自己破産 [公開日]2018年4月12日[更新日]2021年7月21日

連帯保証人が自己破産した場合の主債務者への影響

賃貸物件を借りるときや奨学金を借りる時などには、しばしば「連帯保証人」が必要となります。

連帯保証人には家族や親族を据えることが多く、この記事をお読みの方の中にも「家族の連帯保証人になっている」という方はいらっしゃるでしょう。

多くのシーンで一般的に用いられている連帯保証人という制度ですが、連帯保証人は債務者本人と同等の支払義務を負うという、非常に責任の重い役割を担います。
そのため「債務者本人が自己破産したせいで連帯保証人も連鎖的に自己破産することになった」という事例は枚挙に暇がありません。

しかし、債務者本人ではなく、連帯保証人が自己破産した場合は何が起こるのでしょうか?
そもそも、連帯保証人が単独で自己破産することはできるのでしょうか?

1.連帯保証人は自己破産できるのか

結論から言えば、誰かの連帯保証人になっているからといって自己破産できないわけでありません

連帯保証人は債務者本人(以下、主債務者)の事情に関係なく、自分自身の事情で自己破産することができます

自己破産は以下の要件を満たしている人であれば、職業や国籍などに関わらず行うことが可能です。

(1) 支払不能状態であること

自己破産をするには「支払不能」な状態にあることを裁判所に認めてもらう必要があります。

「支払不能」の判断基準は、借金の額ではありません。

仮に何億円もの借金があったとしても、収入が非常に多くて借金を返せる状態であれば、支払不能とはみなされません。
収入がなくても、不動産などの高額な資産をいくつも保有しており、それを売却すれば借金を返済できる見込みがあれば、やはり支払不能とは認めてもらえないでしょう。

反対に、収入が少なく、特に資産もないのであれば、借金が少額でも支払不能状態にあると認めてもらえる可能性があります。

支払不能状態であるかどうかは、その人の置かれた環境や状態から判断されるのだとご理解ください。

(2) 免責不許可事由がないこと

自己破産に成功すると、原則として債務(借金)の支払義務が免除されます(例外的に免除されない債務もあります。)。
借金を帳消しにしてもらうことを「免責」と言います。免責を許可してもらうことが自己破産の最終的な目的です。

破産法には裁判所が免責を許可しない事由が列挙されています。その事由を「免責不許可事由」と言います。

例えば、自己破産において虚偽の事実を述べたり、虚偽の書類を提出したりすることは、免責不許可事由となります。
また、返せるあてもないのにした借金や、ギャンブルや浪費などが原因の借金も、免責の対象となりません。

ただし免責不許可事由があっても、裁判所の裁量で免責を許可してもらえることが多いです。
裁判所の運用によって異なるため、気になる方は事前に弁護士と相談して、自分は免責を受けられそうか確認することをおすすめします。

[参考記事]

免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!

2.連帯保証人が自己破産した場合の主債務者への影響

上記のような一定の条件を満たしてさえいれば、誰かの連帯保証人になっていても自己破産できることはお分かりいただけたと思います。

次に問題となるのは、連帯保証人の自己破産が主債務者へ及ぼす影響です。
子供の連帯保証人になっている親御さんなどは「私が自己破産をすると子供に悪い影響が出るかもしれないから自己破産できない」と耐えているかもしれません。

実際のところ、連帯保証人の自己破産で主債務者はどのような影響を受けるのでしょうか?

(1) 大きな影響はないケースがほとんど

主債務者が問題なく返済を続けている場合、連帯保証人が自己破産しても特に影響がないことが多いです。

債権者としては弁済を受けられれば問題ないため、返済を滞納されない限り、特にアクションを起こす必要がありません。

(2) 連帯保証人は原則続けられない

保証人になれる者の条件について、民法第450条1項に以下の規定が存在します。

  • 行為能力者であること
  • 弁済をする資力を有すること

この規定は連帯保証人にも適用されます。
自己破産をした人は基本的に後者の条件に該当しないことが多いので、連帯保証人を続けることはできません

ただし民法第450条3項には「債権者が保証人を指名した場合には、この規定は適用しない」旨の定めがあります。

つまり債権者が「連帯保証人が自己破産したそうですが、引き続き連帯保証人になっていてもいいですよ」と言った場合などは、問題なく連帯保証人を継続できます(もっとも、実務上ほとんどないケースでしょう)。

【別の連帯保証人を探す必要はある?】
民法第137条3項には「債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないときは、債務者は期限の利益を主張できない」とあります。
期限の利益とは、簡単に言えば「分割払いできる権利」だと考えてください。そして「担保」とは、いわゆる「借金のカタ」です。俗に「借金のカタに家を取られた」などと言いますが、連帯保証人はその人の弁済能力をあてにした「人的担保」と呼ばれ、一種の担保として扱われます。
つまり民法第137条には、「担保がないと分割払いできなくなる=一括払いを求められる」ということが記載されています。
そして民法第450条2項には「保証人に弁済能力がなくなった場合、債権者は主債務者に対して、弁済能力のある保証人を立てるように請求できる」旨の規定があります。
以上から、連帯保証人が自己破産して弁済能力を失い、人的担保としての責務を果たせない状態になったのであれば、主債務者は債権者の求めに応じて、新しい連帯保証人を用意しなければならないことになっています。
もし別の連帯保証人を用意できない場合、契約違反ということで一括払いを請求されることもありえます。

3.ペアローンなどの場合の注意点

主債務者と連帯保証人がお互いに連帯保証人になっているケースもあります。

例えば、住宅ローンの中には「ペアローン」と言って、夫婦が別々の債務を持ち、個別に返済を続けるタイプのものがあります。大抵の場合は夫婦がお互いに連帯保証人となります。

ここでもし妻の連帯保証人である夫が自己破産すると、債権者は夫の連帯保証人である妻に対して、夫が返済すべきだった部分の支払いを請求します。
妻に夫の債務を弁済する能力がなければ、妻も連鎖的に自己破産することになります。

また、例えば親が子供の家のローンの連帯保証人になっており、子供が親の事業の借金の連帯保証人になっていることもあるかもしれません。

借金の目的が別々であっても、お互いが主債務者であり連帯保証人であるという構図は同じです。親が事業で失敗して借金を返せず自己破産した場合、子も巻き込まれて自己破産することになる可能性があります。

とは言え、お互いに連帯保証をしているからといって「片方が自己破産したら自分も自己破産しなければならない」などという決まりはありません。
当然ですが、相手の借金を肩代わりできれば何の問題もありません。

肩代わりして弁済できない場合でも、個人再生や債務整理など、自己破産以外の債務整理で解決できることがあります。必ず自己破産を選ばなければならないわけではないため、弁護士に相談して他の方法を模索することが大切です。

4.連帯保証人や借金のご相談は弁護士へ

連帯保証人の立場でも、要件を満たせば問題なく自己破産ができます。連帯保証人だからといって苦しい借金生活を耐え忍ぶ必要ありません。

主債務者への迷惑を抑えたい場合は、別の連帯保証人を主債務者へ紹介してから自己破産するなどの対策もあります。
どういった方法が望ましいのかはケースごとに異なるので、弁護士と協力しながら臨機応変に対応することが大切です。

泉総合法律事務所には自己破産を含めた債務整理の実績とノウハウが数多く存在します。家族の連帯保証人になっている方で、少しでも家族への影響を減らしたい方は、ぜひ当事務所までご相談ください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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