個人再生 [公開日]

個人再生で友人・親族からの借金を別に返済することは可能?

個人再生で友人・親族からの借金を別に返済することは可能?

個人再生では、再生計画に従った返済をしていかなければなりません。

では、友人や親族に借金がある場合、他の債権者と別個に返済することができるのでしょうか?

1. 債権者平等原則について

※特定の債権者だけ優先的に返済することはできない

個人再生は借金を大幅に減額できる制度で、負債を1/5程度まで圧縮することが可能です。認可されれば債務者の負担は相当軽減するので、経済的な再建をする足がかりにすることができます。

一方、債権者にとっては、負債を1/5まで減らされるのですから、大きな痛手となることは十分予想されます。

そのため、個人再生をするにしても、債権者に友人や親族などが含まれる場合は「お世話になった人には迷惑をかけたくない」という思いを持つことでしょう。

しかし、個人再生の際には「債権者平等原則」があります。

これは「1人の債務者に対して複数の債権者がいる場合、全ての債権者は、債務者の総財産から平等・公平に債務の返済を受けられなければならない」というもので、特定の債権者だけ優先的に返済することを禁じているのです。

具体的には、例えば個人再生をする債務者Xの総財産が120万円あり、債権者が3人、それぞれAが100万円、Bが200万円、Cが300万円の債権を持っていたとします。

すると、A:B:Cの債権の割合は1:2:3になるので、債権者平等原則に照らすと、Aに20万円、Bに40万円、C60万円を返済しなければなりません。また、金額の過多で返済時期の優先順位がつけられることもありません。

仮に、この状況で、債権者Cが債務者Xの親しい友人だったとして、Cには特に世話になったからと全財産の120万円を支払った場合、AとBは本来受け取るはずの財産を受け取れず、権利を大きく損なうことになり、平等な状態とは言えません。

このような支払いを「偏波弁済(へんぱべんさい)」と言います。

偏波弁済は少し難しい用語ですが、偏頗とは「どちらか一方に偏っていて不公平なこと」という意味で、個人再生では禁じられている行為の1つです。

お世話になった人や親しい人には何とかお金を返したい、という気持ちはある意味自然な感情とも言えるので、実際に偏波弁済をしてしまう人もいます。また、偏波弁済禁止のルールを知らずにやってしまうケースもあります。返さないと肩身が狭いなど、自分の立場を守るためにやってしまうこともあるでしょう。

しかし、以下で説明しますが、偏波弁済は再生計画の認可に重大な影響を与えてしまいます。

2. 偏波弁済をした場合の不利益

個人再生で偏頗弁済を行うと、その後どんな影響があるのでしょうか?

(1) 個人再生申立の棄却、不認可の可能性あり

個人再生で偏頗弁済を行うと、申立の時点の審査で「不当な目的による申立」と判断され、申立が棄却される恐れがあります。

また、その後の個人再生手続開始決定したあとの認可の段階で、「債権者一般の利益に反する場合」は不認可となります。

この「債権者一般の利益に反する場合」とは、清算価値保証の原則に関係する話です。

清算価値保証の原則とは、個人再生をする場合は財産を放棄することなく経済的な再建を図れるので、自己破産をするときより多くの弁済をしなければならないというルールです。

このルールは舌苔なので、仮に偏波弁済を行った場合は、個人再生で算出される弁済額に偏波弁済分を上乗せして再生計画を作らなくてはなりません。

それをしない場合、個人再生は不認可となります。

(2) 最低弁済額に上乗せして再生計画を作成する

個人再生は負債額に応じて最低弁済額が決まっており、再生計画の弁済額がその額を下回ることはできません。

法律で定められている負債額に対する最低弁済額は下記の通りです。

  • 100万円未満…全額
  • 100万円~500万円以下…100万円
  • 500万円~1500万円以下…債務額の5分の1
  • 1500万円~3000万円以下…300万円
  • 3000万円~5000万円以下…債務額の10分の1

 

これは基本的な最低弁済額の基準であり、清算価値が上記の最低弁済額を上回る場合はその金額が最低弁済額となります。反対に下回る場合は上記一覧の額が適用されます。

例えばある債務者に200万円の負債があり、特に財産がない場合、最低弁済額は100万円となります。

しかし、仮に債務者が資産価値120万円の車を所有している場合、基準の100万円を上回るので最低弁済額は120万円になります。

一方、車の資産価値が80万円だった場合は100万円を下回るので最低弁済額は100万円となります。

このケースで、個人再生の直前に50万円の偏波弁済をすでに行っている場合は、上記の方法で算出された最低弁済額にさらに50万円上乗せして再生計画を作る必要があり、それをしないと不認可になってしまうのです。

個人再生からどれ位前であれば偏波弁済に当たらないのか、その時期について明確な基準はありません。もし、この点について心配な場合は、事前に弁護士に相談することをおすすめします。

3. 債権者平等原則の例外

債権者平等原則には例外もあります。該当するのはどのようなケースでしょうか?

(1) 再生債権者の同意がある場合

再生債権者が同意の上で偏波弁済を行う分には特に問題ありません。

例えば、親類が「自分への返済は後回しでいいから、他の皆様にご迷惑をおかけすることのないように」という内容のことを言ってくれたとします。

このようなケースでは、債権者である親類は、自分への返済が遅くなるという不利益を被ることが分かっていてそう言っていることになります。

債権者平等原則は一部の債権者に不利益を与えることがないように定められているルールなので、自ら不利益を受け入れている人に対しては適用されません。

よって、再生債権者の同意がある場合には、債権者平等原則は適用外となるのです。

(2) 少額再生債権の弁済期は短くできる

個人再生では認可決定から原則3年(例外5年)で再生債権の完済をしなければなりません。

しかし、債権者が複数いて、一部の債権者の再生債権が少額になる場合、何年もかけて少額のお金を返すことも現実的ではありません。

例えばある債権者の再生債権が1万円となった場合、1万円を3年かけて返すというのは債務者、債権者の双方にとって効率が悪いと感じるでしょう。債権額が100万円なら払うのは大変ですが、1万円であればもっと早く払ってしまえそうです。

この例は少し極端ですが、このようなケースでは、裁判所が再生債権を少額と認めた場合に限り、債権の弁済期を他の再生債権より短くすることが可能です。

実際にいくらまでなら少額と認められるのかは、ケースバイケースです。

(3) 利息等の請求権の免除

債権者平等の原則の例外では、利息等の請求権の免除が広く適用されます。

債権者が貸金業者の場合、ある会社は15%、別の会社は10%など会社ごとに利息は異なります。

債権者にしてみると、債権者平等の原則があるので、利息の割合を含めて債権の割合を決めて欲しいところですが、一般的に利息は元金に比べて保護の必要性が低いと考えられます。

そのため、利息については全て免除にするという決定が下されることがあり、その場合、高い利息を取っている会社は結果的に他の債権者より損をした気になりますが、これは債権者平等原則の例外として認められます。

利息等の請求権の免除については、実際の運用が裁判所によって異なるので、詳しくは弁護士と相談することをおすすめします。

4.個人再生の疑問は弁護士へ

友人・親族への返済を優先的に行うことは偏波弁済に該当します。裁判所に分かると個人再生の申立が棄却、不認可になる恐れがあるので、十分に注意が必要です。

また、個人再生には、これ以外にも細かな注意点が色々とあります。債務整理の中でも手続きが複雑で手続きが失敗するポイントはいくつもあります。

もし、個人再生を考えているのなら、できるだけ早く弁護士に相談してみてください。泉総合法律事務所であれば、相談料無料で借金のお悩みにお応えします。

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