個人再生 [公開日]2018年6月14日[更新日]2021年10月28日

個人再生をした場合、遅延損害金の支払い義務は残る?

個人再生は、債務の大幅な減額が認められる可能性があり、借金の返済に苦しむ債務者にとっては、利用を検討する価値のある制度です。

借金を滞納している場合には「遅延損害金」が発生しますが、遅延損害金も個人再生によって減免される可能性があります。
遅延損害金の減免が認められるかどうかは、元本債権の種類・内容や発生のタイミングによりますので、弁護士にご相談ください。

この記事では、個人再生手続きを通じて、借金の遅延損害金の減免が認められるかどうかについて解説します。

1.遅延損害金とは?

まずは「遅延損害金」とは何かについて、基本的なポイントを解説します。

(1) 履行遅滞についての損害賠償金

遅延損害金とは、金銭債務の支払いが遅れた場合に、債務者が債権者に対して支払い義務を負う損害賠償金のことです。

債務の支払いが遅れることを「履行遅滞」(民法412条)といい、履行遅滞は債務不履行の一類型に当たります。
債務不履行を生じさせた債務者は、債権者に発生した損害を賠償しなければなりません(民法415条1項)。

債務不履行に基づく損害賠償を請求する場合、債権者は、発生した損害の金額を立証しなければならないのが原則です。

しかし、金銭債務の場合は、債務不履行に基づく損害賠償額(=遅延損害金の額)を債権者が立証する必要はなく、常に法定利率または約定利率によって遅延損害金の額が決まることになっています(民法419条)。

[参考記事]

債務不履行とは?借金を返済しない場合のリスク

(2) 遅延損害金と利息の違い

遅延損害金は、借金の利息と同様に、債務者が債権者に対して、元本とは別に支払わなければならない債務である点で共通しています。
その一方で、遅延損害金と利息の法的性質は全く違います。

まず、利息は常に約定(契約の定め)に基づいて発生するのに対して、遅延損害金は約定がなくとも、法定利率に従って発生するという違いがあります。

また利率についても、利息と遅延損害金の利率を同じにする必要はなく、別々の利率を定めることができます。
一般的には、ペナルティの意味合いがある遅延損害金の利率の方が、利息よりも高率に設定されることが多いです。

さらに、利息と遅延損害金では、発生する期間が異なります。

利息は借入日の翌日から、返済日当日までの期間について発生します。
これに対して遅延損害金は、返済日の翌日から、滞納を解消した日の当日まで発生します。

つまり、利息の発生期間が終わったその翌日から、遅延損害金の発生が始まるということです。

(3) 遅延損害金の利率

遅延損害金の利率は、約定利率があればそれに従います(民法419条1項但し書き)。

ただし借金(金銭消費貸借)の場合、遅延損害金の利率には、以下の上限が設けられています。

①原則
利息の上限利率の1.46倍まで(利息制限法4条。元本額に応じて、以下のとおり)
・元本の額が10万円未満の場合、年29.2%まで
・元本の額が10万円以上100万円未満の場合、年26.28%まで
・元本の額が100万円以上の場合、年21.9%まで

②営業的金銭消費貸借(金融機関や貸金業者からの借り入れ)の場合
年20%まで(利息制限法7条)

一方、遅延損害金についての約定利率がない場合、法定利率に従って遅延損害金の額が決定されます。
2021年10月の現行民法上、法定利率は年3%です(民法404条2項。3年ごとに見直される可能性があります)。

2.遅延損害金は個人再生で減免される?

遅延損害金が個人再生で減免されるかどうかは、元本債務の性質によって決まります。

(1) 通常の借金の遅延損害金は減免の対象

個人再生手続き開始前の段階で、金融機関・貸金業者・個人などから借り入れた通常の借金は、原則として個人再生による減免の対象となります。

再生手続開始前の原因に基づいて生じた債務者に対する債権は「再生債権」に該当し、個人再生手続きによる減免の対象となります(民事再生法84条1項)。
再生手続開始前に借り入れた通常の借金は、原則として上記の再生債権の要件を満たすため、個人再生手続きによる減免が行われるのです。

なお、再生手続開始後も遅延損害金は発生し続けます。

このような、再生手続開始後に発生する遅延損害金であっても、元本が再生債権である限り、再生債権に含めるものとされています(同条2項)。

(2) 減免が認められない遅延損害金も

これに対して、元本が再生債権ではなく、個人再生による減免が認められない債権である場合には、遅延損害金についても減免が認められません

個人再生手続きによる減免が認められない遅延損害金の種類は、以下のとおりです。

①担保権付債権の遅延損害金(別除権)

再生手続開始の時点で、債務者の財産に対する担保権が付された債権は、個人再生による減免の対象となりません。

このような債権は、別除権(=担保権)を手続き外で行使することにより、優先的に回収されてしまうからです(民事再生法53条1項、2項)。

遅延損害金も、元本と併せて別除権の行使によって回収されますので、個人再生による減免の対象外となります。

②共益債権の遅延損害金

管財人報酬など、再生債権者全員の共同の利益のために支出される費用の債権は、「共益債権」として取り扱われます(同法119条)。

共益債権は、その遅延損害金も含めて、再生手続きによらずに随時弁済されます(同法121条1項)。

[参考記事]

個人再生における共益債権とは?

③一般優先債権の遅延損害金

一般の先取特権その他一般の優先権がある債権(共益債権を除く)は、「一般優先債権」として取り扱われます(同法122条1項)。

典型的には、税金・社会保険料・国民年金保険料・罰金などの債権が一般優先債権に該当します。

一般優先債権は、延滞金(遅延損害金)も含めて、再生手続きによらずに随時弁済されます(同条2項)。

④非減免債権の遅延損害金

個人再生手続きでは、破産手続きの非免責債権に準じて、「非減免債権」とされる債権があります(同法229条3項)。

[参考記事]

個人再生の非減免債権(非免責債権)の扱い

非減免債権は、再生債権に該当する場合であっても、債権者の同意がなければ、個人再生による減免が認められません。

遅延損害金についても、非減免債権の元本に準じて取り扱われますので、債権者の同意がなければ減免不可となります。

⑤開始後債権の遅延損害金

再生手続開始後の原因に基づいて生じた財産上の請求権を「開始後債権」といいます(同法123条1項)。

たとえば、再生手続開始後に借金をした場合、その借金に関する遅延損害金は開始後債権に当たります。

開始後債権は、再生計画に基づく弁済期間が満了しなければ、再生債務者から弁済を受けることができません。

その反面、個人再生に伴う減免の対象にはならないので、開始後債権の遅延損害金は、弁済期間の満了後に全額支払う必要があります。

3.遅延損害金のカットは任意整理でも可能

利息や遅延損害金をカットすれば、何とか借金の返済を続けていけそうだという場合は、「任意整理」を利用することも有力な選択肢となります。

任意整理とは、債権者と直接交渉を行い、債務の減額や返済スケジュールの変更を認めてもらう債務整理の方法です。
特に利息や遅延損害金については、任意整理によってもカットが認められる可能性が高いです。

任意整理は、個人再生とは異なり、裁判所を通さずに手続きを進めるため、コストや手間が少なく済むというメリットがあります。
また、整理対象の債務を債務者が選べるため、保証人への迷惑を回避できる、家族に借金の事実が発覚しにくいといった点もメリットです。

ただし任意整理の場合、個人再生のように大幅な借金減額は期待できません。常に債権者の同意を要する点にも注意すべきでしょう。

このように、各債務整理手続きにはメリット・デメリットの両面が存在し、どの手続きが適しているかは、債務者の状況により異なります。

債務整理手続きの選択については、弁護士にご相談いただければ、状況に合わせたアドバイスを差し上げますので、ぜひお気軽にご相談ください。

4.まとめ

個人再生手続きを通じて、遅延損害金の減免が認められるかどうかは、元本債権の性質や発生時期などによって決まります。
実際に減免が認められるかどうかについては、個別具体的な検討が必要となりますので、弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

また、個人再生だけでなく、自己破産や任意整理も、借金の状況を解決するためには有力な選択肢です。
どの手続きが適しているかは債務者の状況によって異なりますが、弁護士にご相談いただければ、メリットが大きくリスクの少ない手法をご提案いたします。

借金の返済負担が重くお悩みの方は、お早めに弁護士までご相談ください。

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