自己破産をすると結婚に影響はあるのか?
「借金の返済が苦しくなっているから自己破産をしたいが、もうすぐ結婚するので何か影響が出るならば困る」というお悩みを抱えている方はいらっしゃるでしょう。
自己破産を始めとする債務整理の事実を婚約者に知られたら、本人は気にしないと言っても「自己破産した人と結婚するなんて許さない」など、婚約者の親に反対されて結婚が破談になってしまうかもしれません。
そのため「相手に知られないまま自己破産をしたい」と考える方は少なくありません。
そもそも、自己破産をすると、結婚に不利になるのでしょうか?
また、自己破産をすることで、具体的に結婚に対してどういった影響があるのでしょうか?
以下では「婚約者に知られずに自己破産をする方法」を始めとした、結婚と自己破産の関係について解説します。
1.自己破産の結婚への影響
まず、前提として自己破産をすることによって「結婚できない」「結婚に不利になる」ということはありません。
自己破産などの債務整理をしたことにより、法律上や制度上において結婚を制限されることはありません。
また、自己破産手続中・手続後を問わず、いつでも自由に結婚することができます。
2.自己破産による結婚相手への影響
法律上・制度上の制限はないとはいえ、自己破産をしてから結婚した場合、結婚相手に悪影響がないか心配、という方も多くいらっしゃいます。
以下では、自己破産による結婚相手への影響について、説明します。
(1) 直接的な影響は一切ない
結論から言うと、自己破産による結婚相手に対する直接の影響は一切ありません。
①金支払いの請求は受けない
自己破産をしたからと言って、債権者から結婚相手に対し借金返済の請求が来ることはありません。
例え結婚して配偶者になったからといって、借金の支払い義務が発生することはないのです。
仮に、自己破産をする段階で婚約相手が破産対象の借金の連帯保証人になっていたケースでは、保証人は債務の肩代わりをしなければなりませんが、このようなケースは稀でしょう。
②個人信用情報にも影響はない
結婚相手の個人信用情報にも影響はありません。
個人信用情報とは、個人の借金の利用状況についての情報です。個人信用情報に事故情報が登録されていると、その先5〜10年間はローンやクレジットカードを利用することができなくなります。
自己破産などの債務整理をすると、本人の個人信用情報には金融事故情報が登録されてしまいます。
このように、個人信用情報に事故情報が登録されている状態のことを、一般に「ブラックリスト状態」などと言うことがあります。
しかし、自身が債務整理をしたとしても、家族や親族の個人信用情報には全く影響がありません。
ですので、結婚相手自身に借金の延滞や債務整理の履歴がなければ、結婚相手は自由にローンやクレジットカードを利用することができます。

[参考記事]
信用情報機関の違い(CIC・JICC・KSC)|ブラックリストとは?
③日常生活や仕事でも影響がない
その他、結婚相手の就職や旅行、引っ越し、生命保険への加入など、日常や仕事上の様々な場面で、結婚相手が何らかの制約を受けることはありません。
(2) 間接的な影響について
ただし、間接的な影響はいくつか考えられます。
①家計に負担がかかる
自己破産をすると、99万円以上の現金や総額20万円以上の預貯金、査定額が大きな車、不動産など、債務者名義の一定以上の財産は処分されてしまいます。
債務者名義のものに限られるとはいえ、手持ちの資産が目減りするので、結婚後の家計には負担がかかるでしょう。
また、自己破産でなくとも、任意整理や個人再生をすると手続後3年~5年程度の間、残った借金返済を継続しなければなりません。
そのお金は、当然家計から支出することになるので、配偶者にも負担をかけることになります。
②ローンが組めない
債務整理をすると、本人の個人信用情報には事故情報が登録されて、ローンやクレジットカードが利用できなくなってしまいます。
このことにより、たとえば住宅ローンを組んで家を購入しようとしてもできない、クレジットカードも作れないので不便な生活になる可能性があります。
ただ、先にも説明した通り、債務整理をしても、結婚相手の個人信用情報への影響はないので、配偶者自身に信用と十分な資力があれば、配偶者名義で住宅ローンや車などのローンを組むことはできますし、クレジットカードを発行することも可能です。
3.債務整理がバレるケース
自己破産をしても、戸籍、住民表、運転免許証やパスポート、住民台帳カードやマイナンバーカード、健康保険証などの公的な書類において、何かしらの記載がなされることは一切ありません。
自己破産をしたことを家族などに通知する制度もないので、自己破産を隠して結婚した後に破産が判明することもほとんどないでしょう。
以上のようなことからすると、ごく普通に生活をしていれば、結婚前の自己破産が相手に知られることはほとんどないと言えます。
ただ、ケースによっては、結婚前の相手に自己破産を知られてしまうことがあります。
それは、以下のような場合です。
(1) 結婚相手と同居している
1つは、結婚相手と同居しているケースです。
自宅に大量の貸金業者からの書類や破産申立先の裁判所からの郵便物が届いているのを見られたら、同居している婚約者に自己破産を隠し通すのは困難です。
また、自己破産には多くの書類・資料が必要となりますが、住民票や給与明細、預貯金通帳などの書類を集めているのを不審に思われることもあります。
しかし、自己破産を弁護士に依頼すれば、破産申立先の裁判所や債権者からの連絡は全て弁護士にいくことになりますので、バレてしまう可能性はぐっと下がります。
(2) 噂がまわってしまう
借金していることを、例えば家族、親しい友人など、「この人ならば絶対に大丈夫」と信頼している人には言ってしまうこともあるでしょう。
すると、そういった人の口から借金問題が広まってしまう可能性があります。
また、自分で意識しないうちに、SNSやブログなどで、つい借金や債務整理を感づかせるような書き込みをしてしまうこともあるでしょう。
それを見た人が「借金しているのではないか?」と思い、いつの間にか噂が広まってしまうことが起こり得ます。
このようなことから、結婚相手の耳にも借金や自己破産の噂が届いてしまう可能性は0ではありません。
結婚相手に絶対知られたくないなら、借金問題については絶対に誰にも言わないこと、ネット上などで不用意な発言をしないことが大切です。
4.弁護士依頼でバレずに自己破産可能
自己破産をすると、結婚相手やその両親の反対により結婚が破談になる可能性があることは事実ですし、そうとはならなくても一定の障害になる可能性はあります。
そこで、最後に、結婚相手にバレずに自己破産するポイントをご説明します。
それは、弁護士に自己破産を依頼することです。弁護士に依頼をすることで以下のようなメリットがあります。
(1) 債権者からの督促が止まる
先にも少し説明しましたが、自己破産をすると裁判所や債権者から大量の書類が届きます。
このような連絡が自宅に届くとなると、結婚相手に債務整理がバレやすいです。
ここで、弁護士に債務整理を依頼すると、弁護士に依頼した時点から、債権者からの督促もその他の連絡も一切なくなります。
貸金業法上、弁護士が介入したあとは、債務者本人には督促できないことになっているためです。
ただし、債権者からの貸金返還請求訴訟等の裁判所からの書類については1回目だけは自宅に送付されてしまいますので、早めの申立てが重要です。
(2) 書類の作成をサポートしてくれる
自己破産をする際には、裁判所に提出する書類作成や、実際に裁判所へ赴いて申立の手続などを行う必要も出てくるでしょう。
自己破産に必要な書類も、基本的に弁護士が作成可能です。
依頼者は、弁護士から指示を受けた書類を集める必要がありますが、結婚相手から不審に思われるほどの量ではないでしょう。
このように、弁護士に依頼すると、別々に暮らしているケースだけではなく、結婚相手と同居している場合であっても、完全に秘密にしたまま債務整理を進められる可能性が一気に上がります。
結婚相手に限らず、周囲に知られずに自己破産をしたい場合、必ず弁護士に依頼すべきです。
注意していても、何かの拍子に結婚相手に借金問題や債務整理について知られてしまうことがあります。
この場合、まずは借金をしていたことと自己破産をしたこと(していること)を素直に認めましょう。誤魔化そうとするとかえって不信を買います。そして、債務整理とはどのようなものかについて、分かりやすく説明をしましょう。
世の中の人は、「自己破産=借金まみれ」というイメージがあり、悪いものと捉えていることが多いです。実際には、自己破産は債務者が経済的な再スタートを切るための前向きな制度です。
また、先にも説明したように、債務整理をしても結婚相手には直接的な不利益はありません。
このように、誠実に説明して対応したら、相手も応えてくれる可能性があります。
5.結婚前の債務整理も泉総合へ
以上のように、債務整理をしても結婚に悪影響はありません。借金を放置しておくよりも、債務整理をしてから結婚した方がむしろ誠実な対応と言えます。
「借金があるけれど結婚を控えている」「自己破産をすると実際に自分のケースではどういったデメリットが生じ得るのか」と心配な方には、弁護士が直接アドバイスを行います。
泉総合法律事務所は、債務整理分野に非常に力を入れており、これまで多くの方の借金問題を解決に導いてきました。
一人ひとりに合った債務整理方法を考え、親身になって対応しますので、お悩みごとがあれば是非ともお早めにご相談ください。ご相談は何度でも無料です。