自己破産 [公開日]2021年11月11日

自己破産した場合、訴えられる・刑事告訴されることはある?

自己破産をすると借金が原則として0になります。
債務者にとっては夢のような話ですが、満額の借金を返してもらえなくなる債権者には不満が残るでしょう。

世の中には、借金の返済を巡って争う訴訟も多いです。
「自己破産で借金を0にしたら、それを不満に思った債権者から訴訟を起こされるのでは?」と不安に思う方がいても仕方がありません。

また、「借金を返さないと詐欺になるのでは?」「刑事罰があるのでは?」と心配な方もいるでしょう。

現実に、そういった可能性はあるのでしょうか?

1.自己破産は合法的な手続き

まずは、自己破産について簡単に知っておきましょう。

自己破産は裁判所に申立てをして行う、債務整理の一種です。
借金を0にしてもらう代わりに、自分の持つ一定以上の財産が、裁判所によって処分されます。
処分された財産はお金に換えられて、債権者への弁済として配当されます。

財産が処分されると言っても、当面の生活に必要なものは手元に残せます。99万円までの現金や、家具家電、その他の生活必需品などです。

一方で、持ち家を含む不動産や自動車などの高額な財産は、よほど古くて価値のないものでない限り処分の対象になります。
高額な財産がない場合は、特に何も処分されません。

[参考記事]

自由財産とは|自己破産しても財産が残せる!拡張は可能か?

さて、自己破産は「破産法」という法律で定められており、裁判所で行われる、極めて合法的な手続きです。

債務者が契約通りに債務を履行しなければ、債権者は不満でしょうし、実際に大きな不利益を被ります。
しかし、破産手続開始決定が出た後は、破産債権者は破産手続によらなければ権利行使ができなくなるため(破産法100条1項)、破産債権者は、破産債権について破産者に対し訴えを起こすことができなくなります。

また、破産手続開始決定の前に提起された訴訟がある場合、破産者を当事者とする破産財団に関する訴訟手続については、破産手続開始決定とともに中断します(破産法44条1項)。

自己破産によって、債権者の権利は大きく制限されてしまうのです。訴訟に関することも、その制限の1つと考えてください。

2.自己破産で逮捕・刑事告訴される?

上記のように民事上の訴訟は制限されるとしても、刑事的な観点から見て「警察に逮捕されないの?」と不安に思う方はいるかもしれません。

(1) 逮捕・刑事告訴されることはない

しかし、ご安心ください。自己破産をしても、逮捕されたり刑事告訴されたりすることはありません
「借金を返さない人が逮捕された」などというニュースを見たことがある人はいないでしょう。

警察官も、一般人から「あの人がお金を返してくれないので逮捕してください」と言われたところで、特にアクションを起こすことはありません。

また、刑事告訴されることもありません。借金問題で訴えられるとしたら民事ですが、既に述べたように、民事で訴えられたとしても、自己破産をすれば破産者に対する貸金返還請求訴訟の手続は中断します。

なお、「お金を返さない人を逮捕した」というニュースがあったしても、それは「お金を『だまし取って』返さない」という事件であることがほとんどです。
お金をだまし取ることは詐欺罪などの刑法に触れるため、当然ながら逮捕や刑事告訴の対象となります。

(2) 前科や前歴がつくこともない

自己破産は犯罪ではないので、当然ながら前科にはなりません。前歴がつくこともありません。
そのため、過去の自己破産を理由として、就職や転職に影響が出ることもないでしょう。

そもそも自己破産をしたことを自分で申告しない限り、過去の自己破産を知られる可能性は低いはずです。

自己破産をすると「官報」という国の広報紙にその旨が掲載されます。しかし官報を隅々まで読む人はほとんどいないのが実情です。
もし自分が自己破産をして、本当に官報に掲載されているのか確認しようとしても、自分の名前を見つけるのに苦労するはずです。
よって、官報からバレるケースは非常に稀と言っていいでしょう。

ただし自己破産をすると、その情報が金融機関や貸金業者の間で何年か共有されます。いわゆる「ブラックリストに載った」状態です。

そういったお金を扱う職種に就職しようとすると、過去の自己破産などに関する情報を調査される可能性があります。

そこでバレても不採用に直結するわけではありません。借金の理由には様々なものがあるからです。
ただし、自己破産の理由が自堕落や浪費癖による借金だった場合、自己管理能力に問題があるとされて、採用を見送られる可能性はあります。

【財産の処分は刑事罰ではない】
先述の通り、自己破産をすると、手持ちの財産がある程度処分されます。これを罰金などの刑事罰と考える人もいるようです。
しかし既述の通り、処分された財産はお金に換えられて、債権者への配当に使われます。あくまで弁済のための手続きであり、「自己破産という悪いことをしたから罰金として財産を処分する」という性格のものではありません。
刑事罰ではないので、前科・前歴にならないことは既に述べた通りです。

3.詐欺破産罪に注意

破産法には「詐欺破産罪」についての規定があります(破産法第14章罰則)。

詐欺破産罪が適用されると、1ヶ月以上10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、あるいはその両方が科されます。

破産手続開始決定の前後を問わず、債権者を害する意図で次の行為をしたときには詐欺破産罪が成立する可能性があるので、ご注意ください。

(1) 財産を隠す、壊す

財産を隠したり壊したりすると、債権者が破産手続によって受け取れる配当が減ってしまいます。そのため、これらの行為は禁止されています。

ただし不注意で財産を壊した場合は、「債権者を害する」意図ではないため、見逃してもらえる可能性があります。

[参考記事]

自己破産で財産隠しは絶対NG|タンス貯金も調査される?!

(2) 財産譲渡や債務負担を仮装(偽装)する

第三者に財産を売却したようなフリをする、あるいは実際に貸していないお金を債務者に貸し付けたような契約書を作るなどの行為が該当します。

破産する法人の財産を子会社などに売ったように見せかけて、財産の処分を免れようとする人がいます。そういった行為を防ぐために設けられた規定です。

(3) 財産の現状を変えて価値を減らす

財産を破壊する以外の方法で、財産の価値を目減りさせる行為を言います。

例えば更地の上に建物を建てれば、土地の価格は下落します。

土地の価格が下落すると債権者への配当が減ってしまうため、これに類する行為は禁止されています。

(4) 財産を不利益に処分する、または不利益な債務を負担する

例えば財産を無償で第三者に贈与する、または異常に安い価格で売却する行為です。

また、闇金融業者などから異常な高利で借り入れをしても、これに該当します。

この場合、行為に加担した者も同じ刑罰を科されます。

(5) 債務者の財産を取得する、または第三者に財産取得させる

上記の4項目は「破産手続開始決定の前後を問わず」適用されますが、こちらは破産手続開始決定後の行為にのみ適用されます。

破産手続開始決定があったことを知りながら、債権者を害する目的で、裁判所が選任した破産管財人を通さず、そして正当な理由なく、勝手に債務者の財産を取得する行為が該当します。第三者に債務者の財産を取得させても同様です。

破産手続開始決定があった以上、債務者の財産は破産管財人(裁判所)の管理下に置かれます。正当な理由なく財産を勝手に持ち出されると破産手続に支障があり、債権者への配当も減ってしまいます。そのためこれらの行為は犯罪とされています。

4.自己破産は合法的な手続き

自己破産をすると、確かに債権者に迷惑がかかってしまいます。

しかし合法的な手続きである以上、後ろめたさを感じる必要はありません。
むしろ返済不能な借金を抱えたままだと、債権者にもストレスがかかります。督促の手間と時間が負担になるためです。

自己破産をした方が、お互いの手間とストレスを減らすことに繋がるかもしれません。

破産に関する手続きは、弁護士に依頼して代理してもらいましょう。
弁護士の指示に従っておけば、詐欺破産罪に該当する行為を回避しながら、安全かつ迅速に手続きを終わらせて、借金問題を解決することができます。

弁護士法人泉総合法律事務所には、借金問題に詳しい弁護士が揃っています。ぜひお早めにご相談ください。

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