個人再生 [公開日]2019年7月22日[更新日]2021年9月29日

個人再生の認可決定後の流れ|認可決定・確定後の注意点

無事に個人再生で再生計画の認可決定を受けたら、認可の決定が「確定」後に、いよいよ再生計画に沿った弁済がスタートします。

その上で、気をつけるべき点・注意すべき点はどのようなものがあるのでしょうか?
また、万が一計画通りに弁済ができなくなってしまった時は、どうなってしまうのでしょうか?

今回は、個人再生の再生計画認可決定後・確定後の流れと注意点、万が一再生計画通りの返済ができなくなってしまった場合の対応策をご紹介していきます。

1.個人再生認可決定後から確定の流れ

債務者が作成した再生計画(返済計画)を認めるとする裁判所の決定を「認可決定」といいます。

個人再生の認可決定(もしくは不認可決定)が出ることで、裁判所での個人再生に関する手続きは全て終了します。

そして、再生計画の認可が決定してから、官報への掲載など法定の条件・期間が経過すると、認可決定が「確定」することになります(認可決定が出てから約1ヶ月後)。

認可決定が「確定」した後は、再生計画に沿って債権者に対しての支払いを行うことになります。

再生計画に従った返済は、認可決定が確定した翌月からスタートします(毎月払いの場合)。
それまでに、個人再生の認可決定が確定したということを債権者に通知する必要があります(こちらは代理人の弁護士が行います)。

なお、「認可決定後・確定後に通帳などの書類を提出する必要はあるのでしょうか?」というご質問がたまにありますが、原則として個人再生の認可決定後・確定後に通帳等の提出を求められることはありません。

2.認可決定後に注意すべき点

個人再生で注意しなくてはならないのは、再生計画認可決定後でも再生計画が取り消されてしまう場合があるということです。

再生計画の認可決定が確定した後は、再生計画に沿ってコツコツと返済していけば基本的には問題ありません。
しかし、計画に沿った返済ができなかった場合には、再生計画が取り消しされてしまうことがあります。

実際に再生計画の取り消しが実行される理由で1番多いのが、弁済を怠ってしまったというケースです。

もし再生計画に沿った返済が正当な理由なく滞ってしまった場合は、債権者側からの申告によって、裁判所から再生計画が取り消されてしまう可能性があるので注意しましょう。

例えば、個人再生認可決定後の弁済中にギャンブルなどを行うことは、法律上は問題ないのですが、そのことが原因で返済が滞ってしまうと再生計画は取り消されてしまいます。

そもそも個人再生後はブラックリスト状態となるため、家や車のローンを組むことや、クレジットカードを作ること、消費者金融などから借入・融資を受けることが一定期間できなくなります(車や携帯などを現金で一括払い購入することは可能です)。

今まで以上に生活に注意しなければなりませんので、浪費やギャンブルは極力行わないようにしましょう(勿論、個人再生手続中も同様です)。

[参考記事]

個人再生によるブラックリストの掲載期間

【返済ができなくなった場合の流れ】
実際に病気・リストラなど、さまざまな事情により再生計画に沿った返済ができなくなってしまった場合には、どうなってしまうのでしょうか?
まず、債権者によって個人再生計画の取り消しの申し立てが行われた後、再生計画が取り消されてしまいます。再生計画が取り消されてしまうと、一度減額された借金は元の金額に戻ってしまいます。
すると、債権者は原則として一括での返済を請求してくることとなります。

3.認可決定後に返済できなくなった場合の対応策

では、やむを得ず再生計画に沿った返済ができなくなってしまった場合には、どのような対応をとれば良いのでしょうか?

(1) 計画変更の申し立て

例えば、勤務先からの給与が減額された、病気により仕事を続けられなくなったなど、やむを得ない事情によって返済が滞ってしまった場合には、返済計画の変更の申し立てをすることができます。

弁済期間を延長すれば当初の再生計画に沿った返済が可能である、と認められた場合には、再生計画を変更し、返済期間を延長することができます。

例えば、通常は3年で借金を返済しなくてはならないところを、特別な事情があった場合に限り5年まで返済期間を延長することができるでしょう。

債権者との話し合いで同意を得ることができれば、より有利な条件での再生計画になるよう見直してもらえる可能性もあります。

(2) 自己破産をする

返済計画の変更が認められない場合、他の債務整理をする方法もあります。

他の債務整理の手段としては、「任意整理」と「自己破産」があります。

特に個人再生に失敗した際は、自己破産を現実的に検討することが可能でしょう。

自己破産では、一定以上の自分の財産を処分する代わりに、借金を全額免除してもらうことができます。
自己破産とは

(3) ハードシップ免責

病気やリストラなど、債務者の責めに帰することができない事由で返済が極めて困難な状態になった場合で、かつ返済金額の4分の3以上の返済を行なっていたならば、残りの借金の支払義務の免除を受けることができる可能性があります。
これが「ハードシップ免責」です。

ハードシップ免責が認められる条件は厳しいものですが、もし条件に当てはまるならば、個人再生の手続きを行った裁判所に申し立てることで残債務が免除されます。

[参考記事]

ハードシップ免責とは?|個人再生後の返済で滞納したら

4.認可決定後・確定後の不安も弁護士に相談を

「個人再生認可確定後の返済ができなくなってしまった」という場合は、滞納期間が長くなってしまう前に、早めに対応することが大切です。
できるだけ早く対応することで、再生計画の延長によって解決することが可能かもしれません。

また、自己破産・ハードシップ免責などを検討することも可能です。

再生計画の延長をするべきか?自己破産をするべきか?などは、きちんと状況を把握したうえで最善の解決策を選ぶことが大切です。

個人再生の再生計画認可確定後に再生計画通りの返済が難しくなってしまった場合も、お早めに泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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