自己破産 [公開日]2018年1月15日[更新日]2021年8月27日

自己破産は取り消しができる?取り消し可能なタイミングと注意点

借金を滞納して返済が困難となった方は、「債務整理」を考えると思います。債務整理のうち自己破産には、借金の返済義務が免除される(税金等を除く)という他にはないメリットがあります。

他方で、自己破産をするとその後の生活に一定の影響を及ぼします(自宅等の不動産や高価な資産を処分しなければならない、一部職業について数ヶ月の資格制限を受ける、クレジットカードが使えなくなるなど)。

そのため、「自己破産はデメリットが多いから、やっぱり別の方法で借金を解決したい」と考える方がいらっしゃるかもしれません。

そうしたケースでは、タイミングにもよりますが、自己破産を取り消して任意整理や個人再生などに移行できる可能性があります。

今回は、自己破産申請後(破産申立)の取り消し・取り下げの可否について解説します。

1.自己破産申立後の取り消し・取り下げは可能

結論から言えば、自己破産の申立てをしても、後から取り消す・取り下げることは可能です。

いくら慎重に考えて自己破産を決めても、状況が変われば別の決断が必要になることもあります。

例えば、リストラや会社の倒産などで収入減が途絶えている時には自己破産以外の道はないですが、当初は返済の見込みがなかったとしても、その後に就職できたり、何らかの収入源が確保できたりする場合があるでしょう。

毎月決まったお金が入ってくるならば、任意整理や個人再生を認めてもらえる可能性が出てきます(とは言え、任意整理や個人再生による返済が滞ったら、最終的には自己破産せざるを得なくなる可能性が高いので注意しましょう)。

[参考記事]

自己破産と他の債務整理の違い

しかし、取り消し・取り下げのタイミングについては注意が必要です。
自己破産の手続が進むと、ある段階から取り消し・取り下げはできなくなります

2.自己破産の取り消しができなくなるタイミング

(1) 破産手続開始決定後は取り消し不可

自己破産は、以下のような流れで手続きが進んでいきます(裁判所によって細かな運用は異なります)。

債務者又は債権者による破産手続開始の申し立て→破産管財人の選任→審尋(裁判官との面談)→破産開始決定→管財事件・同時廃止の決定→破産手続・免責決定手続き→免責許可・不許可決定

自己破産は、仮に裁判所へ申立をした場合でも破産手続開始決定前であれば取り下げることができます

一方、開始決定後は如何なる理由があっても取り下げることはできません(破産法29条)。

(2) 取り消し可能な期間の目安

自己破産をすると決めたら、申立まで約3ヶ月程度の準備期間が必要です(書類の収集や作成などのため)。

また、破産手続開始決定の具体的なタイミングは、申立をした日に出る(審尋がない)こともあれば、申立をしてから1ヶ月ほど後になることもあります(各裁判所の運用によって異なります)。

申立を行うまでの準備期間にはある程度の余裕がありますが、申立から開始決定までは比較的期間が短いので、自己破産をするかどうかは、申立前によく検討することをおすすめします。

[参考記事]

自己破産の申立のタイミング

3.取り消し・取り下げの方法

まず、自己破産申立前でしたら、まだ弁護士などの協力の元で書類の準備をしている最中かと思います。

この場合、自己破産を依頼している弁護士に「自己破産以外の方法を採りたい」などと相談しましょう。弁護士は、あなたの希望を聞いて次なる解決策を一緒に考えてくれるでしょう。

申立後の取り下げにあたっても、債権者の同意は必要ないので、自分の意思で決定することができます。弁護士に相談の上、申立を取り下げる手続きを行います(取り下げの理由を裁判所に問われることもありません)。

ただし、開始決定前に差し押さえを受けていた場合は、自己破産の取り消しには裁判所の許可が必要になります(破産法29条)。

【弁護士費用はどうなるか】
自己破産を取り消す・取り下げる場合であっても、それまでの相談料や着手金については支払うのが一般的です。
しかし、どういう対応になるかは担当弁護士によっても異なるので、取り消し・取り下げをする際は早めに相談しましょう。

4.自己破産の慎重な判断のために弁護士へ相談を

自己破産は、破産手続開始決定前であれば取り下げることができます。

申立から開始決定までは期間が短いので、申立をする前に「本当に自己破産を利用するのが良いのかどうか」をご自身で、あるいは家族でよく確認・検討することをおすすめします。

自己破産に限らず、債務整理を行う場合は、いかなる時でも早めに行動をするようにしましょう。対処が遅れると、それだけ解決も難しくなります。

泉総合法律事務所の弁護士は、ご相談者様一人ひとり合った債務整理方法をご提案いたします。

「あちらの手続きにしておけば良かった」「個人再生・任意整理にしたが返済しきれなかった」ということが起きないよう、借金問題への対処方法について丁寧にアドバイスいたしますので、多額の借金でお悩みの方は是非ともお早めに当事務所の専門家へ問い合わせください。無料相談も実施しております。

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