自己破産 [公開日]2018年4月12日[更新日]2020年10月21日

連帯保証人が自己破産してしまうケースとは?

知人から「借入に際して保証人になってほしい」と頼まれたことがある方はいらっしゃるでしょう。

しかし、何も考えずに保証人になることを了承すると、多大なリスクが発生する可能性があります。
最悪の場合、自分はお金を借りていないのに、任意整理、個人再生、自己破産などの債務整理手続きをとらなければならなくなる可能性があります。

ここでは、連帯保証人が自己破産をしてしまうことになるケースについて解説します。

1.保証人と連帯保証人の違い

(1) 保証人とは

簡単に言えば、保証人とは、主債務者(実際にお金を借りた人)が債権者(お金を貸した人)に対して返済をしない場合に、主債務者に代わって支払いをする人のことを言います。
主債務者が借金を返せないと、債権者は保証人にその借金を払えと請求でき、保証人はこれに応じる義務があります。

このように、主債務者が借金を返せなかった場合、保証人には多大な影響が及ぶことになります。

債務者としては「保証人に迷惑がかかるから、借金を返済しなければ」と考える方が多いと思います。しかし実際には、債務者が借金を返すことができず、保証人に請求がいくといったケースが多々あります。

保証債務の履行を請求された保証人には、以下の「検索の抗弁権」「催告の抗弁権」「分別の利益」が認められています。

  • 検索の抗弁権
    自分(保証人)に請求する前に「主債務者には財産があるから、まずはそこから借金の回収を行ってください」と主張できる権利
  • 催告の抗弁権
    自分に請求する前に「まずは主債務者に借金を返済しろと言ってください」と主張できる権利
  • 分別の利益
    保証人が複数人いる場合に、保証人の頭数で割った額についてのみ返済すればよいという利益

(2) 連帯保証人とは

以上の「保証人」に対して、連帯保証人には、上記3つの権利が認められていません。
具体的には、以下のような事態になります。

  • 債権者は、主債務者が借金を返すだけの資産を有していたとしても、連帯保証人に対して、借金を返せということができる。
  • 債権者は、主債務者に請求することなく、連帯保証人に借金を返せということができる。
  • 債権者は、連帯保証人が何人いたとしても、その中の一人のみに対して、主債務者の借金全額を返せということができる。

つまり、連帯保証人は主債務者とほぼ同様の立場にあるということになります。

そのため、連帯保証人となると、債権者からいきなり保証債務を履行せよと言われるおそれがあります。

最悪の場合、差押え・競売申立てが行われるといったこともあるでしょう。

このように、「連帯保証人」は、「保証人」と比べてより重い責任を課されることになりますので、両者の立場は全く異なるものであると言えます。

しかし日本では、「保証人」と言うと「連帯保証人」を意味することが多いので注意が必要です。
つまり、「保証人になってほしい」というお願いにOKしてしまうと、債権者との関係で主債務者と同じ立場(自分がお金を借りたのと同じような立場)になってしまうでしょう。

2.連帯保証人が自己破産する流れ

繰り返しになりますが、連帯保証人は、事実上、主債務者と同じ立場にあるということになります。
連帯保証人≒主債務者ですので、「自分が借りた金ではないから払わない」は通用しません。

そのため連帯保証人は、債権者から「借金を返せ」と言われて返せないのであれば、自己破産をせざるを得ないという状態になるのです。

連帯保証人が自己破産するまでの流れは以下のようになります。

  1. 主債務者が借金を支払うことができず弁護士に依頼し、受任通知を債権者に送る
  2. 受任通知により債権者は債務者に直接の督促・請求ができなくなるため、連帯保証人に一括請求をする
  3. 連帯保証人に保証債務を支払うだけの金銭がない場合、自己破産を検討せざるを得なくなる

なお、主債務者が借金を返せない場合だけでなく「主債務者が逃亡してしまい連絡が取れなくなった」という状況でも、債権者から連帯保証人に請求が来ることもあります。

【連帯保証人となった末の自己破産件数は多い!】
破産の原因は、日弁連や財務省などが調査を行っています。
平成30年に財務局などに寄せられた相談件数によると、自己破産に至った原因としては、やはり「生活苦・低所得」が最も多く、全体の半数以上を占めていました。そして「保証債務(保証・借金の肩代わり)」という理由、つまり連帯保証人になってしまい返すことができず自己破産に至るというパターンは、全体の300件となっています。
つまり、1日〜2日に1回の割合で、保証債務による借金の相談が国に寄せられていると言えるのです。
参考:多重債務者対策を巡る現状及び施策の動向

3.連帯保証人が自己破産した場合のデメリット

連帯保証人となった末に自分が自己破産してしまうと、以下のようなデメリットがあります。

基本的に、主債務者が自己破産した場合と同様になります。

[参考記事]

自己破産するとどうなる?破産のメリット・デメリット

①ブラックリストに載り、金銭の借入が困難になる:自己破産してしまうと、俗に言う「ブラックリスト」に載ってしまい、以降5年〜10年間、金融機関から借入をしたりクレジットカードを使うことが困難になります。

②一定の財産が処分される:自己破産をすると、債権者への債務の返済に充てるために、自己の財産が一部処分されてしまいます。例えば、マイホームや車など、破産者名義の物は、生活必需品を除き自分の手元から離れてしまうでしょう。

③自分が他の保証人にもなっている場合、その保証人としての役割を果たせない:保証人は債務者の借金の担保です。その保証人が自己破産してしまうとこの役割を果たせないため、債務者は別の保証人を探さなければならない可能性があります。

なお、自己破産をしても、配偶者や子供などの家族に借金の返済義務が生じることはありません。賃借している家(賃貸)を追い出されることもありませんし、ブラックリスト状態となるのは破産者本人だけで、家族名義の財産の処分も必要ありません。

とはいえ、マイホームやマイカーを処分されてしまったら、これらを一緒に利用していた家族には間接的な影響は及ぶかもしれません。

[参考記事]

自己破産は家族にどのような影響を与えるか〜住宅ローン、車など

4.既に保証人になってしまった場合の対応策

以上から、連帯保証人にはならないことが一番大事ということが分かると思います。

家族・親族・旧知の友達や、「この人なら大丈夫」と思えるような人であっても、その人が急に借金を支払えなくなったり、連絡がつかなくなったりすることは有り得るのです。
「保証人になってほしい」というお願いに対しては、しっかりと「NO」と言うべきでしょう。

仮に保証人となるにしても、債務者の資力や債務額についてしっかり説明を受け、契約内容をしっかり確認する必要があります。

とは言え、既に実際に連帯保証人になってしまっている・債権者から連絡が来ているという方もいらっしゃるでしょう。
特に、奨学金を借りる際には家族や親戚が保証人になることも多いと思います。

連帯保証人である以上、「払わない」は通用しません。支払うことができる財力があるなら、差し押さえなどの強制執行が行われる前に早めに支払ってしまう必要があります。

もし払えない場合であれば、任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理を検討せざるを得ません。

万が一、連帯保証人となり債権者から請求が来た場合には、すぐに専門家に相談しましょう。

5.連帯保証人の自己破産も弁護士へ

「連帯保証人になってしまったがために、自分に請求が来てしまった」という場合、自分一人で解決することは非常に困難です。
無理に自分自身で判断・解決しようとせずに、すぐに弁護士に相談をしましょう。

東京、千葉、埼玉、神奈川に多数拠点を抱えている泉総合法律事務所では、連帯保証も含めた借金問題について、無料で法律相談を行っています。どうぞお気軽にご相談ください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
電話番号

受付時間: 平日9:0021:00/土日祝9:0019:00

債務整理コラム一覧に戻る