個人再生 [公開日]2018年8月20日[更新日]2021年2月16日

個人再生で友人・親族からの借金を別に返済できる?

大幅に借金額を減らしたいという場合は、個人再生を検討されるでしょう。
しかし、友人や親から借りたお金を踏み倒すことは、できればしたくないはずです。

この場合に、友人や親から借りた借金だけを別に返済しても良いのでしょうか?

今回は、個人再生をするものの友人・親から借りたお金を返済したい場合について解説します。

1.個人再生で勝手な個別の返済はNG

結論から言うと、親や友人であったとしても、個人再生手続き中に勝手に個人間で借金を返済するのはNGです。
なぜなら、「債権者平等の原則」に反するからです。

勝手に一部の債権者に返済することを「偏頗弁済」といいますが、これを禁止している根拠が債権者平等の原則です。

債権者平等の原則とは、複数の債権者がいる場合に、「それぞれの債権者は債権額に応じて債務者の財産から平等に債務の返済を受けるべき」とする原則です。
破産法では194条第2項、民事再生法では229条第1項に規定があります。

債権者平等原則で債権者間の平等が規定されているのは、まさに一部の債権者のみに弁済が行われてしまうと不公平が生じるためです。

したがって、以下のような行為は禁止されています。

  • 友人や家族、職場に対してだけ優先的に返済する
  • 取り立てが酷い業者にだけ返済する
【債権者平等の原則に例外はある?】
以下の場合は、債権者平等原則の例外と考えられます。
・担保権が設定されている場合
・住民税、所得税、年金などの税金の類
・養育費(ただし既に滞納している部分は除く)
・故意または重過失により他人の身体や生命を侵害したことによる損害賠償金
所有する土地や家に担保権が設定されていることがあります。この場合の債権者は優先弁済権を有しているため、債権者平等の原則にかかわらず担保権を実行することが可能です。
税金に関しては、個人再生手続きで減額されることもありませんので、支払いを続けます。養育費や損害賠償金も例外と考えられています。
個人再生手続きの場合、住宅ローンを残したままにして他の債務の減額を図ることができますが、この場合も債権者平等の原則は適用されません。

2.偏頗弁済をした場合の不利益

債権者平等の原則を破ってしまった場合には、個人再生手続きが難航する、失敗に終わる可能性があります。

また、個人再生手続きの場合、最終的な返済額が上がってしまうという不利益もあります。

個人再生手続きでは、元本も含めて1/5〜1/10程度まで借金を圧縮することができます。
しかし、清算価値保障の原則から、債務者が保有する財産に相当する額は返済する必要があるのです。

偏頗弁済したことが明らかになった場合、偏頗弁済の額を清算価値に上乗せしなければならなくなります。

例えば、本来なら150万円まで減額できたケースが、特定の債権者に支払った50万円をプラスすることで200万円返済しなければいけなくなってしまう、ということもあるのです。

[参考記事]

個人再生で問題となる偏頗弁済とは?債権者平等の原則の基本

3.友人・親に迷惑をかけたくない場合の対応策

とは言え、「友人や親に対してだけはどうしても返済したい」という方もいらっしゃるでしょう。
この場合は、何か対処方法はあるのでしょうか?

(1) 任意整理を選択する

債務整理ならどの手続きでも債権者平等の原則が適用されるわけではありません。
手続きにおける例外措置以外にも、「任意整理」を選択すれば債権者平等の原則が適用されることはありません。

任意整理とは、債権者との交渉で利率を法定利息に引き直し計算することで借金の減額を図る方法です。元本は減りませんが、利息が減るので毎月の返済負担が少し軽くなります。

任意整理の特徴は、自分で債務整理をする債務を選ぶことができるという点です。
親や友人には返済したいという場合は、当該債務を任意整理の対象としなければ良いということになります。

返済している借金の中で、家計を圧迫している債務だけを選んで任意整理手続きを進めれば良いのです。

任意整理とは?

(2) 個人再生の再生計画が終了後に返済する

どうしても個人再生手続きをしたいという場合、手続き中の返済はやはり偏頗弁済になってしまいます。
ただし、個人再生計画の終了後であれば、別に返済をすることは可能です。

債権者平等の原則は、支払い不能となったときから再生計画終了後まで適用されます。つまり、この期間を除けば個人的に返済したい人に借金を返済しても問題ないということです。

再生計画は、3年から5年の返済期間で終了します。この期間中に再生計画通りに完済できれば、あとは返済できなかった分について友人や親に別途返済しても問題とはなりません。

4.自分にぴったりの債務整理を選ぶには弁護士へ相談を

「周囲に迷惑をかけたくない」という一心で、債務整理手続きの種類を選ぶことはお勧めできません。
というのも、この点だけに注目してしまうと、せっかく債務整理をしたのに「思ったよりも返済額が減らない」などの問題が生じてしまい、任意整理をしてしばらく払っても結局破産等になってしまう可能性があるからです。

自分に合った債務整理方法を見つけるのは、弁護士に相談するのが一番の近道です。
ご希望通りの個人再生が良いこともあれば、任意整理がいちばん良い方法であるケースもあります。場合によっては自己破産も検討すべきでしょう。

自分ではメリットとデメリットを客観的に判断することは難しいです。個別ケースに応じて専門的な視点で判断が必要であることから、どの債務整理手続きを選ぶかに関しては弁護士に任せるべきです。

その際に「借金は減額したいけれど、親や友人への迷惑は最小限にしたい」などの自分の希望を伝えれば、良い解決策を提案してもらえることもあります。

泉総合法律事務所は、これまで多くの債務整理事案を取り扱ってきた実績があるため、ご希望に沿った借金問題解決案を提案できます。
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