、何らかの理由で纏まった資金が入ったとしても、再生計画上は、返済期間の終わりまで(3年後ないし5年後まで)、定額での分割弁済の継続を義務付けられることになります。
そこで、借金を一気に返せる状態になったのなら、再生計画の途中で早期に返済してしまいたい、と考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし、再生計画に従った返済中にまとまったお金ができた場合、一括返済・繰り上げ返済をすること(これは、方法としては、再生計画で定めた条件に従わない返済ということになります)は、可能なのでしょうか?

今回は、個人再生後の一括返済・繰り上げ返済の可否と、可能な場合のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

1.個人再生後の一括返済・繰り上げ返済について

まず、個人再生手続を取っていない状態で、例えば、ボーナスや給料のUP、遺産相続、宝くじの当選など、思わぬことで手持ちの資金に余裕ができたときは、借金の一部や全額をまとめて返すことが可能になります。

個人再生でも、一般のローン同様に、個人再生後の一括返済・繰り上げ返済をすること自体は可能です。法律には、個人再生後にまとめて返済することを直接禁止している規定は特にありません。

ただし、一括返済・繰り上げ返済ができるのは、以下の条件を満たしている場合に限ります。

(1) 債権者平等の原則を守る

個人再生手続は、「債権者平等の原則」のルールに則って運用される手続であり、再生計画も、この原則に従って内容が決められるものですから、再生後の返済は、全ての債権者に対して平等に返済を行わなければなりません。

[参考記事]

個人再生で問題となる偏頗弁済とは?債権者平等の原則の基本

したがって、個人再生後に資金に余裕ができたからといって、一部の債権者の借金だけを優先的に返済することは禁じられています。

借金の種類も、金額の多寡も関係なく、平等に返済を行わなければなりません。

例えばA社に720,000円、B社に1,080,000円(A社の1.5倍)、C社に1,440,000円(A社の2倍)を、3年(36回)で返済する計画があったとします。
その場合、月々の返済額はA社が20,000円、B社が30,000円、C社は40,000円になります。

ここで、仮に24回の返済が終わった段階(残り12回)で、270,000円の臨時収入があったとします。
この場合、A社にだけ繰り上げ返済して借金を完済させたいと思っても、それはできません。

もし、繰り上げ返済を行なうのであれば、債権者平等の原則により、A社に60,000円、B社に90,000円、C社に120,000円の返済(A:B:C=2:3:4の割合で返済)を行なうのが妥当です。

一気に早期返済してその企業への支払いを終了してしまいたい、と考えることもあると思いますが、再生計画と無関係に一部の人を優遇して返済をすることはできないのです。

(2) 債権者から同意を得る

再生計画途中での一括返済・繰り上げ返済には、債権者の同意が必要です。

一般的なローンの場合であれば、受け取れる利息が少なくなるので、一般的に貸金業者は一括返済には消極的な傾向があります。
しかし、個人再生の場合、再生計画の返済は、返済期間が長くなるほど利息が付くという仕組みではないので、纏めて返済されても債務者にとって損はありません

どちらかと言えば、一括返済・繰り上げ返済はむしろ歓迎されるので、同意を得るのはそれほど難しいことではないでしょう。

しかし、一括返済や繰り上げ返済を行うタイミングによっては、債権者に不信感を抱かれることもあるので、その点は注意が必要です。

その理由は、一括返済のデメリットのところで詳しく解説します。

2.一括返済・繰り上げ返済のメリット

(1) 心理的な負担から開放される

個人再生は、自己破産のように、債務の全額が免責される制度ではありません。再生後に返済が滞る等して、再生計画が取り消されるようなことがあると、債権者から再び全額の請求を受けることになってしまいます。

認可後は計画通りに滞りなく返済しなければならないので、実際に完済するまでのプレッシャーは決して少なくありません。

そんな中、一括や繰り上げで返済できれば、心理的な負担を減らすことができます。これは想像以上に大きなメリットです。

(2) 振込手数料が軽減される

個人再生後の返済は、銀行振り込みによって行われるケースが大半です。債権者が複数であれば、毎月の手数料だけでもばかになりません。

しかし、一括・繰り上げ返済を行えば、振り込み回数を減らすことができるので、手数料軽減につながり、経済的にも楽になります。

3.一括返済・繰り上げ返済のデメリット

(1) 財産隠しを疑われる

先述した通り、個人再生後の一括返済・繰り上げ返済はタイミングが重要です
というのも、場合によっては財産隠しを疑われる危険があるからです。

借金返済するお金がないから個人再生したのに、認可された直後に一括返済できるのは誰が見ても不自然です。
仮に、そうしたことがあれば、債権者から「最初から、本当はもっと財産があったのでは?それなのに、財産を隠していたのでは?」と思われる可能性があります。

そうした疑いをもたれた場合は、最悪、再生計画の取り消しをされる可能性もあります。

そのため、特に個人再生直後は、仮に臨時収入があっても(実際に、相続や宝くじ等といった、個人再生手続中には全く想定していなかった理由で、返済資金が用意出来たのであり、再生手続中には、何ら財産隠しに当たるような行為はしていなかったとしても)、一括返済や繰り上げ返済するのはお勧めできません。

(※なお、本当に再生債務者が再生手続中に財産隠しを行なっていた場合には、不正な手続として再生計画が取り消される可能性があり、最悪、詐欺再生罪に問われ刑事罰を受けることもあり得ます。)

したがって、既に纏まった返済資金が用意出来ていたとしても、暫くの間は、当初の計画通りに返済し、適切な時期が来たら、纏めて返済するのがベストです。
それまでは、折角用意した返済資金を使ってしまわないよう、きちんと管理をしましょう。

(2) 生活を切り詰めすぎてしまう

特に、前述のような臨時収入もないケースで、個人再生後に一括返済・繰り上げ返済を実行すると、債務者自身の生活が厳しくなる可能性があります。

個人再生後は、新たな借入、クレジットカードの作成もできないので、現金のみで全てのやりくりをしなくてはなりません。
そのため、生活費は余裕を持たせる位でないと、いざというときに困窮します。

個人再生の本来の目的は、経済的な再建を計ることにあります。早く借金の返済を終了したい余りに、再生後の生活に困っては元も子もありませんので、慎重な決断が必要でしょう。

【一括・繰り上げ返済をしてもブラックリストには掲載されたまま】
個人再生後に一括返済・繰り上げ返済をしても、その時点で、債務者のブラックリストの情報が消えることはありません
事故情報は手続から5~10年ほど残るので、早く返済したとしても、その間は、借入やクレジットカードを作ることは出来ないことにご注意ください。
参考:個人再生すると、いつからいつまでブラックリストに載ってしまう?

4.借金・個人再生のお悩みは泉総合法律事務所へ

個人再生後は、臨時収入などで資金に余裕ができたとしても、無理に一括返済・繰り上げ返済する必要はありません。
むしろ、タイミングによってはあらぬ疑いをかけられることもあるので、十分に注意してください。

しかし、一括、繰り上げ返済すると、精神的には確かに楽になります。もし早く借金を返してしまいたいと考える場合は、今後のライフプランについてしっかりと検討の上で決断をしましょう。

また、これから個人再生を考えているという方は、ぜひ一度泉総合法律事務所にご相談ください。

泉総合法律事務所は、個人再生の解決実績が豊富にあります。債務整理のスペシャリストの弁護士が、それぞれの方の話を丁寧に伺い、ベストの解決策を提案します。

借金トラブルは早く対処するに越したことはありません。対処が遅れるほど深刻化するので、早めに手を打つことが事態打開の鍵になります。

当事務所では無料相談も行っておりますので、借金問題にお困りでしたらお気軽にご利用ください。

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