個人再生 [公開日]2018年8月20日[更新日]2022年3月10日

個人再生で友人・親族からの借金を別に返済できる?

個人再生に成功すると、大幅に借金額を減らすことができます。
しかし、友人や親から借りたお金は、できれば全額返したいと思うでしょう。

個人再生をするケースで、友人や親からの借金だけを減額せず別に返済することはできるのでしょうか?

今回は、個人再生を検討しているものの、友人・親から借りたお金は返済したい方に向けて、優先返済が可能かどうかを解説します。

1.個人再生で勝手な個別の返済はNG

結論から言うと、親や友人からの借金であったとしても、個人再生手続き中に勝手に個人間で返済するのはNGです。
なぜなら、これは「債権者平等の原則」に反するからです。

一部の債権者に対して優先的に返済することを「偏頗弁済(へんぱべんさい)」といいますが、これを禁止している根拠が「債権者平等の原則」です。

債権者平等の原則とは、複数の債権者がいる場合に、「それぞれの債権者は債権額に応じて債務者の財産から平等に債務の返済を受けるべき」とする原則です。民事再生法では229条第1項、破産法では194条第2項に規定があります。

債権者平等原則で債権者間の平等が規定されているのは、まさに一部の債権者のみに弁済が行われてしまうと不公平が生じるためです。

したがって、以下のような行為は禁止されています。

  • 友人や家族、勤務先などに対して優先的に返済する
  • 取り立てが酷い業者にだけ返済する

[参考記事]

個人再生で問題となる偏頗弁済とは?債権者平等の原則の基本

【債権者平等の原則に例外はある?】
以下の場合は、債権者平等原則の例外と考えられます。
・担保権が設定されている場合
・住民税、所得税、年金などの税金の類
・養育費(ただし既に滞納している部分は除く)
・故意または重過失により他人の身体や生命を侵害したことによる損害賠償金
所有する土地や家に担保権が設定されていることがあります。この場合の債権者は優先弁済権を有しているため、債権者平等の原則にかかわらず担保権を実行することが可能です。
税金に関しては、個人再生手続きで減額されることもありませんので、支払いを続けます。養育費や損害賠償金も例外と考えられています。
個人再生手続きの場合、住宅ローンを残したままにして他の債務の減額を図ることができますが(住宅ローン特則)、この場合も債権者平等の原則は適用されません。

2.偏頗弁済をした場合の不利益

債権者平等の原則を破って偏頗弁済してしまった場合には、個人再生手続きが難航する、失敗に終わる可能性があります。

また、個人再生手続きの場合、最終的な返済額が上がってしまうという不利益もあります。

個人再生手続きでは、元本も含めて1/5〜1/10程度まで借金を圧縮することができます。これは債務額の合計金額によって変動します。
しかし、清算価値保障の原則から、最低でも債務者が保有する財産に相当する額は返済する必要があるのです。

偏頗弁済したことが明らかになった場合、偏頗弁済した額を清算価値に上乗せしなければならなくなります。

例えば、本来なら150万円まで減額できたケースが、特定の債権者に50万円偏頗弁済していると、その金額をプラスすることで合計200万円を個人再生後も返済しなければいけなくなってしまう、ということもあり得るのです。

[参考記事]

個人再生の最低弁済額|月々の支払いはいくらになるの?

3.親・友人の借金を返したい場合の対応策

とは言え、「友人や親に対してだけはどうしても返済したい」という方もいらっしゃるでしょう。
この場合は、何か対処方法はあるのでしょうか?

(1) 任意整理を選択する

債務整理のうち「任意整理」を選択すれば、債権者平等の原則が適用されることはありません。

任意整理とは、債権者との交渉により、将来利息を免除してもらうなどして、返済スケジュールを組み直す債務整理方法です。また、払い過ぎた利息がある場合は、法定利息に引き直し計算することで過払い金の返還請求が図れます。
元本は減りませんが、利息が減るので毎月の返済負担が軽くなるでしょう。

任意整理の特徴は、自分で債務整理をする債務を選ぶことができるという点です。
つまり、親や友人には引き続き返済したいという場合は、当該債務を任意整理の対象としなければ良いということになります。

返済している借金の中で家計を圧迫している債務や、保証人を設定していない債務だけを選んで任意整理手続きを進めれば良いのです。

任意整理とは?

(2) 個人再生の再生計画終了後に返済する

任意整理では解決が難しく、やはり個人再生をしたいという場合、手続き中の返済はどうしても偏頗弁済になってしまいます。
ただし、個人再生計画の終了後であれば、別に返済をすることは可能です。

債権者平等の原則は、支払い不能となったときから再生計画終了後まで適用されます。つまり、この期間を除けば個人的に返済したい人に借金を返済しても問題ないということです。

再生計画は、3年から5年の返済期間で終了します。この期間中に再生計画通りに完済できれば、あとは返済できなかった分について友人や親に別途返済しても問題とはなりません。

4.自分にぴったりの債務整理を選ぶには弁護士へ相談を

「周囲に迷惑をかけたくない」という一心で、債務整理の選択肢を狭めてしまうことはお勧めできません。
というのも、この点だけに注目してしまうと、せっかく債務整理をしたのに「思ったよりも返済額が減らない」などの問題が生じてしまう可能性があるからです。

「家族に迷惑をかけたくないから任意整理をしたが、支払いきれずに結局自己破産をすることになってしまった」となったら本末転倒でしょう。

自分に合った債務整理方法を見つけるのは、弁護士に相談するのが一番の近道です。
個人再生が良いこともあれば、人によっては任意整理や自己破産が最適な方法であるケースもあります。

個別ケースに応じて専門的な視点で判断が必要であることから、どの債務整理手続きを選ぶかに関しては弁護士に相談するべきです。

その際に「借金は減額したいけれど、親や友人への迷惑は最小限にしたい」などの自分の希望を伝えれば、良い解決策を提案してもらえることもあります。

泉総合法律事務所は、これまで多くの債務整理事案を取り扱ってきた実績があるため、ご希望に沿った借金問題解決案を提案できます。
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