個人再生 [公開日]2018年5月15日[更新日]2020年6月29日

個人再生は司法書士と弁護士のどちらに依頼するべきなのか?

住宅ローン付きのマイホームなどを残した上で(住宅ローンの返済は維持した上で)借金(住宅ローン以外)を大幅に減額できる「個人再生」ですが、この申立てをする場合、代理人を付けずに申立人ご自身で手続をすることも一応は(法律上は)可能です。

しかし、個人再生は、債務整理手続の中でも特に複雑であり、必要書類が多く、自力で行なうと手続に失敗するリスクもあるため、現実的には、個人再生を行なう際は、弁護士・司法書士などの専門家に依頼することが殆どかと思われます。

それでは、同じ個人再生でも、弁護士に依頼した場合と司法書士に依頼した場合とで、どのような違いがあるのでしょうか。また、「自分はどちらを選ぶべきか」という、依頼先に関する選び方のポイントはあるのでしょうか。

以下では、弁護士と司法書士の違いや、依頼先を選ぶ際のポイント等につき、ご説明いたします。

1.弁護士と司法書士の違い

まずは、弁護士と司法書士の違いについて、いくつかの観点から見ていきましょう。

(1) 業務の範囲

弁護士も司法書士も、債務者本人のために個人再生の手続に関与することができますが、できる業務の範囲に違いがあります。

まず、個人再生手続においては、申立てから手続完了までの間に、申立書類や再生計画案等、何度か裁判所に書類を提出する必要があります。
そのため、決められた期限までに裁判所に提出する必要書類を収集・作成しなければなりません。

弁護士も司法書士も、書類作成代理人として、債務者のために裁判所に提出する個人再生の申立書等を作成することができます(再生計画案も作成できます)。

しかし、申立をする裁判所によっては、書類を作成・提出するだけでなく、裁判官や個人再生委員との面接等があります。この場面になると、代理人が弁護士であるか司法書士であるかで、手続の進め方に違いが生じます。

すなわち、司法書士は、裁判官や個人再生委員との面接に同席することや、代理で出席することはできません。
したがって、司法書士に依頼した場合には、そうした手続は全て債務者自身で行なう必要があります(司法書士には、面接について事前に相談をしてアドバイスを貰うという形でサポートして貰うことになりますが、面接本番の場面では、全て自分1人で対応しなければなりません)

また、裁判所が開いているのは平日の昼間なので、ご自身が出席する場合は、仕事を休む必要が生じることもあります。

これに対し、弁護士は、裁判所に提出する必要書類を作成するだけでなく、債務者の「代理人」として、裁判所とのやりとりを債務者に代わって行なうことができますし、個人再生委員との面接にも同席することができます。

弁護士に依頼した場合には、手続のかなりの部分を弁護士が債務者に代わって行なうことができるので、その意味で債務者の負担が少なくなると言えます。

また、個人再生委員との面接の際にも、弁護士がすぐ側にいますので、債務者は安心して面接に臨むことができます。

【扱える金額の範囲の違い】
個人再生では問題になりませんが、扱える金額の範囲の違いについても簡単に説明します。
弁護士は、法律業務の全般を行うことが可能で、取り扱える借金の金額などについても上限はありません。一方で、司法書士は、簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格した「認定司法書士」のみ、訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件等について、相談・交渉・和解や訴訟を行なうなどの代理業務を行なうことができます。
これが問題となるのは、任意整理・過払い金返還請求となります。つまり、一般の司法書士は、民事事件を取り扱えないだけでなく、仮に認定司法書士であっても、借金の金額が140万円を超える事件の任意整理の交渉は代行できないということです。

(2) 費用の違い

弁護士・司法書士への報酬の違い

個人再生の手続を弁護士や司法書士に依頼した場合には、弁護士や司法書士に対して報酬(弁護士費用・司法書士費用)を支払うことになります。
弁護士と司法書士は、この報酬の金額にも差があります。

実際には、弁護士や司法書士の報酬は一律にいくらと決まっている訳ではなく、事務所ごとに報酬を定めていますので、弁護士か司法書士かという資格の違いだけでなく、「どこの事務所に依頼するか」により、報酬の金額は変わってきます(なお、事務所名に「法律事務所」と入っているのが弁護士事務所になります)。

ただ、一般的には、弁護士に個人再生を依頼した場合の報酬の相場は30万円~50万円程度、司法書士に個人再生を依頼した場合の報酬の相場は20万円~40万円程度のようです。

前述のとおり、弁護士の方が対応可能な業務範囲が広い分、司法書士に依頼する場合よりも、報酬が10万円~20万円程度高くなっているということです。

手続における裁判所費用の違い

個人再生をするにあたっては、弁護士や司法書士に支払う報酬の他に、手続をするために裁判所に納めなければならない費用が発生します。

具体的には、以下のような費用がかかります。

収入印紙代 1万円
官報掲載費用 1万2000円程度
※申立先の裁判所によって異なります
郵便切手代(郵券代) 2000円~4000円程度
※申立先の裁判所や債権者数によって異なります。
個人再生委員の報酬 15万円~25万円程度
※申立先の裁判所や代理人弁護士がついているかどうか等によって異なります。

収入印紙代、官報掲載費用、郵便切手代については、基本的に、弁護士に依頼するか、司法書士に依頼するかによって違いは生じません。
ですが、個人再生委員の報酬については、弁護士に依頼するか、司法書士に依頼するかで金額が異なってくる場合があります。

個人再生委員とは、個人再生手続を監督するために裁判所が選任する弁護士です。

[参考記事]

個人再生委員とは?個人再生の際の注意点と弁護士依頼のメリット

個人再生委員を選任するかどうかは、申立先の裁判所の判断によりますが、東京地裁の場合は、運用として、申立代理人弁護士がついているか否かに関わらず、全ての個人再生事件について個人再生委員が選任されています。

もっとも、代理人弁護士がついているかどうかで、個人再生委員の報酬の額が変わってきます。

代理人弁護士がついている場合は、再生委員報酬は、原則15万円ですが、代理人弁護士がついていない場合は、原則25万円とより高額になります。

東京地裁以外の裁判所では、申立代理人弁護士がついている場合には原則として個人再生委員は選任されず、本人申立ての場合(申立代理人がついていない場合)には、個人再生委員が選任されるケースが多いようです(本人申立ての場合は、専門家たる代理人による事実関係の調査や申立書類のチェックが事前になされていないことから、裁判所の立場からすると、専門家たる再生委員を選任した上で慎重に検討すべきとの判断に傾きやすいと思われます)

司法書士に依頼している場合は、個人再生委員が選任される場合とされない場合があり、そのあたりは裁判所の運用によって異なります。

2.弁護士か司法書士|選ぶ際のポイント

それでは、結局、弁護士と司法書士、どちらに個人再生を依頼するのがよいのでしょうか。

まず、依頼に要する費用の面から考えますと、報酬に関しては、弁護士の方が司法書士よりも10万円~20万円程度高くなるケースが多いようです。
これだけ聞くと、費用を抑えられるならば司法書士に頼もう、と思う方がいらっしゃるかもしれません。

しかし他方で、手続にかかる費用(裁判所に納める費用)に関しては、弁護士に依頼する方が司法書士に依頼するよりも10万円~20万円程度安く抑えられることが多いと言えます。

そうしますと、もちろん依頼する事務所の費用設定の仕方にもよりますが、トータルとしては、弁護士と司法書士のどちらに依頼しても、必要な費用の総額自体は余り変わらない可能性が高いでしょう。

ただし、これまでにご説明したとおり、弁護士に依頼した場合には、手続の多くの部分を弁護士に代行して貰えるので、債務者本人の負担が大きく減ります

したがって、個人再生の手続においてできるだけ自分の手間を少なくしたい、裁判所とのやり取りも全て代理人に一任したい、自分の案件は債権者も多く借金額も高額なので複雑だ等と考えていらっしゃる方は、弁護士にご依頼することをお勧めします。

3.個人再生のご相談は泉総合法律事務所へ

個人再生を弁護士と司法書士に依頼した場合の違いについてはご理解頂けましたでしょうか。

泉総合法律事務所では、これまでに多数の個人再生の案件を取り扱っておりますので、お客様それぞれのご状況に応じた適切なアドバイスを致します。
もちろん、個人再生だけでなく、自己破産や法人破産・任意整理などの解決も可能です。

借金が返済できずにお悩みの方、個人再生をご検討されていらっしゃる方は、まずは一度泉総合法律事務所にご相談ください。

借金に関するご相談は何度でも無料でお受けしていますので、お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

債務整理コラム一覧に戻る