自己破産 [公開日][更新日]

奨学金を返済できずに自己破産した場合のメリット・デメリットとは

大学の奨学金を延滞・滞納するとどうなる?取り立ての実態と対処法

最近、多くの方が貸付型の奨学金が返済できずに自己破産する現状が、各種のメディアで報道されています。
しかし、自己破産への誤解やマイナスなイメージばかりが先行しており、奨学金の借金返済できない場合に失望して命を失うことまで考えるケースも見受けられます。

実は、自己破産は、「債務者の生活を再建するためでもある制度」であり、決して今後の生活に希望がもてなくなる制度ではありません。
奨学金の返済ができない状況では、自己破産した場合にはどのようなことが起こりうるかを理解して、冷静に今何をすべきかを考え行動することが重要です。

ここでは、奨学金を返済できない場合に自己破産したらどうなるのか、メリット・デメリットも含めて考えていきます。

1.奨学金を返済できない場合の流れ

まず、貸付型の奨学金を返済できない場合の一般的な流れをみていきます。

滞納3か月まで

日本学生支援機構(JASSO)から、本人や連帯保証人などに対して文書や電話で返済の督促がきます。

滞納3か月以降

信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に事故情報が登録されます。

ブラックリストに一度登録されると、すべての返済を終えてもさらに5年間継続登録され続けます。
ブラックリストに登録されている間は、家や車や携帯電話などのローンを組むことができず、クレジットカードを作ることもできなくなります。

滞納4か月目から

日本学生支援機構ではなく、民間の債権回収会社(サービサー)が、滞納している奨学金の取り立てなどを行うことになります。

滞納9か月目

裁判所に支払督促の申し立てなどが行われ、給料の差し押さえなどの法的措置が行われます。

 

このように、奨学金を返済できない場合には最終的に法的措置が取られますが、その現状を打破する可能性がある債務整理方法として「自己破産」があります。

自己破産とは、裁判所を介して原則としてすべての借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。
ただし、保有している資産も売却するなどの方法で清算され、債権者に分配することになります。

自己破産に抵抗がある方や、マイホームをお持ちの方は、「個人再生」も検討できます。奨学金の個人再生については「奨学金を返せない人が急増中!奨学金は個人再生の対象となるのか」で詳しく解説しています。
(日本学生支援機構は基本的に任意整理には応じていません。)

続いて、自己破産のメリットやデメリットをみていきましょう。

2.自己破産のメリット

自己破産は、「債権者への財産の清算」と「債務者の経済的な再生の機会の確保を図ること」を目的とし、目的に沿った手続きがなされます。

自己破産の最大のメリットは、免責されると本人については奨学金などの借金の支払い義務がなくなることです。

また、先述の通り奨学金に関しては延滞4か月目から民間の債権回収会社が取り立てを行いますが、自己破産するとその取り立てが止まるというメリットもあります。

3.自己破産した場合の本人や連帯保証人へのデメリット

自己破産をすれば、債権者に不利益を与えることになるので、デメリットも確かに存在します。

しかし、自己破産していなくても、奨学金を返済できずに延滞していれば、ブラックリストに登録されたり給与を差し押さえられたりするなどのデメリットは生じます。

そのデメリットと比較してみると、自己破産によって新たに生じるデメリットは、一概に多いとはいえません。

(1) 破産者(奨学金を借りた本人)へのデメリット

①保有している財産が処分される

破産者が所有している家や車などの財産は処分され、換価して債権者に分配されることになります。

しかし、99万円以下の現金などの一定の財産については、手元に残して自由に処分することが認められます。

②官報に氏名や住所が掲載される

官報は国の広報誌ですが、読んでいる人はほとんどいないものです。

心理的な抵抗はある方も多いものですが、官報に掲載されたからといって、周囲に自己破産を知られることはほとんどないといえます。

③職場へ影響が生じる可能性がある

勤務先の貸付金制度を利用していた場合など、勤務先に借金があるときには、債権者である勤務先に自己破産の通知が送付されるので、勤務先に自己破産が知られます。
また、自己破産の手続きが開始されると、給与の差し押さえなどは中止されることになります。

よって、勤務先に借金をしていない場合でも、奨学金の延滞で給与を差し押さえられていた場合には差し押さえが中止されることになるので、勤務先に自己破産を推測される可能性はあります。

ただし、自己破産を理由とした解雇は、不当解雇にあたり禁止されています。
自己破産したことを職場に知られたからといって、仕事を失うというわけではありません

④免責までに一定の制限を受ける

管財事件となった場合、自己破産の手続きが進行している間、弁護士などの士業や警備業など一部の業種は職務を停止される制限を受けます。

また、引っ越しや旅行をする場合には、裁判所の許可が必要になるなど、一定の制限を受けます。

しかし、免責許可決定が確定した場合には、これらの制限はなくなります。

⑤ブラックリストに登録される

自己破産すると、ブラックリストに登録されることになります。
しかし、奨学金を3か月滞納するとブラックリストにのるので、自己破産しなくてもブラックリストにのる可能性があるといえます。

自己破産では、ブラックリストに登録されることで、最大10年程度クレジットカードを作ることやローンを組むことができなくなる可能性があります。

なお、自己破産すると「選挙権がなくなる」「戸籍に載る」などのデメリットも生じると誤解を受けることも多いものですが、そのようなことはありません。

(2) 奨学金の連帯保証人や保証人へのデメリット

奨学金を借りる際の保証には機関保証もありますが、保証料が高いため、親などが奨学金の連帯保証人や保証人となる人的保証をしているケースが多いです。

そのような場合、自己破産すると親に迷惑をかけてしまうことになるのではないかという点を心配されるでしょう。

奨学金を借りている本人が自己破産した場合、自己破産で免責されるのは本人のみです。
連帯保証人や保証人は、本人の自己破産によって奨学金の返済義務を負うことになります。

これは確かにデメリットですが、奨学金の返済を滞納しているのであれば、自己破産しなくてもすでに連帯保証人などには奨学金の支払い催促などが行われているはずです。

連帯保証人などになっている親などとも話し合い、一緒に最善の方法を探っていく必要があります。

ちなみに、保証会社から保証を受けている奨学生が滞納をした場合は、まずは保証会社が日本学生支援機構に代位弁済します。
その後、請求権は日本学生支援機構から保証会社に移行し、支払がない場合は保証会社が裁判手続きに踏み切ります。
代位弁済について、詳しくは「代位弁済をされたら弁護士に相談を!借金返済が不可能になる前に」をご覧ください。

4.奨学金の返済ができない場合は弁護士相談

奨学金の返済ができない場合には、奨学金の返済猶予や返済月額の減額申請を行うことも大切です。
しかし、こういった制度が利用できない状況にあれば、弁護士に相談することがよいといえます。

弁護士に相談すれば、自己破産を含め、任意整理や個人再生など、ケースに応じた最も適切な債務整理方法を見つけていくことができます。

奨学金などの借金を返済できない状況で、自分一人で背追い込んでしまうことは、事態をより深刻なものに悪化させてしまうことにつながります。

ですから、専門的な知識や経験を持つ第三者である弁護士に相談して、今後の生活を見据えたアドバイスを受けることが重要になるといえるでしょう。

泉総合法律事務所は、奨学金に関わる債務整理の実績も豊富で、それぞれの状況に合わせてベストの解決方法を提案させて頂くことができます。

借金問題は誰にとっても非常に苦しいことです。決して一人で悩まずに、専門家と一緒に解決していきましょう。借金に関するご相談は何度でも無料ですので、どうぞお気軽にお問合せ下さい。

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