自己破産 [公開日][更新日]

配偶者の自己破産により実際に生じるデメリット

自己破産と聞くと、とても大きなデメリットが生じるのではないかと感じてしまいます。「配偶者が自己破産する」のは、やはり不安でしょう。

確かに、配偶者が自己破産すれば、持ち家などの財産を失うことがあります。また、破産者本人はクレジットカードの新規発行やローンを組むことができないので、その後の生活に不便を感じることもあるかもしれません。

配偶者の自己破産が、我が子の将来に悪影響を与えることを心配する人も少なくないでしょう。

しかし、配偶者が自己破産することによる家族への影響は、思ったよりも少ないものです。
ここでは、配偶者の自己破産により実際に生じるデメリットと、実は家族には影響のないことをご紹介します。

ご参考の上、早まった離婚などの間違えた対応をしてしまう前に、弁護士から助言を受けることをおすすめします。

1.配偶者が自己破産した場合の問題点

(1) 破産者のデメリット

実際に自己破産したときには、破産者に対して次のようなデメリットが生じることがあります。

  • 10年程度、銀行や消費者金融から借金することが難しくなる
  • 10年程度、新規にクレジットカードを作れない
  • 契約中のクレジットカードが更新できない、解約されることもある
  • 10年程度、他人の借金(ローン)の保証人になることができない
  • 自己破産したことが官報で公告される
  • マイホームを持っていれば処分しなければならない
  • 破産手続きが終わるまでは、転居や長期間の旅行には裁判所の許可が必要
  • 一部の職業には制限が生じ、収入に影響する場合もある
  • 家族が連帯保証人となっている債務があれば、家族に請求される

自己破産や個人再生をすれば、信用情報に事故情報が登録されます(俗に言うブラックリスト)。そのため、5~10年間は、新規の借金やクレジットカード発行が難しくなります。

[参考記事]

ブラックリストとはそもそも何なのか?掲載されることの悪影響

また、家族が名義人となるローン(住宅・自動車ローン)や子どもの奨学金の連帯保証人となることもできません。

さらに、自己破産は、財産と負債を強制的に清算するための手続きなので、保有する財産を換価し債権者に配当する必要があります。
そのため、破産者名義の持ち家があるときには、通常手放すことになります。

そして、銀行や保険会社などの金融機関、不動産業、旅行業、警備業といった仕事に就いている方の場合には、自己破産によって生じる資格・職業制限で、収入などに影響がでる場合もあります。

(2) 自己破産で配偶者に生じるデメリット

次に、配偶者の自己破産によって、実際に家族に生じるデメリットは、次のとおりです。

  • 配偶者名義の持家に住んでいた場合には退去を余儀なくされる
  • 連帯保証人となっている債務の支払いは免れることができない
  • 日常家事債務の連帯責任が生じる

自己破産すると、破産者名義の不動産は、処分を免れることができません。

住宅ローンが残っていれば「債権者による抵当権実行」によって、住宅ローンが残っていなければ、「破産管財人による競売」によって、処分されてしまいます。
そのため、自宅の名義人である配偶者が自己破産すれば、転居を回避することは難しいでしょう。

その他にも、破産者の借金のうちで連帯保証人となっているものがあれば、その債務を返済する必要があります。

また、婚姻生活で生じた生活費の支出を原因とする債務(日常家事債務)の残額も支払う責任もあります。
民法では、日常家事債務は夫婦の連帯債務であるとしているからです。

ちなみに、連帯保証人の地位や日常家事債務は、離婚によって消滅することはありません。

【日常家事債務とは?】
夫婦が日常生活を送るうえで必要となるものを購入した債務のことをいい、食費や生活費がこれに当たります。

2.配偶者が自己破産したことによる家族の影響

ここまでは、配偶者が自己破産した場合の問題点について解説しました。

確かに、配偶者が自己破産をすることによって、マイホームを離れざるを得なくなったり、配偶者に子供の学資保険などの保証人をお願いしたりすることができなくなったりするというデメリットがあります。

しかし、もしそのマイホームがあなたの名義だったならば、自己破産の配当の対象にはなりません。
また、あなたの名前はブラックリストには載らないので、あなた自身の名前でローンを組んだり、子供の保険や奨学金の保証人になったりすることはできます。

自己破産の影響は、あくまで破産者本人にのみに生じるのです。

配偶者が破産しても、あなた自身の財産が処分されることもありませんので、その点はご安心ください。

しかし、先述の通り、あなたがもし配偶者の連帯保証人になっていた場合は、借金の支払い義務が生じますので注意が必要です。

3.自己破産は離婚理由になるのか?

さて、配偶者の借金や自己破産をきっかけに「離婚」を考える人は少なくないと思います。
しかし、協議離婚が調わないときには、「借金があるだけ」では離婚できない場合があることに注意が必要です。

配偶者が協議離婚や調停離婚に応じないときには、裁判で離婚を求める必要があります。裁判離婚が認められるためには、民法が定める法定離婚事由を満たしていなければなりません。

一般的に「借金がある」という理由だけでは、裁判離婚は認められないというのが、現在の解釈です。

借金による離婚が認められるのは、借金の原因が浪費(ギャンブルなど)などにあり、婚姻生活を継続することが難しいだけの重大な理由があると認められる場合に限られます。

なお、「借金を原因に(裁判)離婚できるか」という問題については、以下の記事も参考にしてみてください。

[参考記事]

借金が原因で離婚はできるのか?離婚の際に気をつけるべきこと

4.まとめ

配偶者が自己破産することになれば、さまざまな不安がよぎります。
しかし、自己破産で生じるデメリットは、意外と少ないものです。デメリットを回避する目的で離婚する必要はないでしょう。

配偶者が借金に苦しんでいて、自己破産などの債務整理を検討しているならば、本人とともに弁護士のアドバイスを受け、適切に対応することがとても大切です。

自己破産についてご不安な点があるときには、お気軽に泉総合法律事務所にご相談ください。専門家である弁護士が、それぞれのケースにあった最善の方法をご提案させていただきます。

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