大学の奨学金が返済できない!延滞続き、破産するべきか?

自己破産

大学の奨学金が返済できない!延滞続き、破産するべきか?

ここで言う「奨学金」とは、母子家庭であるなどの経済的な事情により、高校、大学、大学院、専門学校などの入学金や授業料を支払うことができない場合、日本学生支援機構(以下,通称名である「育英会」と言います)が、その学校に通う人に貸付けるお金のことです。

今や大学生の2人に1人が、奨学金を借りています。ところが、現在、この奨学金を返済できないという人が多くなってきています。その背景には、現代の日本社会の雇用システムが関係していると言われています。

ここでは、奨学金の仕組みや、返済を延滞するとどうなるのか、どうしても返済できない場合はどうすればいいのかなどを解説していきます。

1.奨学金返還が難しい背景

以前のような終身雇用システムの社会では、生涯にわたり安定した収入を確保できたため、奨学金が返還できなくなるという人はさほど多くはありませんでした。

しかし、現代は、派遣社員やアルバイトといった非正規雇用の人が多くなっており、月収16万円ほど、年収200万円前後という人も少なくありません。

そうなると、奨学金を借りて大学を卒業し、就職しても非正規社員として就業した場合は、1人暮らしをして家賃の支払いを行うと、奨学金の返済額まで充当できず、返済が厳しい状態に陥ります。
また、一度就業の機会を失うと貯蓄もなく、消費者金融業者から借金をしてしまったという方も少なくありません。

このような場合、貸主である育英会により、減額返済、返済猶予などの手続が用意されておりますが、上記のように、根底には現在の日本社会の雇用システムが関係しており、なかなか抜本的な解決にならず、結果として自己破産や個人再生などの債務整理手続をとる人が急増しているのが実情です。

2.返済を延滞すると

それでは、奨学金の返済を延滞すると、どのような不利益が課されるのかを見てみましょう。

(1) 延滞金

奨学金の返済予定日を経過すると、5%の延滞金が課せられてしまいます。

(2) 「ブラックリスト」掲載

さらに、延滞が3ヶ月以上続いてしまうと、個人信用情報に関する同意書を提出している方は、個人信用情報機関(俗にいう「ブラックリスト」)に個人情報が登録されてしまいます。

そして、個人信用情報機関に延滞者として登録されると、その情報を参照した金融機関などからは、「経済的信用が低い」と判断されてしまいます。

そうすると、新たにクレジットカードが発行されなかったり、既存のクレジットカードの利用が止められたりしますので、各種料金の決済ができなくなったりする場合があります。

また、自動車ローンや住宅ローンが組めなくなることもあります。

一度登録された情報は、延滞を完了してもすぐには消えず、大半の場合、返還完了の5年後に削除されることになりますので、ブラックリスト掲載の不利益は大きいと言えます。

(3) 給料などの差し押さえ

延滞が9ヶ月以上におよんでしまうと、育英会は裁判所に対し、「支払督促」の申立を行います。

これは、裁判所による手続ですので、裁判所から自宅に特別な郵便(特別送達)で書類が送られてきます。

この書類に対しても、特段の手続をとらずに14日間を経過すると、育英会は「仮執行宣言付支払督促の申立」を行い、これに対しても異議申立書を送付せずに14日間を経過すると、同申立書は「債務名義」に変わり、その後、給料などの差し押さえを受ける可能性があります。

3.保証制度

奨学金を借りる場合、育英会には、保証会社を保証人とする機関保証や、連帯保証人などの人的保証の制度があり、ほぼすべての契約にどちらかの保証が設定されているのが通常です。

したがって、本人が返済を延滞し、本人に返済の資力がない場合には、育英会は、これらの保証制度に基づいて、奨学金の回収を図ることになります。

(1) 機関保証

育英会は、本人の延滞が続き滞納額が一定額に達すると、奨学金の残金、利息、延滞金を含めて一括返済を要求してきます。

それでも、本人より返還がない場合、育英会は、保証会社である「公益財団法人日本国際教育支援協会(以下、「支援協会」と言います)」が、支払いをしない本人に代わって、請求金額全額を育英会に返済します(「代位弁済」と言います)。

これにより、請求権は育英会から支援協会へと移り、それでも、本人が返済に応じない場合、支援協会は、先ほど説明した裁判手続をとってきます。

(2) 人的保証

連帯保証人を設定していた場合には、民事訴訟法に基づく「支払督促」の申立がとられることになります。

まず、本人が返済金を延滞し、督促しても返還がなされない場合には、育英会は、連帯保証人に対し、やはり奨学金の残金、利息、延滞金を含めて一括請求を行うとともに、「支払督促」を申立てるとの予告を行ってきます。

その後、上記予告で支払いを求めた返還期限を過ぎても、なお返還がされない場合には、育英会は、裁判所に「支払督促」の申立を行います。

そして、「支払督促」の申立をしてもなお返還がなされない場合には、裁判所に「仮執行宣言付支払督促の申立」がされ、それでも返還されない場合は、給料などの差し押さえを受ける可能性があります。

4.返済できない場合

(1) 返済困難な場合の制度

それでは、返済困難となった場合にはどうすればよいのでしょうか。

現在、定められた額の返済を行うことが困難でも、将来的には、返済が可能となる事情がある場合には、育英会の定めた減額返還、返還期限猶予などの手続をとるのが得策であると言えます。

たとえば、現在、失業により就職活動中であるものの就職が決まれば返済の再開が可能である場合、公務員試験や資格試験の受験勉強中であり、合格すれば安定した収入が見込まれる場合が、これにあたると言えるでしょう。

① 減額返還制度

災害、傷病、経済困難、失業などの諸事情により返還困難となった場合に、育英会に申し出ることにより、一定期間、当初割賦金を2分の1または3分の1に減額して、その分の返還期間を延長することにより、返還しやすくする制度です。

② 返還期限猶予制度

①に掲げた事情のほか、進学などにより、現在返還が困難であるため、一定期間返還を待って欲しいなどの事情がある場合に、一定期間、返還を停止し先送りすることにより、その後の返還がしやすくなる制度です。

③ 返還免除制度

本人が死亡し返還ができなくなった場合、精神もしくは身体の障害により労働能力を喪失または労働能力に高度の制限を有し返還ができなくなったときに、申し出により返還未済額の全部または一部の返還が免除される制度です。

(2) 自己破産、個人再生

上記のように、育英会との間における減額返還、返済期限猶予などの手続は、将来的に収入の増大が見込まれる場合には、確かにメリットのある手続であると言えるでしょう。

一方で、冒頭で述べたように、現在の日本の雇用システムにおいては、非正規雇用のシステムが制度化されており、企業サイドも、経費を抑えることができ短期的就業を可能とする非正規雇用者の採用に、積極的な側面があると言えるでしょう。

そうすると、労働者がいくら正規雇用を求めても、なかなかその機会がなく、経済的困窮から脱出できず、奨学金を延滞しその他の借金を増大させているケースが多いのが実情と言えるでしょう。

そこで、このような場合には、自己破産や個人再生などの法的手続をとることにより、奨学金を含めた借金の支払免除や、減額してもらうことが得策であるかもしれません。

(3) 連帯保証人への請求

自己破産と個人再生の手続をとった場合、奨学金を借りる際に連帯保証人を設定していれば、育英会は、自己破産や個人再生の手続により回収できなくなった奨学金の残金などを連帯保証人に対し請求することになります。

この点、機関保証の場合は、責任を負うのは借りた本人だけなので、本人が自己破産などをすれば親族などに請求がいくことはありません。

しかし、連帯保証人がいる場合は、連帯保証人である親族などに請求がいってしまい、結果的に連帯保証人も自己破産せざるを得ないということが少なからず発生しており、本人の自己破産と同様に社会問題となっています。

・連帯保証人に迷惑をかけないために

また、自己破産や個人再生の手続を行うことに躊躇(ちゅうちょ)してしまう原因が、連帯保証人に自己破産や個人再生の手続をとることを知られてしまうことです。これをどうしても避けるため、自己破産や個人再生を選択せず、借金を整理する対象を選択できる任意整理手続を選ぶ方も少なくありません。

ですが、借金の金額がそもそも多く、任意整理を選択しても結局借金を支払うことができず、自己破産や個人再生に切り替える方もいらっしゃいますので、借金の整理の方法は慎重に考えましょう。

4.奨学金の借金も弁護士にご相談を

奨学金を返せない事情の背景には、派遣社員やアルバイトといった非正規雇用の人が増え、収入が少ないことが原因と考えられています。

また、「育英会」は、貧困している家庭を助けてくれる正義のヒーローと考えている人も多いでしょう。しかし、その実体は、返還期限猶予制度などはあるものの、最悪給料の差し押さえまで行ってくることを考えると、消費者金融業者などの貸金業者と何ら変わりません。

奨学金を含む借金にお困りの方は、泉総合法律事務所に是非ともご相談ください。泉総合法律事務所では、奨学金の返済に苦しんだ方の自己破産による解決実績が豊富にあります。最適な債務整理の方法が自己破産であった場合、連帯保証人への影響などを細かくご説明し、対処方法などをアドバイスさせていただきます。

相談は何度でも無料ですので、お困りの方はどうぞお気軽にお問い合わせください。

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