過払い金返還請求 [公開日]2017年11月13日[更新日]2018年8月27日

過払い金返還請求が拒否された!?貸金業者の反論理由・争点は?

過払い金返還請求が拒否された!?貸金業者の反論理由・争点は?

数年前は過払い金請求に関するテレビCMやラジオが頻繁に流れていましたが、最近は大分落ち着いてきました。

しかし、まだ過払い金請求は続いています。

本来、貸金業者は過払い金を返還しなければいけないのですが、なかなか素直には返還に応じてくれません。色々と理由をつけて反論してきます。しかも納得がいかなければ、訴訟を提起して争うしかありません。

そこで、今回は、貸金業者がよく反論してくる代表的な争点をいくつかご説明していきます。

1.取引の分断・一連計算

過払い金返還請求でもっとも争点となるのが「取引の分断」です。これは、どこの貸金業者もよく主張してきます。

「取引の分断」とは、ある貸金業者から借入をし、一度完済したあとに、また同じ貸金業者から借入をした場合、この取引を別々に計算(分断計算)するか、合わせて1つの取引として計算(一連計算)するかというものです(ほとんどの場合、一連計算した方が過払い金は多くなります)。

そしてこれに関連してくるのが、消滅時効の問題です。

(1) 消滅時効

過払い金返還請求権の消滅時効は、最終取引日から10年です。

一連計算が認められれば第1の取引が完済から10年以上経過していても、第2の取引から10年経過していなければ、過払い金請求が認められますが、逆にそれが認められなければ、第2の取引分しか過払い請求ができません。

取引の分断なのか一連なのかは裁判上でもよく争われ、判例も色々あります。

貸金業者は少しでも自分に有利な分断計算を主張しますし、原告側はできるだけ多く過払い金を取り戻したいので一連計算を主張します。

では、どのように分断か一連かを判断するのか、判断のポイントとなるのは、①2度目の契約までの空白期間の長さ、②一度目の契約書を返還しているか否か、③1度目と2度目の契約内容の違い、④1度目の完済後のカードの解約手続、などが挙げられます。

特に、2度目の契約までの空白期間が長い(1年以上)と一連計算の主張は厳しい傾向にあります。

2.悪意の受益者

悪意の受益者」とは、不当な利得だと知っていながら、法律上の原因なくして不当に利益を受けた者のことで、この「悪意の受益者」にあたれば、過払い金に年5%の利息を付けて返還請求することができます。

ところが、貸金業者は「悪意の受益者」にあたらないという主張をしてきます。簡単に言いますと、過払い金に5%の利息を付けるかどうかという争点です。

この争点では、最高裁で、特別の事情がある場合を除き、利息も請求できるという判断がくだされています。

3.私的和解

私的和解をしているから過払い金返還に応じないと主張してくる場合があります。これは、貸金業者と取引期間中に返済条件などを緩和し、過払い金が発生していたとしても返さなくてよいという和解した場合をいいます(和解書の中に「債権債務なし」と条項があります。)。

この争点で負けると全く回収できませんが、錯誤がある場合は無効と考える余地もあります。

しかし、その主張が認められるのは簡単ではなく、①過払い金が発生しているのに、その事実を知らなかった、②貸金業者から履歴開示がされていなかった、③利息制限法で計算されていなかった、などを立証する必要があります。

4.消滅時効

過払い金返還請求権は10年で消滅時効にかかってしまいます。いつから10年で消滅時効になってしまうのかが、以前は争点になっていました。

しかし、判例上、この過払い金の時効の起算点(時効が開始する時点)は、取引終了時点からということで決着がついています。(最高裁平成21年1月22日判決)

では、なぜ消滅時効が争点としてよく出てくるのか?これは、取引の分断があった場合です。この件に関しては、見出し1の取引の分断・一連計算をご参照ください。

5.期限の利益の喪失

期限の利益」とは、支払期日が来るまでは返済しなくてもよい、という債務者の利益のことです。返済しなくてもよいというと誤解を招いてしまいますが、一括返済ではなく分割で支払ってよいということです。

この利益を喪失してしまうと、分割ではなく一括で返済しなければならなくなり、それを「期限の利益の喪失」と言います。

貸金業者は、取引期間中はこの期限の利益の主張をしなかったにもかかわらず、過払い金の返還請求がなされると、いきなり過去の返済の遅れを指摘しはじめ、前述の期限の利益喪失の主張をしてくるケースがあります。

このような主張が認められると、過払い金の返還請求が認められなくなるばかりか、平成19年12月18日以前からの取引の場合、高い遅延損害金の利率(上限29.2%)で計算することになりますので、完済であったはずの取引が完済ではなくなり、その結果、残高が残ってしまう場合もあります。

最近は、貸金業者側の主張を認める裁判例も少なからず存在するため、過去に延滞を繰り返していた場合は、慎重に取引履歴を検討する必要があります。

6.過払い金返還請求は泉総合法律事務所へ

以上が、過払い金返還請求においてよく争点になるものです。

争点は案件によってさまざまですし、貸金業者側もあの手この手で主張してきます。もし、過払い金返還請求を考えている方は、時効消滅のリスクもありますので、お早めに泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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